1641. ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ
《ネタバレ》 あの世が滅茶苦茶になって死んだ敵キャラが復活するというあらすじに少しひかれたのだが、セリフ有りで復活するのはフリーザのみ、しかもあまりにあっさりと今作では脇役の悟飯に片付けられる…。弱くてもいいからナッパとかリクームが総勢復活することを期待したのだが。作品の総括としては、オリジナルとどうしたって繋がらない陳腐なストーリーに加え、どうにもならない低俗コメディーに何も言うことはない。散々…。 1点(2004-04-22 21:58:07) |
1642. 緋牡丹博徒
観終わった直後は単純に、「参った」とか「凄い」という言葉しか出てこない。圧倒的にパワフルな任侠渡世を描いた映画世界に、ただただ没頭させられる。冒頭の仁義から、ラストの襲名挨拶までひたすらに魅力的な藤純子が素晴らしい。今の日本映画にはない作品の良い悪いの以前に存在する映画としてのパワーに溢れている。背景が絵だろうが、主演女優の唄が下手だろうが、すべてがその世界の産物と納得させ、その空気の中で息づく俳優たちの一喜一憂に息を呑む。「映画」という絶大なパワーで観客を包み込む。そういうものがこの時代の日本映画には、ある。 10点(2004-04-22 02:27:15) |
1643. 十三人の刺客(1963)
《ネタバレ》 先ずモノクロームの秀逸な映像美に圧倒される。静と動を極めたその映像世界に古めかしさはまったくなく、新進的な雰囲気すら感じる。往年の名俳優たちの重厚なたたずまいにも目を見張る。他の時代劇に違わず、今作も侍としての崇高な精神を発端に物語りは始まるが、今作の場合、格好良いサムライの姿を期待すると少々面食らう。ラストの泥臭い大殺陣に象徴されるように、この映画は殺し合うということの無情さ、人間の本質的な滑稽さを根本に描いていると思う。タイトルのわりには脇の人物の描き方がもう一つで期待していた群像劇としては弱いが、己の精神と精神の間でせめぎ合う侍たちのドラマは秀逸だ。 [DVD(邦画)] 6点(2004-04-19 12:00:15) |
1644. 野良犬(1949)
この映画が50年以上も前に作られた映画だということに唖然とする。時代背景は当然古めかしいが、語られるテーマはまさに普遍。メッセージ性の強い主題を描きつけながら、少しも説教臭くない刑事ドラマへと昇華させているあたりに、もはや「巨匠」という言葉では片付けられない黒澤明の偉大さを感じる。それと同時に、さすがに瑞々しい三船敏郎の眼差しに惚れ惚れする。 8点(2004-04-18 16:17:18)(良:1票) |
1645. ナイン・ソウルズ
冒頭の不潔感漂う刑務所シーンから、ラストの爽快感まで映画としてのバランスは多岐に富んでいて良かった。9人の囚人たちのそれぞれの人間模様を描いていくという構図は面白かったけど、この尺内で描ききるには少々キャラクターの人数が多かったかもしれない。でもそれぞれが乱雑に交し合うセリフの数々には印象深いものが多く、特に板尾創路の演技かギャグなのか分からないような絶妙な一言一言がイイ感じだった。 6点(2004-04-18 13:00:01) |
1646. 新幹線大爆破(1975)
30年も前にこれほどまでスリリングで迫力のあるパニック大作が日本で作られていたことに驚かざるを得ない。昨今の日本の大作映画といえばことごとく陳腐なものばかり。なぜ30年前に作れて今作れないのだ。今作に限らず、大作映画についていえば、現在よりも数十年前に作られた作品の方がよっぽどパワフルな場合が多い。まさに大手映画会社の大盛期ということだろう。復活はあるのか?どうにも怪しい…。 加えてこの時代の娯楽映画のセンスには頭が下がる。例えば、ラストの射殺シーン、展開は読めつつも緊迫感を高めるあの演出は、最近の日本映画ではなかなか見ることができない。 8点(2004-04-17 14:36:55) |
1647. 名探偵コナン 迷宮の十字路
映画版コナンは異様にアクション性が高くなってしまうので、もともとストーリーには期待していないのだが、今作はさらにアニメーションの陳腐さが際立ち、限りなく程度の低い映画になってしまっていると思う。何度もなぞったようなありきたりなストーリー展開にも落胆する。まあそれほどクオリティを求めても仕方ないのかもしれないけど、相当な数の子供たちを観客動員として集めている以上、ある程度の質は必要だと思う。 2点(2004-04-17 00:53:29) |
1648. きょうのできごと a day on the planet
「日常におけるドラマ」という題材自体は、多くの物語制作者が考えることである。しかしながら、その題材を1本の完成された映画に仕上げることはなかなか容易ではない。今作を観終わって先ず感じたのは、その辺を難なく越えてくる監督行定勲の優れたプロフェッショナルぶりであった。単純に面白く、それ故に深遠。それこそまさに、「日常」の果てしなさだ。何気なく過ぎ去る時間の中で、それこそ無数のできごとがある。極めてシンプルで普遍的なこのテーマをさらりと描き出すこの映画監督の力量は本物だ。 [映画館(邦画)] 7点(2004-04-11 01:04:31) |
1649. 花とアリス〈劇場版〉
6年ぶりに観たこの映画は、もはや「感動」なんて通り越す。そのあまりに眩しい映画という「結晶」に対して、悶え、嫉妬じみた感情すら覚える。 6年前、自分自身の結婚を控えた頃にこの映画を観ていた。 劇場鑑賞時から大好きな映画なので、それ以前もその後も事あることに“花とアリス”のことは思い出す。 そして、今日、自分の愛娘が幼稚園に入園した日に、またこの映画を観た。 なんだか、嬉しさも、憂いも、いろいろなことが入り混じって、たまらなかった。 最初から最後まですべてが名シーンなのだが、“親”というものになって数年経ち、愛娘の成長をまさに目の当たりにした日においては、蒼井優と平泉成との父娘のシーンが、無性に愛おしかった。 この映画は、恋と友情の間を奔走する少女たちの物語であり、少女たちの自立の物語であり、彼女たちを取り巻く家族の物語でもあるのだと思えた。 蒼井優と鈴木杏、今やこの世代を代表する女優となった二人の“競演”は、彼女たちの確かな実力を踏まえても、「奇跡的」だ。 こういう類いの「奇跡」を幾度も見せてくれた岩井俊二という映画監督は、やはり自分にとって特別な存在なのだと思える。 この映画の少女たちの人生はまだ始まったばかりで、映画の中で泣き笑うことなんて、ほんとに些細なことだけれど、その一つ一つにひたすらに向き合い、エネルギーを注ぎ、くよくよしたり、晴々したりする姿に、問答無用に感動する。 ユーモラスで眩しいノスタルジーと、そこに不意に垣間見せる厳しく切ない現実。それらすべて含めて彼女たちの日常。 嬉しいことも、辛いことも、楽しいことも、悲しいことも、みんなひっくるめて少女たちは生きていく。 その純粋で、無防備で、ひたすらな姿に、胸が熱くなる。僕はこの映画に対して、この先も何度も、“ウォーアイニー”と呟くだろう。 [映画館(字幕)] 10点(2004-04-09 22:37:49)(良:2票) |
1650. 魔界転生(2003)
《ネタバレ》 今作を観る直前に深作欣二版「魔界転生」を観て大満足を得ていたので、多少の落胆は事前に覚悟していた。その意識もあってか、思ったよりは見れたというのが率直な印象。しかしながらやはり、どの点をおいてもオリジナルの方が勝っていることは否めない。第一にストーリーが希薄すぎる。悔いや恨みをもって転生に応じる武芸者たちの描写を丁寧に描いた深作版に対し、今作は唐突に伝説的武芸者たちを登場させてしまう。これでは何の面白味もない。特に宮本武蔵の描写は酷い。長塚京三演じる宮本武蔵は雰囲気は良かっただけに描写の軽薄さが非常に残念だった。深作版にはない徳川家康の転生はインパクトがあったが、登場シーンだけで終始してしまった。まあいろいろと問題点はあるが、何よりも本作がオリジナルに対して甘いのは、窪塚洋介演じる天草四郎に「エロイムエッサイム~」と唱えさせなかったことだろう。一見、陳腐に見えるそれを徹底的に沢田研二に表現させたことが深作欣二版「魔界転生」の圧倒的なパワーであった。 [ビデオ(字幕)] 3点(2004-04-03 10:43:10) |
1651. 殺人の追憶
《ネタバレ》 メディア、雑誌等で評価の高い今作に対する危惧、それはやはり今作が実際の未解決猟奇殺人事件を描いた映画であるということだった。つまり猟奇殺人を描いたサスペンス映画でありながら、観る前から観客は「犯人は見出せない」ということを覚悟しなければならない。これはこのジャンルの映画としては多大なハンデである。しかし、この映画は評価に違わぬ明らかな傑作としてその全貌を脳裏に焼き付けることに成功したと思う。この映画世界に流れる空気感こそ、犯罪ドラマにおけるリアリティに他ならない。ソン・ガンホ、キム・サンギョン演じる刑事たちの怒り、焦り、絶望…あらゆる感情が生々しく迫ってくる。今尚、まさに息づく犯罪を描いた今作は、事件に翻弄された刑事の複雑に絡まる感情がにじむ表情をスクリーンいっぱいに映し出して終幕する。事実に対し、勇敢で、潔く、説得力に溢れた映画のエネルギーに圧倒される。 9点(2004-03-30 20:22:05)(良:2票) |
1652. 座頭市喧嘩太鼓
普遍的な勧善懲悪。このありきたりなストーリーを何十作にわたり体現できる主人公は、座頭市をおいてほかにないだろう。今作の見所は、狭い室内で爆発する瞬間的な殺陣。瞬時に研ぎ澄まされる市の殺気に圧倒される。映画のシリーズとしては一端の区切りとなる今作。ラスト初日を望む市の表情が渋い。 [DVD(邦画)] 8点(2004-03-30 11:56:50) |
1653. 金(キム)の戦争<TVM>
世に言う金嬉老事件を描いたドキュメントドラマ。社会を恨み、日本に対抗した金嬉老の生き様をビートたけしが色濃く演じる。彼の哀愁と怒りが痛々しく伝わってくる。 6点(2004-03-28 12:34:57) |
1654. 明るいほうへ 明るいほうへ -童謡詩人 金子みすゞ- <TVM>
今作がテレビ放映された数ヵ月後に同じく童謡詩人金子みすゞを描いた劇場公開版「みすゞ」が公開されたが、観客が受ける感動の大きさとしてはこのテレビ放映作が優れていた。同じ題材を扱いながら明らかに製作費をかけ、丁寧に作られたはずの劇場版がなぜ劣ったのか、その理由はひとつである。金子みすゞを演じた主演女優の差であったと思う。劇場版に主演した田中美里は決して悪くはなかった。しかし今作の主演である松たか子の存在感は際立っていた。これは女優としての実力の差というよりも、適性の問題だと思う。松たか子という女優はこの時代の古き日本女性を演じさせればおおよそ右に出るものはいないだろう。それはテレビ版の「蔵」を見ても明らかだ。それが歌舞伎役者の血によるものかどうかは分からないが、とにかく、今作の松たか子は素晴らしかった。 [地上波(字幕)] 7点(2004-03-27 11:46:30) |
1655. テープ
よくもまあ、これほどどこにでもあり得そうなある種の「口論」を一つの映画として昇華させたもんだ。ということに率直に感心する。87分という映画のワクそのままに繰り広げられる3人の男女の密室劇、心理劇に引き込まれる。平たく見ればただの言い争いであることに間違いはないが、ギリギリのところで観客を退屈させない展開力が巧い。3人の男女の間で交わされる欺瞞、後悔、嫉妬、怒り、本音…。濃厚な心理の駆け引きは非常に身近な事象でありながら極めてスリリングである。「これが地なのでは?」と思わせるイーサン・ホークのキレっぷりも見事。 8点(2004-03-27 02:04:05) |
1656. 魔界転生(1981)
個人的に題材に対して少々、小馬鹿にするところがあったのだけれど、圧倒的に特異な世界観に引き込まれた。妖艶に人の心につけ込んで自らの復讐のために利用する沢田研二の天草四郎が鮮烈。千葉真一の柳生十兵衛、佳那晃子のガラシャ夫人も存在感がある。燃え盛る江戸城でのクライマックスは圧巻だった。同監督作「柳生一族の陰謀」に続けて今作を観るとなかなか興味深い相違があって楽しめる。まだ未見だけど、今作を観ると窪塚洋介版「魔界転生」が大きくかすむのも仕方ないかもしれない。 [DVD(邦画)] 9点(2004-03-25 12:11:04) |
1657. 柳生一族の陰謀
時代の流れの中で度々生まれる悪意に満ちた陰謀、将軍家継承における柳生但馬守のそれを壮大に描く。素晴らしいのは、明らかな悪意をメインに描きつけた潔さである。劇中、陥れられた西郷輝彦演じる家光の実弟忠長の「善か悪か誰が決められよう」という台詞が印象深い。そう、善と悪が入り乱れ、あらゆる思惑と陰謀が渦巻く時代の流れの中で、どちらが善悪かなど認識することは不可能であり、無意味だったのだと思う。生き残った者が、そして綴られる歴史がすべてだったのだ。存在感溢れる俳優が揃い、深作欣二が大いなるパワーをもってまとめあげた大河に圧倒された。 10点(2004-03-24 15:55:56) |
1658. バトル・ロワイアルⅡ 【鎮魂歌】レクイエム
「絶対面白くない」と確信しながらもついに観てしまったので、あえてこの映画の堕落っぷりは追求しないでいようと思う。そんなもん観た人すべてが嫌でも感じることだから。で、「面白くない」と思いつつ僕がどうしても観ずにいられなかった原因は、一つしかない。そう、竹内力である。予告編での彼のキレっぷりを見て、好奇心が大いにぐらついた。そして観た本編のRIKI先生は想像以上だった。あの目つき、あの口調、そしてあの死に様もといトライ…、バイオレンスと笑いを超越した彼のキャラクターは圧巻である。深作欣二の遺作にふさわしいとは言えず、極めて醜悪な映画であることは明らかだが、確固たる見応えがあったことは事実だ。竹内力、万歳。 1点(2004-03-24 03:22:14) |
1659. ペイチェック 消された記憶
ストーリーの流れ、特に終盤部分については、フィリップ・K・ディックらしいと言える展開に楽しみつつも何度か観たことがあるようなものだったと思うが、ここぞとばかりに活躍する20個のガラクタという要素は小気味よくスリリングであった。ヒッチコック風のサスペンスという触れ込みにふさわしく、グレーのクラシカルスーツに身を包んで追っ手を掻い潜る主人公の姿は、「北北西に進路をとれ!」を思い起こされる。ただ、映画自体は出来の良い作品だと思うが、これをジョン・ウーが撮る必要があったのかと言えば疑問が残る。「M:I-2」以降、「方向性見失ってんな~」という彼に対する懸念はいまだ拭えない。 7点(2004-03-23 18:44:37) |
1660. アナザヘヴン
《ネタバレ》 率直な感想としては、何かビミョーな後味の残る映画だった。まず中盤までの猟奇殺人とパラサイト的な題材を合わせたストーリー展開はなかなか引き込まれるところがあった。原田芳雄、柏原崇らキャスト陣はそれぞれ印象的な演技を見せてくれたと思う。しかしながら後半、特にクライマックス前後の展開は陳腐と言わざるを得ない。映画全体の雰囲気からして、多少後味は悪くなってもサスペンスとホラーを反映させたラストの流れを用意してほしかった。前半の緻密さに対し、終盤はあまりに大雑把。端から見れば明らかに常軌を逸している主演コンビの行動もさることながら、どこか白々しい感動とテーマを意識したラストシーンにトーンダウンする。まあそんなことよりも、「飛ぶのかよ!」「その距離で当たるのかよ!」「火だるまかよ!」「置いてくのかよ!」「しかも生きてるのかよ!」と無数の突っ込みどころにほくそ笑むための映画かもしれない。 3点(2004-03-23 03:36:00)(笑:1票) |