1. 黄色い大地(1984)
初めて観せていただいた邦画以外のアジア作品です。悠々と画面を占める中国の大地の迫力と、そこに住まう人々の営みが、この作品の持つ雰囲気にとてもよく合ってると思いました。時代背景を絡めて表された命題に対し、個人の心情(信条)に焦点を当て続けて描かれる作風は、大上段に振りかざされたお看板や思想性などよりも、的確に鋭くその時代が抱え込んでしまった問題を浮き彫りにしているように思えます。とっても良い作品。 9点(2003-10-14 10:45:54)(良:1票) |
2. 子供たちの王様
《ネタバレ》 個人的にチェン・カイコー監督作の中で最も好きな作品。黄色い大地とは趣が少し異なる寓話性の強いムードがツボ。子供達と主人公の間に横たわる戸惑いと好奇心、それが少しずつ自分や周囲を見つめ直すきっかけなって、押しつけ感の無いゆるやかな交流となる流れは、ほんと好きです。全編通して幽かに漂うような違和感は、最後のシーンで手品を観るように結びつき、それまでのシーンには強く描かれていないある種の空虚さと切なさを新たに提示してくれると思います。当時の国の背景と教育を軸にした様々な問題や矛盾・不安を、観念的ながらしっかりと表していると思いました。大好き。 10点(2003-10-14 10:29:00)(良:1票) |
3. トーチソング・トリロジー
同性間の恋愛を含んだ人間関係が丁寧に描かれていたと思います。それ以上に興味深かったのは、主人公の自分と他人の距離や欺瞞を真摯に見つめようとするその態度でした。なんでもテキトーで済ませている自分には、まるで別の世界の人のように彼の姿が映りました。大切な事だからこそ、痛い思いをしなければならないんだろうなぁ、なんて事を自然に諭してくれるような気がします。とっても良い作品。 8点(2003-10-14 09:54:24) |
4. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
僕ごときの拙い感想文でこの作品にケチがつくのが怖いので、ちょっとだけ。なぜか、どんな一意の解釈で求めた答えを組み合わせても頑なに拒否されてるような印象を受けます。ですが一方で、作品を観た上でのどのような考え方でも見境無く受け入れてもくれる、そんな不思議な懐の深さを、この作品は持ってるように思えます。それぞれがすでに完成されているそれまでのシーンから、いろいろな要素の細い糸が自ら這い進むように寄り集まって現れた最後の数十分間は、陳腐な表現ですが僕にとってはまるで奇跡のようでした。様々な感情やいきさつなどを、数少ない言葉と表情のみで仄めかしきったデ・ニーロさんとウッドさんは、その体現者として役目以上の事をしたと思います。一生お付き合いできそう。 10点(2003-07-23 12:28:13) |
5. さびしんぼう
ちょっとウレシハズカシなオーラ漂う前半と、すべてが収束していく後半では、全く違う作品のような印象を受けました。人が人を好きになるときには、誰のたもとらにもさびしんぼうがいるんですねぇ。ロマンティックに美化されているとはいえ、そんなことをふとほんとの事のように錯覚しそうになるほどムードがイイと思います。本作の富田靖子さんの透明感は秀逸。 8点(2003-07-08 19:17:01) |
6. じゃりン子チエ
実家にいたころテレビで繰り返し再放送されていて、この前ふとレンタル屋で見かけたので、懐かしくなり借りてしまいました。小さなエピソードがイヤミなく積み重ねられて、いつも観ているうちに自然とノスタルジックな気分に浸れます。そしてそれがまた心地よい。本作をはじめ、クレヨンしんちゃんのいくつかやオネアミスの翼、風が吹くときなど、秀作アニメには心に残るものが多いです。まぁ、本作は一個の作品というよりは原作コミックの前半部総集編に近い形なのですが。久しぶりに古本で集めた原作を無性に読みたくなりました。 8点(2003-07-08 19:14:53) |
7. ミッション
言葉を意図的に少なくした(と思う)静かな画造りが、背景の深い緑とあいまって、とても美しく印象的でした。主役お二人の最後の沈黙と眼差しは、どんなに言葉をつくした叫びよりも雄弁だったように思います。いや、ほんと素晴らしい。かなり作品に入り込んでしまって、見終わった後で泣いてたのに気づきました。初めての経験にビックリ。 9点(2003-06-03 15:49:52) |
8. パラドールにかかる月
ドレイファスさんも素晴らしいですが、ラウル・ジュリアさんの印象に強烈なものを感じました。ところどころに差し挟まれるちょっとした映画ネタは、同じくドレイファスさん主演のグッバイ・ガールを思い出させてくれました。ケッコー笑えるところ多く、バランスのとれた作品だと思います。意外と良作。 6点(2002-11-17 15:49:14) |
9. エンゼル・ハート
ほぼ全編にわたって暗い予感に満ちた作品だと思いました。今からみるとアイディアは古典的なのですが、それでも追いつめてくるような不思議な雰囲気がありました。ちょっとした小道具(タップダンス、黒い服の人物、換気扇など)で不安を煽る演出は凄かったです。特殊効果などほとんど使わず、何気ない仕草や表情、イントネーションなどで心理的な追い込みをかけてくるデ・ニーロさんはさすがですね。教会でミッキーさんを見下ろす一瞬写る表情なんて、後から夢にまででてきました。 8点(2002-08-12 13:36:38) |
10. 女と男の名誉
予想外に映像と音楽が印象的でした。後半、急速に緊張感が増していくのは良いテンポ。ニコルソンさんが怖いけどカッコイイ。 8点(2002-08-06 21:26:42) |
11. ウィロー
昔、はじめて観たファンタジー作品。ワクワクしながら観ていて、後になるほどしょぼーんとしていった気がする。あらためて見直してもそうだった。でも、雰囲気はとても良いと思います。 4点(2002-08-06 21:15:22) |
12. ある日どこかで
とても綺麗な作品だと思いました。いろんな意味で。全てがあの最後に向かってイノセントさを際だたせていくのも、見てて引き込まれました。とても良質な作品だと思います。(2003/10/14 勘違いでインチキ情報を書いてしまっていたのでその部分を削除しました。ウッカリ信じちゃった方には申し訳ありません。最近、本当の原作を購読しました) 8点(2002-07-30 23:01:04) |
13. 晩秋(1989)
重いテーマをジメっとさせずにみせてくれました。おじいちゃんの何気ないセリフが、どうしてこんなに僕を後悔させるんだろう?だけど、最後の言葉が、何もかもを許してくれてるようでした。ところで、10年前のケビン・スペイシーさんって、あんな風だったんですねぇ。意外な収穫でした。 9点(2002-07-23 22:34:10) |
14. モナリザ
コールガールと雇われ運転手。誤解と和解を摺り合わせても、行き着く先は勘違いした自己救済。でも、二人はどこかで分かっていたと思うから、これでいいんでしょう、たぶん。ホスキンスさんを見る目が少し変わりました。こっちのが収穫かも。 7点(2002-07-11 21:29:32) |
15. ミッドナイト・ラン
個人的にはとても好きな作品。細かいところにアラが見えるけど、そういうものはあまり気にならずに素直に楽しめました。ちょっとした伏線や軽妙なセリフまわしなどは、今でも古臭さを感じさせません。静かにじんわりと、心地よい清涼感が拡がりました。 10点(2002-07-02 00:56:33) |