1401. SPL/狼よ静かに死ね
《ネタバレ》 雰囲気はシリアスで重厚な感じなんですよねー。でも雰囲気だけな感じがします。内容は陰惨なわりに、薄っぺらくないかな。 そして序盤のストーリー展開が雑。証人夫妻の暗殺もそう。潜入操作の若い刑事の殉職もそう。こーゆーシリアス調でいくのであれば、もう少し丁寧に作ってほしいものです。 だから、チャンが『証人夫妻が殺されてしまったことに対する罪悪感』をどれくらい感じているのかが全然伝わってきません。証人夫妻の娘を養子に迎える描写くらい入れてくれれば、もっと感情移入できたかもしれません。これじゃあ可哀想な遺児を育てているだけの、ただのボランティアだよ。 潜入捜査の彼だって、無理矢理潜入させた挙句、『絶対守ってやる』とか言っといて、むざむざ殺されています。せめて、なぜ潜入捜査がばれちゃったのか、その経緯くらい見せてくれても良さそうなもの。 なんだか、全体通して、じっくり見せるところと、はしょるところの取捨選択が間違っているような気がします。 とまあ、素人ながら偉そうなことを述べさせてもらいましたが、確かにカンフーアクションは凄い。中盤以降、特に潜入捜査の彼が殺されちゃった辺りからは、ストーリー面白くなります。だから悪くはない。つまらなくもない。 ただ期待していたような映画ではなかったというだけです。 ラストもよく言えば余韻がある終わり方なんでしょうが、女の子可哀想すぎて、すっきりしないです。 [DVD(吹替)] 6点(2018-05-18 03:20:34) |
1402. ゾンビ処刑人
《ネタバレ》 タイトルが良くない。『ゾンビ処刑人』というのは、劇中の1エピソードにすぎない。これでは勘違いしてしまいます。 この作品の本質は、『もし死んだ後、ゾンビになってしまったら』というある人間の悲劇を描いたドラマだと思います。だから、原題の『The Revenant』を変えるべきではなかったと思います。 レヴェナントとは、『亡霊』とか、『帰ってきた人』とか、そういう意味です。主人公のバートは戦場で死んだはずなのに、なぜかアンデッドとして蘇ってしまう。親友ジョーイのもとへ行き、助けてもらう。でもそれがきっかけになり、結果ジョーイは死ぬこととなりバートと同じアンデッドに。さらに、女友達のマティはジョーイに成り行きで殺されてしまい、彼女のジャネットは自らの手で殺してしまう。ジョーイとは仲たがい。結果、ジョーイたちを恨んでいる別のアンデッドに逆恨みされて、ジョーイはバラバラにされてしまう。 せっかく現世に生き返ったのに、間接的にせよ、直接的にせよ、自分のせいで自分の大切なひとたちをみんな失ってしまうわけです。 生きる意味を失ったバート。死のうとするバート。でもアンデッドだから死ねない。どんなに頑張っても死ねない。で、ついに彼は自分がアンデッドとして生きることを受け入れてしまう。今までは『強盗』や『麻薬ディーラー』しか襲わなかったバート。『悪党を退治している。世の中のためになっている』という大義名分をかざし、なんとか『人間』でいようとしたバート。でもついに終盤、電車で何の罪もない人を、『自分の欲望のため』に殺してしまう。 だから、これはレヴェナントを題材とした人間ドラマなんです。それに、こーゆーテイストでいくのなら、コメディタッチは余計。コメディタッチでいくのなら、もっとダークヒーロー的爽快感でしめくくってほしかった。 でももっと言うなら、『ゾンビ処刑人』というタイトルから、『ゾンビになった正義の味方が暗黒パワーで復讐を成し遂げる』的展開を期待しちゃったのです。変な先入観を持たされてしまった。罪なタイトルです。 [DVD(字幕)] 6点(2018-05-17 03:43:59) |
1403. 県庁の星
《ネタバレ》 この作品は、どちらかと言えば、もちろん面白い作品です。 ただ、はっきり『ドラマ向きの作品』じゃないかな、とも思えます。尺が長いし。前半のテンポは決して良いとは言えません。これが、40分ドラマ3本という感じで見ると、メリハリが出たかもしんないです。 全体通しての山場は3箇所でしょうか。一つ目はスーパー再生のシークエンス。二つ目は県議会での野村のプロジェクト改善案演説。3つ目はスーパーの再検査。どれもそれなりの盛り上がりを見せます。 特に、スーパーでのシナリオは、ほとんどサクセスストーリーの体で描かれているため、かなり爽快です。スーパーのスタッフと、野村が次第にお互いを認め、協力していくのですから、そりゃあ見ていて清々しいです。 その一方、県のプロジェクト及び県議会の人たちとのやり取りは、苦々しいことこの上ない。唯一の味方かと思われた小倉知事でさえ、やはり中身は他の議員と変わらない政治家の本性を見せるわけです。いや、民間に対して理解がある風を装っている分、議長よりよほどタチが悪いと言えるかも知れません。社会派ならではの苦味を残すどんでん返し。すっきりしない結末。『リアル風味の大人ファンタジー』という目線で見ていたら、ラストは勧善懲悪を期待するところですから、この決着が好きじゃない人もいることでしょう。 救いなのは、野村がそれを承知しているのがわかる、ラストのセリフ。『そううまくはいかないだろうな。でもあきらめない。』という言葉と、『エスプレッソ1杯100円』の小さな改革に、小さな希望を残しているのがこの映画の良心。また、プライベートで、二宮との幸せを予感させる最後のやりとり。苦味を残しながらも、清涼感を感じる終わり方になっているのが良いですね。 [DVD(邦画)] 6点(2018-05-13 21:56:32)(良:2票) |
1404. セレニティー
《ネタバレ》 全くの予備知識ナシで鑑賞。もうスターウォーズのパクリかと思うくらいテイストがそっくり。それとも『スペースオペラ』というジャンルは似るものなんでしょうか。SWと違うのはカンフーの達人が出ることくらい。 リバーのよくわからない超能力は『フォース』みたいだし、同盟軍のリーダーはダースベーダー的立ち位置。マルコムはまんまハン・ソロだしね。 まあ、面白ければパクリでも何でも構わないのですが、最初の1時間がとにかくワケがわかりません。こーゆー世界観を0から構築するような映画は、もう少しわかりやすくしてほしいものです。 テレビドラマシリーズの完結版とは存じませんでしたが、だとしても、最初の30分くらいで『どんな世界で』『どんな人たちで』『どういうパワーバランス』なのかをわかるようにしたほうがいいです。 リーヴァーズだかリーバイスだか知らないけど、このアーマードゾンビみたいなクリーチャーは結構良かったですね。ホラーとSFは意外と相性が良いです。そんで、『ミランダの秘密』ってのが、まさに『イベント・ホライゾン』と同じ演出。でも好きな演出なのでOK。 なので、なんだかんだ言っても、序盤はともかく中盤以降、飽きはしませんでしたね。終盤はSFの高揚感と、サスペンスホラーの緊張感を立て続けに堪能できるので、特に良い。 ただ映画として最初から最後まで面白かったかと言えば、それはどうでしょう。マルコムの元カノらしき人は、その存在価値を疑うほど中途半端な役割だし、ウォッシュの死は後味の悪さを残します。ドクターは死んだかと思えば生きているし、ジェインは後半見せ場なし。 個性的なクルーをたくさん用意したのはいいが、それぞれの魅力を十分に引き出せていない感じがします。 リバーは『フィフスエレメント』を彷彿とさせるキャラ設定。もう終盤は『全世界への中継』なんてどーでも良くて、リバーがいつ無双モードになって、アーマードゾンビたちを蹴散らしてくれるのか、それだけを楽しみに見ていました。 結果、無双モード、ご馳走様でした。なかなか良かったです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-05-11 03:09:54) |
1405. ゲット スマート
《ネタバレ》 コメディもスパイもアクションも、どれもすっきりとまとまった作品。ただ、すっきりまとまりすぎて、それぞれのジャンルがパンチに欠ける内容になっちゃってます。 アクションとして見ると迫力に欠ける。スパイものとして見ると、コメディ要素がハラハラドキドキをジャマしてる。コメディは本筋のストーリーを崩さないように気を使っているのか、爆発力に欠けます。 つまりは、映画としてのバランスは凄く良いんですが、この映画には『ウリ』がない気がします。 その作風はそのまんま主人公にも反映されていて、『おとぼけ』と『格好良さ』が半々。それは結構好きなキャラなんですが、いまいちなシーンもちらほら。 例えば、飛行機からの脱出シーンでは、その直前に『テロリストに間違えられて拘束される』という失敗コメディをやってます。その直後の飛行機脱出で、『格好良さ』を演出してくれれば、そのギャップで爽快な気分にもなれたでしょう。ですが、ここで再び役立たずなところを見せちゃうので、笑えないどころかがっかりします。で、仕事ができんくせに、エージェント99に対しておしゃべりなのもあんま好きじゃない。 まあ、いいや、そういう足手まといキャラでいくわけね、と思ったら、多少体さばきが良かったり、分析官の能力を活かしたり、機転を利かせて監房から脱出したり、ちょっと実力があったりもする。名誉挽回的ストーリーは好きなので良いんですけど、見方を変えればキャラがどっちつかずと言えます。 どうせなら、おとぼけで失敗もするけれど、戦闘能力は1級品とか、スマート専用の秘密兵器がたくさんあるとか、思いっきりスーパーマン的要素を持たせちゃったほうが、アン・ハサウェイとくっつくラストにも説得力がでると思うんですよね。 そういった意味で、退屈はしませんでしたが、ふりきれていない作品でした。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-05-07 00:52:14)(良:2票) |
1406. 夜のピクニック
《ネタバレ》 長い。随分前に原作を読みましたが、これは原作を読んだことがなければ、退屈極まりないんじゃないかな。特に前半。 そもそもこの原作は登場人物、とりわけ貴子の心情描写がメインの作品。とても映画向きの題材とは思えないんですよね。これを映画=エンターテイメント作品にしようと思ったら、監督をはじめとしたスタッフの、『センス』『力量』『工夫』、あらゆるものがかなり高いレベルにないと面白くならないと思うのです。でないと、この作品の、特に前半のように、ただダラダラとしたイメージしか見えてこない結果になります。 それにこの内容で2時間は長いって。内容を見ても、必要な尺だったとは思えません。このストーリーであれば、どんなに長くても90分以内にはおさえて、その限られた時間の中で必要な回想シーンや、主要人物同士のコミュニケーションを上手く取り入れてほしいです。雰囲気作りに時間を無駄にかけすぎです。 とはゆっても、原作を読んでいると、味わい深い作品であることも確か。登場人物に思い入れがある分、映画の世界に入り込みやすいです。ですので、これは映画単体の評とは言えませんが、一見平坦に見える『夜のピクニック』にも盛り上がるポイントはいくつかあります。 『ラスト20kmの自由歩行スタートのシークエンス』 『回想シーンでの、貴子の母親の告白』 『杏奈の弟が終盤に落としていく爆弾発言』 などなどです。 ただこれらはすべて後半に集約されていますから、前半1時間はまじでだるいです。原作読んでいても、30分過ぎたあたりでもうだるいので、原作読んでいない人には苦痛でしょう。 ・・・せめて、もうちょっと早く歩いてくれないかな! [DVD(邦画)] 6点(2018-05-05 11:53:58)(良:1票) |
1407. 愛しのジェニファー
《ネタバレ》 いやー、すごいですね。なかなか気持ち悪いじゃないですか。 冒頭、ジェニファーとの出会いのシーンで、ラストまで読めてしまうという、まさに『あるある』ホラー。だけど最後まで目が離せない、わけのわからん迫力があります。この映画を一言で言うなら、『ジェニファーが強烈』。これに尽きます。 ジェニファーは動物ですね。好きになったオスは家族。それ以外は食料。もし人間が動物としての本能だけで生きたらこんなに恐ろしいことになっちゃうぜって感じでしょうか。 飼い猫を食べちゃうシーンから、ショッキング映像シリーズは過激さを増していきます。エイミーがピークかなと思いましたが、ラストにもう一押し。活け造りとは、いやはやまいった。『悪魔のいけにえ』ファミリーですぐレギュラーになれますね。『クライモリ』ではトップに立てるかも。 そして、怒涛のエンディング。わかっちゃいたけど、わかっていたからニヤリとしてしまうラスト。 大変良く出来ている、かどうかはわかりませんが、力作なのは間違いありません。 顔はともかく半分以上はジェニファー裸なんで、鑑賞はお一人様をオススメ。 で、面白いんだけど、あんま好きじゃないタイプのプロットなので、6点で。 [DVD(字幕)] 6点(2018-04-28 03:54:12) |
1408. 虫おんな
《ネタバレ》 まさに虫おんな。アンジェラ・ベティスは結構ホラーでは重宝されているようですね。確かにこの人が画面に出ていると、それだけで何か良くないことが起こりそーな予感がします。 さて、ホラーとしてはなんちゃないストーリー。でも面白い。 枕の中に得体のしれない虫がいる。それに気付かず頭を置いちゃうなんて、ちょっとぞっとします。目の付け所が絶妙。 ただ、クライマックスがいかにもなモンスターパニックになっちゃったのは拍子抜け。こーゆーのは、やっぱ正体出ちゃうまでの不穏な空気が楽しいですね。例えば、ミスティの耳がぐちゅぐちゅになっているのなんか、最高にぞくぞくしました。 で、ラストはもはやハッピーエンド的なバッドエンド。いくらでも続編が作れそうな終わり方。それに、これもひとつの幸せのカタチなのでしょうか。 同僚の男の人だけが可哀想でした。 [DVD(字幕)] 6点(2018-04-28 03:42:26) |
1409. イントゥ ザ ブルー
《ネタバレ》 サルベージを題材としたサスペンスアドベンチャー。海中の映像がきれいなので、水族館が好きな人は楽しいと思います。 サメなんかも結構泳いでいて、これがCGなのかどうかはわかりませんが、本物だとしたら俳優さん達の度胸が凄い。私はCGの見分けがへたくそなので、どんな作品でも実写を見ているかのように楽しめます。この作品も、本当にダイビングをしているかのように楽しみました。 さて、ストーリーですが、前半は海ん中でいろんなもん拾いまくって、飛行機見つけちゃったりして、アドベンチャー的ワクワク感が楽しい。で、飛行機の中でコカイン見つけたあたりから、次第に不穏な空気に。サスペンスよりになっていきます。 後半のストーリー展開は、個人的にはいまいち。特にアマンダとブライスが勝手にコカインひきあげて、密売組織のレイエスに売りつけようとしたあたりから、話がごちゃごちゃしてきます。このあたりは、脚本が練られていないのか、演出がよくないのか、いまいちわかりにくくて話がとびとびで、ストーリーに入り込めません。ベイツがレイエス殺しても、『何で?』って感じにしかならなくて、サプライズがサプライズになっていません。要は、サスペンス的面白さがいまいち機能していないように感じるのです。 また、ブライスがなかなかのクソヤローなのも、この作品では多分マイナス。アマンダも同様。ジャレッド、サム、ブライス、アマンダの4人が、なんだかんだ言いながら互いを思いやって、協力して、機転やアイデアで危機を乗り越えていくようなストーリーだったら、もっと好意的に見られたかも。 サメがからむシーンはホラー要素もあり、なかなかの迫力。一つ一つのシーンは結構良かったりするので、もう少し後半どうにかならなかったのかなーと、思っちゃいます。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-04-14 14:20:12)(良:2票) |
1410. 幻影師アイゼンハイム
《ネタバレ》 相思相愛の二人は、アイゼンハイムの一世一代のトリックにより、死を偽装し、自由を得、幸せに暮らしました。めでたしめでたし。 いやー、気分爽快なハッピーエンドですね。 でも念のため、もう一度振り返ってみましょう。 身分の違う二人。若いときに切り裂かれた二人の仲。そんな二人が15年後に再会。一人は立派な幻影師に。もう一人は皇太子の妃候補に。 そんな二人が立てた計画。『そうだ。ソフィは皇太子に殺されたことにしちゃおうぜ。そしたら自由じゃん。ついでにその罪を皇太子に着せちゃったら一石二鳥じゃない。』で、潔白の皇太子に眠り薬を仕込んだ挙句、本当に人殺しの罪をなすりつけ、自殺に追い込んじゃうっていう、トンデモ恋愛ドラマ。超怖いテロリストカップル。立派な国家反逆罪。ウール警部はラストで真相に気付いたみたいだけど、すんげー喜んじゃってます。いいのか、それで?テロリストの片棒かついで、無実の皇太子を自殺に追い込んじゃってますけど?結局のところは『嫌なヤローは皇太子であっても死ねばいい。』ってことなんでしょうか。 もしこの作品を、皇太子主人公で、全く同じストーリーで、音楽変えてやったら、かなり後味悪いサスペンスになりますね。視点を変えるだけで大分変わるようです。映画としては、まあ面白かったからいいですけど。 ただ不満点はあります。もっといろんな奇術を期待していたので、パターンが少なかったことがちょっと物足りない。特に後半はずっとワンパターン。死んだ人間を呼び出すっていうイリュージョンが延々と続くだけ。 それから、成年になってからのアイゼンハイムとソフィーが、若いときの二人の魅力に負けています。若き日の二人が超絶美形すぎるのか。でもそれだけではなくて、若き日の二人のほうがミステリアスな雰囲気が描けていてよかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2018-04-12 13:42:19) |
1411. アサルト13 要塞警察
《ネタバレ》 冒頭10分でいきなりひきこまれます。この緊張感。このスリル。これは何気に掘り出し物をみつけたのかも、と期待感が膨らみます。 でもピークだったのはここまで。中盤からラストにかけて、つまり本筋のストーリーは割と単純な立て篭もり系アクション。奇をてらう演出もなければ、心が高揚するようなアクションもありません。手堅くまとまった王道のサスペンスアクションとお約束の展開をただ楽しむだけ。 取り囲んでいるのが汚職警官達。そして警官である主人公が手を組むのが犯罪者たち。本来は敵同士であるはずなのに、一緒に手を組んでピンチを乗り切ろうとするのは好きなシチュエーション。こーゆー『呉越同舟』的なノリって好きです。 もうこのまま多少おバカ路線でも良いから、爽快な逆転劇を見せてくれれば良いんだけど、そーはならない。にぎやかし担当だと思っていた容疑者二人が、急にオバカキャラを捨てシリアス路線に、あげく早々に裏切って逃げ出したうえ殺されちゃうのが、ちょっと期待していたのと違います。犯罪者と警官が手を組むからこそ生まれるユーモアやカタルシス的なものがほとんど感じられなくて残念。 さらには、気の良さそーな引退じーちゃんが、がっつり裏切ったり、ヒロイン的立ち位置だった人が無残に撃ち殺されたりと、後味の悪い演出も多々あり。とは言え、それに見合うだけの本格的クライムアクション、ってほどでもないんですよね。だから、ストーリーは薄いのに、演出は重いっていうバランスの悪さを感じる作品でした。退屈はしないですけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-25 12:52:55)(良:1票) |
1412. トム・ヤム・クン!
《ネタバレ》 以前見たタイ映画と構成はあまり変わらないです。キャストも一緒?アクションは相変わらず凄いです。 ただ、シーンとシーンがぶつ切り。映画としてのつくりがめっちゃ粗い。ぶつ切りすぎてストーリーは頭に入ってこないし、ストーリーが頭に入らないと感情移入もしづらい。感情移入できないまま繰り広げられるアクションは、視覚的な面白さこそあれ、驚きや興奮は感じづらくなります。 中盤くらいから、いろんな敵が現れては消え、現れては消えを繰り返します。学生の頃ゲーセンではまっていた『ダブルドラゴン』や『ストリートファイター』を思い出します。テイストが凄く似ています。そう、この作品って、かなりゲームっぽいです。昔ゲーセンで、アクションゲームの上手い人のを皆で見ていたりしたけれど、そのときの感覚を思い出します。子供の象を助けに「トム・ヤム・クン」の店に乗り込んだときのシークエンスなんか、最高にゲームゲームしています。映画的な面白さとは違いますが、それはそれで面白い。 ですので、カンフー映画が好きな人には楽しめる作品。ゲーセン、ファミコン世代にもウケが良いと思います。が、映画好きな人には辛いんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-17 11:30:40) |
1413. グラン・トリノ
《ネタバレ》 良い映画というのはわかるのですが、ゆっくり淡々とした流れの前半が正直退屈。アクションやサスペンスを期待しているわけではありませんが、ドラマならではの面白みがもう少しほしい。 また、序盤は可愛げのない孫達や、そんな子供に育てた息子夫婦に若干いらいら。それに、後半への布石とは言え、若い神父に対するウォルトの態度がなかなかひどい。なんか不愉快な気持ちにばかりさせられます。 タオ一家との交流が始まってからは、しだいに温かい空気になっていきます。タオやスーとのふれあいによって、ウォルトの冷え切った心が少しずつほぐれていく様子は、ありふれているけど微笑ましい。 その一方で、偏屈で偏見のかたまりだったウォルトが、隣人と打ち解けていく『これ』といったエピソードが足りない気はします。おばあさんの荷物を拾ってあげるタオや、親しげに話しかけてくるスーだからこそ打ち解けられたのかもしれないが、やはり説得力に欠ける気がしました。 ラストの終わり方は意外でしたね。ドラマとしての深みが出ます。余韻も生まれます。それまでのストーリーとのバランスだってとれている気がします。ただですね、時代劇をいっぱい見て育った世代としては、「てめえら、いい加減にしやがれ。皆殺しじゃー。おらー。」ってな感じで、とにかくケタ違いの強さを見せ付けて悪党どもを粉々にして欲しかったのが正直な気持ち。周りからどんな批判を受けよーと、『目には目を』ってわかりやすいケリのつけ方が好きなんです。 つまりは、この作品は『娯楽』ではない、だから性に合わない、ということですね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-02-24 04:25:53) |
1414. ロード・オブ・ウォー
《ネタバレ》 真面目でおかたい社会派サスペンスドラマ。実話ベースらしく、淡々と物語は進んでいきます。 緊張感あるプロットと画作り。そしてニコラス・ケイジが主演。更にはブリジット・モイナハン、ジャレッド・レト、イアン・ホルム、イーサン・ホークと脇を固める役者の存在感もすごい。それぞれがエヴァ、ウィタリー、シメオン、バレンタインとして重要な役割を担っていて、物語に『厚み』『深み』があります。 旧ソ連の叔父さんとの闇取引。国際警察の執拗な追跡とガサ入れ。アフリカのとある独裁国家との駆け引き。そのどれもがある種のユーモアと潜在的な恐怖をないまぜにした独特の緊張感で描かれます。はっきり言って映画の完成度はかなり高いと言えるでしょう。 ただ、肝心なのは、私が『武器の密輸』になじみもなければ興味もないので、あまり物語りに入り込めなかったことです。もっと言うなら、『ちょっと今そんな気分じゃなかった。』ってゆーね・・・。それに後味が悪い映画ってのはどーにも好きになれませんでして。ホラー映画の後味の悪さってのは平気なんですが、こーゆードラマっぽいやつの後味の悪さってなんか残るんですよね。 [DVD(字幕)] 6点(2018-01-26 12:06:57) |
1415. アドレナリン(2006)
《ネタバレ》 「ずっと怒っていないと死んじゃう」という予備知識だけあって、以前から気になっていた作品。思いの外自分の中で期待値が上がっていたのか、見た感想は『なんか普通。』。怒っちゃいるんだけど、思っていたほどには怒っていない。むしろ相手のほうがすんげー怒っています。だから、せっかくの設定、アイデアがそれほどうまく機能していない気がします。 また、アドレナリンを出す方法は、『怒り』以外にもいくつかあるようで、それもちょっとルールがあいまい。ルールが曖昧すぎるせいで、いまいち映画の世界に入り込めません。それに、つなぎとつなぎが雑なので、雰囲気で無理矢理状況を理解しなければならないシーンもあります。ちょっと作りが粗い。 冒頭からノンストップでいきなり本題に入り、スピード感あふれるノリとアクションにも関わらず、後半のエレベーターのシーンではあくびが出ちゃう始末。やっぱりあくびが出ちゃうようじゃアクション映画としてどうなん、ってことになります。バカになりきれないバカ映画は凡作。凡作ながらも味があってちょいちょい面白くて、悪くはないんですけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2018-01-10 13:43:03)(良:1票) |
1416. ゾンビ自衛隊
《ネタバレ》 B級感満載の映像。安っぽい演出。緊張感の無い音楽。棒読みのセリフ。どれをとっても『ザ・B級』。キング・オブ・B級。いや、もうC級くらいかも。 ですがこの作品、おっと思わせるようなゴア描写や、迫真の演技があったりします。確かに、自衛隊の隊長の演技はそーとーひどい。けど主役を演じた渡瀬やメガネ君の演技はなかなか良かったと思います。 また、要所要所でジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』へのオマージュを感じるようなシーンもたくさん。ゾンビ作品への愛を感じます。 よってこの作品、安っぽいうえにハチャメチャながらも、いたって真剣に作られているので、妙に見応えのある作品になってます。 真っ二つにされる宇宙人。ぺらぺらしゃべる青年将校ゾンビとの一騎打ち。ラストのUFO大襲来に富士山の噴火と、確かに苦笑と失笑もたくさんある。だけどその一方で、クソB級と捨てきれない愛すべきB級ゾンビ映画に仕上がっているのは間違いありません。 最後に個人的な好みを言うと、『奥歯スイッチを入れてからの友里』はもう少し強くても良かったんじゃないかな。 [DVD(邦画)] 6点(2017-12-04 01:45:05)(良:1票) |
1417. サマータイムマシン・ブルース
《ネタバレ》 タイムマシンを使って一日前に戻るドタバタコメディ。 タイムトラベルもドタバタコメディもやや苦手。それでも手に取った理由は、ここでの評価が高かったからです。それに、好きな俳優さん達が出ているというのも理由のひとつ。 で、見た感想は、一言で言うと、飽きはしないけれど映画的な面白さが足りません。伏線を回収してすっきり、という感覚も弱い。 たった2日間の出来事。せめて、過去に戻ることの必然性がもう少し強調されていれば良かったかもしれません。どちらかというと、タイムマシンは舞台設定の一つにすぎず、散りばめてある小ネタを楽しむような作品みたいです。『ハリキリスタジアム』とか、『ヴィダルサスーン』とか。 つまらなくはないし、悪くはないのですが、観終わった後の満足感は低いです。 [DVD(邦画)] 6点(2017-11-30 14:35:13) |
1418. 告発のとき
《ネタバレ》 こーゆーマジメな作品にこんなことを言うのは間違っているのかもしれませんが、映画としてのパンチに欠けます。 『無許可離隊した息子』『そんなわけないと探し出す父』『死体で発見される息子』『非協力的な軍警察』『タイトル「告発のとき」』だからてっきり軍の不祥事を明るみに出そうとした息子が暗殺されて、それを麻薬組織の仕業に見せかけた、陰謀系サスペンスだと思い込んじゃったわけです。実際は全然違って、『戦争帰りの兵士達。心を病んだ結果の成り行き殺人』でありました。もちろんそれはそれで良いのですが、もったいぶったミステリーの結果としては、いささか物足りないです。。。ただ、少しずつ真相が明らかになる戦争ドラマとして見ると、見応えのある作品です。後味は決して良くありませんが。 『子供をはねたことに苦悩する青年』が『捕虜を面白半分で拷問する狂人』に変わってしまう。だからあだ名を『ドク』と名づけ揶揄する友人達もやはり狂人。『戦争帰りの夫に怯える妻の相談を適当にあしらった結果、殺されてしまう妻』のエピソードがスパイスとして効いている。『今回はたまたま自分が刺した。翌日だったら刺されていたのは自分のほうだったかもしれない。』『イラクは異常だった。でも今はイラクに戻りたい。』などなど、心が壊れてしまった戦友たちの言葉が痛々しい。息子だけでなく、心を病んでしまった兵士はこんなにもたくさんいるという現実。ですがその伝え方があまりにも淡々としすぎているため、心に響いてこないんです。 超シリアスなお話も良いんですが、多少の脚色、演出は必要だと思いました。 息子や若い兵士たちの心からの救難信号を息子たちに代わって上げる逆さの星条旗。これ以上ないラストですね。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-28 04:27:16)(良:1票) |
1419. 妖怪大戦争(2005)
《ネタバレ》 評価が低かったのであまり期待していなかったのですが、序盤から中盤にかけてはかなり面白いです。 子供向けながらもホラーテイストが感じられる雰囲気と音楽。特に神木君演じるタダシが大天狗の山に初めて行くときの緊張感はなかなか。更にはタダシが妖怪たちから驚かされるシークエンスは、子供っぽくもエンターテイメント性抜群で楽しい。モンスターや妖怪、CGによる演出が好きな私にとって、大好きな展開です。 で、『そんなに悪くないじゃん。面白いじゃん。』って見ていたのですが、後半~終盤にかけて、なるほどと思いましたね。最も盛り上がるべき最終決戦まで前半と同じか、それ以下のゆるいノリでは、そりゃあ盛り上がりませんな。 また、せっかく東京という大都市を舞台にしたのに、タダシや佐田以外の人間の存在が全く感じられないのも痛いです。 タダシのお姉さんや大天狗などがどうなったのかも全然出てきません。映画というか、物語としてのレベルが後半になっていくほど下がっていくわけですから、世間様から厳しい評価を受けるのも納得です。 『妖怪+マシーン』でターミネーターの出来損ないみたいなやつができるっていうアイデア、ビジュアル、まさに『日本漫画』っぽくて好きです。それだけに、妖怪たちとのバトルがほとんど描かれなかったのが残念。 クライマックスも、妖怪たちはお祭り騒ぎに終始するものですから、やたらシリアスモードのタダシ君たちのほうが茶番に見えてしまうのが悲しい。 極めつけはラスト。タダシ君が大人になってからのエピソードは蛇足の極み。いろんな意味で脱力するだけで、絶対要らないシーンです。 [DVD(邦画)] 6点(2017-11-19 15:25:48) |
1420. マイ・ボディガード(2004)
《ネタバレ》 え?実話?みたいな終わり方なんですが、実際はどうなんでしょう。実話だとしたら、釈然としないあの終わり方にも一応の納得はできるというものですが。 それにしても前半がだるい。クリーシーとピタの心の交流や絆を描くために必要だというのはわかります。とは言え、尺に頼りすぎ。限られた時間のなかを、作り手側の工夫や演出で、共感させてほしいものです。 中盤、ピタがさらわれてからが、かなり面白いです。次から次へと悪党を芋づる式に釣り上げていく様子は痛快。復讐の仕方も徹底していて良い。クリーシーの怒りが伝わってきます。ただし、ピタが生きていたとなると、多少話は変わってくるかもしれません。もちろん誘拐に加担した人々は、ピタが生きていたとしても、ピタを救い出すために殺されちゃうのは致し方ないのでなんとも思いません。ただ父親はどうでしょう。確かに悪いことに加担したかもしれませんが、その動機は『借金まみれの家庭を守るため』というもの。せっかくピタが生きて帰れても、父親が死んでいたんじゃピタがかわいそうですよ。 それに、クリーシーの過去にいったい何があったのか、さんざんもったいつけておいて結局教えてはくれないのですね。過去のエピソードを明かしてくれないと、どれだけクリーシーがピタによって魂の救済をされたのかが伝わっきません。それってこの映画のいっちばん大事な部分だと思うんですけどねぇ。 と、ゆーわけで、気になる部分がなきにしもあらず。更にはラストがしっくりこなかった。ということで、やや辛口評価です。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-08 01:41:52) |