1661. 禁断の惑星
「宇宙戦争」に並んで日本では良く名前の挙がる、50年代SF映画の代表格。宇宙人の大侵略という派手な題材とビジュアルの「宇宙戦争」に対し、こちらは人間の心に潜むサブコンシャスをテーマにしていて、科学万能主義を人間性の面から否定するというSFの王道を行く内容。しかし、この映画そのものよりも有名なのがロビー・ザ・ロボット。その後、あらゆるメディアで描かれた数々のロボットの原型がここにあります。で、「宇宙戦争」に同じく、偉大なる50年代SFに敬意を表して6点献上。 6点(2002-11-16 19:29:05) |
1662. 荒馬と女
原題は「the misfits」。理想がほとんど妄想と化している狂気0.5歩手前の純粋な女。社会の近代化に着いていけず片意地張って男を気取る中年。二人の社会不適応者が互いに惹かれ合い、傷つけ合い、社会との折り合いをつけようとするまでを描く物語。夫アーサー・ミラーの書いたヒロインは、残酷なまでにマリリン・モンロー本人をそのまま写している。美し過ぎる容姿、純粋さ故の奔放、そして理想と現実のギャップを受け入れられない薄氷の心。不幸にも全ての要件を持ち合わせてしまったモンローは、正に天然魔性の女です、5点献上。 5点(2002-11-16 19:27:51)(良:2票) |
1663. ハリー・ポッターと秘密の部屋
1作目は珍しくもない簡単なRPGといった趣でしたが、今回はいよいよ映画としてはつまらない。色眼鏡ではなく、直前に流れた「二つの塔」の予告に鳥肌を立てた後だったからでもなく、本当につまらなかったんです。161分(長過ぎ)が苦痛でした。どんどんと影の薄いキャラクターが登場し、物語に関係のないエピソードばかりが羅列され、肝心要の本筋が全く見えてきません。これは原作読者がシーン確認の為に観る純粋なプロモーション映画です。従って原作ファン以外の方が観ても意味がないでしょう。それでも観るという方と原作ファンの方に一つ忠告。エンド・ロールの終わりにケネス・ブラナーの末路が映し出されますから、クレジットが始まっても決して席は立たない様に。2点献上。 2点(2002-11-16 19:26:33)(良:2票) |
1664. プロフェシー
同じタイトルでも猪の胎児みたいなのが出てくるB級映画ではなく、こちらは実話(!)を元にしたリチャード・ギア主演の超常現象スリラー。欧米では大災厄を予言するモスマン(蛾男)と呼ばれる存在の伝承が、古くから各地に存在しているのだそうです。VFXを駆使したこけおどしも「サイン」のような思わせ振りも無く、私にはベーシックで面白いスリラーでした。主人公がモスマンにではなく、亡き妻(への愛)に囚われてしまうという設定が特に良かったです。それにしても、モスマンとは何か? 幻覚か、宇宙人か、幽霊か、神か、悪魔か、シックス・センスか? 日本ではそんな話を聞いたことがありませんが、阪神・淡路大震災の前などに現れなかったのでしょうか? と気にしつつ、6点献上。 6点(2002-11-10 16:37:39) |
1665. クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア
「指輪物語」や「恐怖の総和」、そして本作「呪われし者の女王」等、認知度が高い優れた原作邦題を、わざわざいい加減なカタカナ・タイトルに改悪するのは非常に勿体ない傾向です。この邦題の方がヒットすると思っているのなら、配給会社の担当者のマーケティング・センス並びに国語力・英語力はゼロです。さて、話を本題に戻すと、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」同様、遠い過去から現在へ辿る吸血鬼(本作ではレスタト自身)のモノローグが物語の基本になりますが、前作にあった「呪われし者」の悲劇性は薄れ、ストーリーも良く解らない、かといってアクションもそれほど弾けない消化不良感が残りました。特にファッション・センスに難のあるヒロインを演じたマーガリート・モローに全く魅力がありません。また、故アリーヤ演じるタイトルの「女王」も歩き方に特徴があるだけのちょい役。しかも弱い。ま、観てる間は退屈しなかった映像センスとハードロックに、5点献上。 5点(2002-11-10 16:36:11) |
1666. マップ・オブ・ザ・ワールド
言うことを聞かない幼い娘達、家事に協力的でない夫、問題ばかり発生する仕事場。子供を持って働いている女性なら誰もが経験しているストレスの波状攻撃。そんな主人公を、預かっていた親友の娘の溺死という悲劇が襲う。これは世界が一変してしまう取り返しのつかない出来事を乗り越え、改めて私的世界地図(a map of the world)を描こうとする女性の再生のドラマ。自らの罪の意識を見つめ直せる場所が、冤罪で収監された刑務所であったという皮肉。最悪の人生だと思えた日常が、本当は幸福な毎日であったという皮肉。不幸の中でしか幸福を認識できない人間の愚かさを痛感します。役者は一流だし良い映画ですが、個人的にドラマが弱く感じたので、スミマセン、6点献上。 6点(2002-11-10 16:34:45) |
1667. 9デイズ
「アンソニー・ホプキンス主演、人類史上最悪の9日間」という宣伝コピーは、映画史上最悪の詐称宣伝コピー群の仲間入りを果たした。「クリス・ロック主演、コメディ・タッチで描かれる9日間のスパイ養成物語」というのが、この映画の真の姿です。「トリプルX」とほぼ同じストーリーですが、こちらは「007」型ではなく、組織としてのCIAの周到な準備とチーム・プレイが、ジョエル・シューマカーの手堅い演出で描かれます。それにしてもハリウッドでは安易なシリーズ化を目論んでスパイ物が大ブームですね。そんな訳で、可もなく不可もない5点献上。 5点(2002-11-07 23:40:28) |
1668. キューティ・ブロンド
これまでの学園ものでは必ず悪役だった、容姿とおしゃれと男のことしか頭にないビヴァリー・ヒルズのマドンナを主役に据えたサクセス・コメディ。しかし、この映画のヒロインはのっけから頭が良くって気立ても良い。だから嫌味も努力も薄められて非常に口当たりが良く、ものすごく判り易いストーリーになってます。たまにこういう映画を観ると、ホント素直に「面白かった~」と感じるから不思議。そして、何事もうまく行くと思わせても貰えます。タイトル・バックの女子寮の、とても飛び込みたいとは思えないむせ返る様な雰囲気に、つい7点献上。 7点(2002-11-07 23:38:58) |
1669. 39 刑法第三十九条
サイコな導入部から緊迫「しない」法廷劇へ、そして哀しく壮絶な人間ドラマを経て意外な真実へと流れていく本格的な社会派映画。アメリカ映画では古くからある題材ですが、邦画としては異例と言ってもいい問題提起がなされています。性悪説の立場を取り、目には目を当然と考え、被害者に比して加害者の過保護を歯痒く思う私には非常に共感できる物語です。特に全くやる気の感じられない裁判シーンは秀逸。しかし、この森田芳光の人物造形とカメラ・ワークや構図は、やりすぎのような気がしないでもない。そういうことで、6点献上。 6点(2002-11-01 03:13:57) |
1670. 破線のマリス
確かに隠し撮りをしていたのが○○だったとゆーのは説得力に欠け過ぎている(こんな神出鬼没の盗撮マニアじゃ、先が思いやられる)。しかし本筋から言えば、そんなことはどーでも良い。それよりも何よりも罠にかけたのは一体誰なの? 目的は? そこばっかり気になって、オチの衝撃もありません。黒木瞳は最初から嫌な奴として描かれているから物語の哀感もないし、陣内孝則は高級官僚には見えない。ほんのちょっと演出を軌道修正していれば、マスコミ人の偽善を描く傑作になってたと思う。そこそこ面白いだけに惜しい、5点献上。 5点(2002-11-01 03:12:49)(良:1票) |
1671. 雨あがる
仏教国ならではの、人の徳についての物語。何の疑問も持たず間違ったデモクラシーに半世紀以上も毒され続けた揚げ句、グローバリゼーションの名の下に人情紙風船へ更にヘリウムを詰めるほど情を軽んじ、中小企業の副部長職レベルの小さな目標に向かって秒刻みで時間と自然を浪費している、現代日本人への無駄な抵抗って感じでしょうか。確かに心洗われる良い話ですけど、無我の境地に達している様なこの夫婦は浮世離れし過ぎていて、ファンタジーとして観るしかありません。あと、折角台詞が絞り込まれているのだから、唐突な夫婦のモノローグはそれぞれカットすべきだと思う。それにしても絶対いないだろうけど、この宮崎美子は理想の大和撫子だよなぁ…、6点献上。 6点(2002-11-01 03:11:30) |
1672. KT
頻繁に韓国語が飛び交う所為もあって、全く邦画を観ている感じがしない。これは正に邦画のあるべき指針を示した第一級のポリティカル・サスペンス・エンターテインメント映画。1970年代を緻密に再現した映像。真正面から描かれる日韓の間に醸成された憎悪と侮蔑。そして、世界に対しては国家の体を成していない日本(役人・政治屋)が、国民に対してのみ国家権力を振りかざす変わらない理不尽。日本人主人公の掘り下げが甘い感じがするのと、金大中本人をもう少し劇中から遠ざけてシンボル化した方が良かったような気がするものの、この面白さの前では小さな傷です。平和ボケした日本の地に於いてさえ、日常の裏で何が起きているかは分かりませんヨ。という訳で、7点献上。 7点(2002-11-01 03:10:11) |
1673. ザ・リング
「リング」が一般の評価や海外の評価に比べて(私も含めて)一部で著しく評判が悪いのは、原作が優れていたという事と同時に、竜司をサイコメトラーとしてしまった事にあるように思います。基本的に「リング」をまんまリメイクした本作は、それでもサイコメトラーという部分を除いてあるだけ個人的には評価しますし、恐怖も上の様に感じました。それに、雰囲気的には「リング」よりも「アザーズ」に近いです。それでも我らが「リング」が勝っている部分もありました。それはビデオを見て死んだ人の表情と、ラストのサマラ(貞子)の登場シーン。リック・ベイカーの特殊メイクよりも、人間そのままの恐怖の表情や怨念の目つきの方が怖い。この辺が東洋と西洋の違いでしょうか、6点献上。 6点(2002-11-01 03:08:49) |
1674. WXIII 機動警察パトレイバー
どーして「劇場版パトレイバー」は辛気臭い人間ドラマになってしまうんでしょうか? アニメならではのスペクタクルが無い地味な話がそんなに好きなら、いっそ実写で作りましょうよ。近未来風景のデジタル・マットも多少必要ですけど、ラスト数分だけなら充分クオリティの高いパトレイバーを登場させることも可能でしょう。13号は10年前の「ジュラシック・パーク」のお下がりの技術を使えば簡単。いつもいつも安易にアニメに逃げてしまうので残念でなりません。あと、本作には一切背景説明が無いので、「パトレイバー」を知らない方は何が何だか解らないと思います。これも安易に固定ファン向けに逃げた結果でしょう。製作者はもっと「映画ファン」に向き合って欲しいと思います、5点献上。 5点(2002-10-17 19:34:28) |
1675. ノイズ(1999)
シャーリーズ・セロンのプロモ的映画。膝を抱えて座った足の長いこと長いこと。夫を誘う仕草にセクシーな踊り。極めつけはプラチナ・ブロンドのベリー・ショート。う~ん、美しい…。しかし、田舎からニューヨークの上流階級にデビュー、その孤独から精神が錯乱していく妻って、「ディアボロス/悪魔の扉」と丸っきり同じ役柄じゃん! このストーリーのまま進めれば、なかなかのサイコ・サスペンスになったと思うのに、説明不足で理解不能のZ級SFに自ら転落。でもラスト迄の展開とセロンの美しさに、そこそこの満足感は得たので、4点献上。 4点(2002-10-17 19:32:36) |
1676. キャスト・アウェイ
夢も希望も冒険も生還のカタルシスも無い、リアルで今更なロビンソン・クルーソー物語。賛否があるようですが私的には、まぁ普通かな、と。取り立てて賞賛すべき部分もあげつらう部分もない。それが一番の難点と言えば難点ですが、トム・ハンクスの演技とロバート・ゼメキスの作り込みが無かったら、観ていられない様な駄作になっていたとは思います。ま、観て損はしませんでしたが、少なくとも私の人生の糧とはなりませんでした。主人公に同情はしますが、5点献上。 5点(2002-10-17 19:31:23) |
1677. 永遠と一日
おい、このタイトルはカットの長さのことなのか。一体いつになったら話が先に進むんだ…、それにしても、ね…眠い…。ま…まさかこの監督は…。あ、もうダメ…、意識が遠のいて…い……く…。zzzzz…。(以下寝言) むにゃむにゃ…そう言えば「旅芸人の記録」もギリシャ映画だったし、油断したなぁ…。どんな芸術性やメッセージがあってもこれは認められないなぁ…。それはギリシャの社会や文化や歴史を知らないからじゃないと思うなぁ…。この映画に眠らないでパルムドールをあげたカンヌの審査員は、ある意味偉いなぁ…。い…1点…献上。 1点(2002-10-17 19:30:30) |
1678. オーシャンズ11
【ドラえもん】さんの仰る通り、アンディ・ガルシアが全然悪人じゃない。映画を観る限り唯の有能な経営者じゃないか。だからガルシアを出し抜いても全然爽快感が無いぞ。あと、ジュリア・ロバーツが200億円より安いと聞かされてガルシアを振るのは許しても、何故に掌を返した様に毛嫌いしてた犯罪者の元に走れる? 主体性の無い馬鹿女か? 更には、手持ちカメラで泥臭い映画しか撮ってこなかったソダーバーグが、トラディショナルな「粋」を追求するのは無謀。材料が豪華なのに味付けに失敗した寄せ鍋という感じです。5点献上。 5点(2002-10-17 19:29:19) |
1679. コールド・ヘブン/悪夢の再会
これって、ある意味「サイン」に近いんじゃないですか。SFホラーに味付けされた信仰と奇跡の物語に対し、こちらはゾンビ・ホラーに味付けされた信仰と奇跡の物語。だいぶ記憶が薄れているものの、興味深く鑑賞した記憶があります。一連の現象を物語の破綻と取るか、素直に神の奇跡と取るかで印象も変わってくると思います(個人的に宗教モノが好きなんですよ)。私は「ジェラシー」でニコラス・ローグとテレサ・ラッセルに惚れました。ということで、「メメント」や「サイン」を遙か以前に完成させているニコラス・ローグの革新性に、6点献上。 6点(2002-10-17 19:28:06) |
1680. スター・ファイター
「ゲームセンターあらし」の様な主人公を、星間戦争に苦しむ異星人がパイロットとしてリクルートしに来るという、今思えば「ギャラクシー・クエスト」みたいなストーリー。でも、そんなことより本作の一番の売りは、宇宙で繰り広げられるドッグ・ファイトを初めてフルCGで描いたということでしたっけ。中身はティーン向けのバカ映画、肝心のCGは無機的なゲーム風だった為か、当時の映画雑誌には「CGは映画には向かない」等ということが本気で論じられていたりしました。「エピソード2」が公開された現在からは隔世の感がありますネ、3点献上。 3点(2002-10-17 19:27:05) |