1. 大冒険
脚本は穴だらけ。構成も滅茶苦茶。挙句の果てには「神戸のホテル」という設定のホテルの外観に、堂々と「赤坂プリンスホテル」の文字。 普通に考えればクソ映画の条件は全て満たしているが、これぞクレイジー映画の決定版である。息をもつかせぬスピード感。合成や特撮を駆使した植木等のスーパーアクションの数々は、当時ピークだった古澤健吾監督の豪快演出と相まって、批判を恐れぬ圧倒的な存在感を放っている。「殺すなら一思いにピストルでやってくれ」と、悪漢に懇願する谷啓に、「フカに食われた方が味があるんだぞ」と言い放つ植木。「いつ死んだって同じ事。同じ事なら、死にたくないね♪」は名言。余談だけど、港のバイクアクションで植木の乗るバイクが派手に転倒するシーンがあるが、これで実際にバイクに乗っていたのは、当時植木の付き人だった小松政夫だというのは有名な話。 [ビデオ(字幕)] 10点(2005-08-07 20:09:10) |
2. ニッポン無責任時代
強烈なギャグと古澤監督のイケイケ演出や、植木等キャラのインパクト。 なにはなくとも青嶋&萩原コンビの名曲の数々についつい「軽いコメディ」と判を押したくなるが、ちょっと待てよ?と。 これは60年代後半当時に一世代を風靡した、ピカレスクロマンの映画ではないのか? 「組織にも良識にも縛られない一人の天才が、己の能力一つで、『コツコツ努力良識派』を尻目に、社会通念を超越した方法論でのし上がって行く物語」 だと捉えれば、一連の大藪春彦の「野獣死すべし」や「蘇る金狼」にも通ずる部分だと思うのだが。 これは作成当時、シナリオを読んだ青嶋幸男が「これはアメリカのハードボイルドだ」と評したところからも伺えるのではないだろうか? [ビデオ(字幕)] 10点(2005-08-07 19:54:56) |
3. ブラック・レイン
私の魂の映画。この映画と「ア・ホーマンス」という映画と、同じ時代を生きられたことは死ぬまでの誇りである。松田優作よ永遠なれ。一つだけ評論じみた言葉を。優作の怪演で見過ごされがちだけど、脚本(つまり台詞)だけ見ると優作の演じた「佐藤」という役は、ごくごく普通のヤクザなのである。その素材をあそこまで狂気の塊に昇華させた力こそ「魂の力」だったのだと信じたい。 10点(2003-10-08 23:05:54) |
4. ローマの休日
揶揄ではなく、今となってはファッションカタログ的な古典となっている。でもそこで考えたいのは、数十年を経過してなお、この映画の全てのシーン、カットが、現代に於いて突出したファッション性に満ち溢れている事のすごさだろう。 10点(2003-10-05 03:18:15) |
5. バタリアン
ゴシックホラーの楽しみ方の一つに「ここで俺ならこう逃げるね」「私がもしこの場に居たら、まずはこうするわ、そしたら後で逃げられるじゃない」というのがあるが、オバノンは本作で徹底的に観客の「if」を封じ込めた。この作品の場面に出っくわしたらもう勝てない逃げれない、生き延びられない。ラストが社会派?そんなもんじゃない。あれはただただ「この作品世界の中にいたら、例えあの街にいなくても、いつかはあんたも襲われるんだよ」という暗示に過ぎない。やったぜオバノン!馬鹿最高!ちなみに>kazu_jonさん あいつの名前は「ハーゲンタフ」です 10点(2003-10-04 00:24:56) |
6. バットマン リターンズ
日本のアニメ史を強引にハリウッドのアメコミヒーロー史になぞらえると、無思想愛国スーパーマンは宇宙戦艦ヤマトだろう。そして「個人と社会。そして環境と人間」を問うたのが機動戦士ガンダムと、このバートン版バットマンではないだろうか?バットマンも悪役も、皆ただ社会や民衆からスポイルされて疎外された物同士でしかない。一方は正義の英雄として、もう一方は戦慄の悪魔として向かい合う。その二者を分け隔てる物がなんなのか。バートンはビートルジュース以来徹底してその境界線上の彷徨える愚者を描きつづけている。これからもそうなのだろう。ちなみに先の日米対比で言えば「個人主義の末路」を描いた作品として「エヴァンゲリオン=スパイダーマン」なのだろうなと勝手に思っている。 10点(2003-10-04 00:19:55) |
7. バットマン(1989)
誤解を恐れない言い方をさせてもらえば、例えば70年代の日本のヒーロー番組が持っていた独特の「闇」の部分を、正統に受け継いでいたのはバートンだけかもしれない。 10点(2003-10-04 00:14:47) |
8. ニューヨーク1997
デュークのシャンデリアカーがチャカポコ言いながら走る姿こそが、この映画のかっこよさの集約点だと思いますがいかに? 10点(2003-10-02 02:40:59) |
9. 二十四の瞳(1954)
物語冒頭はモガ丸出しの先進的教師だった女教師が、ラストでは貧乏臭い和服に身を包んで、一台の自転車に涙する……。時の流れを描かせたら天下一品の木下恵介監督の真骨頂。この人の映画はいつでも「どこにでもありそうな人生」を丹念に描いてくれて好感が持てる。 10点(2003-10-02 02:36:09)(良:1票) |
10. ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生
ホラーと言うのは時代を写す鏡でもあるんだなぁと痛感。当時アメリカではベトナム戦争に代表される人間不信が頂点に達していたのだと納得させられる。この怖さは当時のアメリカの人々を取り巻いていた社会に対する潜在的恐怖感なんだろう。そう考えるとリングだの呪怨だのがもてはやされている今の日本って(略 10点(2003-10-02 02:32:55) |
11. 翔んだカップル
当時薬師丸ひろ子さんの中学での後輩だった頃、招待券をもらって観に行ったのですが、この映画が人生を決定付けましたね、えぇそりゃもうw 薬師丸の最高傑作にして相米監督の一般映画デビュー作にして丸山昇一脚本の名作。この脚本を読んで松田優作が丸山氏にほれ込んだというのも有名。結局薬師丸さんは(それが意図的に作られたとはいえ)「映画のスクリーンが生んだ最後のアイドル」でしたねぇ。 10点(2003-09-29 20:17:05) |
12. 伝説巨神イデオン 発動篇
「たかがロボットマンガ」が、無限の可能性を持っている事と、究極の人間ドラマを描ける事を証明せしめた、記念碑的作品。しかし問題は「証明せしめた」後に続く者がいなかったことか。無人島に5本のビデオを持っていってそこで一生過ごせといわれたら私はまずこれを選んでから残りを決めます。 10点(2003-09-29 20:04:27) |
13. 天国と地獄
時代劇そのものにあまり関心が高くないせいか、黒沢と言えばこれに落ち着いてしまう。黒沢に限らず当時の東宝映画は「庶民」の描き方がすごく上手かった。これってやっぱ大部屋社員俳優さん達のおかげでしょう。端役脇役通行人までもがプライドを持って映画に参加していた。「こりゃあ江ノ電でさァ」 10点(2003-09-29 20:01:00)(良:1票) |
14. タクシードライバー(1976)
松田優作ファンにとっては見ていなければならない一本(本当か?)デニーロ、ジョディ、ベトナム戦争、アメリカ、語りたい事は多々あるけれど、NYの闇の中にかき消されるのだろう。 10点(2003-09-29 16:36:06) |
15. 太陽を盗んだ男
この映画が馬鹿馬鹿しいのではない。この映画を馬鹿馬鹿しくさせなくてはならなかったこの国が馬鹿馬鹿しいのである。 10点(2003-09-29 16:33:49) |
16. 大誘拐 RAINBOW KIDS
喜八監督の反社会映画……とか書くと誤解されそうだけど、実は喜八監督の全盛期のどの映画よりもアナーキーな映画なのかも。そして究極のアナーキー映画に相応しい感慨がラスト胸の中にこみ上げる。松竹ヌーベルバーグに匹敵するほどの反社会的映画のラストに必ずこみ上げる感慨……「みんな幸せになってください。」 10点(2003-09-29 16:31:44) |
17. ダイ・ハード
《ネタバレ》 今のところ最後の「煙草の吸い方を格好良いと思った作品」。ベレッタM92FにMP5と、銃器の魅力も満載。黒人警官のパウエルが最後に銃を撃つシーンで万感こみ上げてきた途端「ねぇこの人って水野晴郎に似てない?」と聞いてきた彼女(当時)とは速攻で別れました。 10点(2003-09-29 16:12:26)(笑:6票) |
18. ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
ホラー云々スプラッター云々特殊メイク云々。色々あるだろうけどまずは「映画として名作」なんだから文句なし。シチュエーションアクション映画として秀逸なんだよねこれ。ホラーとして語るのなら、古き良き時代のゴシックホラーから同じなんだけど「自分がこのシチュエーションならこうしてこうして生き延びる!」みたいな楽しみ方が生きる映画ってのは、とにもかくにも面白いって思う。ゴブリンの音楽もノリノリ(死語) 10点(2003-09-29 16:08:28)(良:1票) |
19. 戦国自衛隊
私を映画好きにさせてくれた人生を変えた一作。どれくらい好きだったかというと 1・中1の頃シナリオを全暗記していた 2・今でも挿入歌が全部フルコーラスで歌える 3・この映画に出ていた61式戦車をみたいが為に「僕らの七日間戦争」を観に行った ……もはや「映画と私のどっちが馬鹿か?」状態。しかし今観ると、当時借金背負いすぎて排水の陣だった千葉真一が、JAC引き連れてこの映画に賭けてる空気がギンギンに伝わってきます。 10点(2003-09-29 06:29:10) |
20. 新幹線大爆破(1975)
何度観ても色あせない傑作。「東映」が「70年代」の「パニック映画&ビッグバジェット映画ブーム」で製作した映画でなければ成立しなかった奇跡かもw 多岐川裕美や志保美悦子がどこに出ていたかが解ればポイントアップw ウルトラマンのデザイナー成田亨が特撮を担当した新幹線を操るのが千葉真一&治朗兄弟なのもポイント高し。 10点(2003-09-29 06:10:20) |