1721. 青春の輝き
《ネタバレ》 こればっかりは、いまだに感覚として掴みかねている「人種差別」の問題。 「ユダヤ人だから」というだけで、みんなのカリスマ的人物であったデイヴィッド(ブレンダン・フレイザー)が、手のひらをかえされる様子は見ていて辛いし、理解に苦しみます。 ですが、同時に、それくらい人種差別の問題がいかに根深いものかということを感じ取ることができます。 当たり前のことなんでしょうけど、差別意識には個人差があり、世代間の格差もあるということが、この映画を見るとよくわかります。『差別というものを第三者の視点で客観視するとこう見える』という教科書的な映画として見ると、非常に価値ある作品だとも思います。 この分かりやすさ、作品への共鳴のしやすさは、やはりディヴィッドがユダヤ人であることが判明する前と後でのギャップを、大げさなくらい描き分けたからだと思います。また、ラストのカンニング疑惑事件は、人種差別の意識が、物事の判断基準に、いかに影響を与えるかということのわかりやすい事例になっている気がします。 結局事件は解決しましたが、この出来事は禍根となってずっと関係者の皆さんに深い影を落とし続けるのでしょう。 「僕の顔を見るたびに、あなたたちは今回のことを思い出すでしょう。」と言ったデイヴィッドの一言が、この映画のすべてなのかもしれません。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-19 19:42:57) |
1722. 岸和田少年愚連隊
《ネタバレ》 中身のない映画は苦手です。 中身がなくても、見ている間楽しめたり、爽快な気分になれたり、頭を使ったりする映画は大好きです。 この作品にはそのどれもありません。 言うなれば、雰囲気と会話の妙を楽しむ映画でしょうか。 報復→報復→報復→報復→報復・・・・ 何回繰り返すねんっていうくらい、延々と仕返しが続きます。 その報復のシーンだって、過激な割りにリアリティを追及するためか迫力には乏しくて、何か毎回消化不良のまま終わる感じなんですよね。 もちろん、絶妙な会話の面白さと、登場人物たちのなんか憎めないふんわりとした雰囲気によって、暴力描写が見事に緩和されて見やすくなっている点は評価できると思います。 ですがそれだけなんですよ。 最後まで見終わっても、それぞれが何かのゴールにたどりついたとか、成長したとか、そんなエピソードは最後までないわけです。 もちろん、それが青春だよって言ってしまえばそれまでですが、「なんのために2時間近くもこれ見てたんだろ」って気持ちになります。 雰囲気は良いし、会話も面白いし、映画全体に漂う閉塞感と疲労感も何かを訴えてくるし、悪くはないと思うのですが・・・・ ナイナイの岡村の大ファンの妻が、途中で見るのをやめた・・・ それがこの映画のすべてなのかなって思いました。 [DVD(字幕)] 4点(2013-05-19 19:07:33)(良:1票) |
1723. サンダーハート
《ネタバレ》 主人公のリボイが、父親にインディアンの血が半分流れているFBI捜査官、というやや変わった設定が面白いです。その設定自体は、物語の中で主人公のルーツを辿ると共に、主人公が見る夢の謎解きにも関わってくるので、映画の中で大事な役割を担っています。設定がきちんと活かされている映画って、観終わった後に、なんかすっきりした気分になります。 映画自体は丁寧な作品づくりだと思いますが、いかんせん内容や時代背景が、私たち日本人にはなじみがないものなので、結構わかりにくい部分も確かにあります。その辺のわかりづらさがこの映画のネックと言えばネックかもしれないですね。 インディアンの保守派と改革派にいたっては、どの登場人物がどちらの派閥なのかがわからなくなったりして、中盤までは人物関係整理するので頭がいっぱいいっぱいになります。 もう一回見ると、もう少し映画に入り込めそうな気はしますが、今回は初見のみでの感想にして、わかりづらさを減点させてもらいました。ですが、ミステリー要素を含めた推理サスペンスものとしては、充分楽しめる内容だと思います。ラストの盛り上がりもナイスです。確かに鳥肌ものですね! [DVD(字幕)] 7点(2013-05-19 18:36:51) |
1724. ジェイソンX 13日の金曜日
《ネタバレ》 ホラーの要素も多少は含めつつ、戦闘員やアンドロイドとのアクションが満載で、予想以上に楽しい作品でした! 「蟻をつかったマシーン」で、人もジェイソンも良い感じで復活したり、仮想バーチャルの世界でジェイソンを混乱させたり、未来ならではの設定も良かったのではないでしょうか? ただただ、ひとつだけ! バージョンアップを遂げた後のジェイソン! 撃たれても「カキーンカキーン」って! そんなのジェイソンじゃないやい! あくまで、銃弾や敵の攻撃をその身に受けて、傷つきながらも何度も立ち上がる。 そのジェイソンの姿が感動を呼び、涙をさそうのに。 ラストでやっぱり湖に還っていったみたいですから、もう一度湖底で『自分は何者なのか』ということを、頭冷やしてじっくり考えてほしいです。 自分を見つめなおし、本当の自分を見つけたら、また元気な姿を見せてほしいです。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-17 14:28:19) |
1725. リーサル・ウェポン4
《ネタバレ》 シリーズラストということで、卒業式を見るようなテンションで見ていたら、劇中で展開される人間ドラマ(マータフとバターズ、リッグスとローナ、そしてレオ)全部に気持ちがいっちゃって、メインのストーリーに集中しきれなかったです。 それでも火炎放射器男にはじまり、ビルの中のカーチェイスから、史上最強のカンフー男の登場と、思いつく限りすべての娯楽アクションを詰め込んでくれた作品づくりに大満足。まるで、花火のラスト、一斉にこれでもかと打ち上げるあの瞬間に近い感慨を覚えました。 ラストのハラハラ感(特に水中、間に合うとわかっていてもドキドキ。)はシリーズ中最高な気がします。また、ローナが読んでいたベストセラー恋愛小説の作者がマータフの奥さんっていう地味な伏線があるのもグッド!メインと関係ない、どーでも良さそうなエピソードに、思いっきり知恵や工夫を取り入れている映画は大好きです。 1~4まで通しで見ることができて、何とも言えない達成感が・・・ よーし、次は「ダイハード」見るぞー。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-05-17 04:40:55)(良:1票) |
1726. 許されざる者(1992)
《ネタバレ》 見始めてすぐに感じる違和感。 そう、なぜ止めようとしたもう一人が一緒に縄でしばられ、裁かれようとしているのか。現場にいたはずの誰もが、なぜ彼をかばおうとしないのか。それどころか、娼婦のリーダーのような女性は、「二人とも縛り首にして」と言い放っている。 当時の時代背景を知る由もありませんが、女性の敵意は個人ではなく、娼婦を物扱いする「カウボーイ」という人種に向けられたものであったのでしょうか。 この若いカウボーイ、もう一人の暴挙をやめさせようと必死になり、その後謝罪のために馬を差し出し、その行為には確かに誠意を感じるにも関わらず、結局は女性たちから賞金稼ぎを雇われて最後は殺される運命で、まったく腑に落ちません。 彼をふくめて、殺されて当然の人、そうでない人、悪人、善人、すべての人が「銃」という暴力の前に次々と命を散らしていきます。それぞれの正義や道徳、思いといったものが、暴力の前には何と無力で何とあっけないものなのかということは、ものすごく伝わってきます。 そういった意味では、西部劇の姿をかりた、人間ドラマということで、見る価値はあるのかもしれませんが、『西部劇を見よう』と思っていた立場からすると、「これ、面白いか?」っていうのが正直な感想で、見る前のスタンスによってその映画の評価って変わるものだと思いました。 [DVD(字幕)] 4点(2013-05-16 17:07:01)(良:2票) |
1727. [Focus]/フォーカス(1996)
《ネタバレ》 いわゆる『オタク』という枠にカテゴライズされる人達っていうのは、普段スポットライトを浴びたことがないので、ふいにそういう機会に恵まれると、虚栄心や自尊心というものが本当に子供じみたかたちで現われることが多いんです。 そういった意味では、浅野さん演じる『金村』は、非常にリアルでかつ『ありがちな』オタクの、ひとつのモデルを見事に体現してくれていたとおもいます。それは手撮りの臨場感に更に拍車をかけることになり、見る人によっては一緒に車の中に乗っているような錯覚さえ覚えてしまうかもしれません。 個人的には白井さん演じるレポーターや、音声のヨーコさんもかなりリアルな演技をされていて、時折はいってくるカメラマンの声にいたってはもはや演技とは思えません。 日常から少しずつ非日常へと変化していく様子、そして一線を踏み越える瞬間まで不自然さを感じさせないストーリーも、単純ながら素晴らしいの一言。 一線を踏み越えてしまったあとからは、多少ありがちなサスペンスものなってしまいましたが、一線を越えるまでは、『いつ何が起こるかわからない』という不安感や緊張感を常に感じさせていて、見終わった後には徒労感と何とも言えない後味の悪さしか残りません。 冷静に考えれば、白井、おまえが一番悪いんだよって言いたくなる。 金村君とヨーコさんは、個人的には犠牲者にしか見えないです。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-16 12:08:21)(良:2票) |
1728. リバー・ランズ・スルー・イット
《ネタバレ》 評価が分かれるのもうなずける作品。なぜかって、これは男兄弟の家庭で育っている人にとっては、シンクロする可能性は非常に高いと思われるからです。言ってしまえば、こういった家庭というのは世間一般にはよくあって、だからこそ自分や自分の家族と重ね合わせて物語に入りこんでしまう人は少なくないと思うんです。 もちろん、それはこの映画の完成度が高いから成せる業であって、クレイグ・シェーファーやブラッド・ピットだけではなく、トム・スケリットとブレンダ・ブレッシンの迫真の演技があってこそ成り立つものだと思います。 特に両親、父親は弟のほうに愛情の天秤が傾きがちなのに対し、母親は中立で平等に愛情を注ぐ存在。兄にとって母親は救いであると同時に心に平穏をもたらしてくれたはずだし、父親にはもっと『自分のことだって認めて欲しい』と思っていたのが伝わってきます。 兄は少なからず不公平感を感じ、弟に多少なりとも嫉妬していた。そしてそれ以上に弟と両親を愛していたのです。 兄に転機が訪れたのが、シカゴの大学での教授職に採用が決まったこと。そして恋人との恋愛がうまくいき、結婚を考えていること。いままで、弟に偏りがちだった両親の愛情、弟に対するコンプレックスを払拭した瞬間。 父親が食卓で、いつものように『弟』の話を聞こうとします。「今日のニュースはなにかな?」って。借金で首が回らない弟、心ここにあらずといった感じで、「そうだなぁ」と考えていると、兄が「じゃあ、今日は僕がニュースを話そう。」と言って、教授職に就くことを報告します。父親は感動し、ただ一言、「素晴らしいニュースだ。」と。弟も「兄さんを誇りに思う。」と。 本当に感動的なシーンです。いつもマジメに、地道に頑張ってきた兄が、とうとう家族全員の祝福を一身に受けるシーン。 ところが、その直後、兄がシカゴに出発する直前。弟は右手を砕かれたうえに殺害されます。弟はきっと家族の中で神格化され、二度と兄が弟を越える(越えるという表現は適当ではないかもしれませんが)ことはないだろうということが、ラストの母親の表情と父親の台詞から感じられました。 ラストの年老いた兄が一人で釣りをするシーン。 感動的なラストであると同時に、もしかするとあの事件以来筆者の心は孤独だったという暗喩的な意味もあったのかもしれません。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-15 13:29:09)(良:4票) |
1729. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー
《ネタバレ》 さいっっっこうですね! こんなに爽快でこんなにパワーバランスのとれたカンフーアクションはめったにないのでは? アイアン・モンキーやウォン・ケイインだけではなく、子供も、おねーさんも、みんな強い!速い!美しい!速い!(あ、速いって2回言ってしまった。) それぐらい技が速い! 相手の悪っぷりも最高!適度に強いレベル設定も最高! ストーリーも笑いどころがちりばめてあって楽しい。ウォン・ケイインの「まだ出来ないのか」で爆笑! 終盤、結構えぐいアクションになってきたのはちょっとだけびっくりしたけど、それもまた良い。 最後の炎の中でのアクションだけはちょっとしつこかったけど、許す! 一緒に見た人は、あろうことか途中で寝ていたけど、この映画は10点です! もってけドロボー☆ [DVD(字幕)] 10点(2013-05-14 01:40:07) |
1730. リーサル・ウェポン3
《ネタバレ》 3作品の中では一番好きかもしれないです。(4は未見) 路線がはっきりしていて、コメディとアクションにかなり力を入れてくれている分、人間ドラマは控えめになっている印象です。 とは言え、息子の友人ダリルを撃ち殺してしまったことを後悔するエピソードは見応えがあったし、若い警官が、『警官キラー』でドラムカン越しに撃ち殺されるシーンも強烈なインパクトがありました。 もし、ストーリーが本当に適当であれば、どんなにアクションが光っても、物足りなさを感じるんですよね。 アクションはカタルシスを感じるためのツールの一つだと思っています。ですので、説得力のあるストーリーあってのアクションじゃないかなーと思うわけです。そういう意味では、リーサルウェポンシリーズは、悪いやつがもう本当に胸糞悪くなるくらい悪いやつばっかりなので、素直にリッグス達を「がんばれ!」って気持ちで見られます。だからアクションがより爽快に、コメディな演出はいっそうおかしく感じられるわけです。 このシリーズはなかなか楽しいですね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-05-14 01:23:56)(良:1票) |
1731. 13日の金曜日PART7/新しい恐怖
《ネタバレ》 この辺から急にジェイソンもネタものっぽくなってきましたね。『新しい恐怖』っていうのはキレやすい念力少女のことでしたか。 『VS念力少女』という少年漫画のようなバトル要素を味付け。13金シリーズに吹き抜ける新しい風。でもその味付けに頼りすぎて、本業の『ホラー』が大分薄味になってしまった印象。特に恐怖演出に関しては工夫が足りませんね。 登場キャラは千差万別。超能力少女。イケメン。いじめっ子。ラリ男。ダサ子。ケンカ中の黒人カップル。クソヤローな医者。なかなか個性的な面子をそろえたのに、誰も彼もがあっさり退場。なんかもったいないです。 よくわかんなかったのが、ダサ子。2階の部屋でメイクをしていたはずなのに、なぜかいつの間にか外に出ている。案の定ジェイソンに血祭りにあげられちゃうわけですが、あの部屋から急に屋外ってのは、不自然極まりない。 とまあ不満点を挙げればきりがないわけですが、そんなところも含めて結構楽しめちゃったのも間違いないです。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-13 02:00:32) |
1732. ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌
《ネタバレ》 銃がもう一人の主人公と言っても過言でないくらい、あらゆる種類の銃がでてきます。ストーリー上も、よくある「麻薬密売組織の壊滅」ではなく、「兵器密売組織の壊滅」というのが徹底していて良いです。 また、こちらの映画では銃火器が凶悪なので、それにあわせて出てくる人達の耐久性が2割増しくらいであがっております。普通のガンアクションのように1発くらいじゃ倒れません。たとえ通りすがりの雑魚キャラでも、かなり撃ち込む必要があります。だいぶ根性があります。メインの人達につきましては、多少撃たれても跳んだりはねたりしているので驚愕です。 それから、個人的に粗がありまくりのストーリーってそんなに嫌いではないので、この映画のストーリーは結構好きです。わかりやすいし。彼が実は潜入捜査官っていうのはびびったし。 それにこの映画は、やはり純粋なガンアクションを楽しむタイプのようですから、ストーリーに粗がありまくりなのはスルーしちゃっていいんでしょう。 と、いうわけで、ガンアクションが好きな人であれば、わけ隔てなく楽しめる映画なのかなと思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-13 01:44:18)(良:1票) |
1733. 愛に翼を
《ネタバレ》 まだ10歳の少年ウィラード(イライジャ・ウッド)が、夏休みの間、母親の友人のところへ預けられるというお話。 ウィラードを預かる母の友人リリー(メラニー・グリフィス)。その夫ベン(ドン・ジョンソン)。リリーは親切だし、ベンも少し無愛想で冷たい印象があるものの、やっぱり根は優しい。 この二人、以前はとても仲が良い夫婦だったらしいのですが、ある理由により、現在はうまくいっていない様子みたいです。 実はこちらの映画、メインのストーリーがふたつありまして、ひとつはウィラード自身の成長の物語。もうひとつはリード夫婦の絆の再生の物語。これに、ビリーというウィラードの1つ年下の女の子や、そのお母さんもちょっぴり加わって、きれいにひとつのまとまったストーリーを織り成しています。 ただ、あまりにすっきりまとまりすぎているため、刺激は少なめかもしれません。リリーの告白のシーンはその迫真の演技に涙を誘われることもありますが、全体的には、いたって普通。 例えば、夫婦仲の再生にしても、『なにか感動的なサプライズを通して、二人の関係が大きく変わる。』とかいうパターンではないのです。ウィラードと二人が接していくことで、小さな影響を少しずつ二人が受けていくわけですよ。これといって大きな出来事はないんです。(まあラストに少しあるっちゃあ、あるんですけど・・・)ですので、すごく自然なそれぞれの成長・再生を見届けることができて、そこは満足なんですけど、ちょっと映画としての物足りなさは感じてしまいましたね。 ラストは明るい未来や希望を感じさせてくれるような余韻が残ります。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-13 01:09:31) |
1734. ドクター
《ネタバレ》 病気になったとき、けがをしたとき、今までと同じはずの風景が、まるで違う景色に見えてくることは確かにあります。ですがその感覚っていうのは、当事者にしかわからないもので、非常に言葉にしづらい抽象的なもののはずなんです。その感覚をこんなにリアルに感じ取ることができるなんて、すごいことだと思います。 検査や診察の結果を妻に言い出せないでいるジャック(ウィリアム・ハート)。車椅子に乗ることを拒否するジャック。不安、プライド、孤独、焦燥感。ジャックの複雑な感情の起伏が、時にはジャックの目線で、時には妻や患者仲間のジューンや同僚の目線を通して画面から絶えず発信されてくるのです。 この映画では、1シーン、1シーンが、どれも重要なメッセージを伝えてきます。ものすごく丁寧で、ものすごくリアルで、ものすごくアツくて、それでいてものすごく静かなドラマです。心揺さぶられる物語です。 そして、ラストの屋上のシーン。 ジューンから届いた一通の手紙。 それをわざわざ屋上へ行って読むジャック。 そしてその手紙の内容が・・・。 うわー。やられたー。 この手紙・・・一生忘れることのない手紙になりそうです。 今まで見たことがある中でも、ベスト3に入るラストでした。 [DVD(字幕)] 10点(2013-05-09 04:27:29) |
1735. ポリス・ストーリー3
《ネタバレ》 前2作に比べ、随分とストーリーが練りこまれ、作品の印象がかなり変わりました。登場シーンの警察の制服も全然違うんですよね。現代っぽくなってきたなぁという印象です。 潜入捜査というシチュエーションのためか、3作品の中では一番緊張感があり、一番ストーリーを楽しめるのではないかと思います。ただ、ストーリー重視にしているため、アクションはあくまで必要最低限の範囲内で行われ、わざわざ『銃を使わずにみんなでカンフーで大暴れ』なんて合理性のないこともしていません。 よって、必然的にガンアクションが増え、カンフーアクションはやや少なめに。ただ、カンフーアクションのシーンはいつも以上にキレとスピード感が増したように感じられたので、ジャッキーファンの方に充分満足していただける内容に仕上がっているものと思われます。それに、任務遂行上必要なカンフーが多いので、気持ち的にも盛り上がります。 今作ではミシェル・ヨー演じるヤン指揮官が大活躍。潜入先の妹として登場したときはびっくり。(潜入先、架空の家族をあれだけ大規模に、本格的に作っていることに感心しました。このあたりから映画にのめりこみ始めた気がします。) 女性は線が細いので、視覚効果のためかやたら動きが早く見えるので、爽快感が半端ないです。ジャッキーとのコンビアクションも完璧。車にぶらさがったり、バイクで列車に乗ったり、恐ろしい女優さんです。 難を言うならば、やはりラストでしょうか・・・そこで終わっちゃうんですか?これって任務達成になるのかどうか、みんながその後どうなるのか、よくわからないまま終わっちゃって、なんか不安な気持ちに。 上司の面々が出てきて、笑顔で一言「お疲れ。」くらい言ってくれたらさ、ほっとした気持ちでスッキリ終わることができたんですけど。 ねぎらいは大事ですよ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-05-08 13:31:52) |
1736. リーサル・ウェポン2/炎の約束
《ネタバレ》 前作と異なり、すでに息ぴったりの仲良しコンビで物語スタート。 今作ではリッグス・マータフ以外の刑事さんたちも、脇役としての立場を守りながら、かなりの頻度で出てきてくれるので、脇役好きとしてはかなり嬉しい演出。脇役も活躍できる映画って、自然と映画の世界やスケールが広がる感じがして好きです。 『とても仲の良い職場』という前半の刷り込みは、後半の復讐劇の動機付けに一役買ってくれているので、そこもうまい演出かと。 更に、ジョー・ペシ演じるレオ・ゲッツの投入で、リッグス・マータフの息のあったつっこみを何回も見ることができて、前作とはまた違った面白さのトークを楽しむことができます。更にはトイレでの爆弾騒動など、シリアスな中にもなんか笑ってしまう絶妙なコメディを取り入れているところが素晴らしい。(特にトイレは・・・みんなが感動的なセリフ、シリアスな表情を見せれば見せるほど笑ってしまう。だって、トイレですよ。トイレ。しかもおそらくアフター。) ただ、気になるところもあるんですよねー。エンターテイメントを意識し、肩の力を抜いて楽しめる作品にしたかったのかと思いきや、な、な、な、なんと、同僚どころか恋人まで無残な殺され方をしちゃって、頭の切り替えがちょっと大変なんです。 リーサル・ウェポンはさ、やっぱどちらかと言うと、『まじめなんだけどややコメディ寄りのアクション映画』と思うわけです。・・・にしてはさ、ちと犠牲者が多すぎる気がしないでもない。 まあ、そのギャップもメリハリが出ていいんでしょうけど。 リカ(パッツィ・ケンジット)の死に顔なんか気合はいりまくりで怖すぎ。そこだけ、なんか映画のテイストが重い。肩の力抜きまくってたからマジでびっくりしましたよ。 最後二人で笑いあっているのもなんかね。 結局同僚もリカも戻ってはこないのにさ。 唯一と言っていいくらい生き残ったのは、ジョー・ペシ、おまえかよ。次作も出る気満々じゃん。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-05-08 05:05:51)(笑:1票) |
1737. ユニバーサル・ソルジャー
《ネタバレ》 劉備に曹操がいるように。 アムロにシャアがいるように。 この映画のヴァンダムにはドルフ・ラングレンがいる。 そう、ドルフ・ラングレン演じるスコット軍曹はこの映画のもう一人の主人公。 その無敵っぷり、狂いっぷり、もはや芸術の粋。スーパーで駆けつけた警官4人を射殺した後の「ほらな。」っていう台詞と表情。もはや芸術の粋。 それに対するヴァンダム演じるリュックさんも負けてはいません。個人的に一番の見所は、食堂で一般人相手に容赦なく腕力ふりまわすシーン。そして散々暴れた挙句のこの一言。「暴力はよくない。」うおぉ、お前が言うなぁ。 正直、「ああ、どちらを応援すれば良いんだ。」と本気で迷ってしまうくらい、両者とも良い。どこかの近未来SFみたいに、完全にニュータイプとオールドタイプに分けなかったのも良い。 それでもいくつか注文をつけるとしたら、「氷で冷やす。」「血清を打つ。」制限が多すぎることが、少し映画のスピード感や爽快感を損なう欠点になっているかも。 また、ラストの両親との再会は、あの程度で終わらせるくらいなら別になくても良かったのでは。『故郷に戻ったけれど、両親は二人とも他界していて、歳月の流れを感じさせる演出』とかだったらまだ良かった気もしますが。 あとは、他のユニバーサル・ソルジャー達も活躍させて良かったんじゃないかな、というのは贅沢でしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-06 04:47:41)(良:1票) |
1738. 傷だらけのランナー
《ネタバレ》 カキーン。ヒット。心にヒットしましたよ。 スポーツものは好きなので、どうしても点数が甘くなりがちになっちゃうけど、いいや。感動したし、面白かったし。誰かに観てほしいと思ったし。 リッキー・シュローダー演じる弟ビリーも、ブラッド・ピット演じる兄ジョーも、ばっちり役にはまりまくりで、素晴らしい兄弟愛を見せてくれました。何が良いかって、二人とも完璧ではないところが良いです。 弟ビリーはただの問題児では終わらなかった。兄や母に見守られ、励まされ、支えられる存在から、いつの間にか兄や母を励まし、支え、気遣う存在に。 兄のジョーも、品行方正の優等生お兄ちゃんでずっといくのかと思いきや、終盤に来てまさかのドロップアウト寸前。えぇ?もしかしてそこで道ふみはずしちゃうの?っていうくらいハラハラ。ハラハラ。 あぁ、でも人としての倫理感や正義感は、なくしていなかった。(少年に薬を売り渡す不良に、お兄ちゃんキレる。そう、そこはキレとこう!) そうか。ジョーが弟に優しかったのは、少なからず優越感がそこにあったからなんですね。弟をかばったのも、陸上部への入部をすすめたのも、弟をほめちぎったのも、不良を追い払ったのも、陸上シューズを買ってあげたのも、朝練に誘ったのも、すべては優越感からくるもの。 ところが、弟に負けるはずがない、という過信がもろくも崩れ去る瞬間が。それからのジョーの行動は、まさに等身大の「ザ・お兄ちゃん」って感じで良かったですね。こっそり朝練に行こうとするのなんか、わかりやすすぎ。 最後まで観ると、兄弟愛、家族愛が本当に強かったのは、弟のほうだったのかな・・・とさえ思えてしまう、素晴らしい出来。 素晴らしいスーパーど直球青春映画。最高です。 [DVD(字幕)] 9点(2013-05-06 03:51:36) |
1739. ツイン・ドラゴン
《ネタバレ》 冒頭の双子が別れるモノクロシーンがよくできていて、ドラマ性の強い脚本を予感させてくれました。実際、アクションのクオリティは相変わらず高いものの、ドラマ、コメディ、アクションで映画が3分割されている印象が強く、いつもと比較するとアクションの相対的な量はやや少なめでしょうか。ばりばりのジャッキーアクションを期待しすぎると肩透かしを食らうかもしれません。 正直なところ、僕自身もタイトルとパッケージの絵から、勝手に、(いや、もうほんと勝手になんですけど・・・)双子が息ぴったりのアクションで圧倒するようなものを想像していたものですから。片方のジャッキーが武術ができないと告白したシーンではもうがっかり。「実はへたれインテリに見せて俺も強いんだぜ。」みたいなのが良かったな。 弱いくせに、ラストでは「俺も行く。きっと役に立つぜ。」っておいおい、よく言えたもんです。いやいや、待てよ、実は頭がすっごい良くてなんか秘策があるのでは・・・?最後の最後でこいつにも見せ場が?と最後の期待を持って観たのに、秘策どころか無策も良いところで、「おまえなんでついてきたんだよ」って感じでした。 と、ゆーわけで、設定、切り口、笑い、どれも良かったのですけど、残念ながら設定を活かしきれずに終わっちゃったね、っていう感じです。 とりあえず、シートベルトはちゃんと締めようという気持ちだけはものすごく伝わってきました。メッセージ性の高い啓発的作品なのかもしれないですね。んなわけないか。 [DVD(字幕)] 5点(2013-05-06 03:22:02) |
1740. PERFECT BLUE
《ネタバレ》 序盤から中盤にかけて、アイドル未麻の女優転身までのくだりがかなり面白かった。事務所の社長と、未麻のマネージャーで元アイドルのルミの言い争いがリアルで、その二人の間に挟まれて思い悩む未麻の様子がよく描かれていたと思います。所謂サクセスストーリーものとしての始まり方が良かったと。 中盤以降は物語のテイストは一気に幻想的なサスペンス路線へ。精神的に辛い仕事が続く未麻は、次第に現実と虚構の区別がつかなくなりはじめるほど衰弱していきます。その未麻の視点を私たちの視点と重ね合わせることで、私たちにも何が現実なのか分からなくさせていくわけですね。 方法論として否定する気はありませんが、濫用は感心できません。そりゃあ、これだけ画面が切り替わりまくり、虚構のシーンを挟みまくれば混乱しますよ。最初は、「あぁ、なんだ夢だったんだ、すげぇ・・・」「あ、これも夢だったんだ・・・」で、驚きと感心があったのですが、あまりにその手法を使い続けるものだから見ているうちにちょっと疲れてきたうえに飽きてきました。 夢のシーンっていうのはさ、現実の中にベストなタイミングで挿入するからこそ、効果てきめんなのではないかと思うわけです。この作品の使い方は、ちょっとずるいというか、逃げにさえ見えてしまいます。(逃げているわけではないのでしょうけど。) せっかく正統派のオチを用意しているわけですからね、夢のシーンの濫用だけが残念です。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-05 14:43:23)(良:1票) |