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1.  新・桃太郎
日本の昔話の中でもとくに有名な「桃太郎」を映画化した台湾映画。初めて見たのはまだ幼い頃だったが、とても好きな映画だった。同時期にキョンシー映画にもはまっていたので、キン・トーやテンテンなどキャストがかなりかぶっていたので安心して見ていた記憶がある。10年くらい前の高校生の時に機会を得て再見したが、おばあさんを襲う桃、悪役である赤鬼大魔王の部下の魔女のテンションの高さ、その魔女の二人の息子のキャラクター、ラストの桃ロボットなど、あまりのぶっ飛び具合に驚きまくり。真面目に映画として見てしまうとあまりにもバカすぎる駄作映画かもしれないが、そのぶっ飛んだ設定や展開に大笑いしてしまい、初めて見た時とは完全に別の意味ですごく楽しめたので、思いきって10点。
[ビデオ(吹替)] 10点(2007-09-10 19:21:45)
2.  遥かなる山の呼び声 《ネタバレ》 
「幸福の黄色いハンカチ」に続いて高倉健と倍賞千恵子を起用した山田洋次監督作品で、今回も北海道が舞台。ということでよもや「幸福の黄色いハンカチ」の2番煎じ的な映画なのかと思っていたが、見始めると全くそうは思わず、むしろ「幸福の黄色いハンカチ」よりも名作だと思う。とくにラストの列車の中でのハナ肇と倍賞千恵子のやりとりが泣ける。(みなさんすでに書かれてるけど、このシーンのハナ肇の演技が最高に良い。)その直後に健さんに倍賞千恵子が渡したハンカチの色を見て思わずまた「幸福の黄色いハンカチ」が見たくなってしまった。文句なし(というかほかに考えられない。)の10点。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2006-08-17 15:09:04)(良:1票)
3.  北の国から '84夏<TVM>
「北の国から」スペシャル版で一番好きな作品。ビデオも再放送で録画したものを持っている。そんなに何回も見るわけではないのだが、純と正吉の友情に感動したし、ラーメン屋での五郎と純の親子の会話も良かった。閉店時間だからとラーメンを下げようとする女店員(伊佐山ひろ子)に対して五郎が怒鳴るシーンに親の愛情を感じた。シリーズでも名作中の名作だろう。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-03-25 10:31:16)(良:2票)
4.  北の国から '87初恋<TVM> 《ネタバレ》 
好きなシーンはいっぱいあるが、ラストの古尾谷雅人演じるトラックの運ちゃんと純のやりとりが感動的だった。その後のシリーズも見ているが、僕にとっての「北の国から」シリーズはこれで完結したと思っている。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-03-07 18:50:15)(良:2票)
5.  さくら隊散る
バンツマの「無法松の一生」で吉岡夫人役を演じていた園井恵子は清楚で美しく気品のある演技で本当に素晴らしく、そんな彼女が広島原爆の犠牲者であると知ったときには大きなショックを受けたことは今でも忘れられない。さて、本作は園井恵子が所属していた丸山定夫率いる移動劇団「さくら隊」のメンバー9人が広島で被爆し、即死を免れた丸山定夫、園井恵子、高山象三、仲みどりの4人がその後発症した原爆症によってどのように死んでいったかを生前の彼らを知る俳優仲間らの証言と再現ドラマによって淡々と描き出したドキュメンタリー作品で、ある程度覚悟はしていたものの、再現ドラマ部分での被爆した俳優たちが原爆症で悶え苦しむ姿はリアルすぎて見ているこちらにまでその苦しみが伝わってきて見ているのが本当に辛かった。いままで広島原爆を扱った話はいくつか見たり読んだりしているが、原爆症で苦しみ、死んでいく姿をこれほどまでにリアルに描写した作品は初めて見たような気がするし、これまで見た原爆を題材にした映画の中でいちばん怖さを感じた映画だった。明日は8月6日、あれから63年目の広島原爆の日、そして園井恵子の誕生日でもある。あらためて「さくら隊」のメンバーをはじめとして原爆の犠牲になった人々の冥福を心から祈りたいと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2008-08-05 18:47:29)(良:1票)
6.  必殺4 恨みはらします 《ネタバレ》 
このシリーズは今まで全く見たことがなかったが、(それでも「ちゃららーん♪」という音楽だけはどこかで聴いて知っていた。)深作欣ニ監督の作品というただそれだけの理由で本作を見た。もしかしたらシリーズについての予備知識がないと面白くないのではと思ったが、独立した1本の深作映画として思った以上に楽しめた。いちばん印象に残ったのはやはりみなさんと同じで千葉真一と蟹江敬三の決闘シーン。同じ深作の「魔界転生」の若山富三郎と千葉真一の対決シーンもすごかったが、本作のこのシーンもそれに負けず劣らずすごい。おかげで映画の見せ場を全部千葉真一が持っていってしまったような気もするが、このシーンに1点プラス。敵の親玉を演じる真田広之もなかなか。音楽も良かった。
[ビデオ(邦画)] 9点(2006-07-18 03:39:35)
7.  ダイ・ハード 《ネタバレ》 
かなり久しぶりに見たけど、めちゃくちゃ面白かった。やはりまずなんといってもいかにもヒーローという感じではない普通の男である主人公ジョン・マクレーンが訪れた別居中の妻ホリーの勤務先であるナカトミビルでテロ事件に巻き込まれ、たった一人でテロリストに立ち向かうことになるという設定自体が面白いのに脚本も緻密で、マクレーンが口が悪かったり、弱音も吐きながら孤軍奮闘する人間臭い姿(妻との間に問題を抱えているという設定も利いている。)に思わず感情移入してしまうし、ハンスたちテロリストとの戦いも派手なアクションだけではなく、心理戦も見ごたえじゅうぶんでハラハラドキドキが最後まで持続するので大味な感じは全くなく、見ていて飽きない。ハンスやカールといったテロリスト側の登場人物さえも魅力的に描かれているのがよく、やはりアクション映画は悪役にこそ魅力がなければと改めて思った。(吹き替えで見たのでちょっとこういうことを言うのはあれかもしれないが、ハンスを演じているアラン・リックマンはなんとこれが映画デビュー作とのこと。とてもそうは思えない存在感がすごい。)人質の命の軽く見ているFBIの掃討作戦ヘリがビルの屋上の爆発に巻きこまれて炎上する因果がなんとも印象深い。子供を誤射したことによるトラウマで銃を撃てなくなったパウエルが最後にしぶとく生き残ったカールを射殺するシーンは思わず感動してしまった。やはり最初に書いたようにとても緻密な脚本で、登場人物一人一人を大切に描いているからこそただのアクション映画というだけではなく、きちんと人間ドラマとしての魅力もある作品になっていて、まさにこれぞこれからもずっと残っていく名作に違いないと思う。(2022年12月31日更新)
[DVD(吹替)] 9点(2006-04-22 16:46:45)
8.  疑惑(1982) 《ネタバレ》 
高校の頃にテレビで見て以来、また見たいと思っていた映画だったのだが、今回ようやく念願叶って再見することができた。ストーリー自体はよくある法廷ものであるが、とにかく被告・球磨子がすごくいやな女に描かれていて、またそれを演じる桃井かおりもこの役を演じるために女優になったのではと思うほどのハマリ様で、見る者の被告に対する感情移入を許さない描き方が完璧だし、そんな彼女の弁護を引き受けたもう一人の女・佐原律子を演じる岩下志麻も一癖ある弁護士を熱演していて、ほぼ全編に渡ってこの二人の「悪女」の対決が見ごたえじゅうぶん、迫力じゅうぶんに描かれていて、以前にも見ていて裁判の結末を覚えているにもかかわらず、以前見た時よりも面白かった。とくに桃井かおり、個人的には苦手な女優で、好感も持ったことがないのだが、さっき球磨子を演じるために女優になったのかと書いたように彼女独特のキャラクターが球磨子という女にバッチリ合っていて、まさにこの球磨子はそんな桃井かおりが演じるからこそその悪女ぶりが際立っていて、本当に憎たらしく、演技もそうだが、この配役も素晴らしいとしか言いようがない。こんな誰もが有罪になることを望むような女が最後に無罪になってしまう結末なのだが、ここで終わっていたら後味が悪かったところをそうはせず、ラストで球磨子にもきちんと制裁を加えて終わっているのが良い。このラストの二人がワインをぶっかけ合うシーンは昔見た時よりも強烈で、インパクトが強く、このシーンが本作をより象徴的なものにしている。この時期の野村芳太郎監督の映画にはイマイチなものが多いが、本作は紛れもない日本映画史上に残る傑作だと思う。それは原作者の松本清張自身が脚色に参加した脚本の質の高さもそうだが、やはり主演の二人、桃井かおりと岩下志麻の起用の成功が大きかったのだろう。(2013年12月25日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2006-01-20 01:24:48)(良:1票)
9.  うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
確かコレ、最初見たときは「うる星やつら」自体を全く見たことがなく、内容以前に登場人物たちの関係がよく分からなかったのだが、その後、BSでテレビシリーズの再放送が始まり、それをある程度まで見たあとに見直すと、ちょっと分かりやすくなった。でも、作風はおもいっきり押井守の世界なのでそれでも何回見てもよく分からない部分はある。そんな作品だけど、好きな映画の一つなので9点。(ちょっとよく分からないレビューですいません。この映画って好きなんだけど感想述べにくいんだよなあ。)
[CS・衛星(邦画)] 9点(2005-09-02 01:41:39)(良:1票)
10.  マルサの女 《ネタバレ》 
伊丹十三監督と聞いて真っ先に思い浮かぶ本作(ちなみに俳優としてすぐ思い浮かぶのは「家族ゲーム」。)もかなり久しぶりに見たが、やっぱりストーリーテリングがしっかりしていて面白いし、例のテーマ音楽を聴くだけでワクワクできる。一般的にこのあたりから伊丹監督の映画に社会派的要素が加わったと言われているみたいだけど、きちんと社会性と娯楽性を両立させているのが上手いし、権藤(山崎努)をはじめとした脱税者たちと板倉亮子(宮本信子)らマルサとの戦いがスリリングに描かれていて最後まで飽きさせることなく楽しめるのが良い。いかにもバブル真っただ中の映画なのだが、そのことも含めてこの時代ならではのリアリティーというものがよく出てて、まさしく時代に合った映画だったのだろうと感じるし、伊丹監督のその時代を読み解く力のすごさというものを改めて感じることができる。登場する脱税者は曲者揃いだが、やはり伊東四朗演じるパチンコ屋の社長と絵沢萌子演じる特殊関係人のエピソードはそれぞれのキャラクターのインパクトもあって今見ても印象に残る。権藤も完全に悪というふうにはなっていないのも良かった。(この役名の人物を山崎努に演じさせているあたりはおそらく「天国と地獄」のオマージュだろう。)そしてラストの夕焼けを背にした板倉と権藤のやり取りはいつ見ても痺れる。(2022年9月25日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-03-09 18:09:56)
11.  エイリアン2/完全版 《ネタバレ》 
1作目に続いて数十年ぶりに見たのだが、1作目と続けて見るとホラー映画の要素はやはりかなり薄まっていると感じるものの、そのかわり、SFアクション映画という別ジャンルの映画に仕立てていて全く違うアプローチで描いてるのが続編映画としてはかなり思い切った印象で、それもしっかり傑作に仕上げているキャメロンの才能はやはり特筆ものだし、やはり今見ても面白く、1作目も好きなのだが、やはりこの2作目も好きだ。ドラマとしてもぬかりなく、リプリーが宇宙を漂っている57年の間に娘に先立たれていたエピソードはこの完全版にしかないそうだが、(中学生の時、初めてテレビで見た時にこのシーンあったような記憶があるけど、ちょっとうる覚え。)これを入れることで、リプリーのニュートへの思いが深みを増しているし、だからこそクライマックスのニュートを何としても助けようとするリプリーの姿にも説得力を感じるし、ちょっと心打たれるものもあった。それに改めて見ると今回のリプリーは1作目と比べると戦士然としていて、「ターミネーター」1と2のサラの違いほどではないにしろ、それに近いものを感じ、やっぱキャメロン映画のヒロインはこうだよなとつい思った。ラストのローダーに乗ったリプリーとクイーンの対決は今見ても迫力と見ごたえがじゅうぶんだった。海兵隊のメンバーも個性的でキャラが立っていて良い。今回はリプリーが1作目で経験したトラウマや悪夢と対峙する物語でもあるのだが、よく考えると冒頭にリプリーが見る夢などが次回作である3作目への伏線になっているような気がする。
[DVD(吹替)] 8点(2022-05-08 00:20:34)(良:1票)
12.  可愛い悪魔(1982)<TVM> 《ネタバレ》 
大林宣彦監督が手掛けた「火曜サスペンス劇場」の一篇で、大林監督にとっては初のテレビドラマ作品となるホラーサスペンス。大林監督のホラーというと監督デビュー作である「HOUSE ハウス」があるのだが、あちらが怖いというよりはどこかお化け屋敷的な楽しさと遊び心もある作品だったのに対し、こちらはあどけない8歳の少女・ありす(川村ティナ)が連続殺人事件を起こすというもので、かなりの本格的なホラーになっていて、冒頭から緊迫感にあふれていて、それが最後まで続くので一切気の抜けない作品になっている。とにかくありすが怖く、殺す相手に対して「しんじゃえ。」とつぶやく時の表情も怖いが、殺人に走る動機が花嫁のベールが欲しい、オルゴール人形が欲しいという実に女の子らしい動機なのがまた怖い。大人から見た子供の恐ろしさをテーマにしているらしいのだが、人が死ぬ描写はもうやりすぎなくらいにグロテスクで、そのテーマをちょっと超えてしまっている気さえする。主人公はそんなありすにの異常性に気づき、自らも翻弄され、命を狙われることになった親戚の女性・涼子(秋吉久美子)なのだが、彼女もまた恋人の死によって精神を病んでいるという設定がなされていて、それがラストに活かされているのもうまく、またこのラストが非常に後味の悪いものになっているのも、普段持っているサスペンスもの二時間ドラマのイメージを覆すにじゅうぶんだった。大林監督はテレビドラマと言えど、やはり映画を意識しているようで、この監督らしく映像も凝っていてクオリティが高く、当時のドラマでは当たり前だったフィルム撮影も相まって本当に映画を見ているようだったし、脚本が那須真知子ということで、もしかしたら地雷かもと見る前は思っていたのだが、見始めるとそこをまったく気にすることなく、最後までとても面白く見れたのは良かった。出演者に関して言えば、ありすを演じた川村ティナのインパクトのある存在感はもちろんのこと、「可愛い悪魔」というタイトルで小悪魔的なイメージのある秋吉久美子を主演に起用しながら、犯人ではなく、逆に命を狙われる役柄というのも視聴者に対するミスリードが利いていてうまいキャスティングだ。ありすの犯行について知っているというボートハウスに住む怪しげな青年をみなみらんぼうが演じているが、本当に怪しさ抜群の演技でハマり役。ほんのチョイ役でこの年の年末に亡くなった岸田森も出ている。彼の出演は本作を製作した円谷プロのプロデューサーからのオファーだったとか。円谷プロといえば「怪奇大作戦」とかあるものの、やはりどうしても「ウルトラマン」をはじめとする巨大特撮ヒーロー番組のイメージが強いので、こういう二時間ドラマにかかわっていたことがすごく意外で新鮮に感じられた。
[DVD(邦画)] 8点(2018-11-24 17:07:25)(良:2票)
13.  ジャズ大名 《ネタバレ》 
江戸時代の日本に外国人が漂流というと「おろしや国酔夢譚」の逆パターンのような話になってしまいそうなところを、それがきっかけである潘の殿様(古谷一行)と家来たちがジャズにはまっていく姿を勢いよく描いていて、岡本喜八監督らしい実に軽快な映画に仕上がっていて面白かった。とにかくひたすら陽気でテンションが高くエネルギーに満ち溢れていて、1986年制作と喜八監督の映画としてはけっこう後年の作品にもかかわらず、衰えというものをまったく感じさせないようなパワーがあるのはすごい。そして何よりもこの映画を喜八監督本人が楽しんで演出しているのがよく分かるし、見ている人に対しても肩の凝らない映画をという思いもよく伝わってきて本当に何も考えずに気楽に見ていられる映画だ。ラスト20分の狂乱のジャズセッションのシーンはなんとも強烈で印象に残る。その狂乱の中でいつの間にか明治になっても「俺たちにはそんなこと関係ないぜ」とばかりに狂乱のセッションを続けるエンディングに喜八監督らしい反骨精神のようなものを感じることができた。「ああ爆弾」ほどではないがシュールなシーンも多く、中でもそろばんをスケボー代わりにして城の中を移動する姫には笑わされたし、ほかにも殿様をはじめとしておかしくて個性的な登場人物たちも面白い。喜八監督の映画を見るのはかなり久しぶりで、それもあってか見る前はちょっと不安な面もあったが、そんな不安は見ているうちに吹き飛び最後まで楽しく見ることができて良かったと思う。最後にもう一言、矢口史靖監督の「スウィング・ガールズ」はあんがいこの映画の影響を受けてる部分もあるのかもしれないと少し思った。
[DVD(邦画)] 8点(2014-02-13 18:29:13)
14.  名探偵ホームズ2/海底の財宝の巻 《ネタバレ》 
本作では前半に「軍艦マーチ」をバックに大海戦シーン(←というにはドタバタすぎてちょっと大げさな表現かも?)が描かれ、どちらかといえばほのぼのした雰囲気だった「青い紅玉」とはがらりと雰囲気が変わっているが、やはり単純に面白い。宮崎駿監督は後年の作品でも群集のシーンが印象に残るものが多いが、ここでも見事な群集シーンを描いていてやっぱりうまい。「青い紅玉」では空中アクションで魅せてくれていたが、今回は海でのアクションがメインで、登場する潜水艦や駆逐艦が非常にカッコよく描かれ、大砲を撃ちまくるシーンなどはテレビ用と思えぬ迫力があり、宮崎監督の空だけではない戦闘シーンの描写のうまさを感じさせている。(下の方も書かれているが、このシーンはけっこう爽快だった。)それに手旗信号のシーンもどことなく「紅の豚」を思わせるもの。後半の深海に沈められた船からの脱出もハラハラもので、思わず見入ってしまった。永井一郎が演じる大佐とその双子の兄のキャラクター描写もコミカルで面白かった。ただ、本作は「青い紅玉」に比べるとホームズ自体の活躍は少なめでそこが残念と言えば残念。テレビシリーズ(ホームズの声が「大草原の小さな家」の父さんから「007」のロジャー・ムーアに変わっているらしい。)は一度も見た事がないので、また機会があれば見てみたいと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2013-10-15 00:29:09)(良:1票)
15.  名探偵ホームズ1/青い紅玉の巻 《ネタバレ》 
宮崎駿監督がイタリアの製作会社と組んで手がけたテレビ用の短編なのだが、テレビ用とは思えないほどのクオリティーの高さがあり、面白い。中でも空中でのアクションの見せ方がうまいのが宮崎監督らしいところで、見事としか言いようがない。やはり宮崎監督の作品は最近のものよりこの時期のもののほうが楽しめると改めて思った。映画としてどうなのかと言われると少し微妙な気もするが、単純に楽しめる娯楽ものに徹していて、比べるのは自分でもどうかと思うが、劇場公開時に同時上映だったという「風の谷のナウシカ」よりも個人的にはこっちのほうが好みかもしれない。ゲストヒロインの声を「天空の城ラピュタ」のパズーを演じた田中真弓が担当しているが、ボーイッシュな外見ではあるが、竜之介のような男勝りのキャラクターではなく、言葉使いにちゃんと女らしさがあり、少年役のイメージが強いだけに多少違和感がなくもないが、田中真弓のこういう女らしい演技はけっこう新鮮に感じる。(とはいえ前半はミスリードを狙っている感じなのだが。)「私は女よ。」と竜之介のようなセリフを言ったシーンでは思わず笑ってしまった。
[DVD(邦画)] 8点(2013-10-14 00:04:24)
16.  どついたるねん 《ネタバレ》 
赤井英和の自伝を映画化した阪本順治監督のデビュー作で、主演は赤井英和本人。つまり元プロボクサーがボクサーを演じるボクシング映画で、見る前は話題先行の映画かとも思っていたが、とにかく赤井英和がボクサー時代の自分を投影した主人公を熱く演じていて、素なのか演技なのか分からないところも含めてすごく魅力的でかっこよく、その存在感に圧倒され、彼のボクシングに対する熱い思いというものもじゅうぶん伝わってくる。ボクシング映画の名作といえば「ロッキー」だが、本作の赤井英和にはスタローン以上の闘志を感じることができ、この主人公の存在感はロッキーを上回っているとさえ思う。(あの目は本当に熱い格闘家の目だ。)それに本当にその世界を知っているからこそ出せるリアルさというのも確かにあって、やはり赤井英和がこの安達英志という自身の分身のような役を演じるからこそこういったリアリティーが出るのであり、純粋な俳優だとこうはいかないような気がする。また、阪本監督の演出も大阪という都市のパワフルさを見事に描ききっており、それも本作に勢いを与えている。敢えて試合結果を描かない唐突なラストも潔く、エンドロールでの安達の後ろ姿が強烈に印象に残る。脇を固める面々もよく、原田芳雄や相楽晴子、麿赤児、正司照枝などみんないい味を出している。しかし、美川憲一だけは見ていてなんか違和感しか感じなかった。
[DVD(邦画)] 8点(2013-03-28 16:11:56)(良:1票)
17.  ロボコップ(1987) 《ネタバレ》 
このシリーズは2作目と3作目は昔見ているが、この1作目はテレビで断片的にしか見たことがなく今回DVDで初めて全編見た。2作目と3作目は面白くなかったおぼえがあるが、1作目である本作はマーフィがロボコップになる過程や、マーフィの記憶が戻ってからのロボコップの哀しみが丁寧に描かれ、ただのヒーローSFアクションではなく、純粋に人間ドラマとして深みがあり、見ごたえのある映画になっていて面白かった。中でも記憶が戻ってからの「生きていた」頃の記憶に苦しめられるロボコップ・マーフィの姿は見ているこちらに彼の哀しみが伝わってきて、売り家になった自宅を訪れるシーンや、マーフィの家族が既に新しい地へ転居していることをルイスから聞かされるシーンはあまりにも残酷で、思わず感情移入せずにはいられない。最後のマーフィのセリフは主人公の苦悩がじゅうぶん描けているからこそカタルシスも大きいものとなるのだ。激しいバイオレンスの応酬もこういったキャラクターヒーローSFアクション映画では異色な気もするが、それもポール・バーホーベン監督らしく、ドラマ部分もそうだが、この暴力表現の激しさも続編とは一線を画している。繰り返しになるかもしれないが、やはりこういった娯楽を前面に出したような映画でも人間がしっかり描けていれば傑作になるということを証明しているような映画だと思う。マーフィがクラレンス一味に撃たれて病院へ運ばれたあとのシーンで、死んでいるはずのマーフィの視点から彼の目の前の人物たちの会話が描かれているのが、実際はまだ死んでいないのではというのを観客に思わせるような演出で印象的だったが、知り合いに一人交通事故で入院した時に全く同じような体験をしたという人がいるので、このシーンはよけい印象に残る。その知り合いはこの映画には特別の思い入れがあるようだったが、実際にこの映画を見てみると、それも分かるような気がする。
[DVD(字幕)] 8点(2012-11-07 20:41:53)(良:3票)
18.  TOMORROW 明日 《ネタバレ》 
黒木和雄監督の「戦争レクイエム」三部作の一作目。原爆を題材にした物語というとだいたいが原爆投下後の人々の人生を描いたものがほとんどだと思うのだが、この映画は昭和20年8月8日の長崎を舞台に原爆が投下されるまでの24時間を描いている。派手さはないが、原爆投下の前日も当たり前のようにいつもどおりの「今日」を生きている人々の日常がなんのてらいもなく淡々と描かれているだけなのだが、だからこそ、その日常を一瞬にして破壊する原爆の恐怖が見ている側にリアルに伝わってきて見終わってなにかジワジワとくるものがあり、原爆投下後を描いていないのもあり、彼らはその後どうなったんだろうと考えると切なくて悲しく、とくに出産を終えたばかりのツル子(桃井かおり)と、その生まれたばかりの赤ん坊、結婚したばかりのヤエ(南果歩)とその夫(佐野史郎)には、戦争さえなければ、原爆さえ落ちなければ明るい希望の未来が待っていたはずだと思うとやりきれない。原爆はこのように希望に満ちた人々さえ容赦なく飲み込んでいくのだなと改めて感じることができたし、黒木監督がこの映画を通して伝えたかったメッセージもそこにあるのではないかと感じる。同じ年には広島原爆で被爆し、全滅した移動劇団「さくら隊」を描いた新藤兼人監督のドキュメンタリードラマ「さくら隊散る」も製作・公開されているが、本作と「さくら隊散る」の2本は本当に「原爆」というものを真正面から考えさせられる映画だと思う。追伸 長門裕之と原田芳雄が出演しているが、二人とも今年亡くなってしまったのは残念。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-08-15 14:37:53)
19.  その男、凶暴につき 《ネタバレ》 
お笑い芸人であるビートたけしが北野武として映画監督デビューを飾った作品。最初の少年の家にたけし扮する刑事が乗り込んでいくシーンから既に異様な雰囲気が漂い、ここでもう一気に惹きこまれた。映画監督のデビュー作というのは、まだ作風がちゃんと確立しておらず、何本か見たあとになって初めて見たりするとあまりらしさを感じられなかったりすることがあるが、この映画は既に一作目にしてのちのたけし映画の独特な雰囲気が出ており、これは本当にお笑い芸人の監督デビュー作なのかと思うほどのちのたけしの映画監督としての方向性がハッキリと出ている。「その男、凶暴につき」というタイトルどおり、犯人に対して執拗に暴行を繰り返す主人公の狂気もさることながら、映画全体に漂う恐ろしさがなんともいえず、見ている間ずっと緊張しっぱなしだった。ロッカールームでの暴行シーンなどは、直接見せているわけではないのに中で何が行われているのか想像するだけで恐ろしくなるし、クライマックスの対決シーンで薬を探す妹をみつめる主人公の目線にも恐怖を感じる。たけしらしい笑いも盛り込まれているが、全体的には殺気にあふれており、完全に「映画監督 北野武」というものをこれ一本で確立してしまっているのが凄い。この映画、最初の企画段階では深作欣二監督の予定だったそうだが、深作監督ではこの独特な雰囲気は出せないだろうし、まさにこれは北野武だからこそ出来る映画だと思う。それにしても一作目にしてこんな凄い映画を作ってしまったのがお笑い芸人とはやっぱり信じられない。最近でも俳優やお笑い芸人が監督デビューすることが多いが、それらが何やら話題性だけのように感じるのに対し、ビートたけし=北野武にはほかのタレント監督とは違う本物の作家性というものがあることをこの第一作目から感じずにはいられない。間違いなく傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2011-05-26 14:22:43)(良:3票)
20.  魚影の群れ 《ネタバレ》 
相米慎二監督といえば「セーラー服と機関銃」のようなアイドル映画や「お引越し」のような子供の成長を描いた映画の印象が強いけれどもこれはもう完全に大人の映画で、緒形拳演じる主人公の漁師としての生き様とそんな彼に漁師の弟子入りを志願する佐藤浩市扮する青年とのドラマが非常に見ごたえがあり、二人がマグロ釣りに出かけて行き、誤って釣り糸が佐藤浩市の顔に巻きつくシーンの壮絶さ。それでいながらマグロを諦めようとしない緒形拳の執念も物凄い。昔「私の青空」という田畑智子(「お引越し」のレンコ)主演のNHK朝のドラマでも取り上げられていたが、ここまで壮絶なものとは。それが相米監督お得意の長まわしによってこれでもかこれでもかとリアルに描かれていて漁師という仕事の壮絶さを思い知らされたような気がする。そんな緒形拳を「人間よりもマグロの方が大事なのか。」と責める夏目雅子扮する娘。この映画は緒形拳と佐藤浩市の男と男のドラマでありながら、この夏目雅子の存在も大きく、海に出て行った緒形拳や佐藤浩市の帰りを待ち続ける姿や、さきほど書いた佐藤浩市が死に掛けてるのにほっといてマグロを釣っていた緒形拳に対して非難を浴びせかけるシーンなどこのトキ子という女性の内面的な部分もよく描かれており、この部分のドラマも非常に見ごたえがあるものになっている。もちろん演じる夏目雅子も見事で、既に青観さんが書かれているようにこの女優でなければ出せない味というのか、そういうものがあるからこそ、ドラマに深みが加わっているのだと思う。ラストの彼女の海に向かってのやり場のない絶叫は思わず見ているこちらも悲しくなってしまった。そして、改めて、夏目雅子という名女優の若すぎる死を惜しく思うし、生きていたら今頃どんな女優になっていただろうと思う。27年間の生涯、そしてわずか10年間にも満たない女優人生。その中でもこの映画は「時代屋の女房」と並んで彼女の映画での代表作と言えるのではないかと思う。坂道を自転車に乗って明るく颯爽と走っている姿も印象的だった。そして緒形拳や相米監督にとっても間違いなく代表作の一つだと思うし、相米監督も53歳という若すぎる死が惜しまれる。それに緒形拳だってもう亡くなってしまっているのは非常に残念。この三人にはもっと長く生きていてもらいたかった。
[DVD(邦画)] 8点(2010-10-13 01:45:34)(良:1票)
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