1521. 私の中のもうひとりの私
いやいや・・・。己の人生とは?自分とは何者なのか?周りの友人に自分はどう映っているのか?考えさせられる映画でした。隣人の医師のカウンセリングを受ける患者の女性の告白が漏れ聞こえてくる。その最後の告白。あんな形で「私の中のもう一人の私」を語られると厳しいですね。しかし、マリオンの前に次々と現れる登場人物との関係を通してラストの穏やかな心境にたどり着く過程が無駄なく描かれていて、面白おかしい映画ではないですがこれもウディ・アレンらしい映画でした。本作は50歳という人生の後半戦に入った女性を描いた映画でしたが、素直に「私の中のもうひとりの私」を受け入れ己の人生や自分自身を見つめなおすのに年齢など関係ないということなのでしょう。でも、これがとても難しいことなんですけどね・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2010-10-20 21:08:37) |
1522. カンバセーション・・・盗聴・・・
《ネタバレ》 盗聴のプロフェッショナルが興味を持ってはならないはずの盗聴の内容に首を突っ込んでしまう。その結果他人のプライバシーを商売道具にしていたはずが自身のプライバシーが覗かれているのではないか?と精神的に追い詰められていく。面白味を感じる話ではなく鑑賞後の後味も良くないので好きな映画ではないですが、積み重ねられていくじわりじわりと追い詰められていく過程の描写も、演技、その風貌も見事にハマッていたジーン・ハックマンも非常に見応えがありました。本作が公開された頃のアメリカはウォーターゲート事件で揺れていた頃ですね。当時のアメリカでは物議を醸したのではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2010-10-18 00:02:44) |
1523. チャーリング・クロス街84番地
20年以上に渡るNYの作家の女とロンドンの古本屋の男との心温まる文通の軌跡。手紙のやり取りと、NYとロンドン、2人のそれぞれの日常と人間模様が淡々と綴られる100分に満たない小品。手紙のやり取りに急展開があるわけでもなく、会いたい思いが募り飛行機に飛び乗る劇的な展開があるわけでもなく実にゆったりと淡々としている。最初はただの書籍の注文と納品のやり取りから始まり、気が付けば文通相手になっていた。遠く離れているけれど互いを思いやり合う手紙の内容と二人の関係に心が温まる。友情のような愛情のような。そんな二人を演じる主演二人の繊細な演技が見事です。ドラマチックな出会いもうっとりするようなキスシーンも無いけれど素敵なロマンスでした。大戦終了から60年代末までの各時代背景や英米の文化の違いが垣間見える手紙の文面とそれぞれの日常の描き方、そこに挿入されるユーモアも素晴らしい日本未公開作品。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-16 11:47:19) |
1524. 大阪ハムレット
《ネタバレ》 公開時見に行こうか迷ったけど結局見に行かなかった作品。こんなにいい映画だったんですね。なんてことの無いシーンに何故か涙が出てくる。本作の原作も、「ハムレット」自体も読んだことは無いし、「ハムレット」の映画も実は見たことは無いけれど、「生きるべきか死ぬべきか」だったかな、ハムレットの有名な一節だけは知っている。この一節だけでは何も分からないですが、難しい事を考えたくない映画です。ただ、「頑張って生きていくんやで!」と素直にこの家族に感情移入できる映画でした。明るくて大らかなお母ちゃんを演じた松坂慶子、見るからに人の良さそうなおっちゃんを演じた岸部一徳の二人の演技が素晴らしく、それぞれに悩みを抱え、映画の中でそれぞれの存在感がしっかりと出ている3人の個性的な息子達も良かったです。この家族の関係がハッキリと描かれていない部分も多いのですが、互いに支え合って生きている姿にいい家族だな、と素直に思える映画でした。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-10-16 11:38:56)(良:1票) |
1525. 男はつらいよ 寅次郎物語
前作「知床慕情」に続いてシリーズ後期の僕のお気に入りの作品です。ドタバタ劇もほとんど無くかなり淡々とした異色作。 マドンナは秋吉久美子演じる”母さん”。旅先で寅さんと出会った次の日にはもう別れてしまう。恋と呼べる関係に発展する事も無く、寅さんが首を突っ込む若い二人の恋も無い。しかし旅の中のごく短い間でしたがこの二人の関係はいい味がありました。 笑いドコロも少なく、寅さんが旅先から電話をかけてきた時の”父さん”、”母さん”の所は面白かったけど、これが初期の作品ならとらやはもっと大騒ぎになっていただろう。 さくらとの別れ際台詞「働くってのはな、博みたいに一生懸命真っ黒になって家族のために働く人のことを言うんだ。俺たちなんて働いてる内に入らねえ」そしてラストも幸せそうなお筆さんと秀吉の姿を見つけてそっと身を隠す。若い頃の寅さんなら「よう!みんな元気そうじゃねえか」ということになっていたかもしれない。こんな寅さんの言動がいいなあ、と思う半面寂しくもある。 ずっと昔初期の作品「純情篇」でヤブ医者を演じた老いた松村達雄さん(2代目おいちゃん)の人情味ある田舎の医者に、前作に続き人のいい船長を演じたすまけい、旅館の主人の笹野高史といった脇役のおじさんが皆いい味を出しています。また、シリーズはこの後間もなく満男の成長と共に満男とおじさんの関係がメインになっていくのですが、満男が進路や人生の事で悩み始め、少しずつ満男とおじさんとの関係も描かれ始める作品です。 [DVD(邦画)] 8点(2010-10-13 22:29:41)(良:2票) |
1526. 男はつらいよ フーテンの寅
《ネタバレ》 第1作から順番に見て初めてこの第3作を見る場合にはそれ程違和感は無いかもしれませんが、全作品を見た後に見直すと冒頭から色々と違和感を覚える作品。 皆さんが既に触れられている通り、寅さんが帰郷した最初のとらやの食卓にさくらがいない。(ただし、理想の女性像について「俺なんか贅沢は言えねえよ」と言いながら贅沢にも程があるほどの理想を語る寅さん節とそれを聞くおいちゃん、おばちゃん、博の表情が最高ですよ!)そして以降もさくらの登場場面が極端に少ない作品。 いつも寅さんを叱るのはさくらの役割なのですが、今回は博がその役に回っています。やっぱり寅さんが帰ってくるとらやには全員揃ってないと寂しいですね。 その後とらやのシーンはラストの大晦日の夜まで無く、マドンナのとらや訪問も無し。そのラストのとらやのシーンで”嫁と娘”に向かってTVを通じて語りかける寅さんと、それを見つめるとらやの面々の表情が悲しい。序盤は寅さんのお見合いが絡む話だっただけに余計に悲しさを感じさせます。 寅さんのキャラクターもかなり威勢のいい一面が強調されており、色々な面でシリーズ中、独特の雰囲気と特徴がある作品です。ちなみにこの第3作と次の第4作は監督が山田洋次さんではない作品です。 [ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-11 21:12:04)(良:1票) |
1527. パピヨン(1973)
脱獄モノといえば、「大脱走」や「アルカトラズ」などのように看守の目をいかに欺き脱獄を成功させるか、という所に映画としての面白さがあるのだと思う。しかし、本作は脱獄の過程に関しては意外なほど時間がかけられていない。 その代わりに、夢に出てきた「人生を無駄に生きてきた罪」と「自由」に対するパピヨンの強い意志が一貫して描かれ続ける。全編にみなぎるパピヨンの衰える事のない強い意志と演じるマックイーンが凄い。さらにダスティン・ホフマンという俳優の凄さも改めて感じさせられました。 ラストは絶海の孤島で平穏だが無駄に生きていく決心をしたかのようなドガの姿とは対照的にパピヨンは荒海の中へ飛び出していく。パピヨンの自由への思いと無駄には生きないという意志が最後まで伝わってくると共に波の彼方に遠ざかるパピヨンを見送るドガの表情が印象に残る。 後半に分かり辛かった所(島民と過ごす時間とその後の展開)もありましたが長尺にも関わらず最後まで惹きつけられました。久々に骨太で力強い映画を観ました。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-10 16:25:13)(良:3票) |
1528. 世にも怪奇な物語
3話それぞれに独特の世界観があり、オムニバスが苦手な自分にも楽しめた作品でした。第1話は最も存在感の薄い作品ですが映像の美しさ、ジェーン・フォンダの美しさ、特に黒い馬に跨った白い衣装の彼女のラストの姿が印象的。第2話。冒頭、必死で走る男と塔から落ちる男の関係は?懺悔する男が少年時代から今までを回想する形で短い尺の中に無理なく過去と懺悔する今を見せる構成が上手くできた作品でした。トリを飾るのはフェリーニ。やはりフェリーニは凄い。そして怖い。さすがは映像の魔術師と思わせるフェリーニらしい世界観がよく出た傑作。テレンス・スタンプも3話の中で突出して印象に残る見事な存在感がありました。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-10 16:13:04) |
1529. マイ・ライフ、マイ・ファミリー
両親とも兄弟とも遠方に離れて暮らす自分にとってはとても考えさせられる映画でした。この映画の父と息子、娘もそれぞれが離れ離れに暮らす。抑揚の無い映画で感動を誘う筋書きも演出も無い。しかし、決して満足のいく毎日ではなく、それぞれの人生に対し不器用で、それぞれの人生に事情を抱えた兄妹を演じたホフマンとローラ・リニーの2人が素晴らしく、それだけでも見て良かったと思える作品でした。描かれる内容は綺麗ごとばかりではなく家族の難しさも感じさせられますが、そんな中にも随所に優しさが感じられる静かな味わいのある映画でした。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-08 21:07:40) |
1530. 月世界旅行
《ネタバレ》 映画を観た、と言うより映画の歴史を勉強させてもらったという感じです。宇宙船を大砲に発射させる、その宇宙船が月に突き刺さって無事月面到着!?(これがかの有名なシーンなんですね)、地球と同じ服装で月面に出てきてそのまま仮眠、巨大キノコの密林に突如現れた月人、連れて行かれた月人の宮殿、そして脱出・・・とムチャクチャですが面白そうでしょ?SF、ファンタジー、アドベンチャー、コメディ・・・わずか10分程度の時間の中に様々な映画の要素が詰まった娯楽映画の原点。 [インターネット(字幕)] 7点(2010-10-04 21:16:11) |
1531. スラップ・ショット
《ネタバレ》 田舎町のアイスホッケーチーム。ガラガラの客席に薄汚れたホームの競技場。チームは最下位に沈没、選手が出てくると声援どころかヤジが飛ぶ。町の誇りとは程遠いチームの現状。選手はおかしな田舎者ばかり。そこに追い撃ちをかけるような不況とチームの身売り話。そうか・・・。そこからポール・ニューマンを中心に不況もなんのその、チームが一致団結して強くなっていく話なんだな。これはかなり僕の好きなシチュエーション、と期待が高まる冒頭。少々無理があってもまともに強くなっていく過程が描かれるのを楽しみにして観ていたのですが、期待せずに見たB級スポーツコメディと違って名匠ジョージ・ロイ・ヒルと名優ポール・ニューマンの名コンビの映画だけにその過程が度を越した乱闘の嵐で、最後は優勝できてよかったですが予測不能の決勝戦の結末も残念でした。ですが、それでもやっぱりポール・ニューマンは良かった。引退の2文字がチラつき、身売り寸前のヘボチームで奮闘する選手兼コーチという哀愁漂う役が見事にはまっていました。 [DVD(字幕)] 4点(2010-10-04 21:14:05) |
1532. 今のままでいて
《ネタバレ》 妻子ある冴えない中年男が自分の娘と同じ年頃の美しい女と仕事先で出会う。しかしその女は自分の娘かもしれない・・・。確証があるわけではないがその疑いは消えない。けれどその女に惹かれていってしまう。気持ちが揺れ動く冴えない中年男を演じるマストロヤンニの渋い味わいのある演技が素晴らしい。そしてその女を演じるのはナスターシャ・キンスキー。この頃の彼女の美しさは強烈に観る者の印象に残ります。そんな彼女が時にはマストロヤンニを誘う。時には無邪気にはしゃいでみせる。ナスターシャの魅力が全開。何故にこの冴えない男にこれほどにまで惹かれたのか分からないし男の方の行動も疑問を感じるところが多い。結末も映画館に入った時点で全て分かってしまう。物語自体には惹かれるものはあまり感じられませんが主演の二人と、多くの場面に流れているエンニオ・モリコーネの控えめな音楽が素晴らしい。また、温かみのある色調の映像も綺麗な映画でした。 [DVD(字幕)] 6点(2010-10-02 22:39:34)(良:1票) |
1533. ミックマック
《ネタバレ》 世界から無くなる事のない紛争とその裏で暗躍する武器商人達。正面から反戦を訴える映画ではないですが、金持ちでもなく弱い人々が集まって力のある武器を扱う大企業をコテンパンにやっつける。分かりやすい。楽しい。そして痛快。しかしその作戦の一つ一つの手法が実に古臭いけれど、その一つ一つに愛すべき可笑しさがある。しかし一番最後はyou tubeで締めるあたりがニクい。ジュネ監督の映画は久々に観ましたが、この作戦に参加するメンバーの人物描写に、一見どうでもいいと思える所にまで素晴らしきこだわりを感じさせてくれる映像にカメラワーク。久々にジュネ・ワールドをお腹一杯堪能させていただきました。 [映画館(字幕)] 7点(2010-10-01 21:20:53) |
1534. あの頃ペニー・レインと
誰にでもある少年から大人に急に成長する出会いや一時期を描いた目新しさのある話ではないですが、実に清々しい余韻を残してくれる青春&ロック映画でした。ウィリアム少年、そして彼と家族との関係も良かった。ラッセルとウィリアムのお母さんとの電話のシーンが妙に心に残っています。ラッセルが電話でウィリアムのお母さんに説教されて「はい、分かりました。」と素直に耳を傾けている。可笑しくも温かみのある人物描写がいい作品でした。作品のテンポも良くてバスや飛行機という旅の移動中の使い方も巧く、笑いドコロを持ってきたりしながら印象に残る一場面となっています。特にみんなで歌ったバスの車中、そして終盤の飛行機のシーンも見事。この飛行機のシーンに代表されるように少々情けなくも憎めないスティルウォーターの面々も自分好みでした。そしてもう一人、彼女抜きにこの映画は成り立たないケイト・ハドソンの存在感。それだけにこの邦題が素晴らしいと思う。全体的にかなりベタで青臭くもある。でも、それがいい映画でした。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-28 21:18:01)(良:2票) |
1535. 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌
まずは寅さんが柴又に帰ってきてすぐ、さくらの新築した家を兄妹揃って見に行くシーンが素敵でした。「この空いている部屋は何だ?」「それはね、お兄ちゃんの部屋!」寅さんがさくらに説教される場面も多いですが、やはりこんな仲のいい二人の方がいいですねえ。それだけに、その後の新築祝いがちょっと切なかった・・・。マドンナは伊藤蘭演じるすみれ。マドンナに恋をする寅さんではなく、その関係は完全に保護者的なものでしたね。しかし、すみれが無事定時制高校に入学できるよう皆で一生懸命応援するとらやの人々のやさしさ、無事入学した定時制高校の受験競争とは無縁ですがあたたかみのある授業風景に心が和む作品でした。そして寅さんの履歴書。寅さんは中学中退で高校への入学資格が無かったことが判明。緊張した表情で写っている寅さんの写真が貼られた履歴書が何だか悲しかったです。 [DVD(邦画)] 6点(2010-09-28 21:08:49)(良:2票) |
1536. ザ・プレイヤー
《ネタバレ》 ハリウッドに迎合しようとしなかった孤高の人、アルトマン監督ならではのハリウッドへの強烈な皮肉が込められた、いわゆるハリウッド内幕モノです。 ティム・ロビンス演じる映画への愛を感じないハリウッドの映画会社の重役が主人公。これが映画の主人公として見事に感情移入出来ない人物。ですがアルトマンが自分とは距離がある世界(ハリウッド)とその世界の住人を皮肉たっぷりに描いた映画だからそれも当然か。 このアルトマン節はラストまで衰えることは無い。安い結末の一本の映画が完成し、「リアリティはどこへ行ったの?」と異を唱える社員がいとも簡単にクビになる。そしてティム演じる主人公も簡単に犯した罪から逃げ切り、謎の男(一体誰だったの?)から事件の真相を買って殺した男の女と結ばれるという、全てカネで解決というこれまた実に都合のいいハッピーエンドを敢えて用意した。これら全てがハリウッドへの皮肉に感じられてとても面白かったです。 超豪華な総勢60名を超えるというカメオ出演も、随所に登場する、様々な登場人物が語る俳優評、映画評も映画好きにはたまらない楽しさがありました。 [DVD(字幕)] 8点(2010-09-24 22:47:46) |
1537. 愛のメモリー
《ネタバレ》 デ・パルマ版『めまい』として有名な作品。観る前はそれ程期待していた訳ではなかったのですがこれは素晴らしい映画でした。ある事件で妻子を亡くした男の前に妻と瓜二つの女が現れる。確かにその展開は『めまい』です。 主人公の男と結婚することになった瓜二つの女が男の豪華な屋敷にやって来る。時折精神的な不安定さを見せる夫、その屋敷に飾られている亡くなった妻子の肖像画に目を奪われる様や屋敷に残されている妻の日記、装飾品・・・。効果的なこれら小道具の配置のさせ方、この屋敷に今でも残る妻の存在感。『めまい』だけでなく、これは同じくヒッチコックの『レベッカ』のマンダレー屋敷を思い起こさせる。この一連の瓜二つの女の行動とその表情は真相を知った後に見直すと全く違った印象を与えてくれます。 事件の真相を見せて以降後半から終盤の緊迫感のある見事な流れ、その末に訪れる空港での再会のラストシーンも素晴らしい。ミステリアスで重厚さを感じさせる音楽や映像も素晴らしく、僕にとってのデ・パルマの最高傑作となりました。 [DVD(字幕)] 9点(2010-09-23 21:38:40) |
1538. ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密
母と娘の確執と和解というよくあるストーリーですが、巧く作られた映画だと思います。娘を演じるサンドラ・ブロックが終始イライラしていて見ていて少々疲れるのですが、対照的にヤァヤァシスターズのベテラン女優の皆様の余裕のある演技は見ていて心が和みます。女優陣が元気な映画の中の隅っこの方で、しかし節目で味わい深い存在感を出すジェームズ・ガーナーもお見事!でした。過去と今が交互に入れ替わりますが、その切り替え方もとてもうまくいっており、母の過去を演じるアシュレイの好演も光ります。その中に南部の風土や時代もうまく描かれていました。話の内容は軽くは無い。しかし、重い映画ではない。程よくコミカルな描き方も良かったです。 [DVD(吹替)] 6点(2010-09-23 00:23:05) |
1539. 男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎
《ネタバレ》 シリーズ中かなり評価の低い作品。でも前半は幾つか見所がありました。まずは冒頭懐かしの登が登場!あまりにも短くあっけなく別れる再会でしたが、シリーズ初期の愛すべきキャラクター、登の登場が嬉しかった。 その後寅さんは北海道に渡る。そこでマドンナと出会い、宿屋で訳ありサラリーマン風の男と出会い、しばし3人で行動を共にし、そのサラリーマン風の男が女に会いに行くのに同行する。場所は北海道。似たような話が過去にあったぞ・・・。そうそう、シリーズ屈指の名作「相合い傘」だ。ここまでは悪くないのですが、その後が盛りあがらず・・・。 もう一人登場するサーカスのバイク乗りのクールな男トニーが寅さんの世界観にどうも馴染んでおらず、肝心の風子と寅さんが柴又帰郷以降ほとんど一緒のシーンが無かったのも残念でした。 満男が中学校に入学し、タコの愛娘あけみが結婚し、登もカタギになって結婚して娘が生まれていて、妙に時の流れを感じる作品であり、寅さんとさくらや博、満男が旅先で一緒のラストシーンというのも珍しい作品でした。 [DVD(邦画)] 6点(2010-09-21 23:55:06)(良:1票) |
1540. ジャスティス(1979)
正義とは何か?パチーノは「有罪者を罰し無罪者を釈放すること」と言った。しかし実際に裁判はどうか。正義や真実の究明は置き去りにされ、時には権力を持つ者の圧力で裁判が左右される。時には検事に弁護士、裁判に関わるそれぞれの立場の者が勝つことのみを最優先する。ある弁護士は世間から見向きもされないような事件はいい加減に扱い、ある者は勝って名を上げることにしか興味が無い。そんな大切な事を忘れてしまった者たちの行動を描きながら、最後にパチーノが法に関わる者として「正義とは何か」を裁判の場で叩きつけてくれるというとても分かりやすくも熱い映画でした。パチーノの映画は今までに色々と観てきました。その中で彼の得意技である大熱演絶叫演説も数多く観てきましたが、本作がその初めての頃になるでしょうか。まだ演説がお馴染みの姿になる前で、涙をこぼしながら演説するまだ若さを感じさせるパチーノの姿が新鮮に感じられました。 [DVD(字幕)] 6点(2010-09-20 16:39:35) |