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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ブレア・ウィッチ・プロジェクト
本作の利益率は現在も破られていないんでしょうか? 映画業界に口コミの凄さというものを改めて認識させた作品でしたよね。作品自体は、昔懐かしの川口探検隊みたいな乗りなんですけど、役者が素人揃いの割りには、結構マジ切れしてて、ああいった状況下に置かれた人間のエゴとか気遣いとかは、手振れする映像の相乗効果もあって、凄く伝わってきた。彼女の言い分は、マジ、ムカついたもの。ラストも、なまじ何か出てくるよりも、伝説や口伝に沿って終わっていて、余韻を残して上手く纏まってるんじゃないでしょうか。
5点(2004-12-07 21:52:30)
2.  写楽 《ネタバレ》 
公開前は、結構話題になったけど、公開後は、さっぱり話題を聞かなくなった覚えがあったけど、これのせいだったのね。江戸の町の背景も、当時の文化も、お上の意向も、それぞれがよく描かれているのに、肝心のタイトルロールである写楽が、あまりにもみっともない。夢破れた後は女の紐、タイトルロールを反映する絵に対しても中途半端で、惚れた(らしい)遊女にも煮え切ってない。これでは観客は主演に感情移入が出来ないどころか、反発さえせず、嫌悪してしまう。佐野=歌麿の絵に対する執念が見事なだけに、本作の構成では真田は気の毒としか言いようがない。当時の政治的背景に合わせて、北斎だの馬琴だの南北だのと登場させておいて、肝心の写楽が遊女との悲恋では、あまりにも間抜けている。遊郭を描きたければ歌麿のパートで十分だし、当時流行った遊郭物を意識したにしても、葉月=花里は無表情に徹し過ぎて、面白みもない。確かに、構成を煮詰めて、扱い方を変えれば、本作は邦画史に残る名作あるいは快作になっていたかもしれない。残念な一作である。
4点(2004-11-28 23:57:37)
3.  ニック・オブ・タイム
緊迫感は凄かったのよ、緊迫感は。でも、既に記載されまくっている通り、ドキドキバクバクするような緊迫感と一緒に、「なんで、わざわざ素人にやらせるんだろ?」と思っていれば、暗殺計画は組織ぐるみになってくるし、なんだかスケールの大きそうな黒幕は出てくるし、意欲のない素人を脅してもやらせる理由は出てこなし、途中からずっと、「おまえがやれよ、おまえが!!」と、理不尽な怒りも伴うという、変な作品だった。ウォーケンもデップも、出演したなぁ。って、もしかしたら、最初の台本は、もっと違う異色サスペンスだったのかもね。とはいえ、これだけ間抜けなストーリー展開の中で、あれだけの緊迫感を感じることが出来たのは、やはりウォーケンとデップの演技の賜物でしょう。ちょっと気になったのは、デップと服を交換して、トイレで隠れてたホテルマンの人。この人の緊迫感も、見逃せない。全体として、役者の演技はいいんだけどねぇ。プロットがねぇ、なんじゃ、こりゃ、なんだよねぇ。 
5点(2004-10-29 01:12:48)(良:1票)
4.  スター・ウォーズ/帝国の逆襲<特別篇>
待望の、正しく待望のDVDボックスを買った。いやあ、映像、やっぱり綺麗よね。でもさ。何が面白いって、そりゃあ、クライマックスで、ルークが落っこってくシーン。オリジナル版では、ルークは無言で落ちていった。VHSの特別編では、ルークの絶叫が入っていて、「何じゃ、こりゃ」「いらねぇよ、こんなの」と思った。で、待望のDVDを見ましたら、ルークの絶叫は消えていて、オリジナル版と同じく、無言で落っこっていった。やっぱり不興だったのねぇ。消えていてよかった。やれやれ。
10点(2004-10-14 23:38:18)
5.  ギルバート・グレイプ
基本的に、演技的には、特殊な人格を演じるより、そんなキャラを受ける方が難しいと思っている。「レインマン」のトム・クル、「ディアボロス」のキアヌ、「シックス・センス」のブルース等々。そういう意味では、ジョニー・デップは、本作が最高の演技だと、今でも思う。レオ君の演技も衝撃的で新鮮だとは思うが、それを受ける本作のジョニ・デは、見事だった。普通の若者でありながら、ちょっと普通じゃない家庭事情の長男の役を、淡々と、けれど、隠そうとして隠せない難役を見事に演じているのが素晴らしい。なのに・・。ジョニ・デってば、本作でオスカーにノミネートされたのがレオ君だったのが、ショックだったのかなぁ。その後の、デフォルメ過多な役選びってば、いったい・・。いえ、シザー・ハンズも、十分デフォルメ過多ではあるんだけど・・。とはいえ、パイレーツでノミネートされたんだから、その路線であってるのかなぁ。それでも、やっぱり、本作のジョニ・デが、最高だと思うなぁ。
8点(2004-10-13 00:25:17)
6.  フラッド 《ネタバレ》 
宣伝に偽り有りの典型でしたよ。邦題のフラッド(大洪水)でもなければ、原題のハード・レインでもなく、追う者と追われる者のチェイサー・サスペンスやん。しかも、皆々様そろって、追っているのは金・金・金。骨子はそれでもいいし、中々緊迫感もあったと思うけど、大自然の脅威の中で人がどう動くのかを期待してた分だけ、やっぱり裏切られたって感じだなぁ。初めから、「ダム決壊まで、リミット0。狙うは300万ドル。奪えるのか、阻止できるのか」っていう触れ込みの方が楽しめたような気がする。なまじ自然災害パニックだと思って見たのが、敗因だった。クライム・ムービーよね、これ。そう思って見てれば、まあ、そこそこ面白かったのにな。それに、大雨で河川が氾濫しただけだって家は流されちゃうことを実感していれば、ダムが決壊して、あんな鉄砲水が来たら、銃撃戦だの人助けなんて、そんな呑気なことしてらんないよ。はっきり言って、全て水に流して終わりよ。折角の緊迫感も、ラストで白々しくなってしまったよ。でも、やっぱり、モーガンさんは、いい人なんだねぇ。出だしで、悪役モーガンを見られると思ったのに。これも、ガッカリの理由かも。
4点(2004-08-11 00:49:39)
7.  ガタカ 《ネタバレ》 
初めのうちは、ちょっと冗長な感じで、このままのテンポで続くんかなぁと思っていたけど、ビンセントがガタカに入ってからは、もうドキドキハラハラで最後まで見てしまった。映像はクリエイティブで、スタイリッシュで、セットから人物に至るまで、とても綺麗。それに、イーサン=ビンセントは、「リプリー」のマットより遥かに、ジュード=ジェロームに似てた。初めはどこが似てるの?と思ったけど、物語が進むうちの、雰囲気がどんどん似てくるのが凄くて、それとともに、二人の心理的な沿い方が、切なくなるほど重なり合っていくのが、ドキドキに拍車をかけた。この作品は、多分、アメリカなんかで優秀な人間の遺伝子を冷凍保存してどうたらいう話がマジだったって頃なんだと思うけど、優秀な遺伝子を掛け合わせれば優秀な人材が生まれるくらいなら、世のセレブは子供の不始末に嘆かないよね。勿論、受精卵の段階で劣悪部分を排除して、完璧な環境に置いてという設定ではあるけど、やはり、そういうものではないような気がする。本作のテーマは、人の可能性、夢を追う権利、不可能への朝鮮で、やはりアメリカの開拓精神を示しているんでしょうね。ドクターの最後の選択とジェロームの最期は、グッときたなぁ。「息子は君の大ファンでね」って、ドクターはジェロームのパパだったんだね。そして、この先は、ビンセントのパパになる覚悟があったんだろうな。でも、ジェロームの最期は、やはり衝撃的だったよ。確かに、「旅」に出る以上、体を残すわけには行かないのだろうけど。「ちょっと・・、それはないよぉ」と、ズキズキしてしまった。ただ、ハラハラ、ドキドキ、ズキズキできて、そのわりに、案外あっさりと終わってしまったのが、ちょっと物足りなかった。それにしても、ジュード・ロウは、やっぱり存在感、あるよね。第一線に出てくる役者って、何か違うオーラがあるのよね。
8点(2004-07-31 01:09:48)
8.  リチャードを探して
シェイクスピア啓蒙映画とでも言うのか、ぶっちゃけて言えば、パチーノの自己満足映画なんだけどね。「ディアボロス」の撮影中に、キアヌがパチーノとシェイクスピアで盛り上がった話は知っていたけど、パチーノが、ここまでシェイクスピアに思い入れがあるとは知らなかったなぁ。パチーノの目指すところを汲めば、「シェイクスピアだ」と構える必要はないし、格調高くなる必要もないわけで、シェイクスピア劇も、当時の大衆劇だし、専門家に言わせると、さり気なく卑猥語の宝庫なんだそうだし。ただ、そのさり気なさが英語を精読出来ないと分からないのだそうだけど、歌舞伎の際どさに似て非なるものなのかもね。構えずに、ひとつの作品の作り方、役者の役の作り方的に見れば、ドキュメンタリーとしてそれなりに楽しいし、英国コンプレックスも面白い。弱強五歩格も、やっと分かった次第だし。なんか、物凄く難しい演劇理論かと思っていたけど、つまり「声に出して読みたい日本語」みたいなものなのね。「知らざぁ言って聞かせやしょう」みたいな、歌舞伎の七五調感覚で、これもまた、似て非なるものなのかもね。「リチャード3世」は、ある意味、勝ち負けや白黒を付けたがるアメリカ人や日本人には、物語としては分かり易い話ですよ。ただ、成り上がった末に破滅する話は、アメリカ受けはしないような気はするけど。彼らは、成りあがった末に栄光を掴む話の方が好きだから。盛者必衰は、むしろ、日本人向けかもね。
6点(2004-07-28 23:31:56)
9.  プリシラ(1994)
フル・モンティでも思ったけど、子供って、親が思ってるよりずっと柔軟で、そして手厳しくもあるんだよね。でも、ミッチの息子の子役が、変に賢しくなく、普通に子供してるのが良かったな。フェリシアとじゃれあう姿が微笑ましくて、好き。ピアースとウィービングは名が知れ渡る前の作品だけど、ピアースのあっけらかんとしたぶっ飛ぶ具合は、「メメント」や「LAコンフィデンシャル」の眉に皺な演技から見ると、目から鱗のよう。凄いぞ、ガイ。一方、ヒューゴは・・。む~ん、ヒューゴはやっぱりヒューゴ・ウィービングだなぁって感じ。いい味だしてるんだけど、やはりスミスの印象が強いのかなぁ。テレンス・スタンプは、上手いっす。何気な仕草まで、さすがに渋い。ボブとの関係が、淡々と、でも確実に深まっていく過程が、何気ない演技と仕草で説得力あった。作品も、変に差別を取り扱うわけでもなく、普通の人が普通の反応をするだけで、それだけに痛かったりもするんだけど、3人がそれぞれのキャパでもって歩んでいく過程が、どこか爽やかなんだよね。プリシラ号の上のハイヒールに陣取って、誰より目立つ衣装をなびかせて、荒野のど真ん中で声を張り上げて歌ったら、そりゃあ気持ちがいいだろうなぁ。
8点(2004-07-28 15:31:33)
10.  真実の瞬間(1991)
いい加減という言葉が好きだ。チャランポランという意味ではなく、良い加減という意味である。これは多分、古墳文化の頃から、政治にしろ宗教にしろ、精神の2重構造に対応出来てきたことなんだろう。大皇がいるのに、豪族が政治をする。神道があるのに、仏教を取り入れる。あちらを立てて、こちらも立てる。要するに、上澄みを掬うのが上手い民族で、日本が、アジアよりヨーロッパにより魅力を感じたのは、精神の2重構造(二枚舌ともいう)が似ていたからなんだろう。そして、その2重構造について行けなくなって新大陸に逃げ出したのが、アメリカを作った人々なんだろうなと、本作を見ていて思った。駄目となったら、徹底して弾圧するこの気質は、この時代だけではない。こういう映画を製作出来るところがアメリカの良心というのだろうが、現在も、某国の虐待コンテストで同じ言い訳を聞いた。この国の保守的で狂信的な魔女狩り気質は、過去のものではないのだろう。ただし、上澄みを掬って、あまりにアメリカナイズした日本人も、そろそろ、良い加減という言葉を思い出した方がいいのかもしれない。面白い作品とは言えないけど、意義のある作品だった。役者は、テーマがテーマなだけに、デ・ニーロは勿論、登場人物全ての役者からオーラを感じたな。
8点(2004-06-21 22:27:00)
11.  ナインスゲート 《ネタバレ》 
ギフトもそうだったけど、どうも、あちらの方々の製作するオカルト・サスペンスって、怖くないんだよなァ。多分、それは、神秘なものより、人間の欲や罪の方に重きが行くからなんだとは思うけど。SFやアクションでは、「んなバカな」が罷り通るのに、オカルトの分野では人間超えないのが面白いよね。謎の女(堕天使でも性別は無いんだろうから、多分、LCF御本人かと思うが)と、燃える城の前でいきなりことに及んじゃうあたり、人間超えてないし。謎解きにしても、コルソが挿絵の違いに気付いた段階で、3冊全てが偽物であり本物であるってことが分かっちゃうし、謎の女は、話半ばで空中浮遊するし。そんなに見え見えでいいのかと思いつつも、どうやって落とす気なのかなァと思って見ていたらば、あれですかい。とはいえ、あの先を、やられても困るだろうな。天使か悪魔(多分、後者だろうけど)が出てくるしかないものね。コルソ=デップは、確かにいい味を出しているし、デップを下手だとは言わないけど、ただ、デップはこういう役だと、どうしても場面場面が淡々と流れていってしまう気がするんだな。この人の秀作は「ギルバート・グレイプ」だと思うのだけど、でも、やっぱり、「シザー・ハンズ」や「妹の恋人」「パイレーツ・オブ・カリビアン」のような、多少演技がデフォルメしてる方が生きるのかなァ。この映画、女優陣の演技の方が、凄かったよね。それに振り回されるコルソ。だから、まあ、そういう役なんだな。
6点(2004-06-21 21:34:47)
12.  スニーカーズ 《ネタバレ》 
会話や場面場面とかは、随所に面白いところがあったし、さすがにこの面子だけあって、地味の上手さを堪能できるし、世界を牛耳るのは情報というコンセプトも納得の作品なんだけど、話の展開がとろいのか、構成が悪いのか、なぁんかテンポが悪いんだなぁ。面白いんだけど、退屈してしまった。獄死した旧友が悪役で出てくるのも予想できたけど、あそこで、なんでいきなり、乗りが007になってしまうんだろう。ラストも、なんとなく007の乗りだなぁ。社会派ドラマにしたいのか、スパイ・サスペンスにしたかったのか、どっちつかずになってしまったのが、展開のとろさに出てしまったのかなぁ。気の毒だったのは、リバーだな。あの使われ方も可哀想だったけど、あの面子の中で、完全に沈んでしまった。唯一の若手で、女の子にしか興味がない男の子という設定なら、現代劇なんだし、もっとパンクっぽくしても良かったかもね。
6点(2004-05-16 15:34:45)
13.  イグジステンズ
これ、ねぇ。実は、「マトリックスの哲学」って本の中で、とあるフェミニストの女性が、『「マトリックス」より遥かに秀逸』とか言ってたから、つい見てしまったのよね。でも、正直なとこ、「よくも、こんなもの見せてくれたな!!」って感じだった。言いたいことは分かる。リアルとバーチャルの混乱というか、混同というか。ゲーム世代の若者の陥る狂乱というか。それは分かるけど、いかんせん、生理的に気持ちが悪過ぎる。まるで子宮を思わせるゲーム機も、だったら背中じゃなく、いっそ素直に臍に突っ込めば?って感じで、ムカつく。ジュードの魅力も持ち味も、ドロッとしたグロテスクな画面に沈んでいく一方で、ラストの見せ場も、単にヒステリックなだけに終わってて、気の毒としか思えなかった。でも、吐き気を覚えるような生理的な気色の悪さは、強烈だった。あそこまで徹底すれば、確かに脳裏に焼き付く。
4点(2004-02-23 23:50:08)
14.  ラジオタウンで恋をして
古き良き時代のノスタルジックな雰囲気を、実はキアヌそのものが出しているのよね。そんでもって、ほんとに初々しくてさ。あんなに真摯な目で迫られたら、「Yes」って言っちゃう。ラジオ・ドラマに煽られるように、銃を握り締めて心理的に追い込まれていくキアヌは、なかなかなもの。芸術は爆発だぁ!!みたいなノリの親父を、ピーター・フォークが演じていて、彼の七変化もなかなかなもの。メイドさん姿が笑える。ラストは出来過ぎ?とも思えるけど、キアヌ=マーティンがフォーク=ペドロを見送る時に見た幻影が、若者の成功を暗示してるのね。軽ぅく見られるんだけど、実は作品作りとは何ぞやって映画なんですね。
8点(2003-12-31 21:11:04)
15.  から騒ぎ
作品自体は、そらもう、ケネス・ブラナーのシェイクスピアァ!!ってなもんでしょ。キャンティの明るい陽射しの下で、ノリノリでしたね。キアヌがまた、発声も演技も演劇的に演ってくれちゃってるもんだから(しかも、唯一暗く鬱屈する役でさ)、映画のキアヌとしては、今ひとつ違和感があって評価がしづらい。でも、あの低音で、あの台詞回しは、なかなかゾクゾクするものがあったな。
6点(2003-12-14 19:58:20)
16.  タイタニック(1997)
公開された頃は、あまりにも騒がれ過ぎてて、白けたせいか、反抗的な気分でしか見られなかった。バカップルのいちゃつきはいいから、早く沈めよ、いつ沈むんだよと、そんな気分でしか見ることが出来なかった本作も、久し振りに、冷静になって見ると、レオ君は、ちょっとこまっしゃくれた若者を、素直に演じていたんだなぁと、素直に見ることが出来た。ケイト・ウィンスレットとのカップル・バランスは確かに悪いんだけど、儚い思い出を抱いて、新天地で逞しく生きるだろうローズの人生を思えば、これくらいの逞しさは必要なのかも。ちゃんと通して見ると、今更ながらに、いい作品だったんだなぁ思った。
8点(2003-11-27 23:47:49)
17.  殺したいほどアイ・ラブ・ユー
これが実話っていうのが凄いんだけど、この作品は、キアヌの可能性と、リバーの限界が、そのまま映し出されてるみたい。キアヌは、この奇天烈な役のおかげで、これまで引き摺ってきた、ちょっと反抗的な少年役から、無理をすることなく青年役へと自然にシフトしていったけど、リバーは、どうしても、永遠の少年というイメージから抜け出せないジレンマを感じてしまう。これは、「マイ・プライベート・アイダホ」でも、同じなんですけどね。そういう意味では、ちょっと辛い作品かな。
6点(2003-11-27 23:27:17)
18.  チェーン・リアクション(1996) 《ネタバレ》 
エディ・カサノビッチ。姓からすると、亡命ユーゴ人か、ユーゴ移民。本作が作られた当時は、ボスニア紛争が泥沼化し、コソヴォ紛争へと拡大化しつつある時期で、この紛争の核が西側諸国も絡んでのコソヴォの豊富な資源の利権争奪戦だということを考えると、政治的にちょっと怖い映画だったりするんだけど、その辺をなぁなぁに・・・、治めざるを得なかったんだろうな。だから背景のいい加減さは、「デビル」といい勝負。製作過程すら、「デビル」といい勝負。本作のキアヌは、そんなに見苦しい? そんなに太ってるかなぁ。そりゃ、「リトル・ブッダ」や「マトリックス」に比べればねぇ。でも、本作のキアヌは、これでいいと思う。っつうか、実験バカのメカ・オタクが、何が何だか分からないうちに巻きこまれて逃亡劇を繰り広げる話なんだから、いかにも引き締まった強そうな奴じゃあ、その方が却って興醒めのような気がするし。もっとムサくて、不精髭あっても良かったとさえ思うんだけどなぁ。話的には好き。緊迫感も、それなりにあるし。政治的な嫌らしさも、まあ、ちょっとは入ってるし。エディとリリィが、簡単に男女の関係にならなかったのも、爽やかでいい。でも、モーガン・フリーマンの金持ち役は、似合ってねぇ。でも、結局、悪者じゃあないんだよな。それにしても、この映画、今のネオコンの人達にこそ見せたい。けど、「我々の敵は軍事国家ばかりではありません」ってとこに、感銘するんだろな。
8点(2003-09-20 22:19:15)
19.  オスカー・ワイルド
う~~ん。本作のジュードにしろ、「太陽と月に背いて」のレオ君にしろ、「マイ・プライベート・アイダホ」のリバーやキアヌにしろ、綺麗な男は大変だなぁと、しみじみ思う。でも、彼等の誰にせよ、その体当たりな演技は、観客冥利に尽きるけど。実際は、彼等、綺麗な若手男優を相手に、する方が大変なんだろな。オスカー・ワイルドが生きていた時代は、男側からみれば上手く表現できていたと思うけど(英国の、あの辛気臭さが)、女側から見たビクトリア朝時代の封建制も、もう少し出して欲しかったな。あの時代の英国では、男色はエグゼクティブの一種のステイタスになりつつあった頃だけど(そういったクラブがあったほどだし、それだけに、英国では近年まで同性愛を法で禁じていたし)、でも、女の方は、肌をちょっとでも露出しても罪になる時代だったのよね。女の側から離縁なんて、まず有り得ない時代で、ワイルド夫人の苦悩は、半端なもんじゃなかったろうな。全体としては、冗漫というか、冗長というか、早く先に進んでよって感じが否めなくて、同じテーマなら、「太陽と月に背いて」の方がストーリーを活写している。やっぱり、ジュードの小悪魔的な美しさに尽きる映画だな。個人的には、オスカーの才を最後まで信じて愛してた人が、健気で好きなんだけどね。
5点(2003-09-07 01:03:04)
20.  フィラデルフィア
オープニングから、正統派社会派ドラマっていうのが分かる作品で、とにかくトム・ハンクスの熱演が凄い!! どれくらい凄いかっていうと、過熱気味なまでの演技が笑っちゃうくらい凄いのよ。特に、オペラの盛り上がりと共に自己陶酔としか思えないハンクスのシークエンスは、ワシントンの弁護士が席を立つのも分かるくらい、後は一人でやっててよって感じなくらい過熱気味。比して、ゲイのテーマの象徴でもあるはずの恋人(のはず)のバンデラス=ミゲールとの絡みでは、ハンクスはいきなりトーン・ダウンしてしまう。少なくともハンクスからのアクションとリアクションだけでは、はっきり言って人種の違う兄弟か?としか思えないくらいで、エイズで苦悩するハンクスの演技が過熱気味なだけに、バンデラスとの絡みは、バンデラスの真摯さが辛うじて救っているだけで、ハンクスの呆気なさは幼稚園児の御遊戯のようで、ゲイだゲイだと連呼されても、白々しさが拭えなかった。このハンクスの演技では、とてもじゃないが、同性の恋人を愛してるようには思えない。このバランスの悪さが笑えるんだけど、テーマの重さを思えば、エイズだけに集中した方がマシだったろうな。その方が、ラストの子供シーンも活きただろうし。ゲイへの偏見まで入れたければ、少なくとも、男との絡みに引いちゃうような、あるいは、それでセールス・イメージを壊されたくない役者は選ぶべきじゃない。法廷シーンも、結局、弱いもの苛めの御涙頂戴に収まってしまって興醒め。テーマの重さは分かるけど、それだけに、ハンクスの演技のバランスの悪さが、勿体無い。
6点(2003-09-07 00:21:01)
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