121. 博士の愛した数式
《ネタバレ》 まあまあ。これが典型的ハリウッド映画なら、日常に疲れて人間不信になったシングルマザーの家政婦が記憶が80分しかもたない「博士」と出会い変化していく、みたいなストーリーだったんだろうなあ、などと関係ないことを考えながら見ていた。そんな妄想ハリウッド版と比べると、登場人物どうしでこれといった衝突も起こらず(出会って1日で博士との「つきあい方」を心得てしまう家政婦、クビになってもすぐ復帰、親子ゲンカもすぐ仲直り、教師の思い出話を素直に聞き、適切すぎる反応をする生徒たち)、予定調和的に淡々と進んでいく物語は、良くも悪くも「日本的だなあ」という感じでした。 [地上波(邦画)] 6点(2007-05-20 10:34:45) |
122. レッド・ドラゴン(2002)
『羊たちの沈黙』は、ぼくにとってはジョディ・フォスターの映画だったんだなあと再確認。エドワード・ノートンも好きな俳優だけど、『羊たち』に漂っていたセクシャルな雰囲気が消えてしまうと、レクターとのやりとりにどうも緊迫感が足りなくなってしまう。ダラハイドとリーバのシーンの危うさはよかったけど、やっぱり普通のサイコサスペンスになってしまった感じでした。ただ、ラストのおまけは、ファンにはうれしいですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-05-06 16:20:43)(良:2票) |
123. インサイド・マン
《ネタバレ》 映画全体としては、まあまあ楽しめたかなあ。犯人側の背景がよくわからないので、どうしてあそこまで大がかりなことをやったのかがいまいち分かりにくい。銀行家の「秘密」というのも、多少の歴史的背景がわかっていれば、たいして意外な感じもしない。もう1回どんでん返しがあるかと思っていたら、そのまま終わってしまった。印象的なシーンは、クライヴ・オーウェンと子どもがゲームについて話すシーンかな。ただ、あのシーン自体はとてもよかったけど、挿入するタイミングがちょっと早すぎて、早々に観客には犯人側が「憎むべき悪人」ではないことがわかってしまったので、冒頭の緊迫感が薄れてしまった気がする。あのシーンのおかげで、屋上で人質が殺されるシーンも「あ、フェイクだな」ってほとんどの観客が思ってしまって、デンゼル・ワシントンの怒りに共感できなくなってしまったのではないかなと思う。行き詰まる心理戦の緊迫感を最後まで持続してほしかったなあ。 [映画館(字幕)] 6点(2006-08-25 08:40:13) |
124. イン・ハー・シューズ
冒頭の姉妹の議論にもちょっと出てきただけで忘れそうになるけど、マギーは、難読症(dislexia)あるいは学習障害(LD)ですよね(計算にも難があるし)。キャメロン・ディアスのキャラもあって、ただの「おバカ」かと思いそうになるけど、これはこれでアメリカの深刻な問題を象徴しているわけだし、前半は、それも含めて姉妹のコンプレックスがうまく描かれている。一転して後半は、マイアミのご老人たちの活躍もあって、少しずつ自分を受け入れていくというストーリー。そのへんの対比の描き方は、カーティス・ハンソンの職人芸です。ただ、丁寧に描かれた佳作だけど、うまくキャラに感情移入できないと130分は長く感じる。僕は個人的には姉のほうが感情移入できるんだけど(たいていの人はそうだろう)、映画のほうは逆にシャーリー・マクレーンの絡みもあって、妹マギーのほうを中心に話が進むんで、話に入り損なった感じでした。 [DVD(字幕)] 6点(2006-07-24 08:55:39)(良:1票) |
125. ハウルの動く城
思ったよりは悪くないんだけど、「宮崎駿作品」として考えると、やっぱり手放しでは賞賛できない。カリオストロからトトロまでの頃は作画の美しさだけでなくて、よく練られて、わかりやすいシナリオも魅力だったんだけど、どうも最近は勢いまかせな強引さが目立つ。「天才」にしかわからない世界なのかもしれないけど、もう一度「凡人」の世界に降りてきてくれないかなあ。 [地上波(邦画)] 6点(2006-07-22 08:24:10) |
126. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
ジョニー・デップのアウトローぶりと、ディズニーアトラクション系エンターテインメントの奇跡のような共存。だけど見所はそれだけ。長いし、解説しすぎの演出のおかげでテンポも悪い。アクション・シーンも新鮮さには欠ける・・・。インディジョーンズ・シリーズのようにグロテスクなヘビや虫やクモなど登場しないぶん、子どもと一緒にみるには、楽しい映画なのかもしれない。ただ、個人的には、ヘビや虫は大嫌いだけど、こーゆー温室培養のような清潔さでパッケージされたアドヴェンチャー映画というのは、なにか物足りない。 [DVD(字幕)] 6点(2006-07-20 08:50:54) |
127. 1980(イチキューハチマル)
《ネタバレ》 ジョン・レノンがこの世を去り、ウォークマンが現れる。時代の転換点としての「1980年」の描写はよかったと思う。80年代に小・中学だった自分としては、数々のネタにはギリギリでついていけた感じだったけれど、なんだか「世代映画」の域をやっぱり出てはいなかったかなという感じ。ある世代の人にはアピールするけれども、それ以外の人も巻き込むような「普遍性」にはちょっと欠けていたように思う。それでもいいという意見もあるとは思うけど、ダメ3姉妹の設定は魅力的だったし、ところどころ魅力的なシーンはあった(とくに水族館のともさかりえのキレっぷりはいい)。それだけに、最後は、映画としての表現や技術よりも、ウォークマンと『ライディーン』が喚起する「時代の空気」に頼ってしまったのが、やはり残念に思う。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-11-11 02:20:38) |
128. ヴィレッジ(2004)
《ネタバレ》 『サイン』のときも思ったけど、シャマランの最近の映画は、SFテレビドラマ級に陳腐な舞台設定のもとで、格調高く「人間」を描こうとしてる。『サイン』は、その二面性(「信仰」というテーマと宇宙人侵略という設定)が分裂して「なんじゃこりゃ」状態だったけど、この『ヴィレッジ』では、その融合がうまくいったんじゃないかな。あの村を作った人々の思いと、そこで育った子どもの悲劇は、ドラマとしても十分説得力があった。ただ、怪物の造形は相変わらずB級。というか、あの着ぐるみを年長者たちがせっせと作ってる様子は想像するとちょっと笑える。それから、ホアキン・フェニックスが主役の映画だと思ってたので、途中で刺されて倒れちゃったのに驚いた。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-27 02:41:44) |
129. キングダム・オブ・ヘブン
『グラディエーター』でCG史劇ブームを起こしたリドリー・スコット監督自らが、そのブームに終止符を打つべく製作したような作品だった。アンチ・マッチョなヒーロー像、十字軍と宗教的寛容という正邪が明確でない微妙なテーマ、迫力があるけどあっさりとした戦闘シーンなど、観客の期待を少しずつ裏切りながら物語は進む。ここ最近に乱造された駄作史劇にはうんざりしていたので、こういう監督の決断(?)は歓迎したい。とくに、オーランド・ブルームのオーラのない主役ぶりには好印象。これを、アンチ・ヒーロー史劇をつくろうとしたリドリー・スコットの狙いだったと考えるのは、買いかぶりでしょうか。 とはいえ、1本の映画として見ると、あまり面白くないというのは致命的に残念。テーマも映像もすばらしいと思うのだけれど、脚本の問題なのか、話のメリハリに乏しかったんで、6点がせいぜいというところでしょうか。 [映画館(字幕)] 6点(2005-05-22 21:51:48) |
130. 白いカラス
ベントンの抑えた演出はよかったと思うし、人種の問題についても、単なる目新しさやセンセーショナリズムに頼るのではなく、現代にも根強く残る問題の深遠さ・複雑さを感じさせる表現で好感が持てました。ただ、やはり難点は、スター映画になってしまっているところ。とくにニコール・キッドマンは、悲惨な過去と葛藤しているキャラクターには見えず、あいかわらずの「クール・ビューティ」ぶりがマイナスに働いてしまった感じ。ホプキンスも、もともと「汚れstain」とは対極にあるキャラを演じることが多いけど、そのイメージが最後まで足を引っ張った。本編とは関係ないけど、このキャストにもかかわらず、「ラブストーリー」ではなく、(ネタバレ的だけど)人種やアイデンティティを主題として予告編を作った配給会社には拍手したい。 6点(2005-01-18 12:29:28) |
131. ビューティフル・マインド
《ネタバレ》 それなりに楽しめたものの、ナッシュのダークな部分がすっかり漂白されてしまったというのもあって中途半端な印象。風変わりな天才の伝記物という趣の前半、突然サスペンスフルになる中盤、そして病気との闘いと家族の絆を描く後半のあいだのつながりが、いまいち・・・。最後のノーベル賞受賞のエピソード(教授クラブでの「ペン」とスピーチ)は感動的な演出だけど、それまでの展開を考えれば、いかにも賞狙いっぽくて唐突だった。図書館で学生相手に講義をはじめ、幻覚と「共生」したまま、社会復帰していく様を描くだけで十分だったように思います。あんなとってつけたような受賞スピーチよりも、学生たちに図書館で熱心に数学を語り、彼らの尊敬を集めるようになるのを静かに描いたほうが、この映画のラストとしてはふさわしかったと思う。 6点(2004-12-18 10:28:16)(良:1票) |
132. パニック・ルーム
よくできてて面白かったと思うけれど、監督がデヴィッド・フィンチャーだと知ってしまうと、やはりちょっと物足りなかった。悪役側のまとまりのなさとフォレスト・ウィテカーのいい人ぶり(でも完璧に正義の味方になっちゃうわけでもない)は、「冷酷な敵に追われる主人公母子」というスリラーの構図を微妙にぐらつかせて、見ているほうに居心地の悪さを感じさせる。けれど、これも「一筋縄ではいかない」フィンチャー監督のねらいなのか? それとも、単に演出がダレているだけなのか? そのへんがよくわからない。 6点(2004-10-25 13:10:29) |
133. パンチドランク・ラブ
うーむ、PTA監督の新作ってことで期待しすぎたかな。ところどころのシーンは美しいんだけど(特にエミリー・ワトソンとの初デートやハワイなど)、全体のつながりがいまひとつだったのと、人を食ったような演出に今回はついていけなかった(『マグノリア』ではハマったのに)。アダム・サンドラーのキレるキャラは、彼自身のコメディ映画(『Mr. ディーズ』みたいな)のセルフ・パロディのようで、あまり新鮮味がなかった。前二作がやたら長かったPTA監督作品としては、90分のこの映画は中編って感じなのかな。中編は中編らしく楽しんでみようと思えば、感想も違った気がします。次は、ぜひ、120分の映画をとってほしいぞ。 6点(2004-07-02 02:56:49) |
134. ドッペルゲンガー
あまり予備知識なく見たのがよかったかも。最初の展開はやっぱホラー映画か!と思っていたら、サイコスリラーっぽくなったかと思ったら、最終的にはドタバタ・アクションコメディでした(『レイダース』の「あの」シーンのおまけ付き)。なんていうか、笑いながらも、じわじわと不安感が広がっていく感覚が新鮮。終盤は、ドッペルゲンガーかどうかなんて疑問はどうでもよくなる壊れっぷりでした。永作博美やユースケのキャラは好きでしたが(二人がみょ~に若く見えた)、肝心のメイン・プロットにあんまりヒネリがないというのが残念。 6点(2004-06-30 11:59:54) |
135. 贅沢な骨
「骨」とか「金魚」とか、やたらとメタファーっぽいものを多用するわりには、セリフまわしなんかが、ありきたりだったのが残念でした。金魚をジューサーで飼い始めてからは、主人公たちの人間関係の緊張感なんかよりも、最後まで金魚たちは無事なのか、スプラッタシーンを見る羽目になるのかと、違った意味でハラハラしてしまいました。でも、主演3人のつくる雰囲気は好きだったんで、7点。 [DVD(邦画)] 6点(2004-05-14 03:01:44) |
136. マイ・ビッグ・ファット・ウェディング
タイトルから「Greek」を省かないで欲しかったなあ・・・。ここがこの映画の肝なのに。トゥーラの家族、キャラが豊かだし、ギリシャ系ネタも楽しかった。個人的には、ギリシャ語で悪態つきまくるおばあちゃんがツボ。ただ、ストーリーが順風満帆すぎたかも。あれだけのキャラをそろえたんだから、もうちょっと波があってもよかったような。 6点(2004-04-11 03:11:42) |
137. NARC ナーク
M:I-3の監督に抜擢されたなど、噂を先に聞いて期待しすぎてしまったようです。脚本はすばらしいと思いましたが、追跡シーンの手持ちカメラ、ブルーがかった色調、フラッシュバックの多用など、少ししつこく感じてしまいました。物語そのものに緊迫感があるんで、そこまで映像表現で煽る必要もなかったような。でも、なんの事前情報なくこの映画をみてれば、印象も違ったかも。「掘り出し物発見!」と思ったトム・クルーズの気持ちも理解できます。 6点(2004-03-18 02:15:59) |
138. イン・ザ・ベッドルーム
公開時、アメリカのテレビCMでは、シシー・スペイセクが、「Everything!」と叫んで大皿割るシーンがやたら流れてて、熟年夫婦の危機!みたいな映画かと思ったら・・・思わぬ展開でびびりました。でも、ラストがなあ~。そっちにいってほしくなかったなあ。なんだか、安易な方向にいっちゃったみたいで、もう一歩、ドラマとして踏ん張ってほしかったなあ。それ以外は、緊迫感のあるムードや、シシー、トム・ウィルキンソン、マリサ・トメイ、2代目ジョン・コナーという地味なキャストの演技もみんなよかっただけに残念。 6点(2004-03-15 21:54:06) |
139. ギャング・オブ・ニューヨーク
見所は・・・ほぼ完璧に再現された19世紀ニューヨークの都市風俗でしょうか。ネイティブ対アイリッシュの対立やら、選挙の票を集めるために黒人を無理矢理投票所に行かせたり、中国人の見せ物小屋だったり・・・世界中の人々がごった煮のように生きる都市のパワー。エンディングのU2の流れるところを見ると、これは、「ギャング」映画ではなくて「ニューヨーク」の映画だったのかなって思えてくる。でも、結局、風俗部分の再現に時間と手間をかけた割にはドラマはしょぼかった。ディカプリオは、太ってもひげ生やしても迫力不足・・・。スコセッシ監督の気合いも空回りぎみか。 6点(2004-03-15 21:22:23) |
140. ロード・トゥ・パーディション
「スプラッシュ」→「ビッグ」→「めぐりあえたら」→「フォレストガンプ」のトム・ハンクスのイメージが強いせいか、やはりギャングには見えなかった。あと、ジュード・ロウの演技はやりすぎ。サム・メンデスには『アメリカン・ビューティー』的なひねくれたダークさを期待したのに、意外と正統派だった。これだけの違和感を抱えても、ちゃんと映画として楽しめたのだから、それなりに良くできた作品なんでしょう。 6点(2004-03-14 00:49:19) |