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1.  天使のたまご(1985) 《ネタバレ》 
これは、賛否というより好悪が分かれる作品だと思った。作品のタイトルからして謎。少女が抱えるたまごが「天使のたまご」なのか、少女=天使で、天使が抱えたたまごなのか、いまだにどちらか判別できない。さらに、青年が少女を絶望させたかったのか、たまごに害を加えたかったのかの判別も、最初は理解できなかった。2人が互いに「誰」と問い合うシーンが多いのも暗示的で、特定されたキャラではないことが作品に底の知れない不気味な深さを与えている気がする。とにかくわからないことだらけ。  ただ、少女が卵の中で命が育っていると信じているのは、最初から何となく違う予感がしていた。卵は死んだ雛が入っているか、中身が消えうせた浅利のように、空っぽなのではないかという気がしていた。彼女が大事に大事に抱えていた卵を、青年は無残に剣(?)で突いてしまった。もしかしたら、いつまでも孵(かえ)ることのない卵であることを彼は知っていたのではないか。卵の中には、自ら殻を割って表に出てくる温かい命などない。彼は独善的に、こんな卵を少女に持たせ続ける方が残酷だと考えたのかもしれない。  散乱した卵の殻を見て、少女は悲鳴をあげる。しかしなぜか、その悲鳴が響き渡って初めて何かが再生する予感が生まれたような気がした。彼女は力強い腹式呼吸で泣きわめいた。暗澹たる空気を切り裂く人間の声が、映画の鑑賞中初めて血の通った生々しい音声として耳に突き刺さったからだ。ウィキの監督による解説を読み、なるほどやはりそういうことかと合点がいった。 例えば、1人息子が行方不明になった母親を想像してみる。息子は、もしかしたらどこかに生きているかもしれない。少女が「お願い、たまごを傷つけないで」と青年に言ったのは、そうした母親の一縷の望みのようなものかもしれない。しかし、息子は何年も何年も帰ってこない。そこへ、唐突に彼の遺体が見つかったとする。母親は絶叫して号泣する。しかし、やがて息子の死を受け入れ、自らの人生を歩むためにやがて前を向き始める。 ・・・・・・そうしたことの寓話として作られた話ではないか、という気がする。少女の悲鳴が、私にとって最も大きなヒントになった。  それにしても、大きな魚影が街中に現れたときはびっくりした。1985年の映画なのに、早々にプロジェクト・マッピングを予言している!? 始祖鳥を思わせる巨大な化石、あるいはレリーフ(?)にも驚いた。ノアの箱舟といい、根元的な生物の再生の物語として描かれていたのかもしれない。
[インターネット(邦画)] 7点(2019-09-14 00:27:58)
2.  火の鳥2772 愛のコスモゾーン 《ネタバレ》 
子供のころに最後まで見ず、大人になって初めて通して見た。石ノ森章太郎の009はピノキオが下敷きになっていると聞いていたけれど、この作品もやはり「ピノキオ」が出てくる。火の鳥の存在はまるで、無機質のものに命を与えるブルー・フェアリーだ。さらに、これに輪廻を絡ませているから、壮大な地球史を見せられているようなスケールさを感じる。  そもそも、なぜ今頃この作品を見たくなったかというと、『her/世界に一つの彼女』を見たから。プログラミングされただけの仮の命(サマンサ)に惹かれる男の物語で、いつかどこかで似たカップルを見たと視聴中ずっと考えていた。やっと、『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』のゴトーとオルガだと思い出した。両作品の共通点は、絆は失ったときに初めてその価値に気づくというもの。たとえば、介護施設でパロちゃん(アザラシ型のセラピーロボット)に慣れ親しんだお年寄りが、突然そのアイドルを取り上げられたらどんなに寂しい気持ちになるか。愛車、人形、ペット、命があろうがなかろうが、愛する対象を失ったときの喪失感に、人はときおり打ちのめされる。その切なさに、深く共感せずにはいられない。
[インターネット(邦画)] 8点(2018-12-21 10:35:27)
3.  探偵物語(1983) 《ネタバレ》 
 若いころにこの映画を見ていたら、多分「角川のアイドル映画だからこんなものかな」と軽く受け止めて、後に何も残らなかったと思う。久々に昭和の邦画もいいかなと思い視聴したところ、かなり新鮮で意外だった。   通常は器用者と不器用者のコンビで、互いに足らないものを補い合って調子を整えるのだろうが、あいにく直美と探偵は不器用者同士。2人ともぎくしゃくして始終波長が合わない。マル被である直美に尾けられたまま元嫁を訪ねる探偵の不恰好さも、見知らぬ男と一緒にホテルへ入る直美の破天荒ぶりも、双方ともに目を覆わんばかりの不器用ぶり。また、二股も辞さない女好きの大学生や、殺人の疑いをかけられた哀れなやくざなど、とにかくこの作品に登場するあらゆる人物が、ひとクセもふたクセもある愚かでややこしい者ばかり。  なのに視聴後には、ほろ苦く、じんわりと胸に温かいものが残る。赤川次郎作品は学生のころ2冊ほど読んだが、そのときは、「軽い大人のおとぎ話」としか思わなかった。今回鑑賞した彼の世界には、市井の人々を見守る原作者の温かい気持ちが、底辺にしっかり流れている。少なくとも、面白ければ何でもいいという無責任な作りには見えなかった。愚かで哀れだけれど、決して書き割りの脇役としてではなく、世間にはこういう類の人々がいるとすんなり納得できるほど、血の通う人物として1人1人がちゃんと演出されている。そういう意味では、メインキャラたちが住む環境は、ドラマ『探偵物語』のbad cityとそれほど違わないのではと思った。   この作品では、カメラワークが面白いなあ!とうなるシーンがたくさんあってここに書ききれないが、中でも直美が最後に探偵の部屋を訪れた場面。双方の凝り固まった気のぶつかり合いがすごい迫力で、まるで喧嘩を売った売られた感が否めない。これが愛の告白シーンとは。八つ当たりのように「寂しかった!」と言い捨てる彼女もすごいが、好きと言われて甘えるなと返す探偵も容赦ない。甘いムードが一切ない、ナイフで突いたら血がにじむような空間。探偵の目はテーブルの下でスカートを揉みしだく直美の拳を見ていないけれど、視聴者にはばっちり見える演出も心憎い。また直美は、浮気が原因で妻に子供をおろされたという探偵の「大人の事情」を知らないが、視聴者だけが内情を知ったままで話が進むと、無口な探偵の人柄がかえって深みを帯びてくる。何とも印象深いシーンだった。   それにしても直美の変人ぶり(ペンダント選択の時点で変人キャラ決定)や、メンタルの強さには舌をまく。当たってくだけろの精神がハンパなく、その結果どんなに傷ついても、そばに誰かがいようがいまいが涙ひとつ見せない。探偵の方は、道義的には命懸けで元妻を助けるほどの行動力はあるが、年の離れた女子大生の愛を受け止めるほどの勇気がない。その2人のラストのキス。台詞が一切ないまま別れるのに、驚くほど不自然さがない。それは、2人のこうした性格が見ている側に十分伝わっているからだと思う。もしどちらか、または双方が何か言えば、どんな台詞も野暮になった。映画の和洋を問わず、大風呂敷を広げた末に強引にまとめるなど乱暴なラストの作品が多い中、これほど粋にまとめた邦画を見たのは、久しぶりだと思う。
[インターネット(邦画)] 8点(2017-06-16 13:53:16)
4.  エリア88
映画館で見た学生当時、目に見えない神崎に向けてシンが「なぜだーっ!」と叫ぶシーンで、彼のこの押し殺した怒りの感覚、どこかで見たことがあるとずっと引っかかっていたけど、ようやく○ン十年ぶりに解決。 「ベン・ハー」のユダだった! ところが、いったんそう感じてしまうと、最終までシンがユダ、神崎がメッサラーにしか見えなくなってしまい・・・・・・(汗)。 それはともかく、昔見た映画は、後年できるだけ見直すに限る。
[DVD(邦画)] 8点(2016-09-06 16:25:49)
5.  駅 STATION 《ネタバレ》 
「矛盾してるけど、男と女ですからね」 というシーンがいい。この映画は、矛盾に苦しむ人々のドラマだ。だから皆、理解に苦しむ行動をとっている。北の国で生きていくには厳しい自然にさらされ続け、身も心も冷えるので、愛であろうがなかろうが絶えずぬくもりが欲しいのだろう。倉本氏の脚本は、阿久氏の世界観と驚くほど相性がいい。
[DVD(邦画)] 8点(2012-11-07 00:14:50)
6.  サイボーグ009/超銀河伝説 《ネタバレ》 
昔夢に見るほど好きだったアニメだけに、この点数をつけるのは胸が痛いが、学生時代に夢中で見たこの作品を改めて見直して、愕然とした。挿入歌が全て演歌に聞こえる! キャラの誰もかれもが大真面目に純粋すぎて、テレが入ってまともに画面を見ていられない。 石ノ森章太郎や横山光輝のヒーローは優等生タイプが多いので、大人になってから見ると、いい意味での毒気がなさすぎてもの足りない。(むしろ悪魔の血が混じってるやんちゃタイプのデビルマンが、今見るとすごく新鮮) 子供と大人の視点でこれだけ感じ方が変わるんだなぁと痛感した作品だった。さらに、当時は全く思いもよらなかったが、紫を基調とした009とタマラのポスターを見ると、タマラが「竜神沼」の少女とだぶって仕方がない。彼女の神秘的ではかなげな、かげろうのような存在感は、もしかしたらそこからきているのかも。
[ビデオ(邦画)] 2点(2012-10-29 23:24:16)
7.  この子の七つのお祝いに 《ネタバレ》 
ただのスプラッタものではなく、飛び散る鮮血にはちゃんと意味があるということをひしひしと感じた。戦争が日本人に残した痛み、子供や夫、母などの肉親を失う痛み。それらは、凶器で突かれて肉体が現実に感じる痛みと呼応して、より深い狂気の色に染まって見える。 また、月のものが来るたび母に洗脳されるおぞましさや、自分の正体を知った上で殺される男の愛など、なかなか深いものがあった。もし男が業病にかかっていなくてもマヤは母の声に従って彼を殺しただろうが、激しい濡れ場シーンもなく静かにその手首を切る演出は、マヤの未成熟で不器用な性を強調していて、いっそう哀れを呼ぶ。 視聴が進むうち、画面に現れる赤い色は、すべて女の子宮から流れる血のように思えてきた。流血ざたも、人形の赤い着物も、小さなマヤの晴れ着も、何もかもが狂気のように赤い。ラストのマヤの動きは、飾られた人形のようにぎこちない。まるで壊れた操り人形のように、かくかくと、行きつ戻りつしてそのうち畳に伏せて動かなくなってしまう。私には岩下さんの演技がオーバーアクションには見えない。彼女はまさに人形になりきっていたからだ。命令を仕込まれた「仕掛け人形」だったのだから、指令を失った人形は迷走して力尽きるのは当然だ。成熟した一人の女性として描かれたマヤであったなら、あの不自然な動きはいかにも大げさにすぎるが、あの演技があるからこそ、この作品のラストは、厄介な情念が絡まりあった重たい人形浄瑠璃の幕が、やっと下りたような安堵をもたらすのだと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2012-04-29 01:41:04)(良:1票)
8.  1000年女王 《ネタバレ》 
「1000年に1度の春しかないラーメタル人の気持ちを、サルよ、お前たちにはわかるまい。地球という楽園に生まれたお前たちには、わかるまい。我々は、楽園とわかっていても、最後まで手を出さなかった。我々にだって未来があれば、永遠に宇宙の果てに飛び去って、凍りつくのでなければ、他人の楽園に手を出したりは・・・」 瀕死のラーレラのセリフに号泣。命がけの夜森の特攻といい、種族の生存権を優先させる侵略といい、いたるところで第二次世界大戦を経験した日本の古傷を見る思いがした。楽園に住みながら、その有難味に気づきもしない地球人に対する嫉妬、憧れ、不安、そうした思いから、ラーメタル人は地球人を「サル」と呼ぶ。そして、1000年の春の目覚めもわずかに、彼らはあえなくほろびてしまう。これほど深いテーマを、直球で、ぶれることなくわかりやすく追求しているのは素晴らしい。近年のアニメは、ジブリ作品を含めて、必要以上に複雑な要素を盛り込みすぎる。
[ビデオ(邦画)] 9点(2012-02-19 01:16:07)
9.  わるいやつら 《ネタバレ》 
槙村(松坂)が初めて東京へ出たときは身がすくむほど怖かったと言ったのは、恐らく本当だろう。それがほどなくして男たちを手玉にとるまでにたくましくなったという点では、確かに群を抜いた魔性の女だ。しかも数ある悪女のうち彼女だけが、男を最後まで信用していない。なびくかと思えばはねのける、打算に満ちたカルメンだ。だから、下見沢がホセの如く彼女を刺殺するというラストに落ち着くのだろう。(冒頭で槙村が男に殴られるシーンがあったが、あれが彼女の本性を暴く最大の暗喩だったとは!)しかし、策謀は女性の方が数段上手なのに、あれよあれよという間に、数人もいっぺんに敵に回した戸谷は哀れという他はない。一旦男に愛想がつきた女の経済感覚は、決してみくびれないものだ。
[DVD(邦画)] 7点(2010-03-22 22:49:49)(良:1票)
10.  天城越え(1983) 《ネタバレ》 
こんなに下ネタの多い映画だったとはびっくり。菓子屋の春画に始まって、腹を下していた通報者、良作たちの放尿を浴びたり、布団を汚す土工、腐乱死体、ハナの失禁と続く。それに加えて、建造の母と叔父、土工とハナの交わりは目を覆わんばかりの醜態で描かれる。ハナの妖艶美や菩薩のような優しさは、逆にこれら生の醜さが支えているといっていい。社会的な冷遇を受け続けてすれっからしになっていた彼女は、自分のために泣く少年を前にして素顔に戻るが、この瞬間、初めて少年の罪を悟ったのだと信じたい。奇妙に少年を見つめた後、微笑んで、当人にしか分からないよう小さくかぶりを振るからだ。性欲を抑えられない根っからの娼婦の性や凶暴性と、母性や寛容性など、相反する面をいくつも持っている彼女は、まるで子供をとって食べたという、荒々しくも深い愛情を持つ鬼子母神のよう。しかし、もし土工と出逢わず、無事2人が野宿したとしたらどういう結末が待っていただろう。想像がつくだけに、それはそれで困るのだが・・・・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2010-03-04 14:20:46)
11.  Wの悲劇
薬師丸ひろ子と三田佳子の演技がすごい、ヘレン・ケラーとサリバン先生みたいな、食うか食われるかというオーラの奪い合い。無骨だけど純粋で一途な青年に世良公則、クールで二枚目の実力俳優に三田村邦彦、美人で気の強い野心家女優に高木美保、皆適材適所で選ばれているという感じで、プロデューサーの腕がよかったとしか思えない。それに世界の演出家、蜷川幸雄がまさしく演出家として登場しているのもびっくり。そういえば、「フラッシュダンス」 の大ブレークが1983年、この作品が翌年公開。ブロードウェイを夢見る下っ端の女の子、一方が舞台女優を目指す薬師丸がヒロインということから考えても、「フラッシュダンス」 にあやかりたい気持ちが製作者側にあったかも。
[ビデオ(邦画)] 9点(2008-05-03 11:37:35)
12.  紫式部 源氏物語
酔えました。ラストまで一部の隙なく酔えました。いろいろな形でこの古典に触れる機会はあれど、この作品ほど光源氏の身を切るような孤独を実感できたものはなかった。妖しいまでに美しい桜の花が、作品の中でちらちらと舞ったり、画面を埋め尽くすほどに潔く散ったりするのを眺めているうちに、杉井監督のマジックにかかってしまった。花が散るのはいずれ美がついえてしまう不安さを表している。ひとときの至福が、すぐにしぼみ、はらはらと掌からこぼれおちてしまうような不安定さがたまらない。桜の花びらはそのまま源氏のとどまるところを知らない人恋しさや、その気持ちが引き起こすトラブルを象徴しているような気がしてならない。この作品はストーリーを知るという目的で見るよりも、あらかじめ物語を予備知識に入れてから鑑賞した方が、より深い味わいを得られると思う。
9点(2004-01-01 02:10:33)(良:1票)
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