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彦馬さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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141.  アラン
ドキュメンタリーの父、フラハティさん。最近私が目にしただけでも、本多猪四郎やフレッド・ジンネマンが強く影響を受けていることを読みました。さて、この「アラン」、アイルランドのアラン諸島、少年とその父母。微生物をも拒むようなゴツゴツし痩せた大地、サメが回遊する海、屹立した岩にぶつかる白い波しぶき。それらアランの自然と黙々とそれに挑む人々の生活を、長回しではなく、とにかくカットを割って語ってきます。サメと格闘するシーンなどは、パラパラマンガのような目まぐるしさ。サメの油は灯火用であり、生活、日常に欠かせない必需品。家庭での団らんという穏やかなるものを獲得するために潜む厳しさを浮き立たせます。後半、天候が荒れた中、岸に向かって帰ってくる小舟、ただよう小舟、編物をする妻やジャガイモを食べる少年、寄り添う犬、灯火のアップ、それらモンタージュが一大アラン叙事詩を形成しクライマックスへと向かいます。ラスト、一家が去っていく超ロングショットの背中は、これからも変わらず続く生活が未来へと溶け込んでいくようでありました。ドキュメンタリーといえど、カメラが回れば人は意識する、なら少し台詞を与え、カットを無数に割ることで、リアリズムを逆手に取ったようなリアリズムを生み出そう、そんな意気を強く感じさせていただいた作品であります。
9点(2004-09-23 23:15:39)
142.  ワン・ツー・スリー/ラブハント作戦
ワイルダーが「アパートの鍵貸します」の後、最初に撮った作品です。その前作のタイトルをもじれば「アトランタの娘預かります」といったところですな。さて、東西冷戦を皮肉ったこの作品、その象徴として描くにふさわしいベルリンの街を舞台に、随所に流れる「剣の舞」のごとく、まさに舞うようなテンポで進んでいきます。東ベルリンのホテルでソ連の作曲家ハチャトゥリアンの「剣の舞」をバックに西側のブロンド娘がテーブルで踊り舞う姿、そしてその娘を嬉々と眺めるロシア人3人組(「ニノチカ」だ!)の姿、なんという演出だ・・これこそワイルダーだ・・・ウォッカをコーラで割って乾杯だ!最後まで出世欲で突きぬけたジェームズ・キャグニーもホット、ホット。そしてラストのコーラのラベルオチに大笑い。スカッと爽やか、とは言いませんが、風刺がシュポっとまろやか(←巧い言い方ができず・・)、てなとこで。シュレマー!!
9点(2004-09-15 21:41:10)(良:1票)
143.  お熱いのがお好き
脚本の出来のよさもさることながら、目撃シーンのガレージ、列車内、ホテルの室内、廊下など意識的にタテに配置した人物構図はほぼパンフォーカスで、その他隅々までシャープに撮りあげた映像が特徴的なのですが、ましておもしろいのが、レモン、カーティス、モンローの撮り方。レモンとカーティスの会話シーンは、ほぼ2人が同時に画面にのせられ、カットバックはほとんどないのですが、これがモンローとの会話シーンになると、とたんにカットバックが多くなっています。レモンとカーティスを等分に見せる工夫、モンローの魅力を画面にのせる工夫といえましょうか。そのモンローは同じワイルダーのカラーで撮られた「七年目の浮気」ではセックスシンボルぶりが際立っていたのですが、今作は白黒になっていることで実にキュートにモンローのかわいらしさが出ておりますね。列車内、レモンの寝台室に大勢が集まってくるパーティーシーンは、マルクス兄弟の「オペラは踊る」の船室シーンですな。それからジョージ・ラフトが後半、コインを弾いているギャング仲間からコインを取りあげるシーンは、「暗黒街の顔役」を連想させられてニヤっとします。そして、世に評価の高いラストのオチなのですが、どうも私にはこの台詞だけは、苦しまぎれのような感じを受けて仕方がないので、1点マイナスさせていただきます。「完璧な映画なんてない」ってか。
9点(2004-09-13 23:38:24)(良:1票)
144.  大魔神
大映特撮陣の技術もさることながら、森田富士郎さんのカメラがとにかく素晴らしいです。ロングショットの人物構図、そして大魔神構図、きまってる~。しびれたのは巫女と左馬之助の対峙シーン。巫女の向こうに銃を構えた左馬之助、ズームで寄りながらピントを銃口へ、引き金を引く瞬間、すかさず左馬之助へフォーカス送り。むむむ~。そして巫女を斬った瞬間、周りの照明を落とし巫女を浮かび上げることにより、神をも畏れぬ傲慢さ、不遜ぶりを描き、これから起こる不吉な出来事を予感させます。また大魔神を登場させるまでのじわじわした演出も、この大魔神の神格、おとなしいけど怒ると恐ろしいぞ~、といわんばかりでお見事。滝の上にたたずむ大魔神の石像を超ロングショットでとらえ、傍らまでいくとちらっと一瞬だけ大魔神を写した後、まだ見せませんよ~、とカットを割ってじらしてきます。高田美和の祈り、大魔神の無表情、これが本当のストーンフェイスですな。その無表情と憤怒の形相、そして乙女の涙、それらを含みこんだすべてが「大魔神」ですね。
9点(2004-09-08 23:22:50)(良:1票)
145.  悪魔のような女(1955) 《ネタバレ》 
前半で殺人の過程を提示し、プールの水を抜くところから一気にミステリー度が加速。ニコルが学校を去ってからはサスペンス度が怒涛のうねり。そしてホラーでさらりと締めくくる。うーん、見所たっぷりでございます。サスペンスは、不安にかられるクリスティーナの陰影、光をぼんやりあてたり、上半身だけあてたり、窓際から漏れる光をあてたり、とこのあたりの演出はしびれます。前半にも、車が通り過ぎる水たまりのショット、小石を投げ波紋が広がるプールの水面のショットをさりげなく射し込み、「水」がキーであることを表現。前日の魚料理が出てくることや、おまけにバスタブ2階の住人が聞いていたラジオのクイズ番組の問題が、「モザンビーク海峡をはさむ地は?」とこれまた水に関わる懲りようで、それらを発見する楽しみも与えてくれております。そんでもってラストのラスト、学校閉鎖の日にまで壁際に向かって立たされる少年モネの背中・・・こんなのアンリ!?
9点(2004-09-05 00:46:55)(良:1票)
146.  情婦
数年前、自転車キンクリート公演の「検察側の証人」を舞台で拝見しましたが、やはりおもしろかったです。ストーリィを知っているので、それが逆に役者の演技に伏線を見つける楽しみがありました。みっちょんの役者センスはよかったね~。ということで、ストーリィを知った上で、この映画を見てみるとまたおもしろい。その意味で、やはりロートンの台詞、しぐさ、表情がこの作品を見事に支えています。辣腕弁護士でいながらおちゃめ~。さて、ラッセル・ハーランのカメラは、舞台劇の雰囲気をそのまま表現したような、パンフォーカスが随所にみられます。弁護士事務所、法廷での人物を縦に配置した奥行きあるシーンでたたみかけてきます。弁護士、検察、被告、証人、陪審員、裁判長、これらの登場人物を同じ画面の中では、等分にピントをあてることにより、いったい全体正しいのは誰だ、何が真実で何が嘘なんだという雰囲気を作り上げています。そこへミディアムショットで、それぞれの登場人物のしぐさ、表情を射し込む事により、ワイルダーはこの舞台劇を映画として完成させたのだ、といえるでしょうか。
9点(2004-09-03 21:27:35)(良:1票)
147.  キートンのセブン・チャンス
「ラン・キートン・ラン」のようなこの作品、しかしキートン、けっして走るだけではありません。走る車に飛び乗る、クレーンにしがみつく、木の枝に飛びつく、川を泳ぐ、岩をよける、斜面を転がる・・・キートンのアクロバティックなアクションの数々、そのへんのオリンピック選手顔負けの身体能力、そこへギャグが散りばめられているものですから、ひたすら美しくおかしいのであります。女性の大群、岩の大群が彼を襲い、おまけに時計の大群にも悩まされるのが笑います。オープニングで季節がめぐるごとに大きくなっていた犬が、ラスト見事にオチをきめてくれて「一本!」、キートンさんに金メダルであります。
9点(2004-08-24 23:18:52)(良:1票)
148.  マダムと女房
日本で最初の本格的トーキー作品であります。楽士であった土橋兄弟が開発したので土橋式トーキーというそうですが、オープニングの会話からいきなり映像と音が同調していない(笑)、シーンによっては大きくずれている・・・しかししかし全編、音にあふれており、とにかく音の缶詰のような作品になっていて私は大満足であります。ねずみ、猫の鳴き声、赤ちゃんの泣き声、目覚まし時計の音、鐘の音、ミシンの音、飛行機の音、そしてなんといってもジャズバンドの演奏。音を意識しすぎただけの作品という評も一部あるようですが、せっかくの初トーキーなんですからいいじゃ~ないですか。とぼけた渡辺篤、そして田中絹代が若い、かわいい~、声も若い。「ねぇ、あなた~」うーん、たまらない魅力です。この田中絹代はクレジットでは女房としか記されていませんが、夫が「おーい、キヌヨ、キヌヨー」と言っているのが楽しいです。さてこの夫、劇作の締め切りにおわれているのですが、隣家のジャズバンドの演奏がやかましくて文句を言いにいきます。ところが、そこのマダムにそそのかされ一緒に歌い踊りお酒を飲み・・・そのジャズバンド名が「MAMMY JAZZ BAND」、これはマミーソングを歌う『ジャズ・シンガー』を意識したものでしょうな、きっと。ラスト、日本髪がすっかり洋風になった田中絹代(着物は着物のままです)、♪ららら~、と口ずさみ寄りそう二人、オチもきまって、1時間足らずですが実に愛すべき作品でありました。「ねぇ、あなた~」、言われてみたいものでありますな~。
9点(2004-08-21 23:54:49)
149.  誰も知らない(2004)
実話の映画化、その内容からドキュメンタリー風の手持ちカメラぶんぶん丸ではないかと、映画館に入る前は嫌~な汗が流れていました。まずは列車の中、手持ちで揺ら揺ら、きたぞきたぞ(苦笑)と思っていたら、ありゃりゃカメラが止まり始めます。据えたカメラは、移動もズームもなく、固定されたフレームに出入りする、子供たちお母さん。カメラを移動させるのは、屋外の人物移動シーン。そこへ手持ちで撮られる、子供たちのクローズアップ、手もと、足もと。手垢のついていない子供たちの演技、その表情のなんと映えたることか。台詞が非常に少ないので、この子供たちが顔で表現する心理状態、そして手もと足もとのショットで表現しようとする作り手、いいぞいいぞ。終始、カメラの撮り方が一貫していますし、2時間20分の長さを全く感じることなく映像的には実に楽しく見ることができました。しかし、柳楽くん演じる明くんが、弟の茂くんがいなくなって、どこへいったか妹たちに聞くシーンは泣けました。「知らない」。「知らない」。誰からもその存在を知られていない子供たちが、とうとう兄弟姉妹同士からも知られなくなってしまう、そこは思考力、行動力を奪う、電気の止められた真夏の室内。その他にも、下の妹のキュッキュッという靴音、母親の手紙のハートマークを見つめる明くんの視線、などなどよかったなー。見終えてから、監督自ら「泣き顔は撮らない」とおっしゃっているのを読みましたが、その演出の狙い見事に、子供たちだけの空間、子供の王国世界が構築されており、ドキュメンタリーどころかファンタジーのようでありました。しかしこの映画を仕事をさぼって見たことは“誰も知らない”のであります。うわっ、言ってしまった・・・。
9点(2004-08-11 19:47:10)(良:1票)
150.  桃色(ピンク)の店
この作品は、アットホーム賞でもあげちゃいましょうか。文通を媒介にした男女のすれ違いを軸に、タイトル通りに街角の店の話。解雇されるスチュワートが、一人ひとりと握手して店から出て行くシーン、見送る店員の背中(4人であるのがポイントですね)なんかほろりとします。そしてもっとほろりとするのが、クリスマスイブ、雪の降る中、店の前でボスが一人ひとりを食事に誘うシーン。ようやく連れ合うことができたのが新米の少年で、それでも満面の笑みを浮かべるボスが、言葉で並べる食事メニューのなんとおいしそうなこと。ここでこの少年にも粋な役割が与えられるのがあったか~いです。というように、けっしてスチュワートとサラヴァンの恋話に終始していないのが、この作品のいいところ。2人の関係に終始し、媒介のメールの中身そのものを描いたようなリメイク版では、けっして得ることのできない心地よさといえましょうか。ルビッチ作品の中では、少し毛並みが違いますが、肌触りはいいですぞ。
9点(2004-07-18 20:23:14)(良:4票)
151.  初恋のきた道
ご飯の支度をする土間に差し込む光、餃子の蒸し器からあふれる湯気、そんな家屋内のショットからも伝わるツィイーの初恋のときめき、純情、一途さ・・・。ツィイーのクローズアップを多々挿し込みながらも、色彩と光あふれる鮮やかな風景に溶け込む登場人物を、見事な構図のロングショットでとらえ続けるカメラセンスにはうっとりしてしまいました。正直、ストーリィが後からついてくるような感覚でした。それでいて、ラストの遺体を担ぐシーンの美しさ。漠々とした大地、静かに流れる吹雪、黙々と歩く人間を撮りあげたモノクロの映像。光あふれる大地の緑から受ける美しさとは、また違った美しさ。死という人間の運命を粛々と描きながら、一人の人間が生きた証、その一人を愛し続けた一人の人間の想いを切々と浮かび上がらせ、じわーりと胸に迫ってきます。うん、初恋のきた道を私も探しにいってみるか、この年で迷子になるのも恥ずかしいけれど・・・。
9点(2004-07-10 00:15:29)(良:2票)
152.  メリィ・ウィドウ(1934)
ん・・・これまでのルビッチ作品とはなんか違うぞ。そうだ、やたら構図のきれいなショットが出てくるんです。ルビッチ作品は、窓から窓への移動などカメラワークの巧みさに目がいくことはあったんですが、あまり構図を意識させられるようなことはありませんでした。ところが、オープニングのパレードのシーン、バイオリンを奏でる室内、ソニアがテラスで歌い上げるシーンを地上から見上げるショットから始まって、後半のフレンチカンカン、ダンスシーン・・・きまってるんです。キャメラマンは誰だ・・・と後から見ればオリヴァー・マーシュさん。早速マーシュさんが撮った『雨』(大傑作!)を見ましたが、これで納得。なんとも素晴らしいキャメラワーク、構図。ルビッチお得意の恋のかけひきはいつものごとくに、愛嬌あるシュヴァリエ、美しいマクドナルドが鮮やかにフレームに収められた傑作です。
9点(2004-07-08 19:06:25)(良:1票)
153.  教授と美女
これはホークスの他のコメディに比して、ソフトな展開であります。やはりワイルダーの原作、脚本であることがその原因でしょうね。ストーリィは白雪姫をモチーフに作られています。世間知らずの純な教授8人の元に現る美女1人。この美女スタンウィックが“火の玉”でして、平穏なる彼らの日常がホットに動き出します。そしてプリテンダーがいつしか本物になってしまうというプロットはワイルダータッチそのもの。しかしクーパー演じる教授が周りの教授たちの祝福を受けながら恋を盛りたてられていく様は、男の友情を描いたホークスタッチといえましょうか。かのトーランドを要したキャメラは、パンフォーカスによる教授陣の一体感を巧く表現しておりますね。それから「妻の証言は無効である」というアイデア。というと『情婦』を思い出しますが、クリスティの「検察側の証人」が発表されるのはこの作品のもっと後ですから、この時点からワイルダーがこのアイデアを暖めていたことに感心させられましたです。しかし当然ながらスラングいっぱいのこの作品、日本語字幕の作成にはさぞやご苦労なされたでしょうねー。さーみんなでコンガを踊りましょう。
9点(2004-06-28 13:14:44)(良:1票)
154.  第七天国(1927)
階段を1階から徐々に上がっていくシコとディアンを移動でゆっくりと捉え上昇するカメラ。この一歩一歩“第七天国”へと近付く2人の姿はラストシーンを暗示しているようで実にいいシーンですねー。そしてシコの神との距離感。無神論者だと言ったり、結婚を神に認めてくれるようお願いしたりとその距離感がラストに効いてきます。目が見えなくなって、神を信じることができたという事実。神という見えざるものを感じるのは心であるという真理。神父の前で抱き合う2人に差し込む神々しい光、神そのものである光。神から祝福される2人には思わず拍手を贈ってしまいました。ウェディングドレス姿のディアンを抱き上げたまま部屋を歩き回りキスをするシコ、そのシーンに代表されるように全体を甘いムードが包むこの作品ですが、戦争の惨禍や姉をムチで打つディアンの形相など、ピリッとしたシーンを挿し込み全体をひきしめています。♪上を向~いてあ~るこお~~涙が~こぼれ~ないよ~おに、といっても涙がホロリとするサイレントの傑作です。
9点(2004-06-20 20:36:22)(良:2票)
155.  生活の設計
おっなんだ、フランス語かこの映画は・・・んなわけなくこれも伏線でした。さて、『極楽特急』に続き、ミリアム・ホプキンス嬢が登場。オープニングの列車のシーンだけ見るとこっちが『極楽特急』かと思ってしまいますが、そんなことはどうでもよくて、ホプキンス嬢は前作の泥棒役さながら、今度は男性二人の心を同時に奪ってしまった・・・が、ジルダも2人を愛してしまった。ジルダは2人に「ノー・セックス」。おー、ソフィスティケーション・コメディの本質が語られた。それだけでもこの映画には価値がありそう、だ。見せない演出の醍醐味は終盤に登場。パーティーを無茶苦茶にする2人を扉の向こうの音だけで表現。今ならここぞとばかりのドタバタがこれでもかと描かれる場面ですね。扉といえば笑ったのが「20の扉」。NHKの人気ラジオ番組ですが、ルビッチだけに「20の扉」というのは出来すぎてるなー。最後にタイプライターの“チーン”だけで象徴された愛、これには、この野郎またやりやがったと毒づいてしまいました。あー、私の部屋ではむなしく電子レンジの“チーン”が今日も鳴るのでありました。
9点(2004-06-11 23:55:52)(良:1票)
156.  暗黒街の顔役(1932)
カポネをモデルにした映画だそうで、ホークスが語るところによると、実際にカポネが見て偉大な映画だと言っていたそうな。なんかそれを知るだけで凄いもんですね。さてさて、この顔役さんは、無邪気で子どもっぽくて寂しがりやにして、征服欲、独占欲にあふれたギャングであります。トンマなシショをずっと雇っているところや、妹から撃たれないところなどなんか憎めません。突然の発砲音にも平然とする強さと、周りの人物がもがれうろたえる脆さ、そこがなかなか魅力的なのですが、ラストは大きく×の刻印が打たれたかのように突き放されてしまいました。この×印の使い方、まーいろいろと出てくるんですが、私は妹のドレスが一番気になりました。妹が派手になり背中にはドレスの×のラインが・・・、顔役のラストを暗示するようで。見終わって思わずコインを弾きたくなるエポックな一品であります。
9点(2004-06-11 00:32:30)(良:3票)
157.  皇帝円舞曲
ワイルダー、ハリウッド監督5作目。初めてのカラー作品です。ビング・クロスビーの歌にヨーデルに口笛、王宮の円舞、チロルの村の踊りにヴァイオリン。カラーを好まないワイルダー、ミュージカルを好まないワイルダー。からして、これが本当にワイルダーかと思うぐらいの異色作。でもって出来栄えは、楽しい!作品自体は会社主導で企画されたようで、ワイルダーさん本人はあまり気に入っていなかったようですが、私個人的にはパラマウント作品の中では一番好みです。なんといっても犬!犬の恋!実に愛らしい。犬好きの人必見!『マリリンに逢いたい』ばりの犬が湖を泳ぐシーンには、笑うし泣きます。歌と踊りの華やかさ、甘い恋のメロディーの中にも、アメリカとヨーロッパ、自由社会と階級社会を対比させての風刺を効かせた、ワイルダー的ラブコメディーの傑作。ワルツに乗せて9点献上。
9点(2004-06-06 20:48:26)(良:1票)
158.  ジャンプ
竹下昌男さん、監督デビュー作。キネ旬の評論家レビューはあまり芳しくなかったので、はたしてどうかなーと思いながら見たのですが、いやいや素晴らしかったです。佐藤正午の原作はもうそれは相当におもしろい作品なので、この素材を新人監督、といっても助監督を長い間経験されていますが、どう料理するのかワクワクしながら見ました。カメラ的には、かなりがワンシーン・ワンカットで撮られいます。ロングショットの人物構図がほれぼれするぐらい画に収まっていますし、身体的な動きや心的な動きに対応するハンディやクロースアップもちゃんと意味がありますね。原作とは人物設定などを少しスリム化していますが、それも2時間というバランスを考えるとすっきりしてよかったのではないでしょうか。笛木優子と原田泰造の抑制された雰囲気も二人の距離感の微妙さを実にいい湯加減で表現しています。雨上がりのプラットフォームにたたずむ笛木優子の姿には、感動すら覚えました。伊武雅刀が話す靴の話も、作品を貫くリンゴにシンクロして実に効果的。次作も安心して作品を見ることができる監督だと感じておるところであります。
9点(2004-06-06 01:08:16)
159.  第十七捕虜収容所 《ネタバレ》 
ワイルダー、ハリウッド監督9作目。今回は愛国心を扱った作品。といっても、もともとドイツ出身のワイルダーさんですから星条旗を猛々しく翻すようなことはいたしやせん。それがこの映画を見てもべとつかないところです。そしてクリスマスに差し入れされたピンポン球が中尉救出の白煙に化けるとは、まさにホワイトクリスマス。これも立派なクリスマス映画ですねー。ラスト、捕虜が眠るベッドの背後に掲げられたMERRY XMASの飾りつけ、これがなんとも泣けました。それからホールデンさん、オスカー獲得、Congratulation!
9点(2004-05-30 20:08:18)
160.  ウィンダミア夫人の扇 《ネタバレ》 
こういう素晴らしいサイレント作品を見ると、黙して語ることの雄弁性、台詞で語らない映画的演出力の才腕をいやでも思い知らされます。置き忘れた扇が見つかった瞬間、抱き合うウィンダミア夫人とアーリン夫人が抱き合うシーンには胸打たれてしまった・・・。見る者は2人の関係を知っているだけに、このー、ルビッチめーー。しかし、この扇の行方を追うとおもしろい。ウィンダミア卿(プレゼント)→ウィンダミア夫人(落とす)→ダーリントン卿(届ける)→ウィンダミア夫人(置き忘れる)→ロートン(見つけて渡す)→ウィンダミア卿(ここは内緒ね)→アーリン夫人と主要登場人物全てが一度は手にするという、まさにタイトルにふさわしい小道具。これを見るとますますルビッチの“ファン”になること間違いなし、です。
9点(2004-05-29 22:59:27)(良:1票)
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