161. 突撃(1957)
《ネタバレ》 戦争が、いかに人間を愚かな方向に導くかということを痛感させられる映画でした。日本もそうでしたが、戦争になれば、理不尽な命令や滅茶苦茶な裁判、見せしめの処刑なども当たり前、真っ当な理屈がまかり通る状況ではありません。もちろん、兵士の命などどうでもいいんです。処刑される一人が「なぜ何もしていないオレが殺されなきゃならないんだ」と泣き喚きますが、同情する気にはまったくなれません。理由はどうあれ、戦争に参加したということは、相手を殺します。まだ殺していなくても、そういう状況になれば、相手と殺し合いを繰り広げます。そういう人が「何もしていないのに殺さないで」などど言わないでほしいですね。もちろん誰も好き好んで戦争に参加しているわけではありませんが、戦争に参加して死ぬくらいなら、戦争を止めようとして死んでいく方がよほど「名誉な死」、キューブリックが言いたかったことって、こういうことなのでは?と、見終わってふと頭を過りました。キューブリックの作品、そんなにたくさん見たわけではありませんが、キューブリックって「いい映画を作る」ことより、自分のメッセージを、いかに強く伝えるか。そのために映画を作ってるんじゃないか、と思える作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-01 21:35:16) |
162. 寝ずの番
《ネタバレ》 冒頭で、木村佳乃が師匠におめこを見せる・・・・・なんて書き方をしたら、下品だセクハラだと大騒ぎする輩が増えた世の中、おめこをエロよりも笑いのネタにしてしまう上方の気質をうまく表現していたと思います。通夜の台所で茂子がまじめに「あんなことしてショックで死期を早めたのでは?」で多香子が吹き出し、美紀が「あー、おそその話!」で、あーちゃんが吹き出すシーン、面白過ぎてここだけ何度も見返しました(笑) これ、松鶴師匠と一門(上方落語界)をイメージしているのでしょうが、安易に関西の芸人や落語家をキャスティングせず、演技力のある俳優を中心に据えたのが正解でしたね。ただ、堺正章が尼崎の鉄工所の社長というのは無理があるというか、関西の人なら「ちゃうちゃう!」とツッコんだのでは?(笑) 通夜&下ネタばかりで、さすがに途中からは飽きてきたものの、関西人の面白さを俯瞰的にうまく捉えていたのは、中島らものセンスでしょうか。若い頃には「しょーもない。笑えんわ」と思っていた艶笑噺の粋、少し理解できた気がします。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-02-24 21:56:15) |
163. ワンダフルライフ
《ネタバレ》 死後、人生最高の思い出とともに向こうの世界へ・・・という着想やアイディアは面白く、是枝監督らしい、味のあるヒューマンドラマを期待しましたが、ちょっと物足りませんでした。着眼点はファンタジーなのに、あれではただの再現ドラマしか生まれず、そんなもの見せられたって・・・と思うはず。内容にいまひとつ入り込めなかったため少し退屈でしたが、でも全体の雰囲気は悪くなく、この雰囲気が好きという人も多いと思います。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-02-17 13:55:28) |
164. のだめカンタービレ最終楽章 後編
前編後編、まとめて観ました。原作の面白さをここまで実写化できたのは、演出と役者の力量のおかげだと思います。ただ、ラストの締め方は、個人的にはちょっとどうかと・・・。のだめ熱も冷めた今、そんなに気合い入れて観ようと思ったわけでもないのに、ついつい最後まで観てしまい、また原作を読みたくなりました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-02-11 16:25:13) |
165. のだめカンタービレ最終楽章 前編
この映画が面白かったのは、人気の漫画を実写化して成功したドラマがベースにあったから。このテの原作を映像化して破綻するパターンはよくありますが、これは最後まで楽しめました。とはいえ、ドラマの雰囲気を受け継いでいるため、映画としての評価は高くはない・・・というか、ドラマを見ていない人にもウケようなんて思って作っていないでしょう、きっと。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-02-11 16:17:48) |
166. 現金に体を張れ
無駄なシーンや余計な装飾が一切ないので、良いテンポで最後まで一気に楽しめました。登場人物の心理や生活背景的な描写は必要以上に出さずに、淡々と話を進めたからこそ面白かったのだと思います。シンプルな中にも犯罪もの・サスペンス的な面白さを凝縮したという点で、まったくジャンルは違いますが江戸川乱歩の「二銭銅貨」という小説に通じるような気がしました。この作品に影響を受けた犯罪・サスペンス映画、多いのではないでしょうか? [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-02-10 19:18:08) |
167. 恐怖と欲望
キューブリックの映画は「2001年~」だけは観たことありますが、正直、どんなにすごい人なのかよく知りません。有名な人の初監督作品というふれこみでしたが、ストーリーは平凡だし、心理描写の表現も共感できないし、退屈でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-02-07 20:10:07) |
168. Seventh Code
思い切り偏見ですが、アイドルの「私、ここまでやれるんです」というドヤ顔を見せられたような気分です。でもカメラワークや映像のカッコ良さは印象に残っています。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2015-02-04 00:27:42) |
169. いそぎんちゃく
なんとなく淫靡な気配がしたので観てみたら、だいたい予想通りでした(笑)。ただ、渥美マリの演技の稚拙さは仕方ないにしても、主役を張れるような器の役者ではないように感じました。まぁあの当時で、これほどまでのエロ路線まっしぐらなら、そこそこ話題になったんでしょうが、やはりエロだけでは本当のスターにはなれないんですねぇ・・・。なんだか、若い頃に観た日活ロマンポルノみたいな感じでした。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-01-09 22:06:37) |
170. ブリジット・ジョーンズの日記
ベタベタのラブコメで、バニーガール姿や消防署での尻のアップシーン、下着姿で街中を疾走などのエロ要素も絡んで・・・とくれば、どうしようもなくくだらない内容になりそうなのに、主人公や作品全体がなぜか下品に感じないのは、米ではなく英映画だから?ただ、わざわざレンタルして気合いを入れて見るほどの内容でもなく、ヒマつぶし程度にはちょうどいい映画、といった感じでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-12-30 13:16:25) |
171. 天使の分け前
《ネタバレ》 「天使の分け前」というしゃれた呼び方を、最後にうまく使いましたね。それなりに面白かったものの、でも特に印象深いところもありませんでした。暴力で人の人生を狂わせた・・・とか、立ち直るのかと思ったら結局犯罪か・・・とか、そういう設定は別に気になりませんが、その設定が特に効果的というわけもないし、肝心のウイスキーについても対して掘り下げることもない・・・。ワルが更生・社会批判・痛快犯罪劇など、テーマをどれかに絞り込んで作れば、もう少し伝わるメッセージもあったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-12-28 00:36:06) |
172. クロエ(2009)
演出や映像美へのこだわり、クロエの魅力的な容姿など、見どころはいろいろあると思いますが、肝心のストーリーがどうも・・・。地味な話でありながら、終始「いかにも架空のお話」感ムードに包まれて、クロエ、キャサリン、ご主人など誰の感情にも共感できるところがほとんどありませんでした。90年代頃、夜10時のドラマに、こういうの多かったなぁ・・・って、ふと思い出しました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-12-13 21:57:17) |
173. ハチミツとクローバー
驚いたのは、竹本君は桜井翔以外考えられないくらいハマっていたこと。蒼井優のはぐちゃんもさすがでした!他にも登場人物の雰囲気を、実写で上手に表現していましたが、見どころはそれだけ・・・。これ、原作やアニメ版を見てない人には、まったく面白くないのでは?役者の演技や演出は高く評価できるけど、脚本が、オリジナリティを出したいのか原作を生かしたいのかよくわからない中途半端な内容で、竹本君が自転車で走り出す展開も空振りに終わってしまっていました。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-12-01 01:04:08)(良:1票) |
174. 地球防衛未亡人
《ネタバレ》 オープニングが意外とカッコ良く「もしかして?」と期待しましたが、本編開始1分足らずでトホホホ・・・(笑)。核廃棄物問題・近隣諸国との揉め事や政治家のパロディなどの社会風刺ネタ、昔のダン隊員と壇蜜=ダンとの共演、そこに昭和特撮テイストも加わって、壇蜜大好きオヤジ世代には意外とウケるかも? R指定ではないので壇蜜の露出度は期待できませんが、そのかわり、昭和のアイドルもビックリなくらいの、ものすごい演技力で笑わせてくれます。まあ、映画としてのレベルは0点以下ですが、これを作ろうという勇気と心意気、そして実現させた漢気に1点です(笑)。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2014-11-04 00:38:32) |
175. 魔法にかけられて
単純なストーリーでしたが、なかなかのテンポ感でそれなりに楽しめました。ただ、多くの人に楽しんでもらおうとすると、どうしても話の展開が無難になり過ぎて、微妙な心理描写などもなく、面白さの質が薄かったように感じます。そのため、見終わっても特に印象に残るシーンも展開も皆無で、おそらく、もう一度見たいという気は起こらないと思います。 [地上波(字幕)] 5点(2014-11-02 23:35:38) |
176. 暴走機関車
う~ん、機関車が暴走するという設定なのに緊迫感は全然ないし、人間ドラマ的な部分も、マニーに深みがなさ過ぎて名言っぽいセリフも戯言にしか聞こえません。所長の言動なんてコメディ漫画レベル。結局、何を楽しめばいいのかさっぱりわからない映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2014-10-25 23:12:39) |
177. 雁の寺
《ネタバレ》 何なんだ~、この面白さは!! いや、面白いというより、ものすごい!と叫びたくなるような映画でした。慈念が、出生の過去から逃れてやってきた寺でもアホ坊主にいじめられ、それでも健気に頑張っていくのか・・・と思ったら、心を惑わす里子の存在。だんだんと寺の仕事も任されるようになり、そうなると、あんなアホ坊主のひとりくらいは・・・となるのは当然の展開ですね。不謹慎ながら、これで里子と慈念はめでたしめでたしというブラックな締め括りかと思ったら、いい意味で裏切られました。そんな安っぽい話ではありませんでしたね。ラストの、白黒からカラーへの転換、賛否両論あるでしょうし、自分もあれがいいのか悪いのか理解できませんが、とにかくすごい挑戦だと思います。印象深かったのは、慈念の「トンビはね、ためてますねん」というセリフで心の葛藤を表現するシーンはすごかったです。サスペンス調になった時のカメラワークも斬新だし、なんといっても若尾文子のエロさがハンパないです!特に「また見られてしもた」は、最高でした(笑) [CS・衛星(邦画)] 9点(2014-10-22 22:20:56)(良:1票) |
178. 恋の門
かなり笑えました!それに、ただギャグのオンパレードというだけでなく、映画として高いクオリティを保っていたと思います。センスのない人だったらB級のVシネマ程度にしかならないような素材を、ひとつの作品に練り上げるあたりはさすがですね。ただ、前半のテンポ感の良さが終盤でやや失速気味だったのが残念です。クドカンのセンスが好きな人なら楽しめる映画だと思います。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-10-22 19:36:36) |
179. ディア・ドクター
《ネタバレ》 いまひとつ気持ちが入らない感じでしたが、伊野が公衆電話で実家に電話するシーンはグッときました。最後、入院中のかづ子の前に、病院職員に扮した伊野が現れる、それはいいのですが、実際に顔を合わせているシーンをそのまま見せるのは、この監督らしくないと思いました。「最後に2人は病院で会いました。」ではなく「きっと会ったんだろうなぁ・・・」と予感させるような演出で締めてほしかったです。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-10-14 10:25:30) |
180. アナと雪の女王
つまらない・・・ってことはなかったけど、何だか脚本が大雑把というか単純というか・・・子供だましのように感じました。ディズニーってほとんど観たことありませんが、どれもこの程度のレベルなんでしょうか・・・。でも音楽とストーリーと訳詩がうまくハマったという感じはありました。メインのレリゴーだけでなく、劇中のほとんどの曲がヒットして、今やカラオケの上位をアナ雪が独占するほどですから、「映画産業を活性化させる」という点において、評価できる映画なんだと思います。 [ブルーレイ(吹替)] 4点(2014-10-09 00:15:26) |