1401. 明日に別れの接吻を
《ネタバレ》 冒頭裁判シーンで被告席に居ない事でその末路が分かるジェームズ・キャグニーは残忍さに加えてしたたかで狡猾な小悪党を持ち味全開で魅せてくれます。溜めに溜めてから果てる妖怪みたいな表情は余人には出せない名人芸。(ムックリ起き上がってくるのではないかとハラハラしました) 手堅い演技の脇役の面々皆を霞ませてしまうキャグニーの「小さな巨人」ぶりを改めて思い知らされる一品。 [DVD(字幕)] 8点(2019-09-07 19:24:51) |
1402. 人生はシネマティック!
戦時下でのプロパガンダ映画製作と脚本担当カトリンの生き様が描かれています。私的に映画は脚本命なので、プロパガンダ作であるのを割り引いても、ご都合主義的にコロコロ変わってゆくのに萎えます。劇中劇と共に作品全体が「パンチに欠ける」もので物足りません。その中にあってビル・ナイの主役と見紛うばかりの存在感が光ります。喪失感に押し潰されそうなカトリンを諭すシーンでの超男前な姿はリプレイタイム。彼に点数の全てを捧げます。 [DVD(字幕)] 7点(2019-09-04 08:47:50) |
1403. 裏街
《ネタバレ》 テレサ・テンの唄の世界が浮かぶメロドラマ。腐れ縁を断ち切れずに日陰者として生きるレイのラストシーンでの「あの時乗船出来ていたなら」に、人生は「たられば」の連続なのだと思わされます。身勝手なウォルターの最期は天罰とも言えますが、あの姿に、シャルル・ボワイエ自身の睡眠薬自殺が重なってリプレイ出来ませんでした。 [DVD(字幕)] 9点(2019-09-02 15:57:22) |
1404. キスメット
《ネタバレ》 千夜一夜物語。テクニカラーの極彩色にワクワクさせられる。乞食役でも気品溢れる台詞回しのロナルド・コールマンにウットリ。ただ、ニセ大公での衣装のダサさに物言い。007ゴールドフィンガーの元ネタかと思わせるマレーネ・ディートリッヒの金ぴか100万㌦脚線美による踊りでのビジュアル命な姿に苦笑。冒頭で人物相関図が示された起承転結は分かり易く丸く収まった結末に大いに満足出来た良作。 [DVD(字幕)] 8点(2019-09-02 15:40:08) |
1405. ゴールデン・ボーイ(1939)
ウィリアム・ホールデン21歳時のデビュー作。製作者による降板危機をバーバラ・スタンウィックの口添えで回避されたというエピソードが納得の硬直した台詞回しに白けてしまった。バイオリンとボクシング、アドルフ・マンジューとホールデン。二人がそれぞれの狭間で揺れ動くストーリーは、脇役の父親、ギャング共々深みが全く無く盛り上がらなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2019-09-02 15:04:50) |
1406. エアポート2018
ロサンゼルス発ニューヨーク行きUS57便内で繰り広げられる幽霊による復讐劇。西川きよし師匠以上の大きな目玉を見開くだけの、幽霊及び霊に乗り移られた乗客に笑ってしまって怖さを感じないのがいけませんが、起承転結はしっかりしており、恨みを買っている人物の意外さに100へぇです。客室乗務員、機長、副操縦士、連邦航空保安局員、軍人のパニック時での言動に感心しきり。最後まで飽きる事無く楽しめた嬉しい誤算の一品。 [DVD(字幕)] 7点(2019-08-29 14:10:54) |
1407. Gメン
ギャング映画で悪の限りを尽くしてきたジェームス・キャグニーが本作ではGメンとしてギャングと闘っています。義理人情に厚く反骨心に溢れる「シャキッと」した持ち味全開のキャラクター。闘う相手がマッケイ親分なら名場面目白押しとなったのでしょうが、レゲットとコリンズの頭悪そうな輩ではいまいち盛り上がりません。ギャング映画が激しい暴力描写で世間から非難を浴びていた時代に再興の先駆けとなったという本作に+1点。 [DVD(字幕)] 8点(2019-08-24 18:46:39) |
1408. ハッピーエンド(2017)
「タラタラしてんじゃねーよ」と叫びたい映像。「愛・アムール」には魅入ったけれど、家族個々が抱える問題を並べ立てるだけの本作にはウンザリ。往年の水も滴るトランティニャンの加齢ぶりに残酷さを感じてしまう。 [DVD(字幕)] 2点(2019-08-22 13:44:15) |
1409. 陸軍中野学校 密命
《ネタバレ》 キャッツ・アイの正体をめぐる物語に惹き付けられたのですが、急展開の元となったのが偶然に小柳の車が前を走っていたというのが都合良過ぎて白けます。清楚な高田美和、欲求不満女の野際陽子共に好印象。雷蔵は野際陽子を色仕掛けで手玉にとる姿に惚れ惚れ。スパイが下劣かどうかは大局観によるのかなぁと考えさせられました。 [DVD(邦画)] 6点(2019-08-22 13:28:46) |
1410. 陸軍中野学校 竜三号指令
《ネタバレ》 シリーズ第三弾では、「神よ与えよ 万難を我に」という気概で任務に当たり命を落としてしまう悲哀、和平の目的が果たせない無情が示されておりました。友の死を悼む椎名次郎に、まだ人間味が残っていた事が感慨深い。展開及び使用される小道具に無理筋はなく惹き込まれましたが、明子とスタイナーの件だけ「そんなアホな」ドン引きです。雷蔵は安定感抜群なものの突き抜けた感がなくちょっと残念。 [DVD(邦画)] 7点(2019-08-21 00:51:46) |
1411. ファースト・キル
《ネタバレ》 ウィルが休暇を取り妻子と帰省した先で銀行強盗犯の仲間割れに巻き込まれる。警察署長ハウエルは悪徳警官と闘うのか、悪の親玉なのか、早い段階で分かってしまうのが残念。犯人リーバイと心通わせてゆく学校でのいじめられっ子ダニーの生気が甦る様子は印象深い。ブルース・ウィリス、独特の拳銃の構えは31年前と同じものだったが、悪になりきれておらずオーラも感じない、こんなキャラクターを演ずるほど老け込んでいない筈なのに、ちょっと淋しい。退屈せずにそこそこには楽しめた一品。 [DVD(字幕)] 6点(2019-08-20 09:27:48) |
1412. かりそめの幸福
《ネタバレ》 フィリップの犯行動機、自分を狙撃したフィリップを庇い愛してしまうクララの心情、共に分からずのめり込めません。しかし、ラストの映画館での対面は「沁みる~」ものでリプレイタイムとなりました。本作でのシャルル・ボワイエは「♪美しすぎて君が怖い、美しすぎて愛が怖い・・・♪」のメロディがずっと頭を駆け巡った、生身の人間とは思えない美しさでありました。 [DVD(字幕)] 7点(2019-08-19 08:58:12) |
1413. ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディー
ブロードウェイの父と呼ばれるジョージ・M・コーハンの一代記。 強い絆で結ばれた家族の有り方に感動すると共に羨ましさで身悶えします。 アメリカに対する愛を高らかに謳い上げる劇中劇は、戦意高揚の目的を十二分に果たしており、「中途半端な事はしません、とことんやりますよ」の心意気を感じるものでした。 語り口、立ち居振る舞い、歌、ダンス、それぞれが何時も以上にキレッキレのジェームズ・キャグニーは凄いの一言。 「思い通りにならない時に、拗ねるだけの人間になってはいけない、シャキッとせい! 頑張るのなら眉間に皺寄せるのではなく笑顔で頑張れ!」と励まされた今作の彼にお礼を申し上げると共に、オスカー受賞にお祝いを申し上げます。 [DVD(字幕)] 10点(2019-08-18 22:28:07)(良:1票) |
1414. 鮮血の情報
《ネタバレ》 CIA前身組織のノルマンディ上陸作戦前夜に於ける奮闘を描いたスパイ映画。背景が良く分かった冒頭のナレーションに好感。「陸軍中野学校」を思わせる前半を経てジェームズ・キャグニーがフランスに乗り込んでからの手に汗握る展開が素晴らしい。キャグニーのアクションシーンでの絞め技・巴投げにビックリ。「この人は柔道をたしなんでいるのだろうか」 スパイものに於ける非情な最期は余人には出せない彼ならではの姿でした。 [DVD(字幕)] 9点(2019-08-18 03:10:26) |
1415. 沙漠の花園
修道院育ちドミニと破戒僧ボリスの砂漠を舞台にしたロマンス。深みの無い脚本、味わいに欠けるシャルル・ボワイエ、淡白過ぎて鼻白むマレーネ・ディートリッヒ、それぞれ残念。しかしながら美しさに於いて絶頂と言える二人にウットリ。更にこの時代に存在したカラー作品の淡い色使いが砂漠のエキゾチックなムードを大いに醸し出していたのは特筆もの。無音にして獺祭を戴きながら眺めたら心地良く酔えると思われる一品。 [DVD(字幕)] 7点(2019-08-18 02:35:42) |
1416. 地獄愛
モデルとなる殺人鬼カップルが居たというのにビックリ。クズとクズの絡み合い、醜女の深情けにウンザリ。ラストに怒り心頭。どのツラ下げて娘に会うというのか! [DVD(字幕)] 4点(2019-08-14 02:10:11) |
1417. 陸軍中野学校 雲一号指令
清張作品を観ているかのような丹念な捜査模様ですが、そこに悲哀や不条理は無く、華も無ければ味わいも無い無味乾燥な一品。もうちょっと何とかならなかったのかと思う爆破シーンのショボさに呆れる。雷蔵の深みのある声での語り口は何時もながらウットリさせられ、今作での芸者遊びの客役でのはんなりとした姿(プライベートはこんな感じなのだろうか?)が絶品であり唯一の収穫。 [DVD(邦画)] 6点(2019-08-12 23:51:35) |
1418. 地獄への道
《ネタバレ》 タイロン・パワー、ナンシー・ケリー両名の線が細くロマンス部分が物足りない点を、ジョン・キャラダイン、ランドルフ・スコット、ブライアン・ドンレヴィ、ヘンリー・ハル、ドナルド・ミーク、そして初めて魅力を感じたヘンリー・フォンダという面々の味わい深い好演が補っており、見応えあるドラマになっています。義賊から只の賊になったジェシーの最期は天罰として仕方なしと受け止めます。なので、ラストの編集長演説は蛇足でした。印象深いのがスタントマンならぬスタントホースの存在で、崖からのダイブ並びにショーウインドーをぶち破るシーンに「生きてられるのか?」仰天。秀作ウエスタン。 [DVD(字幕)] 8点(2019-08-12 19:34:30) |
1419. 欲望の谷
《ネタバレ》 南北戦争復員兵のジャックが営む牧場地を巡る大牧場主ウィルキンソン一家との対決を描く西部劇。善玉グレン・フォードの騎乗姿、ガン捌きの身のこなしが超カッコいい。どちらかといえば穏やかな彼が三下マトロックに牧童を殺され堪忍袋の緒を切らしての凄まじい反撃っぷりに目を瞠る。欲望に塗れた悪玉ウィルキンソン一家を演ずる、エドワード・G・ロビンソン、バーバラ・スタンウィック、ブライアン・キースのフィルム・ノワールを思わせるキャスティング。善悪対決よりもこの三人の人間関係が味わい深い。焼打ちに遭い炎上する屋敷でのロビンソンとスタンウィックの対峙は本作リプレイタイム。「逝きなさい」「よくも裏切ったな、助けてくれ、死にたくない」を無言で表す二人の迫真の演技に見惚れるばかり。この後ビックリの展開だけどロビンソンはこのシーンにてお役御免の感あり。勧善懲悪の結末が心地良い。名カメラマンであるルドルフ・マテ監督らしい牛馬怒涛の大暴走シーンを始めとするカメラワークも冴えた異色且つ傑作西部劇。 [DVD(字幕)] 8点(2019-08-12 02:29:25) |
1420. ナポレオン(1927)
3時間42分版鑑賞。こんなに長尺でのサイレント作品とは知らなかった(泣) 兵学校時代からイタリア遠征までがじっくりと描かれているのですが、一つ一つのシーンが長過ぎて、絶え間無く流れるBGMに何度も意識が遠のきそうに。 自ら出演している(なかなかの美男子)監督のナポレオンへの思い入れを感じる、一体幾ら製作費を費やしたのか、何千人のエキストラを起用したのか、唖然とする超大作。 [DVD(字幕)] 5点(2019-08-10 20:02:02) |