1. 野良犬(1949)
《ネタバレ》 若き日の三船敏郎が主人公の刑事ということで、どんな犯罪捜査のあれこれを展開するのかと思っていたら、何と最初に盗まれた拳銃というシングル・イシューで押し切ってしまっていたのにはびっくりした。その捜査も、まずは手がかりの女スリをただ追う。ひたすら追う。で、今度は、引っかかるかどうかも分からない拳銃商を探し続ける。この一本筋ぶりには、清冽さすら感じます。そして満を持して志村先生が登場します。1シーンで実力のほどを表す取調室のシーンも見事です。ところが、そこから後がいけない、というか意外に弾まない。重要なキーパーソンが登場したのだから、そこで主人公がスパークするなり、相棒によって主人公の隠れた素質が生かされるなりしてくれないと、前半で細い糸を延々とたどった甲斐もないと思うのだが、それほど何かが効果的に進んでいるわけではない。したがって、後半は何か停滞した感じになってしまいました。あと、全体の尺ももっと短くできたはずです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2025-04-04 01:01:44)★《新規》★ |
2. マガディーラ 勇者転生
《ネタバレ》 400年前の悲恋譚が今日に甦って、というのはもちろんボリウッドの得意パターン。途中で回想というか前提となる過去シークエンスが延々続くのも、まあ想像どおり。というか、やっとこさ元に戻ってきたときには、そもそもどういう話だったか忘れているわけだが(笑)。ただこの作品は、さすがにストーリー自体が何もなさすぎという気がして、突然みんなで歌って踊り出すのが大好きな私でも、歌の部分の水増し感が拭えなかった。それでも、頑張って伏線を回収した最後の決戦のくだりは悪くなかったので、+1点。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2025-04-03 01:03:41)★《新規》★ |
3. 暗殺の森
いや何か、設定からしても、もっとスリリングなサスペンスになるかと思っていたんですが・・・。全体的にやたらもっさりした雰囲気で、登場人物にも緊張感がおよそ見受けられない。むしろ退廃的で刹那的ですらある。もともとそういうつもりで作られたのかもしれませんが、だとすると私には合いませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2025-04-02 21:12:03)《新規》 |
4. しあわせへのまわり道(2014)
《ネタバレ》 生活に疲れた中年女性とタクシー運転手の交流、となればそれなりに面白い設定なはずなのですが、何かその後が弾まない。原因の一つはやっぱりキャスティングで、クラークソンはどうやってもこのようにあれこれ悩みそうには見えず、むしろさっさとてきぱき物事を片づけそうな気がしてしまう。運転手の方も、どうということのない平凡な(あるいはむしろ胡散臭い)人物と思っていたのが、実は主人公にとっては人生の含蓄深さとなって、というところに意味があるはずなのだが、ベンキンだともともと奥が深く教養ありそうに見えてしまうので、ひねりがなくなっている。また、ジャスリーン登場のくだりはなかなかトリッキーであったりもするのですが、それも今ひとつ生かしきれませんでした。最後、2人に何かが起こりそうで起こらなかった慎み深さに+1点。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2025-03-31 21:51:40)《新規》 |
5. バーフバリ 王の凱旋
《ネタバレ》 前作では、回想シーンが長すぎて1作では終わらなかった、という驚異のバランス感覚の無さがいかんなく発揮されていたのだが、2作目の本作に入っても回想が延々と続く。何と、約1時間50分!残り30分しかないのにどうするの?というさらなるバランスの悪さ!しかも回想のうち30分くらいは、父バーフバリとデーヴァセーナが出会って恋に落ちるくだり「だけ」に遣われるという徹底したバランスの悪さ!そして前作では命がけの滝登りまでしてめぐり会った運命のアヴァンティカは、回想で出ないのは仕方ないとしても、いざ現在に戻ってからは、ほとんど出番がない上に戦闘シーンでもほとんどモブ扱い!あと、あの伯父さんは、悪辣ぶりではバラーラデーヴァと大して差がないんじゃないかと思うんだけど、最後はしれっと宮殿に残ってなかった?等々、まあ、突っ込むこちらの気力の維持も試される作品です。その辺の迷いのない歪みぶりを愛おしく感じます。水増し感ありありのCG戦闘シーンなどはどうでもいいです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2025-03-24 00:59:04) |
6. 赤毛のアン/アンの青春 完全版〈TVM〉
《ネタバレ》 前半はダイアナとの交流のあれこれが描かれるのだが、このアンのダイアナへの傾き加減って、ほとんど依存症の領域ではないかと思う。これを友情だとか何だとか言われても、何も響かない。その後教壇に立つことになりますが、ここでは、生徒連の陰湿さとアンの生来のうざさ(笑)が相応に衝突して、それはそれでドラマになっています。●後半はさらに教職としてアンが成長するわけですが、何といっても、ただ座っているだけで発散されているウェンディ・ヒラー(エメライン祖母)のど迫力が目を奪います。よってアンも、時には正面突っ込み、時には裏交渉、時には奇襲攻撃と、いろんな手を使わねばならず、そこで人格の拡がりも示されています。●そうして、モーガンとの関係とかポーリーンの目覚めとか課題を解決した後で、ラスボス的にブルック校長と対峙するわけですが、ここはちょっと単調だったかなあ。「頑固な老女と心を開かせた上で信頼関係を築く」という流れは、すでにマリラでもレイチェルでもエメライン祖母でもやっているわけですから。ギルバートとの関係処理も含めて、ラストはちょっと駆け込んでしまった感じ。●あと、ちょっと興味深いのがいじめっ子ジェンについてであり、あれだけ敵キャラ扱いしたのであれば、打ち解けた後はその逆を描いていくのが常套手段です。しかしこのジェンは、演劇会の件を詫びた後は一切登場しません(台詞に出ていたバザーでさえ)。もしかするとこれは、無視こそが最大の報復であり制裁である、という制作側の思想を裏から具現化したものだったりして・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2025-03-23 19:09:16) |
7. 未来世紀ブラジル
《ネタバレ》 理不尽で滅茶苦茶なルールで支配され、しかも登場人物が誰もそれに疑問を持っていない描写は、「華氏451」などを連想させて力強い。一つ一つのシーンは破綻寸前にまで歪んでいるのだが、それがぎりぎりのところでつながれていく展開には、監督の第一級の妄想構築力を感じる。主人公2人が人物的にはあまり魅力的でないのも、もしかしたらわざとかも?と考えてしまう。ただ、主人公の空想の繰り返しはやはり作品の勢いを削いでおり、無理矢理運命をこじつけなくても、受付の場面で初めて出会う、でもよかったのではと思う。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2025-03-22 21:25:44) |
8. 幕末純情伝
これは何がいけないかというと、制作側が「自分たちで笑ってしまっている」という点です。「こんな感じにしたら面白いかもねーアッハッハ」とか身内でウケながら作ってしまった感満載です。だから、見る側はただ醒めるだけになります。こういう史実逸脱系突拍子もない作品だからこそ、ベースの部分はしっかり真面目に作り込まないといけないのにね。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2025-03-18 22:58:35) |
9. ヴァイブレータ
《ネタバレ》 登場人物の言動も進行自体もやたら作為的な中盤までは、退屈だと思っていました。男が長舌トークの思い出話を繰り広げるあたりからは段々焦点が絞られて面白くなりましたし、ラブホでの入浴シーンもなかなか美しく撮られていましたし、最後のそっけない別れ方(そして何か言いたげな2人の表情)も、場を引き締めています。何でこの作り方で最初からできなかったのかな・・・。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2025-03-17 22:34:11) |
10. バーフバリ 伝説誕生
《ネタバレ》 導入部の赤子を救うシーンで早くも表れる仰々しさ(そしてそれを裏打ちする母の誇り高さ)。真剣に戦っているはずなのに、武闘に紛れて服を脱がせ(!)、さらには化粧まで施し、そのまま恋に落ちるという、ご都合主義というフレーズすらもどかしいくらいの都合の良さ(一直線の迷いのなさ、とも言う)。回想シーンが延々続いて本編を凌駕しているというバランス感覚の悪さ。まさにインド映画の本領発揮、と言いたいのだが、難点は、肝心のクライマックス戦闘シーンがCGまる出しで、作り物感満載だということ。それを溢れ出すほどのエキストラで何とかしていたのがインド映画ではなかったのか。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2025-03-12 00:56:25) |
11. ラッシュアワー3
《ネタバレ》 結局、クリス・タッカーが足を引っ張りまくりという構造は変わりませんでした。あと、ジャッキーvs.真田さんという夢の対決には誰もがおおっと思うはずなのに、わざわざジャッキーには慣れない殺陣をさせたり、動きが収縮する高層対決をさせたりというのもがっかり。この2人だったら、肉体躍動の衝突だけで十分な芸術になるはずじゃないの?それと、工藤夕貴のケバメイクにもがっかりでした。童顔の工藤さんだったら、その辺のお姉さんに見えて実は敏捷な凄腕、という見せ方こそが強みを表すと思うのですが。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2025-03-11 01:38:07) |
12. ラブストーリーズ エリナーの愛情
《ネタバレ》 で、こちらが「妻側から見たストーリー」というわけです。これはさぞかし、この場面を妻側から見たら全然違う景色に見える、とか、ただいなくなったと思われた妻には裏でこんな事情が!とか、同一場面多視点テクをフル活用した展開を期待したのですが、全然そんなことはありませんでした。教室から続くシーンなんかも、結局は両作品で同じ撮り方しかしてないので、あえて2作品にする意味もないわけだし・・・。ジェシカ・チャステインの存在感によってあちらよりはまだ質は上がっていますが、その分、彼女に負担が集中しているともいえます。 [DVD(字幕)] 4点(2025-03-05 01:07:24) |
13. ラブストーリーズ コナーの涙
《ネタバレ》 夫婦間のあるストーリーを夫側から見た場合と妻側から見た場合という2作合体作品で、こちらは夫側。という冒険的な構成にいろいろ期待は高まるのですが、案に相違して、特徴のないストーリーが地味に続くだけです。こちらは、妻がいなくなって探し回る夫、ということなので、何もしなければただうろうろすることになってしまうのですが、さしたるネタもなかったので、本当にうろうろするだけになってしまいました。妻側版を見たら別の何かが見えるのかな、と思ったのですが、やはり単体ではどうにも評価できない(し、妻側版を見た後でも、結局印象は変わりませんでした)。 [DVD(字幕)] 4点(2025-03-02 02:37:26) |
14. 彼女は夢で踊る
《ネタバレ》 すごく切ない設定のはずなのに、何か感情が炸裂しない。大事なところでも強調せずに、さっさと先に行ってしまう。過去と現在の切り替わりが異常に激しい。と、文句はいくらでもつけられるのですが、それでも見た後の感触が悪くないのは、制作側のストリップに対する愛情と敬意が、とめどなく満ちているからです。1つの芸術としての崇拝の意思すら感じます。終盤のややトリッキーな種明かしも、浮かずに上手く作用しています。そうそう、導入部では肝心なところを見せず、「ええ~」と思わせておいて、ここぞというところでばしっと見せる、という演出も、実はストリップのあり方というかテクニックそのもので、このように描写の対象と手法が一致している作品には、やはり根っこのところで好感が持てます。●あと、細かいところでは、レディオヘッドが実はストリップに合っている、という慧眼的発見についても讃えておきたい。 [DVD(邦画)] 6点(2025-03-01 20:38:18) |
15. エージェント:ライアン
《ネタバレ》 しかしこんなオーソドックスなスパイ・アクションで、監督がこの人で、あまつさえ嬉々として悪役で登場するとは・・・。しかし、中身にはまったく新鮮味はありません。会食抜け出しデータ抜き取りのシークエンスのじっくりした引っ張りぶりが心地良かったくらいでしょうか。大体、上司がケビン・コスナーだったら、何もしなくても何か裏がありそうに見えてしまいますし、超よくあるタイプの主人公の彼女にキーラ・ナイトレイって、何と無駄なキャスティングでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2025-02-27 20:59:52) |
16. ベルファスト
物語の枠組としては、(北アイルランド紛争という特殊背景はあるとはいえ)少年の日常生活のあれこれという範疇内であって、それほどの広がりはない。しかし、とにかくモノクロの映像の陰影や濃淡が美しく、それに浸っていられるだけでも価値がある。また、お母さんの凜とした存在感も筋を通しているし(そういう作品でないのは分かっているが、微妙な色気もある)、作中の主人公同様、爺ちゃん婆ちゃんにもかなり助けられている。ケネス・ブラナーがこんなかっちりまとまった小品を作ったのには少々驚いたが、普段大作小説を書いている人が、ちょっとエッセイも書いてみました、という趣だろうか。 [DVD(字幕)] 6点(2025-02-17 23:44:29) |
17. 15時17分、パリ行き
《ネタバレ》 最初は、列車内でテロが起こり、そこで居合わせた乗客との息詰まる攻防戦が・・・とか予想していたら、全然その本番に入らない(予告編的なインサートはあるが)。まず子供時代が延々と続き、続いて軍隊生活。そしていよいよヨーロッパへ移動。これはもしかして、あえて事件前の部分に焦点を当てることで、逆に事件の生々しさを感じさせる流れかな?と思っていたら(そういう作品も実際にある)、何と、その辺と事件との関わりはほとんどなし。観光のくだりなんて、それこそただ観光しているだけ。いや、これは逆の意味でびっくりしました。その辺のぽっと出の監督ならまだしも、イーストウッドですよ?それにこの人だったら、「チェンジリング」みたいに、実在の事件を元にした場合でも、いくらでも表現と演出を自在に拡げることもできるのにね。これならただの再現映像です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2025-02-16 01:49:30) |
18. 夏の終り
それなりに人間関係の綾はいろいろありそうなのに、まったく平坦な進行、そして同じような芝居。役者は言われたままに動いているだけですし、段取りにしかなっていません。この設定と展開だったら、もっといろいろ登場人物は考えたり感じたりするはずなんだけどな・・・。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2025-02-13 02:55:42) |
19. 四万十川
《ネタバレ》 前半は、よくある少年成長譚といった感じで、むしろ制作側が四万十川そのものに依存しちゃったかなと思っていたのですが、後半は持ち直してきました。姉ちゃんとのどってことない喧嘩が、少年にとっては一大事であるという描写。穏やかだった川が突然台風増水で牙を向いてくるくだり(頼りなかった父ちゃんがてきぱきし出すのも良い)。ただ、どこまでいっても、樋口可南子は上品な都会のオーラを拭いきれず、この自然の中で逞しく生きる雰囲気が感じられないのだな・・・。一方、長女の子役(といっても背は高い)は、登場するだけですっくとした存在感があり、画面の隅っこでもさりげない芝居ができていると思ったら、高橋かおりですか!それならば納得です。樋口可南子も押されています。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2025-02-12 01:24:42) |
20. 赤毛のアン/完全版〈TVM〉
《ネタバレ》 全体の枠組は「アンが成長していくだけ」なので、単調に陥ってもおかしくはないのだが、3時間にわたって弛むことがなく、物語が途切れない。アン役のミーガン・フォローズは、微妙にうざい(笑)主人公の像を的確に表現しながら、それでも前向きな一本の意志の筋を通している。マリラ役のコリーン・デューハーストは、それを芝居の上でしっかり受け切って、ところどころではコメディチックな雰囲気すら織り交ぜている。そこに、ふんだんなロケーションの豊かな光景と、美術や衣装陣の頑張りによって、1つの世界が完成するわけです。あと内容的には、「謝る」「許す」ことの重要性をしっかり押さえているのが印象的でしたし、それによって作品自体にも節度が確保されています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-02-11 02:03:01)(良:1票) |