1521. グランド・ブダペスト・ホテル
《ネタバレ》 やたらと色合いは人工的でギトギトしていて、しかも各場面はちゃっちゃか先に進んでしまうし、豪華キャストの割に出番は一部の人に偏っているし、普通なら即見る気をなくしそうな作品。だけど不思議に心地よく見られるのは、主人公の女主人への追愛とロビーボーイへの友情という単純な出発点が、常にぶれることなく一貫しているからだろう。最後に、このホテルも今は廃墟同様になってしまいました、でしっかり着地するのも、後に余韻を残している。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-03-03 23:20:42) |
1522. チャイニーズ・オデッセイ
西遊記といえば日本にはあの説明不要の最高傑作があるわけで、まあそれと比較するわけにはいかないとしても、西遊記をグシャグシャにしたカオスコメディが楽しめるならそれはそれでいいと思って見始めたのですが・・・いや、これ、元を壊すとか何とかいう以前に、ほとんど西遊記と関係ないというか、その名残すらないというか、別に悟空や三蔵でなくてもいいというか・・・面白いと思うシーンがほとんどありませんでした。型があってこその型破りだということを実感しました。 [DVD(字幕)] 3点(2017-03-02 00:54:07) |
1523. ゼロの焦点(2009)
冒頭のナレーションだけで、全部を言葉にしないと気がすまない脚本の工夫のなさにがっかり(最初の一言と、列車出発前の一言だけで十分でしょ)。その後も、いちいち思考や心境をそのまま言葉にしてしまう脚本と、登場人物の背景の重さを感じさせない安っぽい撮影にがっかり。そりゃ、広末にも中谷にも演技からやる気が感じられなくても仕方ないです。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2017-02-27 00:51:15) |
1524. 白雪姫と鏡の女王
《ネタバレ》 導入部は自己満足的演出で「単に童話を崩したいだけ」に見えたのですが、中盤からは意外に引き締まっていました。印象的だったのは、久々に伸び伸び楽しそうな演技のジュリア・ロバーツ、素直に若い美しさを発散しているリリー・コリンズ、そしてタイミングよく発されるギャグアクション。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-02-23 00:22:18) |
1525. LIFE!(2013)
《ネタバレ》 前半の妄想が単に「妄想を描写しています」というだけであって、なぜその妄想なのか、それは何によって生み出され、後にどう影響しているのか、という観点からの構築がないので、意味がないのです。したがって後半も、前半とつながっていません。延々と制作者の自己満足を見せられただけの内容でした。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2017-02-21 23:28:50)(良:1票) |
1526. プリデスティネーション
《ネタバレ》 何というか、途中からはあっけにとられるほどの自己完結ぶりなんだけど、終わっていろいろ回想してみると、その循環構造こそが、ある種の出口のない恐怖を煽り立てるという、なかなかタチの悪い(褒め言葉)作品なのです。自分という存在がどこまでも拡がって、重なったり分裂したりするんだけど、それはどこまでも自分・・・というような妄想状態を具現化した1つの実例がこれ、と考えると、ちょっとぞくっとします。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-02-20 22:04:04)(良:1票) |
1527. 愛、アムール
《ネタバレ》 冒頭からの長回しの連発に顕著に象徴される、じわじわとしみ出てくる生活感、その丁寧さと堅実さ。だからこそその先の見えない描写が、登場人物と一体となったスリリングな不安をかき立てるのだが、中盤はちょっと弛緩気味だったかな。それでも、クライマックスから着地に至るまでの緊迫感は格別です。 [DVD(字幕)] 6点(2017-02-20 21:57:11) |
1528. 裏切りのサーカス
見ていてさっぱり中身が理解できなかったのは、もしかして何か自分に何か問題があるのだろうか?と悩みながら見ていたのですが、ここのコメント欄を見て安心しました・・・。人物関係はまだしも、多くのシーンは誰かが淡々と喋っているだけ、撮り方もほとんど同じ、という、何かの嫌がらせすら感じる作品です。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-02-17 22:52:01) |
1529. ジャズ大名
何がしたかった作品なのか、さっぱり分かりませんでした・・・。「ジャズ」と「大名」という異なる要素が、対立するでも融合するでもなく、ただ結合している(させられている)だけなので、無理矢理感だけが残ってしまうのです。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2017-02-16 01:03:01) |
1530. あん
《ネタバレ》 よくある食材交流ものだったらどうしようと思って見ていたのだが、とりあえずそうではなかったのでほっとした。また、これまでの河瀬監督の、油断するとすぐ自己満足的描写に突っ走る癖も抑えられていて、モノや素材を通じて人を動かそうという姿勢、また変わり目や切れ目を効果的に切り取る姿勢というものも感じられた(樹木希林が退店の際に一礼するワンシーンや、店舗の建て替えのワンショットですべてを説明する手際に顕著)。あと、すぐに対象に近づきたがるカメラは、もう少し手元でコントロールした方がよいと思います。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-02-13 00:54:20) |
1531. メン・イン・ブラック3
あれ、このシリーズって、こんなにつまんなかったっけ?そもそも、このコンビとタイムトラベル&タイムパラドックスって、全然合ってないように思うんですが。肝心の入口の障壁(相棒消失の謎を解く+過去に移動+過去の相手と状況の意思疎通)もあっという間にクリアしてるし、ちょっと飛行機で外国に飛んで消えた相棒を発見する、というくらいにしか感じられませんでした。作中の登場人物同様、グリフィンの存在に大分助けられています。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2017-02-11 22:41:54) |
1532. タイガー 伝説のスパイ
《ネタバレ》 インドとパキスタンのスパイ同士の恋愛という設定はいかにもなんですが、ノリは完全にハリウッドで、インド色はほとんどありません。しかも、何か無意味に世界各地を転々としています。普通のアクション・ロマンスとしてはまあまあ楽しめる内容ですが、それ以上には特に何もないかなあ。ラストの各地のショットをさりげなく重ねる演出はお洒落でした。 [DVD(字幕)] 5点(2017-02-10 00:41:11) |
1533. ビバリーヒルズ・コップ3
《ネタバレ》 一番の弱点は、善側も悪側も両方とも「頭を使ってない」んですよ。すべてが行き当たりばったり、ここぞというところでは、登場人物によってではなく、脚本家によって助けられている。かといってコメディに徹しようとしても、最初にボスの殉死という重たいスタートから入っちゃってるから、それもできない。だから、すべてが中途半端で面白くないんです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-02-07 00:35:50) |
1534. ビバリーヒルズ・コップ2
前作で人物設定は終わって、いよいよ今作では加速全開!かと思ったのですが、思ったほど突き抜け感はありませんでした。何でかと考えたのですが、エディのキャラクター特徴の向け方が、基本的に身内の方に向かっていて、敵とはあまり(銃撃戦以外)直接対決をしてないのですよね。そこが物足りなさを感じさせるのだと思います。●ペブルスの"Love/Hate"がストリップバーのBGMだったのは、何とも微妙な気分・・・。あと、ジェッツの"Cross My Broken Heart"がどこで出てくるのか密かに待っていたのですが、かかってないですよね? [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-02-06 01:02:04) |
1535. ビバリーヒルズ・コップ
もっと明るく楽しく脳天気な作風を勝手に想像していたのですが、意外に真面目な内容でした。エディ・マーフィのマシンガン・トークも、この頃はまだ試行錯誤感がにじみ出ていますね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-02-06 00:55:56) |
1536. ニール・ヤング/ハート・オブ・ゴールド ~孤独の旅路~
《ネタバレ》 ジョナサン・デミは、「ストップ・メイキング・センス」でも、映すのはひたすらステージ上、観客席は一切映さない、という手法でやってたけど、今回もそれは共通です。もっとも、ステージ上そのものにいろいろ演出があったヘッズと異なり、こちらは割と淡々と、しかも場所にちなんでかカントリー系の曲中心に進行するので、地味な印象は拭えないですね。ただそんな中でも、カメラはぶれずにきちんと一つ一つの対象を捉えていますし、ニールのヴォーカルの説得力は健在です。●しかししかし、そんなことよりも、私にとって最大の衝撃は、女性バックヴォーカルの1人のダイアナ・デウィットって、90年代に2枚のアルバムを残したAORポップ・デュオ、Venus & Marsのヴォーカルのあの人じゃないですか!!!!!まさかこんなところで動く彼女にお目にかかれるとは!!導入部のクレジットでそれに気づいて以降、実はステージでもずっと彼女ばかり目で追いかけていました。すみません;; [DVD(字幕)] 7点(2017-02-04 10:44:28) |
1537. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 ウディ・アレンの作品って、登場人物がことごとく騒々しく喋りすぎなのに毎回辟易していたのですが、今回は、主人公の文化芸術オタクぶりが脚本世界にほどよくはまっていて、意外に不快ではありませんでした(台詞の分量自体、以前に比べると抑えられていますね)。内容的になるほどと思ったのは、1つは、タイムスリップものの定番ともいうべき「未来から来た?何それ?頭おかしい?」的なリアクションの部分が一切ないこと。それどころか、展開上それを伝えた何人かの人も、「ふーん、なるほど」という程度で済ませている。つまり、向こう側の人も、実は文化芸術のことしか頭になくって、相手が未来の人間かどうかなどということは、まったく関心外なのだ。もう1つは、途中から主人公は分かりやすく婚約者をどうでもいい存在にしていること。本質が見えてきたら、あとはシンプルに行動で示す。この潔さが、作品に品位を確保している。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-31 01:46:30)(良:1票) |
1538. へザース べロニカの熱い日
やりたいことが何なのかもはっきりせずグズグズのままで終わっているのだが、かといってカルト作として語り継がれるには、発想の斬新さやここぞというところでの突き抜け感がなく、変にこぢんまりとまとまってしっているという、何とも中途半端な作品。 [DVD(字幕)] 3点(2017-01-30 01:22:14) |
1539. くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ
《ネタバレ》 フランスのアニメってあまり見る機会がないのですが、素直に良い内容でした。絵のタッチが、フワフワした幻想的な水彩画のような感じで、それが当たり前に動くのが実に新鮮なのです。こんなアニメは初めて見ました。特に、セレスティーヌの顔つきがわざとらしく作り込んでおらず、ちょっとした仕草や表情の動きできちんと表現がされているのが、逆に可愛さを煽っています。内容は、熊のおじさんとネズミの少女の友情譚、という一点なのですが、クライマックスでは、あの「M」を彷彿とさせるような(!)人民裁判のシーンが、しかもクロスカッティングで盛り上げながら展開されるなど、単なる素朴な童話ではありません。そういえば、終わり近くのセレスティーヌの台詞に、「最初は私を食べようとしたでしょ」というどきっとする一言もあったりして、まあ熊とネズミなんだから文字通りの意味でも誤りではないんだけど(実際、ネズミは熊の捕食対象という設定)、実は最初のあのシーンは、1つの隠喩だったのか?なんてことも考えたりして。なかなか奥の深い作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-29 22:30:21) |
1540. ブレックファスト・クラブ
《ネタバレ》 何と、最初から最後まで図書館の中で5人組がああだこうだとうじうじ話しているだけという、意表を突く作品。しかし、撮り方も演技もあっけらかんとしているというか、ドライでからっとしているので、彼らにそもそも悩みがあるようには少しも見えない。まあ、作為的な破綻や衝突をわざとらしく入れるよりはマシですが・・・。ただしこの作品には重要な意義があって、それは、シンプル・マインズの"Don't You (Forget About Me)"をテーマソングとして世に送り出したことである。この1曲で、それまでマニア向けだったマインズを一気にメインストリームに押し上げたほどの、80'sロックシーンの重要な一幕だったのだ。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-01-26 00:32:58) |