1. ヤング・ゼネレーション
《ネタバレ》 映画の楽しさを感じれる瞬間は大きく分ければ当然のことながら二通りしかなく、一つは鑑賞のその瞬間で、もう一つは観賞後にあるのだけど、より良く感じれるのは、後者ではないだろうかとぼくは思う。この作品に関して言えば思い返した瞬間の感動が極まっており、多重の意味で幼き日々をノスタルジックに感じることができる。この作品を思い返すその行為そのものがまさに自らの少年期を思い返すような感覚にも重なる。子どもと大人のまさに境界線で、調子にのっている大学生にそうやっていられることへのルサンチマンを溜め込み、大人から強いられる子どもで居続けることへの揶揄と大人になることへの強要に苦しみ、板挟みの中で現実逃避に湖に飛び込む姿がもはや痛々しくて切ない。大人になる事もできなければ、子どもでもいられない。進みたいのに進めない彼らの心が終盤に向け、どんどん具象化されていく。背伸びするように、身の丈に収まらない憧れや口だけの希望を恥ずかしげもなく語っていた子ども達が、身の丈を痛感し、大人になっていく。そして、幼き日々と離別するかのように、自分の小さなプライドを捨て去り、飛ばされる揶揄を堪え、痛みを我慢し、自らのすべてを出し切り、一台の自転車でコースを駆け抜ける。近年の映画の青春ものようにやたらと華やかな画面でもなければ、馬鹿みたいに分かりやすい表現で台詞にしたり仕草で表現したりしない。だって、みんな内に込めてるのが若さだろう?表に出せないのが幼いぼくらの悩みだったろう?だから、わかる。いたいほど。何も成し遂げてこなかった奴らの出発地点の物語。ゴールこそ、始まりの物語!素晴らしい。 [DVD(吹替)] 9点(2012-03-26 23:07:08) |
2. ある結婚の風景
《ネタバレ》 はたから見れば円満そうに見えるけど、それはまさに「問題がないことが問題」という台詞の通り、見えない部分ではしっかりとヒビや溝が生まれていた。夫婦であろうと、それぞれが別々の人格を持った違う人間であることは間違いないわけで、見えていると思っていたことも、実際はまったく見えていない。 夫婦という関係だけを切り取った物語は、二人の長年に渡る変化をしっかりと捉えていた。ヨリの長回しが独特でまさに焦点がそこであるということを暗示しているかのようで、すごく面白かった。特に、最初と最後の二人の距離感は外見上まったく変化していないのに、この作品を三時間しっかり見届けた人にはその変化が歴然としている。それはあまりにも違う。10年間夫婦を続け、あまりにも近いところに居て、ぶつかり合うこともなかった二人は互いのことを何も見えていなかった。だけど、夫婦という枠組みから離れ、別々の人生を歩み始めた二人は、その後の10年間何度も正面から洗いざらいぶつかり合っていた。そんな20年間を過ごした二人が辿り着いたラストシーンでのあの姿は、心が通じていたように見える。深読みしすぎかもしれないが、二人の寄り添いあう無言の姿は一つの物体のようにも思えた。言葉を交わさなくとも互いの考えを理解しあえる。そんな二人の姿がとても魅力的だった。 [ビデオ(字幕)] 9点(2008-08-23 00:56:39) |
3. 赫い髪の女
《ネタバレ》 感情を言葉で表現するのは容易い。だけど、そんなの感情じゃない。「大嫌い」と言えば「大好き」になるし、「出てけ!」は「いてください」だし、人間の言葉はそのまま受け取れるはずがない。それに、たとえ、本心で「好き」と言っても、そんなの十分の一も伝わらない。それが言葉。だから映画は本当の人間の感情を描くという点で、台詞を多用しないよう、昔から数々の表現方法で映画を作り、人物を描いてきたのだと思う。そういった意味で、この作品はまるで映画の教科書のような作品だった。登場人物たちの生々しくも、活き活きとした姿に人間を感じ、そして生きることにとことん苦戦している人間たちを見て、彼らの溢れんばかりの感情をはっきりと画面の中に見た。言葉と行動の矛盾に愛おしさを感じた。ドロドロしているけど、キラキラしていて、大人の行動のように見えるけど、その奥にある弱さは子どものようだった。僕は素敵な人間たちが観れて、幸せでした。 [ビデオ(邦画)] 9点(2008-08-09 23:11:45) |
4. ロング・グッドバイ
《ネタバレ》 いいなぁ、あのラスト。信じた親友と好きになった女性に裏切られたあの背中。あぁ、悲しいよなぁ…悔しいよなぁ…痛いほど伝わるよ。人って、こういうイキモンだよな。うん、わかる。すごいわかるよ。だけど、それでも生きていかなきゃいけないんだよな。頼むから、猫だけは彼のもとに帰ってきて欲しい…それを鑑賞後、一番思いました。 [ビデオ(字幕)] 9点(2008-06-04 19:38:34) |
5. ミツバチのささやき
《ネタバレ》 死を見つめることは同時に“生”を見つめることに繋がる。死ぬことはどういうことなのか、どうして死ぬのか、どうして殺すのか、どうして生きているのか。答えなどそうそう転がってはいない。でも、わからないで済ましたくないのが子どもの好奇心の素晴らしいところであり、恐ろしいところでもある。無邪気で何もしらないからこそ、その瞳は穢れなく美しい。大人になればなるほど多くのことを知り、多くの感情を抱き、その瞳は何かしらのフィルターが掛かってくすんでしまう。幼きアナが見つめたつぶれた黒い毒キノコ、彼女の前を通り過ぎる真っ黒な機関車。死はいたるところに転がっている。だからこそ、アナの生きている姿が儚く、脆く見えた。彼女には生きて欲しいと強く願った。美しい女性になって欲しいと真剣に思った。 [DVD(字幕)] 8点(2007-07-19 10:07:14)(良:1票) |
6. 映画に愛をこめて/アメリカの夜
愛がある。確かに、紛れもなく、この映画は映画への愛で溢れている。見つめているだけで、映画を愛したくなる。それは映画を愛しているトリュフォーに僕が感情移入しているからだ。あぁ…映画、最高! [映画館(字幕)] 8点(2007-06-23 00:17:07) |
7. 悪魔のいけにえ
《ネタバレ》 少し昔のホラー映画の感覚としてどういう状況が怖かったのだろう?現代ではホラー映画に多いのは、恐怖というよりは驚きが多いような気がする。ビクッとする感じ。あれはあれで冷や冷やさせられるけれど、怖さと違う気がする。この頃のホラーの感覚は多分、そこに何かがいる事への不安が恐怖だったのではないだろうか。恐ろしい存在がある家の中にいて、そこに入った者が次々と殺されていく。しかもそれには理由がないのだから兎に角逃げるしかないわけで、それは多分、怖いと思う。チェーンソウを持った男がとにかく追いかけてくる。日が出ていようが沈んでいようが、兎に角走る走る。一体いつになれば体力が尽きるのだと思うほど走る。よくもまぁあんな重そうな物を持ってあれだけ走れるもんだと褒めてあげたいものです。逃げる恐怖。追われる恐怖。逃げ切った時に思わず笑ってしまう少女の血に染まる笑顔の恐怖。これは立派なホラー映画だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2006-12-25 10:15:06) |
8. スネーキーモンキー/蛇拳
確かに内容が薄く、リアリティーゼロな格闘シーンの数々には思わず笑ってしまいます。無駄にカット割りが多くて、無駄にクローズアップが多い。なんともベタな演出が次々と観られます。でも、なぜでしょうこの面白さ。友人たちと笑いながら見たのですが、誰一人として観終わった後つまらないと言わなかった。むしろ、面白かったと言ってしまう。なぜだろう、とにかく面白い。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-11-16 23:46:21) |
9. 復讐するは我にあり
《ネタバレ》 極端な演出が多い今村監督ですが、僕はこれこそ映画的だと思います。わかる筈のない殺人鬼の心理を描く上で、何をリアルに描き、何を映像化するかは非常に重要だと思います。殺人を犯すシーンと、殺人シーンを見せず犯した後のシーンだけを見せるシーンの二つを描く事で無駄を無くし、それでも殺人をしたことはしっかりとわかる。脚本の上手さが見られます。言葉巧みで頭の良い殺人鬼の逃避行を描く上で、なぜ男が殺人鬼になったかをはっきりとさせなければ結論には決して至りません。父への反抗意識か妻への嫉妬か、はたまた、ただの生まれもっての殺人鬼だったのか。それは殺人鬼に直接聞いてみなければ決してわかることではありませんが、観客は見終わった後、何となく男を理解することができます。強い意思を持っていた少年時代。そして父を理解できなくなった事により道をそれていく青年時代。すべてがしっかりと描かれており、殺人鬼の男が何かを語らなくとも伝わってきました。緊張感を絶やさない演出力、緊迫感と臨場感を生み出す映像。素晴らしいです。殺人鬼を必死で理解しようとした今村監督だからこそできる映画だと思いました。「あんたを殺しておけばよかった」殺人鬼が最後に口にした台詞。それは父を殺すことが出来なかった男の真の弱さがひしひしと伝わってきました。 [映画館(字幕)] 8点(2006-06-17 20:48:47) |
10. 仁義なき戦い 広島死闘篇
なんとなく、仁義のかっこ良さが、わかって来たような気がします・・・これからもっと足を踏み入れて行きたい世界です。 [DVD(字幕)] 7点(2005-05-23 22:39:16) |
11. 家族(1970)
家族というのは個人の集まりの言わば、団体行動である。個人には性格と個性があり、意見や考えは一人一人異なった物を持っている。だからそれが団体となった時、意見の食い違いや争いが起きるのは当り前と言えば当り前である。しかし、それがエスカレートし過ぎた状態は本当に悲惨な物になる。その状態というのがまさにこの映画の中にあった。まるでドキュメンタリーのような映像とストーリーには、常にリアルな悲しみが付き纏っていた。だから中盤では何度も観続けるのが辛くなり、何度も停止ボタンの上に親指を乗せて悩みながら観ていました。結局最後の最後までこの苦しみと悲しさは癒える事はなく、最後もやはり悲しみが胸の中に残ったまま終って行きました。しかし、観賞後は本当に考えさせられました。命とは?人間とは?そして家族とは?この映画は嘘や偽りなどない本当に現実的な家族を見せてくれた。この映画から学ぶ事は山ほどあるような気がします。そして将来自分が父親になった時、素直で家族想いの良き存在になれるよう努力したいと強く思いました。 8点(2005-03-21 22:24:41) |
12. 仁義なき戦い
わしゃ~まだまだ子供じゃけぇ、こないな映画はまだようわからんわぁ~・・・すいません 6点(2005-03-11 18:23:22) |
13. 狼たちの午後
《ネタバレ》 音楽がない。でもそれは決して不自然と言うわけではなく、この映画には音楽が無いという事が一番しっくりくる音楽のような気がした。そして、その音楽が無いと言う事が映画というより生中継のニュースを見ているような気分にさせた。淡々と進むストーリーは、実話だけにとてもリアルで、不気味だった。しかし、逆にその不気味さがとても良かった。そして、強盗は延長戦になり、犯人と人質との間に不思議な延滞感が生まれ、人質は犯人が上手く逃げれる事を願い、犯人は人質たちを無傷で解放したいと願うようになる。しかし、ラストでソニーが逮捕されると、人質たちはさっきまでの連帯感が嘘だったかのように、ただの被害者になる。やはり結局は自分が“助かる”事を前提に置いた連帯感だった。それがやはり人間らしいと言えば人間らしいのだが、でも簡単に壁を作り、簡単に被害者ぶる事ができる人間の心が悲しい。 7点(2005-01-16 19:05:01) |
14. 燃えよドラゴン
始めてブルースリーの作品を拝見しました。今まで、意味もなく観ることを避けてきましたが、今回、勇気を出して観ることにしました。で、実際映画が始まってみると、スロー回しのいくつものブルースの格闘シーンは、もう、スゴイの一言でした。ストーリーはいたってふつうのアクション映画なんですが、やはりブルースの格闘シーンはある意味では感動的で、やはり圧倒的でした。今は亡き彼の存在は、今だ強さを求める全ての男達にとって、永遠の憧れの的だと思います。 8点(2005-01-15 00:34:15) |
15. スーパーマン(1978)
かっこ良過ぎるよクリストファー・リーブ。ちっとも色あせてないよスーパーマン。最高だよスーパーマン。 8点(2004-11-22 23:53:17)(良:2票) |
16. 都会のアリス
これほど台詞が少なく、そして台詞をあまり必要としない映画は始めて観た。この映画は穏やかで美しい音楽や二人の息のあった素晴らしい演技や、数々の綺麗な風景など、台詞以外の部分がとても鮮麗されていて思わず見惚れてしまった。そしてストーリーは有りがちな設定だけど、その馴染みやすい平凡なストーリーは食い入るように観れてしまった。その中でも二人で取った証明写真をアリスが見つめ、笑顔になり、そして女の子らしい格好になったあの場面は、少女の“恋”の芽生えを美しく、そして繊細に描いていた。あの場面は、僕の一番のお気に入りのシーンです。そしてその後の展開は切なさがドッと込み上げてきた。大げさに言えば、片想いの恋をしている時の切なさになんとなく似ている。それほどラストは切な過ぎで、胸が苦しくなる。今も苦しい。この苦しさが消えるのに何日かかるかな?あぁ~苦しい・・・ 10点(2004-09-28 22:57:13)(良:2票) |
17. ディア・ハンター
正直始まって30分間、だるかった。テンポがゆっくりで結婚式もやたらと長いし、その最中に出てきたグリーンベレーも結局ストーリーになんのからみもなかったし、だらだらとしたあの長い前半の時間は正直退屈だった。しかし突然戦争のシーンに変わり、さらにベトナム人の捕虜になって捕まっていた。あの捕虜中のロシアンルーレットはかなりの緊張感があった。そして後半での、戦争が人々に残す影響は上手く描かれていた。本当にスゴイ映画だって事は感じた。でも好きになれない。すごいし、拍手ものだけど面白いとは感じなかった。それに一番気になったのは、あの機械的な動きの左右へのカメラワーク。あれはなに?正直ちょっとイライラした。この作品はいい所もいっぱいあったけど自分には合いませんでした。 6点(2004-07-26 16:07:21) |
18. がんばれ!ベアーズ
T・オニールがとにかく綺麗で可愛い!なぜ彼女の演技はあんなに堂々としていて魅力的なのでしょうか。監督にビールをかけられ、グラウンドを歩いて去って行く時の彼女はとても大人っぽく見えた。ホント、作品自体元気にさしてくれて、とても楽しくて素晴らしいですが、やっぱりT・オニールが最高でした。 8点(2004-07-11 16:52:31) |
19. ゾンビ/ディレクターズカット完全版
なんてすごい映画なんだ・・・これほど驚くほどグロテスクで気持ちの悪い映画始めて観た・・・人間の危機的状況に達した時の醜さや残酷さ、欲望の深さ。ゾンビの気持ち悪さだけでなく、そういう人間の心理や行動も観ていると余計気持ち悪くなった。あぁ、人間ってホント怖いなぁ・・・ 7点(2004-07-10 23:26:13) |
20. 遠すぎた橋
戦争の銃撃戦を観ていてもあまり緊張感を感じなかった。終始退屈の連続でした。 5点(2004-07-04 12:53:20) |