1. BUG/バグ
《ネタバレ》 他に精神分裂症(統合失調症)を題材にした映画は「ビューティフルマインド」しか知らないですが、その時の相手役のジェニファー・コネリーは、献身的だけれども冷静に判断できる良妻だったと思います。今回アシュレイ・ジャッドが演じたのは、過去に傷を負い、Poorで自信がなく、DRUGに頼り、寂しくてDV夫とも縁を切れない。人生を出直したければ、酒屋の仕事を捨て、あのMOTELを去るはずなのに。レズビアンでもないが、仲良く話せる女友達という繋がりだけ。誰でもいいから、傍にいて欲しい、でも環境が悪く、それを変えていない為、いつまでも寂しさを引きずっているという感じに思えた。ある意味、誰でも簡単に陥るパターンで、経験したことなくてもこの女性の弱さを理解できる人は精神科医でなくても多いのではないでしょうか。この女性の住処にフワッと虫が止まるように引き寄せられ、運命の出会いを果たしたのが、湾岸戦争の帰還兵で精神病となった男。二人は心の傷を舐め合うように、一気に親密になる。親密といっても、心の傷を持ったもの同士は、必然的に惹かれあい、どちらかを泥沼に引きずり込むようで、弱い者同士はくっついちゃいかんという監督のメッセージを感じる(監督の真意は"?")。共依存のセリフ「私がいないとこの人はダメなのよ。私の大事な人」といい、正常な他者を拒絶する。テーマがBUG「虫」で、相手の男が「戦争帰還兵」(これも事実かどうかは?)という設定だから外国のお話と思うけど、テーマがSAKE「酒」orDRUGで、相手がアルコール依存症、薬物依存症であれば、近くでも人々が苦しんでいるのではないかと、ちょっぴり背筋が寒くなる。クライマックスで二人の妄想の発展が凄まじく、だけと男の言っていることは真実かもしれないとふと思わせる。監視社会が現実になっていそうだから。精神病者と正常者、この線引きが素人には難しくなる時代になるのかも・・・ [DVD(字幕)] 9点(2009-09-23 09:02:17) |
2. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 オープニング、エンディングの音楽のセンスが良いです。殺人犯は何故少年を狙い罪を犯していたのかを明らかにしてほしかったです。精神病院の職員役たちの演技が上手いので、感情移入できました。悲しいのだけど、希望を持って生きていく、一人の女性のストーリーです。自分の子供を殺された母親の苦痛は想像に絶しますが、悲しみが癒えないなら、初めから子供なんぞ存在しておらず、産んでいなければよかったとまで思うはずです。息子の生存の確率がたとえ0.01%でも信じたい。彼女は辛かっただろうなと思う。こういう質の良い映画で、人の痛みがわかり、愛が増えて、世の中が良くなるといいですが。 [映画館(字幕)] 9点(2009-02-28 20:42:04) |
3. シティ・オブ・ゴッド
《ネタバレ》 映像はスタイリッシュに見えるし、テンポも抑える時と、加速する時とメリハリがあって、テクニックをサラ~っと使っているところがいいし、別に思いっきり何かを狙ってないところも嫌味がなくていい。 怖い世界かと言われたら、彼らには、話せばなんとか分ってくれそうな人間味もある。もっと怖いのは、日本での「大人しくて真面目だった」人が切れて無差別殺人することや、自殺者が減らない、車の運転が荒くて、歩行者や自転車を何とも思ってないところや、安心して食べれる店、食べ物が少なくなっていたり、家族内で殺し合いがあったり、腐敗した世界はどんなカタチであれ、それぞれ各国で問題を抱えているのは同じなんだと思いました。 [DVD(字幕)] 9点(2008-09-15 22:49:56) |
4. ユナイテッド93
《ネタバレ》 胸がつまりました。結末はわかっていても最後まで戦う乗客を見ていて、助かって欲しいと祈るように見つめていました。これだけ情報網が発達しているはずなのに、事件が発生しても、誰もどの旅客機がWTCに追突したのかすぐに判明できない。皮肉にもテレビ中継でその状況を映像としてみて、今どうなっているのかだんだんわかってくる。 爆弾が偽物だったにせよ、小さなナイフ一つで4人の犯人たちは操縦室を制覇できている。管制塔内では「ハイジャックなんて何年ぶり?最後はいつだった?」と事件前は、まさかビルに突っ込むとは誰も予想していない。 ついこの前にロンドンでテロを未然に防止でき20人くらい逮捕されたけど、確実に他人事ではなくなっている。またあの惨劇が、それ以上のものが発生するかもしれない。第三次世界大戦へと日本も犠牲を払う日が来るかもしれない。80歳、90歳など老衰で死ぬ事って幸せなんだなあと思うようになった。ガン、脳卒中、交通事故、日本の死亡原因に、テロや戦争の巻き添えも入ってくる日が近づくのでしょうか。この映画は、未来へのMessageとしても存在することに価値があるのでしょうね・・。 [映画館(字幕)] 8点(2006-08-20 21:16:58) |
5. ハウルの動く城
《ネタバレ》 トトロなどのお子様向けの延長かなと思ってたし、万人向けで相変わらず宮崎ファンを掴んで離さない貪欲な監督なのかと頭の片隅にモヤっとしたままテレビなんで見続けていたら、意外と引き込まれて最後まで見てしまった・・・ 監督がもう65歳?自分が年老いてきて、本人も「老い」、それを取り巻く周りの理解の重要さに気付かれてたのかもしれない。監督にとってはまさに旬のテーマなんだけどファン世代とのギャップで、かわいそうな評価になっているのかなと感じました。 なんとかファンのためにおまけでつけたような恋愛劇みたくなっちゃってるし。 ハウルなんかも初老世代からみれば可笑しな今時の若者なんでしょう。 私はハウルみたいな男大好きですけど。あんな彼氏欲しいし。 生きて、日常を暮らしているだけでも全力が必要な老人の大変さは、わかっていても自分が歳をとらなければわからない。でもそれを学校の嫌いな教師や、教科書で教えられるよりは、宮崎監督の映画で教えられた方がいい。 そして戦争も、ソフィーのようなおばちゃん一人一人次第で世界も変わるかもしれないし、自分は酷いことをされても、やり返すのではなく、ぐっとこらえて相手を受け入れる広い心が必要なんだということなんでしょう。でも私にはソフィーみたいな お人好しにはなかなかなれませんけど・・・ [地上波(吹替)] 7点(2006-07-26 21:34:29)(良:1票) |
6. ビフォア・サンセット
《ネタバレ》 最後は「やられた~」って感じで、いいエンディングでした。続きをみたいけど、このままでThe Endして欲しいっていう気持ちが前作観た後と同様に、ちょっと複雑な気分。会話で「再会すれば想い出も変わる」とか、「私の心を奪ったままあなたは去ってしまった」とか、人に恋をして、その後のポッカリを経験した人にはジンジン響いてくる言葉を、少ない時間にセリーヌが投げてくる。自分もちょっとセリーヌみたいに辛い事経験して、上級者になってきたのかも!?だったら嬉しい。セリーヌがあんまり好きじゃなかったが、ギターと歌、ジーンズ姿、歌手のモノマネとか、しぐさ一つ一つが自然で、俳優として、人間として二人の成長を映画を通して観れるなんて、よくよく考えると、すごいことかも。あの二人は、遠い存在のスターなのに、なんだか昔から知ってる友達みたいに映画を観るものに思わせてくれる。また観たくなる。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-07-01 23:09:55) |
7. マルホランド・ドライブ
《ネタバレ》 最後に”じーん”ときちゃう映画でした。大好きな人と結ばれなかった時、もっと違う出会い方、違うパターンだったら幸せになれたかもしれない・・という「バタフライエフェクト」のような話をリンチ監督が料理するとこういう世界だったんだと思えたけど、これも私個人の解釈であって、正しい解釈とかって存在しないんでしょうけど、やっぱりこういう映画にしたリンチ監督って面白いなあと思う。監督特有の癖が相変わらず濃いなあと思うけど、ナオミさんのファンなので他よりも品があって素敵に思えた。薄暗い部屋で一人で見ると、もう独特の怖さで、テレビの音を何度も小さくしちゃったけど、あんな真昼間のファミレスの夢を語るシーンでなんでこんなに怖いんだろうと思うとやっぱ「奇才」と言われる人なんでしょう!エロティックで怖い・・・。 [DVD(字幕)] 9点(2006-04-29 19:55:22) |
8. イン・ハー・シューズ
《ネタバレ》 私は姉妹ではなく、男兄弟がいますがとても気持ちよく泣けました。妹が詩を読む場面、姉が犬と一緒に階段を駆け上るシーン大好きです。センターの老婆たちもキュートで可愛かったし、暖かく姉妹を見守っているところもよくわかりました。マギーに感情移入できて、予想以上に心に響いて泣けたので○。 [映画館(字幕)] 8点(2005-11-24 17:41:27) |
9. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 たくましいジミー夫妻を見て平和ボケしている自分には「かなわんわ、この女。この男にこの女あり・・」って思っちゃいました。信じる者は救われるという言葉が当てはまる夫婦。反対に夫を疑い、恐ろしくなるセレステを見て、自分ならどうするか考えてみた。答えは、「初めからそんな事で疑っちゃうような男とは結婚しない」と自分を信じる事にした。デイブとどのように出会い、愛し合って家族してたんでしょうか。心に傷がある彼を受け入れる器もなく、不似合いな夫婦だったのかもしれない。彼の本心を導き出す事がもっと早くにできていたら。そんな事は精神科医でも不可能かもしれない。それだけ児童虐待、暴行は罪で、重たい。デイブの復讐は、トラウマを克服し、家族と本当に分かり合えて暖かい絆をこれから作れる矢先だったのに残念です。治安が良くない地域だからこそよけい家族の絆がどんなカタチであれ大きいのかな・・。 [DVD(字幕)] 8点(2005-11-16 21:47:00) |
10. アレキサンダー
とりあえずレンタルしてみたって感じだったけど、期待してなかった分、奥が深い所も感じました。人の名前が覚えにくくて2回見た。歴史音痴な私にこの時代をもっと知りたいと興味を持たしてくれ、ジャレッド・レトに恋してしまったし、何でコリン・ファレルを使ったのか?と思ったけど、なるほど~って納得。微妙なホモ感を出せる男優はそういないし、お坊ちゃん故の苦しみみたいなのが丁度良かった。メル・ギブソンみたく頑張って演説されてたけど、それよりも馬とゾウの一騎打ちの時にココロ打たれた。無鉄砲さが彼らしかった。複雑な人間を若いのによく演じてたと思う。コリンって映画界の周りの人間達からも好かれていそう。アンソニーの語りの場面が、スタジオセット丸出しで、その時点でもう映画に入り込めないし、ずっと傍観者で誰にも感情移入できなかったのが残念。 ジャレッド・レトはキャメロン・ディアスとキャリアに負い目を感じ破局したらしいけど、この映画で素晴らしいキャリアを積めたと思います。ほんっと長髪が似合い魅力的~☆ジャレッドとホモ関係になりたくなった女である自分を発見した。 [DVD(字幕)] 6点(2005-11-01 21:00:11) |
11. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 後からじわっとくる感じです。ボスと弟子、父と娘、レモンパイを食べてる時は恋人同士。フランキーは自分のせいでマギーを再起不能にしてしまった罪悪感もあるだろうけど、マギーの傍を離れず、本当の家族よりマギーを考えてた。最後はボスから一緒に暮らそうってな事も言われて、本当に幸せな女性だと思った。上手い事、人生は運ばなかったが、ちゃんと愛を感じて死ぬ事ができたと思う。モーガンフリーマンの言葉でトイレ掃除を一生しながら死んでく人はいっぱいいる・・そういう人たちも、確固たる何かがあれば決して不幸じゃないし、他人が幸、不幸をランク付けして公言する必要もない。ただマギーは幸せだったと思ってあげたい。マギーは頭のいい女性。自分を伸ばすトレーナーが彼だと早くから見抜き、フランキーの言葉一つですぐに試合を勝利に持っていけた。彼に自ら近づいたマギーは自分で人生を切り開いていった。行動は大切、そして男心を勉強するにはとてもいい映画かも・・ [映画館(字幕)] 7点(2005-07-10 14:40:14) |
12. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 主役アシュトンがデミ・ムーアの彼氏だとか、細かいツッコミとかなしで、久々に切ない気分を味わえました。記憶が消えていた理由がわかった時は嬉しかった。ありそうな家庭事情に、最近増えていると思われるキャラクターです。綿密に書かれたらしい脚本とか子役の本気の演技で結構ストーリーに最後までのめってたと思う。嬉しかったのは子役がちゃんと成長した役者に似ていた。自分もきっと大好きな人が死んじゃったら納得行くまでやり続けそう、だけど最後に彼が選んだ道は、パンフにも書いてたけど究極の愛のカタチなんでしょうか。すれ違っても彼は追いかけず前を進んで行っちゃった。とことん彼女を愛しちゃったんでしょうか。とっても切なくて・・・。唯一の救いは、一瞬の彼女との幸せな大学生活かな。後はどん底。人生、一つ狂うと大きいと教訓になりました。 [映画館(字幕)] 8点(2005-05-21 17:01:16) |
13. トロイ(2004)
《ネタバレ》 ブレイブハートの戦闘シーンよりはエグくくなくて、安心して観れました。でも矢が突き刺さるシーンとかは痛そう・・。カリスマ性はメル・ギブソンの方が熱い感じを受けますが、(Story違うんで比べる事がおかしいですが)やっぱりブラピはセクシーです。ブリセウスの役はおいしいなあ。私がやりたかった。 いい男対決で、女性の方も1800円の価値は大いにありと思います。 8点(2004-05-23 23:07:38) |
14. アメリ
《ネタバレ》 気取った映画かなと勝手にイメージしてたけど、「ぶっ」と何度も噴出して笑ってしまった、お笑い映画。両親の自己紹介から、父の間抜けさ、小人の写真を見つめて「カンボジア・・」とまじめに呟くなよ~。証明写真をアートにするところ、子供時代のお遊びの思い出とか沢山フランスが詰まってる。マチューに私も恋をしてしまった。素敵な人。絵描きのオヤジも渋い。 アメリの捨て台詞「あんたは野菜以下、だって野菜は芯(ハート)があるから」はうまいです。座布団5枚。 8点(2004-03-07 16:16:47) |
15. スウィート・ノベンバー
セロンと同じ病気の女性たちを現実に知っていた為、かなりリアリティあると感じました。彼女たちは犬好きで、明るくて可愛い。本当に不治の病?ってくらい見た目は変わりません。ただ抗がん剤などの治療で女性の美しさでもある髪の毛はすべて抜け、副作用で顔は腫れたり。誰だって友達やましてや男性には見られたくないはず。どんなに素敵なデートを重ねても、彼女が死んだ後に思い出す顔が、治療中の顔だったらって。。そんな顔見られないほうがマシです。いつも思い出されるのは明るくて二人で楽しんだかけがえのないあの限られた時間で十分です。キアヌが死ぬ間際まで、「セロンと過ごした一ヶ月が最高だったな」って思われたらセロンの勝利です。結婚できなくたって、彼との子供を作れなくたって、彼の心の中で永遠に世界一の女であれば。 あとキアヌがプレゼンでホットドッグを「産業廃棄物だ!殺人だ!」と狂った勢いで叫んだセリフもこれってメッセージ?って感じました。あのような加工食品で癌になる人たちって多いのではないでしょうか。最後に実はセロンの病気が治って二人が結ばれるというシナリオがないのも悲しい現実だなと感じました。セロンの演技は、まるで本人がそうであるかのようにすごく上手だなと感じました。 9点(2003-12-23 17:13:16) |