1. 白と黒のナイフ
《ネタバレ》 う~ん、皆さんの評価は高いようですが僕はそれほど面白いと思いませんでした。↓の方が仰っているように最近の洗練されたサイコスリラーを見慣れてしまっているせいか、チト物足りない印象を受けました。大体主人公は過去に自分が関わった事件で罪の意識を引きずっていて、だからこそそれを彷彿とさせるような嫌疑を掛けられた男の無実を証明することによって思いを断ち切れたハズなのに、最後の最後になって「やっぱり犯人でした!」というのはいくら何でも救われ無さすぎじゃ?こうなるとクラズニーの行いが本当に悪いものだったのかどうかも分からなくなってくるし…。それがこの作品のミソなのかもしれませんが、僕個人としてはどうもイマイチしっくりと来ませんでした。ただタイプライターの“t”の文字を打つシーンではやはり鳥肌が立った。グレン・クローズはこんな異常な男に命を狙われたからこそ、後に自分自身が恐ろしいストーカーに変貌しちゃったのかな?と思いました(笑) [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-03-18 15:22:25) |
2. メルビンとハワード
《ネタバレ》 これは観る前から主人公であるメルビンがハワード・ヒューズの遺産を相続する(実際はし損ねるんだけど)という展開を知っていたのですが、どうせなら知らないまま観たかったです。お陰でいつ話が本題に入るのかと気になってしまい、結局最後にサラッと描かれて「それだけかよ!」と思ってしまいました。しかしタイトルに「ハワード」と入っている時点でたとえストーリーを知らなかったとしてもある程度予測はできただろうし、実話であることを考えれば本国アメリカの観客は結末を知った上で観ていたのかもしれませんね。兎にも角にもこの主人公の前向きな生き方に豪く感動しました。テレビの一攫千金ショーみたいな番組を観ているシーンで、一緒に観ている娘が「外れれば良いのに…」と言っているのに対して彼の「祝福してあげなきゃ、あんなに嬉しそうじゃないか」という言葉に、目から鱗というか…自分もどちらかと言うと娘と同じ意地悪な見方をしていたので「人間とはこうあるべきなのだ!」ということに気付かされました。がさつで不器用だけど他人への思いやりに溢れている。またその奥さんもしょっちゅう喧嘩しているけど女性としての優しさ、温かさに包まれています。美男美女のカップルとまでは行かないけど、これも一つの理想の恋人像だなと思いました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-14 18:28:45) |
3. マルサの女
《ネタバレ》 新年一発目に脱税映画というのも何ですが、なかなか面白かったです。「お葬式」はイマイチだったけど、これは良いですね。何と言っても国税局という悪役のイメージを逆手に取ったようなアイディアがお見事!前半で悪徳実業家・ヤクザ・銀行家などに散々丸め込まれておきながら、後半で"マルサ"となった主人公が一気にその巻き返しを図るこのカタルシス。また最後の宮本信子と山崎努の対話にも情緒がありました。ところで伊丹監督の映画って妙にエロいシーンがいっぱい出てくるのですが、どういう訳かちっともエロスを感じさせませんね。突っ込んで良いのかどうか分からないけど…。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-01 13:34:23) |
4. お葬式
《ネタバレ》 観る前からあまり乗り気ではなかったのですが…、何せタイトルが「お葬式」って暗すぎる!内容は杞憂していた通り如何にも日本人らしいジメジメしたブラックコメディで、最初はギャグも薄ら寒いとしか思えなかったのですが、観ていく内にだんだんそのナンセンスがこの映画の魅力だと分かってきて後半以降は逆に心地良く感じられました。特に中盤のサイレントシーンとお通夜の客を必死に帰そうとするシーンが好きです。突如挿入される山崎努と高瀬春奈の絡みは気色悪い以外の何者でもありませんでしたが…。唯一嬉しい誤算は住職役の笠智衆の登場でしょうか。御前様、柴又から出張して来たのですか?まあいつか自分も身内の葬式を出す時の為に、予備知識として観ておいて損は無い一本じゃないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-12-29 14:33:55) |
5. 炎628
《ネタバレ》 何なんだ、この絶望感は…。ある種異次元の世界の話でも観ているような感覚に囚われます、それぐらい衝撃的。下らないサスペンスの<衝撃のオチ>とか、そんなレベルではなく本当に衝撃的というのはこういうことを言うんだろうなと思います。特に最後のあの少年の表情はもはや演技を越えています。若者から精気を奪い取り老人へと変えてしまう戦争。個人的に二度と観たくない作品ではあるけれど、7点以下を付けることが許されないような気がするので8点。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-03 11:12:07) |
6. ラルジャン
《ネタバレ》 流石リアリズムの巨匠と言われているだけあって、"無駄"なものを極力排除した映像は潔いの一言。全くもって気持ちが良い。善人は捕まり、悪人はまんまと逃げおおせるこの非情な世の中。そんな中で偽札という運命に翻弄される男の姿を、この作品は一点の揺るぎも無く描き出していきます。余りにも淡々としている為それほど物語の陰鬱さも感じませんでした…と思ったけれど、ここの皆様のレビューを読んでいると本当はあそこは恐怖を感じなければならなかったのですね。う~ん、未熟にも程がある。とにかく僕にとっては何もかもが新鮮な映画でした、ビデオを返却する前にもう一度観たいと思います。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-27 11:36:23) |
7. プリンセス・ブライド・ストーリー
この「モンティ・パイソン」のような馬鹿馬鹿しさが好きです。超ご都合主義なストーリー展開に、個性豊かな登場人物たち。物語の途中で入る子供の茶々とピーター・フォークとのやり取りがこれまた絶妙で、テレビゲームと中世というミスマッチさが頗る良いです。アンドレ・ザ・ジャイアント等の脇役もハマっていました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-13 18:18:51) |
8. ブラインド・デート
いや~、なかなか面白かったですよ。相変わらずブレイク・エドワーズは日本人を馬鹿にしていますが(苦笑)。この手の一昔前のコメディはひたすらに馬鹿馬鹿しく、それほど深いことを考えずに楽しめるので好きです。ブルース・ウィリスのコメディ演技も、映画デビュー前のTVドラマ「こちらブルームーン探偵社」で既にこなれている気がします。その後「ダイ・ハード」で一躍大ブレイク、今は「シン・シティ」。人生って分かりませんね。 [地上波(字幕)] 7点(2005-11-05 21:25:02) |
9. ファニーとアレクサンデル
初めはひどくお上品で優等生的な作風にいまいち馴染めなかったけど、後半の子供たちがヘルハウスに連れて行かれてからは文字通りファニーとアレクサンデルの物語になり一気に引き込まれました。このグロテスクさが良い、前半と後半の対比はお見事!ただ今回観たのは残念ながら三時間バージョンの短い方で、いつの日か五時間完全版(長いなぁ…)も観たいです。何はともあれベルイマンさん、どうもお疲れ様でした! [ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-21 18:11:31) |
10. ブロードウェイのダニー・ロ-ズ
《ネタバレ》 良いですねぇ~、これ。全編モノクロ映像の中に終始サングラスを掛けているミア・ファローがカッコ良い。語り口は毎度ながらのウディ・アレン調で、残忍な殺し屋が出てきても安心して観れてしまいます。まるで「例え落ちぶれてもハッピーならそれで良いじゃないか!」というアレンの声が聞こえてきそうです。そもそも物語自体がレストランに集まった芸人たちの嘘か真かも分からぬ回想話というのがこれまた効果的。観終わった後には心がポッと温かくなります。しかし本作の前には『カメレオンマン』を、後には『カイロの紫のバラ』を撮っているってやっぱりウディ・アレンって凄いなあ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-15 21:15:18) |
11. 友だちのうちはどこ?
《ネタバレ》 間違えて持って帰って来てしまった友達のノートを返すために、その友達の家を探しに行くというただそれだけのストーリーに脱帽。一体どうしたらこんな天才的なストーリーを考え付くのでしょうか?巨額の制作費を掛けて無味乾燥なアクション大作を撮り続けている日本やアメリカの映画産業が馬鹿らしく思えてきます。殺し屋も謎の大金も出てこないのにこんなにもスリリングな物語を作れるなんて…。正直中盤までは子供版『自転車泥棒』という感じがしなくもありませんでしたが(^^;。それにしてもこの映画に出てくる大人たちは何と無理解な人たちなんでしょう!「次に宿題をやってこなかったら退校だ」と生徒を脅す先生や、そしてお母さんまで。友達の家にノートを返しに行かなければならないというのに「まず宿題をしろ」とはこれ如何に、その癖自分は「赤ちゃんの面倒を見ろ」だの「盥を持ってこい」だのと命令するし。それでもやっぱり最後は優しい。「四日に一度は子供殴る」と豪語していたお祖父さんも確信犯っぽいし、一見厳しそうに見えて実は子供たちを思う気持ちは誰よりも保護者としての親が一番強いのではないでしょうか。最後はてっきり先生が「おいちょっと待て、これよく見りゃ同じ文字じゃねえか」と気付くのではないかとハラハラしたけど、無事上手くいって素直に良かったです。しかしこういう映画を観せられると、我らがのびの○太という人間が如何にだらしない存在かがよく分かりますね(汗)。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-10-14 17:26:19) |
12. サラーム・ボンベイ!
ミーラ・ナイールは現代のデ・シーカでしょうか?ウディ・アレンが映画の中で「映画の登場人物に比べれば自分たちの悩みなんて軽い」と言っていましたが、まさに然り。主人公たちの行動を批難することは出来ないし、国が国なのだから生き方も選べない。確かに重いですが説教臭も無くあっという間の二時間でした。ボンベイの子供たちに平和を! [地上波(字幕)] 8点(2005-09-17 21:25:11) |
13. デカローグ
あのキューブリックに「この二十年間で一つだけ重要な作品を挙げるとすれば、それは『デカローグ』だ」と言わしめた本作。真の映画ファンの方なら間違いなく10点を付けるのでしょうが、僕の場合はちょっと退屈してしまったところもあるので平均の7点です。初めて同監督の「殺人に関する短いフィルム」と「愛に関する短いフィルム」を観た時に深い感銘を受け、全ての作品がこれらと同等のクオリティを誇っているのならそれは物凄い傑作だろうと思っていたのですが、個人的には結構当たり外れが大きかったです。とは言え他の話の出来事や登場人物が、また他の話に微妙に関係してくる辺りの演出はまさに絶妙としか言いようがなく、最後の十話目まで観たらまた最初の第一話から見直したくなります。そんな中でも自分のお気に入りエピソードは第三話の「あるクリスマス・イブに関する物語」と、第七話の「ある告白に関する物語」。そして最後の「ある希望に関する物語」です。ずっと悲劇的なドラマで持ってきて最後に喜劇でシメるというキェシロフスキー監督のセンスにも脱帽したので+1点。いつか機会があればまた挑戦したいです。ちなみに僕はこれで十戒を覚えました(笑)。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-25 23:14:40) |
14. ボディ・ダブル
《ネタバレ》 主人公のストーカー行為があまりにも大胆すぎてちょっと笑ってしまいました。しかもその後の彼女との熱烈なキスシーンが、これまた何の脈絡も無くて唖然。と言うか全編そんなのばっかりですけどね。ショッピングモールでの追いかけっこは「カリートの道」のクライマックスと同様、やはりこういう演出は卓越しています。元ネタでは主人公が高所恐怖症だったのが、こちらでは閉所恐怖症になっているのがユニーク。相変わらずシナリオはパクリですが、ポルノ館でのリラックスのシーンは「ファントム・オブ・パラダイス」みたいで面白く、また「エルム街の悪夢」のフレディのようなメイクをした悪役もB級感があって良いです。そもそも映画のタイトルの時点でネタバレをしているのが凄い。ビバ・デ・パルマ! [DVD(字幕)] 7点(2005-08-23 22:44:10) |
15. 動くな、死ね、甦れ!
物語の時代背景がよく分からないのでちょっと理解し難いところもあったけど、このまるで歯車のネジが吹っ飛んだような異様な雰囲気には終始目が釘付けでした。1989年に撮られたというにも関わらず、まるでこの映画自体が何十年か前にタイムスリップしてしまったような錆び付いた映像にも圧巻。更に監督が八年もの間、無実の罪で投獄されていたという凄まじい経歴の持ち主であることにも妙に納得。ラストシーンから観ても分かるように完全に狂っている映画です。正直「狂っている」の一言で片付けるには勿体無い作品だけど、尋常でないことだけは確かです。恐れ多くも6点。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-08-22 18:47:01)(良:1票) |
16. 火垂るの墓(1988)
いや、普通に良いアニメだと思うけど、もしこれを子供の頃に観ていたらおそらくとんでもないトラウマになっていたでしょうね。敢えて見せてくれなかった母親に感謝。8月6日、原爆の日。無益な戦争の犠牲者となった方々のご冥福をお祈りします。安らかにお眠り下さい…。 [地上波(字幕)] 7点(2005-08-06 21:16:12) |
17. フェリスはある朝突然に
作品自体の面白さは別にしても、主人公の身勝手な行動に共感できるか否かと訊かれたら僕の場合は断然できると答えます。まず何よりも自分が主人公たちと同年代ということもあるし、「大人を舐めた小生意気なガキ」と考える方もいるでしょうが、自分にはそれが何より痛快でなりませんでした。そもそもあんな生徒も教師もやる気のない学校だったら、そりゃ誰だって逃げ出したくなるわな…。大人になってから見返したら「何だ!こんな馬鹿馬鹿しいもの」と思うかもしれませんが、とりあえず今の内はこれで良いのです。フェリスの言う「人生は短い、思う存分楽しまなきゃウソだ」という言葉にも納得できましたしね。おそらくPTAの方々は大激怒でしょうけど(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-05 14:16:26) |
18. 月の輝く夜に
《ネタバレ》 これは出てくる登場人物に一人も悪人がいなく、とても愛せる映画だと思います。特に家の階段から大量の犬が一斉に駆け下りてくるシーンでは、僕はこの場面を見てこの映画が好きになるだろうと確信しました。その他序盤のおっちょこちょいなプロポーズのシーンから、ついさっきまで険悪なムードで喧嘩していた店先の主人と妻がたった一言の言葉で仲直りしたりと、そこかしこに優しさが詰まっています。「飛行機に呪いをかける」と言っていたお婆さんでさえも滑稽です。物語には独特のリズムが有りテンポは最高とは言えませんが、タイトルにもなっている月の効果的な使われ方、度々出てくる食卓のシーンでは家族の温かみを感じさせます。そして何よりもオペラを観て涙を流すシェールの顔の美しいこと!余談:本作において主演のはずのニコラス・ケイジの存在感が個人的に希薄に思えたのは、本編開始30分後に画面に初登場するからか、もしくはまだこの頃は髪の毛がフサフサ過ぎて逆に違和感を感じてしまうのでしょうか? [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-27 18:20:25) |
19. 少林寺
《ネタバレ》 初めは間違って少林寺案内の番組でも観ているのかと思ったけど、いざ映画が始まってみるとこれが兎に角凄い!人間の肉体の動きを極限にまで駆使した少林寺の技は、もはや芸術の域にまで達していると言っても過言ではないんじゃないでしょうか?中国人が自らを誇りとしている自国の拳法に対する敬意も感じさせます。ただ最後のバトルが「もういい加減にしろ!」というくらいしつこかったのと、僧侶たちが余りにも簡単に戒律を破りすぎていて「本当にそれで良いんかい」と思ってしまったので-1点。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-07-22 16:43:55) |
20. ハウリング(1981)
《ネタバレ》 どうでもいいんだけど、変身する度にいちいちあのピクピクやるんかい!しかしこれを観た後はしばらく肉が食べられなくなりますね(とか言ってどうせ食べるんだろうけど)。それにしても選択の余地があるって良いなア…。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-06-29 18:04:35) |