1381. 青幻記 遠い日の母は美しく
《ネタバレ》 沖永良部島を舞台に、主人公の少年時代の母親との日々を回想する作品。前半はあまりにもばたばたと進みすぎで、何が主題なのかを捉え難いが、母親が存在感を増してくる後半の印象はなかなかである。特に、クライマックスの、満潮の海での離別のシーンのインパクトは強烈。難点は、現在のシーンが次から次へと出しゃばってくること(全体を通じて、現在:過去が4:6くらいなのでは?)。回想がブツ切りになって、浸れなくなってしまいます。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-02-01 03:27:33) |
1382. インファナル・アフェア
それなりに派手さを抑えた良い感じは漂っているのですが、あと一歩のところでどうも緊張感が徹底されていません。敵組織への長期間の潜入生活というものすごいことをしているのであれば、もっと主人公たちの日常にはひりひりするような切迫感があってしかるべき。ただし、続編や前夜譚ができてもおかしくないほどの作品としてのある種の勢いは感じます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-02-01 03:11:47) |
1383. さらば青春の光
《ネタバレ》 これって、単に主人公の自堕落なウダウダした生活をそのまま追ってるだけでは・・・と前半は思っていました。同じようなシーンが繰り返されているのも気になりました。しかし、それでも、ホテルの入口に昔の悪仲間を発見するシーンがもたらす虚しさから始まるラストへのシークエンスは、なかなかの味わいがあって見所ありです。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-11 03:49:13) |
1384. 運転手の恋
《ネタバレ》 タイトルは半分くらい偽りあり。りえちゃんとの恋愛沙汰は、90分のうちの正味20分くらいです。どちらかといえば、「運転手の恋」というよりも、「運転手の日常」といったほうが正確です。しかし、その日常を、何とか面白くさせようといろいろデフォルメを加えながらまとめていく素朴な作りは嫌いではありません。大体、あんな一歩誤ったら変態ストーカーのような作戦であっさり恋がうまくいってしまうというプリミティブな世界観が凄すぎる。実は案外飛び道具の作品かもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-09 02:20:47) |
1385. 世界で一番パパが好き!
《ネタバレ》 今どき映画でここまでやらないだろうとつい思ってしまうくらい、何のひねりもない予想通りのストーリーなのですが、会話の節々はきちんと練られているので、退屈することなく楽しめます(エロトークや危険トークも満載)。ただし、住民相手のスピーチの場面は、音楽でごまかしたりせずに、きちんと脚本を書いてほしかった。あそこが一番の転機点なのですから。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-08 01:51:33) |
1386. ミザリー
《ネタバレ》 筋立ては単純ながら、手を拡げすぎないコンパクトで確実な演出によって、主演2人の表現を光らせることに成功しています。「フォークで布団に穴を開けてそこにカプセルを隠す」(=そこしか隠すところがない)など、主人公の無力な日常生活状態をきっちりと表しているのが、当たり前のこととはいえ重要ですし、アニーの行為による恐怖を効果的に裏付けています。残念なのは、最後がありがちなサスペンスの着地風になってしまったこと。主人公の決死の覚悟を表すためには、変に引っ張らずに一撃で倒すべきだったと思いますし、それまでとの対比で、脱出して自由を獲得する救済の過程を少しでも見たかった。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-07 04:35:42) |
1387. イージー・ライダー
大まかなストーリーは事前に知っていて、主人公2人が行け行けで無軌道に気ままに旅をする話かと思っていたのですが、意外にのんびりした部分とかかったるい部分が多かったのがかえって新鮮でした。しかし、そういう洗練されてない作りだからこそ、制作者が表現したかった挫折感、敗北感が、ある種の初期衝動を伴って生々しく伝わってきます。今見ても鑑賞に耐えうる作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-06 04:13:24) |
1388. 失楽園
《ネタバレ》 徹底して不倫を描いてやろうという心意気はよいのですが、その描き方が、単なる濃厚ラブシーンの繰り返しだけでは意味がありません。「それ以外」の部分がむしろ重要なはずなのに、かなり抜けています。それに、同じ不倫のベッドシーンでも、最初の無邪気な時点と、中盤の破綻を予感させる時点と、最後の死を覚悟した時点では、描写が異なってくるはずですが、そんな配慮もされてません。一応、偏執狂的に主演の2人を脱がせまくった根性は嫌いではないので、点数は甘め。 [DVD(邦画)] 6点(2007-12-31 21:46:50) |
1389. エイリアン
《ネタバレ》 音楽はほとんどなし、効果音も必要最小限。じっと息をひそめて自らも船内に潜んでいるかのような描写。このような手法が、奇妙な地に足の着いた生々しさを醸し出しています。また、最も印象的だったのは、最後、生き残ったリプリーが孤独のままに飛び続けるところ。生還してみんなで大喜びとか、通信が復活して希望が甦るとか、そういう陳腐な盛り上がりのない気怠さと疲労感に満ちた締め方が、何ともいえない余韻を残しています(2への絶妙なつなぎにもなったわけですが)。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-31 00:57:12) |
1390. 時計じかけのオレンジ
内容的には、インパクトを狙いすぎてて頭が痛くなる場面も多々あるのですが、カメラワークと色彩感覚、小道具関係のセンスは今見ても絶品。映画としての重量感みたいなものを感じます。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-25 01:55:30) |
1391. マスク(1984)
《ネタバレ》 筋立てはとても単純なのだが、何よりも、じめじめと湿っぽくないところがよい。主人公の行動は常に自信と勢いに裏付けられており、人生で大事なことは、どう思われるかということではなく、何を考えて、何をしているのかということである、という当たり前のことを再認識させてくれる。ただし、バイカー達と一体どうやってあんなに仲良くなったのかというのは、最後まで謎だったのだが。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-23 00:36:07) |
1392. カッコーの巣の上で
《ネタバレ》 中盤まではずっと、単純なやりとりを単調に流しているだけで、患者たちの個性もあまりあるように見えなくて、面白味に欠けると思っていたのです。しかし、びっくりしたのは、どんちゃん騒ぎの後に現場に赴いた際のルイーズ・フレッチャーの一連の演技。滅茶苦茶になっている(部外者までいる)現場を見て、これはさぞかし婦長激怒かと思いきや、彼女は、噛みしめるように、一言一言、3人の看護士に向かって冷静で的確な指示を出す。無表情の影で頭が超高速回転をしているのがよく分かる。しかし、そんな彼女も、唐突に発生した患者の自殺という事態には耐えきれず動揺し、「言ってはいけない」一言をつい発してしまい、自らの生命の危機を招く(このときの失神しかかっている表情も凄い)。その後のシーンで、少し穏やかで愛想もなくはない様子が描写されているが、あの首のコルセットは、これから彼女が背負い続ける十字架の象徴なんだろう。それと、パーティの最後の、数秒間続くニコルソンのアップは、何とも意味深。彼は、自分が脱走という大事の実行など実はできない人間であることを知っていたのではないだろうか。婦長に襲いかかった彼の行動には、自分に対する怒りも含まれていたのではないだろうか。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-17 02:08:42) |
1393. 潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ
《ネタバレ》 おじいさん2人の、含蓄のある、味わい深い、地味ながらも落ち着いたやりとりを期待していたのだが、リチャード・ハリスのキャラクターが暴走しすぎで、どうみてもほかの人たちを置き去りにしている。初期のサンドラ・ブロックの可憐なウェイトレスというのも、案外似合っているのではないかと思っていたが、それほど見せ場らしい見せ場はないまま消えてしまった。全体的に、もうちょっといろいろ工夫できたのではないかな。ハリスとシャーリー・マクレーンのラブシーン(!)にはちょっとどきっとしてしまったので、+1点。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-12-08 00:30:50) |
1394. 月の輝く夜に
ラブロマンスというよりもファミリー・ドラマですね。アメリカ作品らしからぬ、手作り感あふれるほのぼのとした作りが新鮮です。シェールとニコラスが終始ぼそぼそ喋りだったのが残念。こういう話だからこそ、演技も明るく楽しく行ってほしかった。 [DVD(字幕)] 6点(2007-11-29 03:41:42) |
1395. 或る夜の出来事
《ネタバレ》 70年前の作品とは思えないほどのスピーディーな台詞の応酬が印象的。私にとってのポイントは2つ。第1は、キスしそうになって止めたときの何ともいえない両者の表情、そして一瞬の切ない雰囲気。第2は、ヒッチハイクの後、朝食をおごる申し出をゲーブルが断ったときの両者の表情。男のつまらぬ意地と、女の「それに気づいてしまった」戸惑い(と、ちょっとした嬉しさ)がにじみ出ています。最後の方で、主役が父親になってしまったのが残念。 [DVD(字幕)] 6点(2007-11-22 03:20:08) |
1396. インナースペース
80'sコメディってこんな感じなんですよねー。笑いが暖かくて、ちょっとキザで、テンポは速くも遅くもなくて、うるさくなくて。安心して見られます。敵側とかカウボーイとかがもうちょっと笑わせてくれたら、もっとよかったのですが。 [DVD(字幕)] 6点(2007-11-19 22:19:53) |
1397. アメリカン・ヒストリーX
台詞のインパクトと飾り気なしの演出で、かなり得をしている感じ。ドラマとしては、展開先にありきという感じで、少し弱いと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2007-11-18 20:05:33) |
1398. ラスト・オブ・モヒカン
《ネタバレ》 走り方一つだけを見ても真剣に役作りを行ったことが分かるダニエル・デイ=ルイス先生のおかげで最後まで面白く見ることはできる。しかし、2人が恋に落ちる過程が不明(バックグラウンドがまるで違うのだから、もっと強烈な何かが必要なはず)、状況が変わりすぎで話のポイントがぶれすぎ(捕らえられて絞首刑目前という重大な危機の持っていき方が、あんな中途半端でいいの?)、マグアの過去が口でしか説明されていない(彼の英軍への敵愾心は、話の基盤をなす重要なファクターであるはず)など、作品としての詰めの甘さが目立ちまくっている。もっと壮大に発展できた内容だと思うのに、妙にこぢんまりとまとまってしまいました。 [DVD(字幕)] 6点(2007-11-11 00:53:09) |
1399. 息子(1991)
三國連太郎の演技は指先の動き一つまで充実。原田美枝子様はいつどこで見ても魅力的。ケーシー高峰、浅利香津代、奈良岡朋子など、ごく僅かな部分にも最適な役者を配したキャスティングもなかなか。問題は、各登場人物が吐く台詞がどれもこれも説明的で興醒めすること。これだけの俳優陣と演出力だったら、何も言わなくてもいろんなことが表現できたと思うけどな・・・。せっかくの作品世界の価値を削いだ脚本家の責任は大きい。あと、サブタイトルの画面登場も余計。 [映画館(邦画)] 6点(2007-11-03 21:11:12) |
1400. 花様年華
《ネタバレ》 ちっとも話が前に進まないのに苛々したり、肝心の男の妻と女の夫が全然画面に出てこないのに苛々したり、最後の急すぎる展開に唖然としたりなど、見ているときは文句が多かったのですが、終わった後に醸し出される切ない雰囲気はやはり捨てがたいので甘めの点数。心の中で振り返ったロマンスの回想などというのはああいうブツ切りのものなのかもしれません。ただし、マギー・チャンのチャイナドレス七変化は、不倫ドラマの大前提である「生活感」を削いでいるような気がして、やっぱり疑問。 [DVD(字幕)] 6点(2007-10-09 04:19:14) |