1441. バタリアン4
《ネタバレ》 エンターテイメントとしても、ホラーとしても、ちょっとつめが甘い作品。 前半は時間をかけて丁寧に。悪く言えばダラダラ。そして後半、『いよいよ始まるのか?』って予兆を感じさせる間もなく、気付けばあふれ出るバタリアン。なんか丁寧に作るところを間違えている気が・・・。映画における時間配分に異議アリですね。 映像はさすがに今までのものとは雲泥の差で、とってもクオリティが良くなっていて嬉しい。その一方で、シナリオの練り方、演出の拙さが気になります。 バタリアン化&機械化される両親と再会。これはちょっと面白くなってきたぞと、誰もが期待を膨らますでしょう。そしてその期待は裏切られます。息子との心の絆で、他のバタリアンを蹴散らしでもしてくれたら面白かったと思うのですが、ただの敵。しかもそのやられっぷりといったら、モブバタリアンと大差なし。なんてもったいない。 それに、バタリアン化した友人と、両親のバタリアンがいつの間にか仲間になっている経緯も不明。叔父がなぜ両親のバタリアンを解放したのかも不明。生物兵器研究エリアで銃がたくさんあったのに手に入れないのも、『ホラーあるある』ではありますが、非合理的すぎてつっこまざるをえない。もうね、後半になるほど突っ込みどころが増えるのですよ。 前半に時間をかけず、その分後半のパニックや人物描写、感情表現を丁寧に描いていれば、B級ながら傑作になりえた作品です。 また、ストーリーが『巻き込まれがた』や『自然発生型』ではありませんから、どうしても自業自得感がつきまといます。 まあいろいろ文句ばかり並べてしまいましたが、ゾンビ映画としては、結構良いです。 見たいものをちゃんと見せてくれます。それはグロ描写だけではありません。 『パニック』『反撃』『脱出』。このサバイバル要素があるかどうか。これが凄く大事です。 そういった意味で、この作品、なかなか旨みがありますね。 [DVD(字幕)] 6点(2017-06-04 02:25:45) |
1442. マッハ!!!!!!!!
《ネタバレ》 カンフー、というかムエタイですが、かなり真面目なアクション。 スピード感あり。アイデアあり。迫力もまあまあ。ストーリーはいまいち。なにせ『盗まれた仏像の頭を取り返す』というだけのものです。 それに、ハムレイが序盤かなりイライラさせる。ムエは悪くないのですが、なんだかいてもいなくても良い感じ。姉が死んだときもハムレイが死んだときも同じリアクションで、死ぬのは姉だけでいいんじゃないでしょうか。 ハムレイが死に、ティンが出家して、で、ムエはどうなったかわからないラストはかなり中途半端です。 つまり、アクションは凄い、けど、シナリオの練りはいまひとつ、といったところです。これだったら、『正義』や『人情』で戦うジャッキー映画、ジェット・リー作品のほうが、カタルシスが得られて良い。『怒り』を私達が一緒に感じられるかどうか、これはアクションにおける重要なポイントだと思うのです。 また、『スローモーション』と『リプレイ』が好きじゃないです。個人的に。この作品も他のカンフー映画同様かなり多用されています。その結果、軽快なテンポを犠牲にしています。たとえ『凄いアクション』であっても、『映画作品』であるならば、ストーリーの一部として見せるべき。もっと言うなら、当たり前のようにそーゆーアクションを見せるのだから、人に感動を与えることができるのだと思います。 いつまでたっても『スローモーション』と『リプレイ』は作り手の自己満足と自意識過剰が目についちゃって、好きになれませんね。 『曲芸鬼ごっこ』『なんちゃって天下一武闘会』など、見所が多いのは確か。 とは言え欠点も多いため、良作と言えるかどうか微妙なラインの良作です。 [DVD(吹替)] 6点(2017-06-01 12:48:05)(良:1票) |
1443. バタリアン リターンズ
《ネタバレ》 『2』と同じ点数をつけましたが、好みで言えば『2』のほうが好きです。 一応『3』にあたるこの作品。タイトルを変えているだけあって、『1』『2』とはまるで方向性が違います。 『ゾンビ』にしろ『バタリアン』にしろ、私がこの系統の作品に求めるのは『サバイバル』『パニック』なので、この作品はいまいち好みと合致しません。かなり内輪の揉め事に終始していて、フィールドが狭い。パニック要素が弱い。不特定多数の人々を巻き込んでこそ、盛り上がるというもの。 ただ、その狭いフィールドの中で起きるトラブルは、結構なクオリティで魅せてくれます。 『最初の実験体の惨劇』『撃たれた店主の捕食及びバタリアン化』『リバーマンを食べてしまうヒロイン』など、どれも一見の価値はあると思います。グロさはまあまあ、ストーリーも悪くないので、スプラッタ系ムービーとしては十分楽しめるものに仕上がっていると思います。 私はメインのストーリーが『ラブストーリー』だと、どうしても気持ちが乗り切れません。 それに、彼女の死は自業自得も良いとこです。更には主人公である彼氏のあまりに身勝手な行動。たとえB級であっても、主人公にはある程度の常識人を置いてもらわないと、共感も同情もできません。 ある意味、彼氏のエゴを最悪の形で表現した究極のDV作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2017-05-27 10:35:12) |
1444. バタリアン2
《ネタバレ》 1作目ではまだ強かったホラー要素が、2作目ではかなり薄くなっています。 十分怖く出来そうなシーンやシチュエーションをお膳立てしておきながら、あえて怖くならないように茶化しちゃっている感じですね。完全に『笑い』に力を入れて、普通のホラーとは違う路線に行こうとしているのがよくわかります。これはこれで一つのエンタメ作品。 ジェシーに突き落とされるタールマンや、ジョーイとエドのセルフパロディを筆頭に、手を何度もふまれるバタリアンなど小ネタが満載。まるで吉本新喜劇のようなノリ。ここまでふざけちゃうと、この映画に対する好き嫌いは、1作目よりはっきり分かれそうです。 ちなみにトム・マシューズとジェームズ・カレンのコンビは、1作目もややうるさかったのですが、今作はそれに輪をかけて酷いです。また、この二人にひっぱられるかのように、周りの人達も負けじとうるさい。ぴーぴーぎゃーぎゃー無駄に騒ぎ、やたらもたもたしているので、映画全体のテンポ、スピード感が前作より悪い。 また、フィールドが前作より広くなっているのですが、広くなったがためにディテールはかなり雑に。町全体をフィールドにするのは好きなのですが、町のパニックを演出しないのであれば、フィールドを広くする意味はないと思います。 まあB級ホラーコメディなわけですから、これくらいの完成度であっても十分楽しめます。 ただシリーズものなので、前作と相対評価すると、やや物足りないとゆーことで、評価が落ちますね。 [DVD(字幕)] 6点(2017-05-19 14:55:34) |
1445. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
《ネタバレ》 ゆるゆるアドベンチャー。 ゆるい主人公。ゆるい海賊。ゆるい海軍。 ディズニーだから仕方がありませんね。 子供向けなのは間違いないと思います。そして盛り上がらない。決定打に欠けると言ってもよい。 決して面白い作品とは言えないです。 アドベンチャー要素も薄い。 せっかくの『海洋アドベンチャー』なのに、どちらかと言えば『てめー裏切りやがってむかつくんだよ。』的な、人と人との因縁が中心のストーリー構成。いや、それはまだ良いのですが、恋愛要素が間違いなくこの物語に水を差している。 『呪いをかけられた海賊たち』っていう発想は面白いのです。逆に言えば、そこ以外に面白みを感じない。 ただ映像はかなり美しく、CGは滑らか。視覚的に楽しめることは間違いない。 内容的に、安心してのんびり見られるという良さもある。 ですがそれは裏を返せば刺激が足りないということです。 『こーゆー映画ならではのカタルシス』ってものがあると思うのですが、この作品にいたっては、それもありません。 海洋アドベンチャーでしか得ることができない『達成感』のようなものが、この作品には無いのです。 アクションシーンだって、ただ賑やかなだけ。 特にメインのキャラたちが、なんかもたもたしているような印象まで受けます。 尺も長すぎ。メリハリがない。だらだらとした冒険活劇。 好きなジャンルなので、それなりには楽しめちゃいますが、映画好きな人には辛い作品かもしれないです。 余談ですが、こーゆー映画見ると、日本のマンガやアニメが、世界中で愛されている理由がなんとなくわかります。 空想の世界では、日本人は最強かもしれません。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-05-04 02:35:13)(良:2票) |
1446. 善き人のためのソナタ
《ネタバレ》 思ってたより、重い内容のドラマ。 共産主義が舞台装置になってはいますが、ストーリーそのものはかなり個人的でプライベートな内容な気がします。 いやむしろ、ヘムプフ大臣の振る舞い、そしてヴォルヴィッツの出世欲というのは、共産主義とは本来相反するものではないですか? 共産主義国のルール。その世界における自分達の地位と権力を利用して、私欲や出世欲を満たそうとする人たち。と、それに抗う人たちの戦いに見えます。 そうなってくると、『勧善懲悪』の『懲悪』部分が非常に控えめなこの作品、私としてはなんともすっきりしないものがあります。 自殺に追い込まれるイエルスカ。女性としての尊厳を奪われ、脅迫により恋人を裏切るよう仕向けられ、最後は命まで奪われてしまうクリスタ。その『死』のなんと悲しいことか。 クリスタに関しては、同情はできるし、理解もできますが、共感はできません。 どうしても、映画にはきれいごとを言いたい。最後までドライマンをかばってほしかった。こんな後味の悪すぎる結末になるなんて。そこもすっきりしない理由です。 ベルリンの壁は崩壊し、ドライマン、クリスタ、イエルスカ、ヴィースラーが払ってきた犠牲は何だったのかと、むなしくなります。 歴史の負の部分をモチーフにすれば、もちろん心にグッとくるものはあるわけで、決して映画として悪い作品ではありません。 ただ、私の好みではないというだけです。 また、他の皆さんが言及しているように、なぜヴィースラーがそこまでドライマンに肩入れするのか、その説得力に欠けている気もします。 この映画の核となる部分だけに、ここはもっとドラマチックなエピソードで説得力をもたせても良かったのではないでしょうか。 それはゆくゆく、私達観る側の人間の共感力となって、映画の完成度は最高潮に達すると思うんですけどね。 ラスト、書店でドライマンからのメッセージを受け取るヴィースラー。 ある種のハッピーエンドなのかもしれませんが、私は無性に悲しかった。 [DVD(字幕)] 6点(2017-05-03 04:13:39) |
1447. アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ
《ネタバレ》 アクションのレベルが下がったとは思わないのですが、アクションもストーリーも前作ほどのスピード感を感じませんでしたね。 アクションやパルクールに慣れてしまったのか。ストーリーの緊張感が足りないのか・・・。 レイトとダミアンのことを良く知っているので、なんとかなるっていう安心感があります。更には強い仲間が集まる集まる。 それに対する警察組織、軍、そのトップの情け無いこと。 序盤は極悪、強敵の雰囲気がびしばし伝わってきていたので、終盤のへたれっぷりは残念でしたね。 もちろん『圧勝』っていうのは、場合によっては気分爽快になれます。 とはいえ、敵の一番強そうなやつが急所蹴りの一発で瞬殺されちゃうってのは物足りないです。 前半はレイトもダミアンも、大統領ですらもある意味罠にはめられまくって、防戦一方。 後半は力の差がありすぎて緊張感に欠ける。 中盤の、レイトがダミアンを救出しに来るあたりが一番面白いかもしれないですね。 『これから逆襲するぞ!』っていうワクワク感は、いつ見ても楽しいものです。 [DVD(吹替)] 6点(2017-04-22 15:13:58) |
1448. チアガール VS テキサスコップ
《ネタバレ》 こーゆーサスペンスコメディ大好きです。 適度におかしくて適度にハラハラできる。この『適度に』ってのがポイントです。 度を越してはだめなんです。サスペンスとコメディが適度なバランスで混ざったとき、軽快なテンポのエンターテイメントが約束されるのであります。 ただこの作品は、コメディ色がかなり強く、サスペンスは味付け程度。 ちょっとバランスがコメディよりになりすぎました。 せめて途中で1回くらいピンチがあれば、シャープ(トミー・リー・ジョーンズ)に対してチアガールたちが心を開いていく説得力が生まれたと思います。黒幕が動きだすのが、ラスト15分。しかもそれまで慎重だったのに、ラストではあっさり正体ばらします。サスペンスの手抜き具合はいかがなものか。コメディとしてだけ見ればまあまあ面白いんですけどね。 さすがにチアガールと中年のカルチャーショック的笑いで1時間強をひっぱるってのは間延びしちゃいます。 せっかくの面白い設定が、活かしきれていないのでは。 [DVD(字幕)] 6点(2017-04-14 03:47:40) |
1449. チャイルド・プレイ/チャッキーの種
《ネタバレ》 個人的にはホラー・コメディの成功例と思っているチャイルド・プレイシリーズ。 今作も例にもれず、安定感のあるエンターテイメントとして仕上がっています。 二人の子供という新しい要素、家族ドラマを取り入れながらも、ファンが見たいチャッキーを見せてくれます。 ストーリーが粗くても、私はこの作品の芸の細かさが好きです。 例えば、呪文で目覚めた後は、人形なのに体の中が人間と同じになっていたり。こーゆーの好きです。 『人間に戻る』という目的がずーと変わっていないのも好き。 今作は犠牲者が多いため、一人あたりにかける時間はとても短いです。 そのためテンポは良いが、ホラーの緊張感はパワーダウン。 むしろ、今回の殺人はおまけみたいなものでしょう。 今回はチャッキーファミリーの教育方針をめぐる家族ドラマであり、親子ドラマ。このシュールさ、嫌いじゃないです。 ついにチャッキーが、『うるせー』ってぶちぎれちゃって、『やめだやめだ、人形のほうが気楽で良いぜ。』って言っちゃうシーン、大好きです。あんた、それを言っちゃあおしまいですよ。 それにしてもジェニファー・ティリーはぶさいくだなぁ・・・。 ジェニファーの女マネージャーと運転手、二人とも凄く良い人だったので、殺されちゃったのが少し残念かもです。 [DVD(字幕)] 6点(2017-04-13 14:50:11)(笑:1票) |
1450. リベリオン
《ネタバレ》 アクションは素晴らしいのですが、ストーリーと世界観は苦手なタイプ。 こーゆーSFって、よほど上手く作ってくれないと、世界が小さく見えてしまって、いまいちノリきれません。 上手いSFは、劇中で表現しきれない部分を、観る人が自然と想像力で補って、頭の中で世界を広げていく面白さがあります。 この作品では、残念ながら想像力が働きません。だから世界も広がらないのです。 そしてアイデア。『感情の抑制』という非常に曖昧な物差しをもってきましたね。 ストーリーの核となる、『妻』『同僚』『ヒロイン?』の処刑。その理由が『感情規制違反』という凄く曖昧なルールによるもので、ピンときません。本当は悲劇なのでしょうが、悲劇と感じさせるための演出ができているとは言いがたいです。 そして、薬をやめ、感情が戻る主人公。その主人公が取る行動。これが凄い。 『子犬』を助けるために仲間を皆殺しにする主人公。 『反乱軍?』を助けるために仲間を皆殺しにする主人公。 感情が戻ったのに、仲間を皆殺しにすることにまるで躊躇がありません。 『そもそも論』になっちゃいますが、『感情が戻ったから、現体制は敵』っていう極論は、この作品が投げかけているテーマに対して、あまりに浅はかな『答え』だと思います。 それに、プレストンがやっていることは、ファーザーがやっていることとなんら変わりません。『権力』が『暴力』にすり替わっただけのやはり『独裁』なのです。 『人類総ロボトミー手術』という破滅的なアイデアは良かったのですが、まさにアイデア先行の出たとこ勝負ストーリー。 ただこの作品、アクションだけは飛びぬけて素晴らしい。 あまりにアクションが爽快すぎるので、それだけでも面白かったです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-04-03 02:21:42)(良:1票) |
1451. 13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティ
《ネタバレ》 主人公のジェナは悪い人間ではありませんが、ミーハーすぎて好感が持てないです。 30歳になった自分がどういう人間か知り、変えようとする。根は真面目な人間ですから、理屈はわかります。 ですがその真面目な人間が、ルーシーという悪友の影響だけでここまで変わるものかという疑問は残ります。 人に濡れ衣をきせて簡単にクビにする。自社を裏切り、他社に情報を売る。友人の同僚を寝取る。もはや別人格です。 ストーリーについても苦言をひとつ。 本作のストーリーは、ある種サクセスストーリーのテイストだと思います。 幼馴染のマットと組んで、ポイズ誌の誌面刷新に取り組むジェナ。30歳の自分を知り、13歳の頃の良さに気付く。13歳でしか味わうことが出来ない人生、その思いが反映された誌面。会議で絶賛されるジェナのアイデア。これがサクセスストーリーでなくてなんでしょう。 ここでお約束とも言うべきルーシーの裏切り。ジェナのアイデアはライバル誌スパークルのもとへ。スパークルの広告に掲載されるジェナのアイデア。なんて悲しくて悔しい展開。いったい、ここからどんな巻き返し、逆転をはかるのか。 期待に胸をふくらませながら見ていたら、ここでまさかのタイムスリップ。 おいおい!それは反則なんじゃないか。 のび太くんだって、もう少しちゃんとけじめつけまっせ。 なにもかもを一からやり直せば、そりゃあ未来を知っているんだから上手くいくに決まっていますが、それは『タイムスリップの搾取』です。 [DVD(字幕)] 6点(2017-03-16 13:48:36)(良:1票) |
1452. スパイダー
《ネタバレ》 盛り上がりそうで盛り上がらない。読めなさそうで読めてしまう。 『誘拐犯から誘拐する』という犯人二重設定は面白いですね。 ですがそれが驚きにつながりません。せっかくのアイデアが活かしきれていないようです。 『意外すぎる人が犯人』ってのも、なぜかサプライズ感が薄い。 『囮捜査で仲間を失ってしまったエピソード』が、その後劇中で活きてくるような展開もない。 一つ一つのアイデア、プロットは凄く良いと思うんです。ただ、描写、演出、脚本があまりにも淡々としすぎたため、一つ一つのエピソードが点と点のままで終わってしまって、うまく線としてつながっていない気がするんですよね。 だから何かが起こっても、驚きよりも唐突な違和感のほうが勝ってしまうのかもしれません。特に後半は、そのイメージが強い。 もし点と点が繋がって線となり、線と線がつながって一つの画をきれいに描けていたら、真相が明からになるときのわくわく感や、爽快感を味わうことができたのでしょう。そうすれば、この作品に対するイメージも、また違ったものになるのでしょうか。 デヴァイン、ジェジー、ソンジ、それぞれの動機が劇中ほとんど語られないのも問題あります。 犯人達が何を思っての犯行なのかが、ほとんど感じ取れません。 劇中では犯人達は、ただ犯人を演じる駒にしか見えません。 演技が悪いとは思えないので、単純にシナリオと演出が弱いんだと思います。 批判的な意見ばかり書きましたが、雰囲気はあるし、テンポも良いのでつまらないわけではありません。ミカ・ブーレムもかわいいし。 期待しすぎると完全に肩透かしを喰らうので、注意が必要というだけですね。 [DVD(字幕)] 6点(2017-03-10 14:54:36) |
1453. トレーニング デイ
《ネタバレ》 悪そうな奴が最後まで本当にただの悪いやつっていうのはどうなんでしょう。 『デンゼル・ワシントン=正義』という俳優のイメージを利用して、逆に本物の悪党としたのでしょうか。 映画そのものは、長尺の割りに中身が薄く、後半は面白かったけれど前半が退屈で仕方なかった。 レイプされそうになった女の子を助けたエピソードが、大ピンチの場面で活きてくる展開なんかはありきたりですが悪くありません。 でもやっぱりね。善行が結局のところ身を助けるんですよ、ってな道徳的な話は面白いけれど、映画としてはイマイチです。 ロジャー(麻薬の売人兼情報屋)を殺して金品を強奪した件についても、アロンゾ以外のチームのメンバーは結局そのまま放置。なんともすっきりしませんね。 『善人と悪人と極悪人がいた場合、悪人は果たしてどちらの味方をするのか。』 という問いかけに対し、それはやはり善人で、極悪人は好き勝手やっても最後はロシア人から蜂の巣にされるということが、よくわかりました。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-03-03 04:27:07)(良:1票) |
1454. LOVERS
《ネタバレ》 はじめの1時間くらいが、ひたすら朝廷の追っ手との追いかけっこで、だるいです。 アクションは悪くないと思うのですが、演劇を見ているようで、映画を見ているという感じがあまりしません。つまり、ぱっとしない。 中盤以降が盛り上がります。 『実は・・・!』『実は・・・!!』のオンパレード。いったいいくつの真相があんねん、っていうくらい新事実が次々と発覚していきます。このストーリー展開が個人的にちょっと面白い。 それにしても、冒頭の切り出し方と、本編に多少の差がある気がするんですが、どうなんでしょ。 『唐の時代の朝廷。求心力が落ち、それに対する反抗勢力が各地で乱立。中でも一際勢力が強く民衆の支持も厚い【飛刀門】』 なんてスタートをするから、壮大な歴史スペクタクルを想像しちゃいました。 蓋を開けてみれば、3人の男女の愛憎劇に終始していて、全然世界が広がっていきません。 そこが期待はずれというか、拍子抜けした部分ですね。 『タイトルをちゃんと見なさい』と言われれば、何も反論できないんですけど・・・。 だとしても、こんな脚本でバッドエンドは嫌ですね。切ない気持ちより、不愉快な気持ちのほうが後に残るだけです。 『アンディ・ラウや飛刀門や朝廷軍が最後の殺し合いをして、お互いに次々と倒れていく中、主人公の二人だけ手をとりあって新天地を目指す』 それくらい明るいハッピーエンドにしてほしかった。 薄い脚本には、その薄さに相応しい軽いノリのハッピーエンドのほうが良いと思うんですけどね。 [DVD(吹替)] 6点(2017-01-10 13:29:10)(良:1票) |
1455. スター・ウォーズ/フォースの覚醒
《ネタバレ》 シリーズ最新作なだけあって、グラフィックの美しさは過去最高かもしれません。 その一方で、ストーリーは既存のものを流用したようなパターンばかり。残念ながら、そこに新しさや驚きといった新鮮な感情が生まれることはありません。 そして悪役。物足りない。華がない。 私は、リアルタイムで観てきたわけではありません。旧三部作より、アナキン三部作のほうが心に残っちゃっています。 そんなアナキン三部作が好きな自分にとって、さすがに今作のファースト・オーダーの面々は、何とも味気ないのです。 『ハン・ソロとレイア姫の息子、ルークにジェダイとして育てられるが、ダークサイドに堕ちる』 悲劇としては、十分すぎる素材だと思います。 にも関わらず、その深刻さや悲哀といったものが、全然伝わってこないのは痛い。 そして渦中の人物であるカイロ・レンのパンチのないこと。 『カイロ・レンを連れて来い。修行を終わらせるときがきた。』というスノークのセリフに、勇気付けられたファンも少なくないのではないでしょうか。 そういった意味では、やはり次回作を見なければレビュー自体が意味を成さないのかもしれませんが、やはりこれは映画。 この映画一本の面白さで評価を出すというのも大事なのでしょう。 そうすると、後半からラストにかけての既視感、尻すぼみ感が残念極まりないできだったので、面白かったとは言えず、正直にこの点数。 シンプルなSFは大好きなんですけどね。 それは単発だったらの話。 やはりシリーズものの最新作は、多少なりともスケールを大きくしてほしいな。 スケールはダウンし、映像は最新のものに向上。 その映像技術に相応しいストーリー、キャラクターに出会いたいものです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-01-02 02:39:57)(良:2票) |
1456. ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
《ネタバレ》 子供思いで真面目な生活を送っていた人間が、不真面目な生徒の逆恨みにあって人生崩壊していくドラマ。それが最初の印象。見ていて気持ちのいいものではありませんね。 ミステリー要素があるため、サスペンス的な側面もあり。 『死刑廃止論』というテーマをとりあげる『社会派ドラマ』の側面もあり。 ですがこれはタイトルにもあるように、『デビッド・ゲイル』という人間の生き方を綴った人生ドラマなのでしょう。 理不尽な仕打ちの連続に、一度も人生逆転することなく終わりそうだったのが、最後の最後で、命がけの逆転ホームランを打つ復讐劇に見えたのは私だけでしょうか。 デビッド・ゲイルが本当に取り戻したかったのは、『自分という人間の信頼』であり、『人としての尊厳』であったと思うのですが、いかがでしょう。この死刑が冤罪だと証明できれば、過去のレイプ疑惑だって冤罪であった可能性を主張できます。 どうせこのまま、濡れ衣を着せられたまま人生が終わるのであれば、最後自分を裏切り虐げていたすべての人々に、『お前達は全員間違っていたのだよ。俺が正しかったということを今更後悔しても遅いけどな。お前達は取り返しのつかないことをしたんだ。』と証明して死にたかったのではないでしょうか。 私には少しだけデビッドの気持ちがわからんでもないのです。 ただデビッドに感情移入させるために必要であった、デビッド主観の回想シーン。わかるのですが、結論に至るまでが、長い、長いよ。 中だるみしちゃったよ。 ラスト15分は、そりゃあ盛り上がりましたが、あのオチに対してもったいつけすぎではないですか。 映画としての完成度は高いと思います。 ですが、個人的な好み、そしてこのオチに対してこの尺か、という点は評価から差し引きました。 ケイト・ウィンスレットが謎解きをするパート、良かったのですが、若干『泣きの演技』が過剰だったかもしれません。 そこはもう少し冷静に事件を記者として追うほうが、デビッド・ゲイルの悲哀が逆に際立ったと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2016-12-31 14:14:54)(良:1票) |
1457. 座頭市(2003)
《ネタバレ》 途中までは面白かったのですが、中盤以降の盛り上がりに欠けます。 人間ドラマ中心で描きたいのか、剣戟アクション中心の展開でいきたいのか、はっきりしません。 姉弟のエピソードを掘り下げるのは、復讐のカタルシスを得るために必要。ですがそのエピソードに尺をとりすぎて、どうしても中だるみを感じてしまいます。また、尺を取っている割に、エピソードに深みがありません。人間ドラマを淡々と描いてしまう北野監督の良さが、今回はマイナスに働いている感じがします。 それは他のキャラクターにも言えることです。また、個性をはっきりさせた割に、その個性の『良さ』が劇中で活かしきれていない気がするのも、もったいない。 服部は最後まで結局ただの用心棒としての役割に終始。そこに葛藤があるのかもしれませんが、惜しくもそれは描かれません。病床の妻とのエピソードは、半ば放置。服部は切られ、病床の妻は唐突に自害。二人への共感が劇中でもっと感じられるようになっていれば、服部と座頭市の対決の味わいは格別なものになっていたかもしれません。 新吉は終始ただのにぎやかしで、何かの役に立つことはありません。おうめもただの良い人どまり。 この作品では、『人の心境の変化』『イメージとのギャップ』などがほとんど描かれていないのです。そこにあるのは、ただ決められたストーリーをなぞるだけの、出来レース。もちろんフィクションは総じて出来レース。ですがそれを感じさせないのが映画でしょう。 それでもこの作品がそれなりに面白く感じるのは、座頭市アクションの爽快感。これに尽きます。 特に『効果音』の使い方は、個人的に大好き。アニメチックなくらいオーバーで、この『効果音』が座頭市の『強さ』を演出する最大の立役者となっている気がします。 よってアクションは良い。人間ドラマは今いち。期待していた程の映画ではなかったのが正直な感想です。 [DVD(邦画)] 6点(2016-12-07 12:07:37)(良:1票) |
1458. ウォルター少年と、夏の休日
《ネタバレ》 思っていたよりコメディ色が強く、ストーリーが浅いです。人物の描き方も表面的。 一つ一つのエピソードはそれなりに面白いです。 『隠し財産』『ファンタジックな武勇伝』『謎のライオン』『若者達との乱闘』『セールスマン』 小さなエピソードの積み重ねが、なにか一つの本流を生み出しそうで、でも実際には何も起こらない。それぞれのエピソードは何かのメタファーに留まっているような印象です。 そもそも原題を知らなかったことが問題かもしれないです。『中古のライオン』という原題を先に知っていれば、本作をまた違った目で鑑賞していたかもしれません。『ウォルター少年と夏の休日』。わかりやすくとっつきやすいですね。でも間違った先入観を与えてしまうタイトルはどうかと思います。まるでウォルター少年の成長日記を予感させるようなタイトルですよね。ですが実際は『ハブとガースの物語』でしょう。ウォルター少年は二人を見るレンズ的な役割にすぎません。 ガースとハブのキャラクターは非常に良かったですね。 それに対して二人以外の登場人物は、『嫌な奴はこう』『馬鹿な奴はこう』と、型にはまった人物造形で、全く人間味を感じません。 そう、まるで小学校の国語の教科書を見せられているような感覚です。 悪い映画ではありませんが、面白くもないですよね。 [DVD(字幕)] 6点(2016-11-22 15:09:18) |
1459. シンドバッド/7つの海の伝説
《ネタバレ》 ビジュアルが美しい。アニメーションがなめらかできれい。スピード感があって面白い。声優さんも完璧。 特にお気に入りのシーンは、『ドラゴンの牙』のセイレーン。恐ろしさと美しさを併せ持つ名場面。さすがはディズニーですね。 ですがストーリーは一本調子。基本的には逃げの一手。途中で飽きます。 また、他のキャラクターのビジュアルは申し分ないのですが、カオスの女王エリス、シンドバッド、マリーナ、メインの3人のビジュアルが好みでありません。これは致命的。誰か一人でも好みに合っていたら、ストーリーの拙さをカバーできたのに。 子分たちも登場シーンはイカしていたのに、それ以降は完全にモブに成り下がります。 副官みたいな人、武器をいっぱい持っている人、やたら身軽な人。 魅力的なキャラクターも結構登場させておきながら、全然活躍しません。 日本の人気漫画『ワンピース』なんかに慣れ親しんでしまうと、物足りないのです。 バトル系やアドベンチャー系では、やはり日本の漫画はトップクラス。すべてのキャラクターに見せ場があり、イキイキと活躍するのです。 この作品も悪くはありませんが、日本の漫画には遠く及ばないですね。 [DVD(吹替)] 6点(2016-11-13 15:06:06) |
1460. 2LDK
《ネタバレ》 ささいな言い争いから始まり、それがエスカレートして最後には殺し合いにまで発展するストーリー。 個人的には好きなテイスト、すきなジャンルの作品。 ただ殺し合いにまでエスカレートしていく動機が不十分。 ラナが自分の名誉を希美(小池栄子)に破壊されて、ぶちぎれるのはわかる。 だけど、まだ新人の希美が先輩のラナに対してそこまで憎悪をむき出しにする理由が弱いんですよね。 ここでの説得力が弱いと、『実際こんなことがあるかも』と思うより、『そんな馬鹿な。ありえねーだろ』という気持ちのほうが勝ってしまいます。 一歩引いた目線で見てしまうと、途端に三文芝居に成り下がり、面白さが半減してしまいますね。何とも勿体無いストーリー。 それなりに二人のバトルが面白かったので、最後まで見ることができましたが、『世にも奇妙な物語』の域は出ていません。 二人の強烈なキャラの割りに、はっちゃけ具合も足りないですかね。 カビキラーをかけられたり、電気ショックを浴びたり、熱湯をかけられたりしても、外見に何の変化もありません。 悪趣味なのは勘弁ですが、ビジュアルに対して何の工夫もないのもどうかと思います。 青たんだけ作って、『さあどうだい?刺激的だろ?』みたいに主張されてもね・・・ コンセプトに対して、作り手に気合が足りないように感じられる作品でした。 まあまあ面白いですが、肩透かし。拍子抜け。まあ、そんなものか。 主演の二人は頑張っていたと思います。 [DVD(邦画)] 6点(2016-11-06 03:11:06) |