1. 刑事ジョン・ブック/目撃者
《ネタバレ》 穏やかな農村を映す画はいつも水色に煙っていて、刑事物ということをつい忘れてしまう。仲間を殺して隠蔽する現代警察に、不文律で繋がったアーミッシュが立ち向かうシーンは感じ入るものがあった。レイチェルとジョンが戸惑いの視線を交わす姿が切なくてセクシーで、特にハリソン・フォードが猛烈に魅力的に見えるのは、自分が四十近くなったからだろうか。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-22 02:16:28) |
2. 鬼龍院花子の生涯
センターズームでバッと映し出される仲代が、ぐるぐるとうねり常に光っている。破天荒な男の人生のその側で、押さえつけられ端がひらひらと風にたなびく紙みたいな女たちの人生。そこに一輪添えられた白い花が夏目雅子といった感じだろうか。喧嘩にしろ濡れ場にしろ、炎のような迫力は最近の映画では見られない凄みがあった。音響や音楽にもうちょっと気を使って、重い画とバランスを保ってほしかった。 [DVD(邦画)] 7点(2010-06-19 12:45:51) |
3. 悪霊島
取って付けたような展開が多くて気持が入っていかないし、気味悪いシーンに目を見張るようなこともなかった。監督、やる気がないなら話受けなきゃいいのに…。 [DVD(邦画)] 4点(2009-01-19 01:17:18) |
4. 不思議惑星キン・ザ・ザ
今は無きソビエト連邦で作られた映画。当時タイマンしていたかの国は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とか「ゴーストバスターズ」なんて大衆娯楽SFが大ヒットしていた。ならばこっちはシュールかつシニカルに行っちゃうよ!てなわけでこの映画は産まれた。しかし抑えるべきツボをしっかり押さえつつ、退屈d…失敬、先の読めない展開、ビジュアルもアイディアも結構質が良く、最後の「クー」のようなじわっと浸みるシーンもある、「未来世紀ブラジル」の対抗馬のような斬新な作品が出来上がった。これを観たゴ○ビーが「タイマン止めて『クー』しよう!」と決心し、数年後のマルタ島では偉い人たちが揃って『クー』しまくっていたことは、各通信社がスルーしたためあまり知られていない。(※この文章はフィクションです。) [DVD(字幕)] 8点(2008-06-17 01:01:36) |
5. 薔薇の名前
《ネタバレ》 どこを切り取ってもブロンズ色の荘厳な背景。少し暗い映像に目が疲れはしたが面白い映画だった。皆さん書かれているように、作りは探偵が謎解きをするミステリーなので思ったほど難解な映画ではなかった。しかし軸にあるのが歴史深きキリスト教なので、予習をしておいた方がより深く頷けるかな。中世の修道院を舞台に、中年の格好良さ満開のショーン・コネリーが凛々しく謎に切り込んでいく。長老や異端審問官も異様な空気を持っていて雰囲気は満点。微妙なトンスラがちょっと惜しいC・スレーターも若さいっぱいながらあの世界にちゃんとはまっていた。謎の結末に拍子抜けする人もいるだろうが、それほどまでにキリスト教が人の心の奥底に染み渡り、ヨーロッパ治世に欠かせないものとなっていたことに改めて驚愕する。「勉強になるなァ」と思わず漏らしてしまうような映画。 [DVD(字幕)] 7点(2006-06-04 02:22:15) |
6. タイタンの戦い(1981)
SFX、CG映像時代の夜明けの頃、この作品で勇退したハリーハウゼンの職人技を今観るとどうしたって可愛らしく見えてしまう。カクカク可愛い怪物やR2-D2みたいなフクロウも好きだけど…あ~あ、これが稚拙に見えちゃうなんて。昔はワクワクでシンドバッドとか観たのになあ。なにげにローレンス・オリビエやマギー・スミスが舞台風芝居を見せてくれるのもご愛敬。でも冒頭の鉄砲水シーンなんて怪我人出なかったのかなあ??何をするにも一苦労だった時代を忍んでちょっと点数高めです。 [DVD(字幕)] 7点(2006-03-22 20:44:49) |
7. ポゼッション(1981)
《ネタバレ》 いろいろ映画を観てきたけれど、群を抜いて狂っている。人間の中の狂気を、包み隠さず非常にポジティブに押し出している。登場人物どいつもこいつも狂っていて気持ち悪い。なんとショッキングでストレスフルな映画なんだ、本当に今も気持ち悪い。でも、悔しいことに面白くて2時間食いついてしまった。スタートからぐいぐい引っ張って離さない力を持っていた。アジャーニが七転八倒苦しみ抜いて吐き出したものは、どの人間の中にも流れているのかな。「善と悪」と表現されていたそれは、「陽と陰」「表と裏」くらい、ごく近いところに潜んでいそうで…一見の価値はある、しかし二度と見たくはない、近寄りたくない世界を描いた映画。 [DVD(字幕)] 8点(2006-02-19 23:45:15) |
8. ナイト・オブ・ザ・コメット
ぬゥるぅゥ~~~~~~い。青春もラブもSFもエッチも近未来もアクションもゾンビもみんなぬるい。きちんと作ってあるのが悲しくなるくらいぬるい。全部、すべて、All of ぬるい。解説に80,sポップスが全編に掛かっていると書いてあったけど、マイナーすぎてこの私にも分からない。(きっとあのぬるい地下組織で流行っていたのだろう。)込められているメッセージは「夜は早く寝ましょう」そして「信号は守りましょう」。見なくちゃ分からないこのぬるさ。何故この映画が今更DVDに…。 [DVD(字幕)] 3点(2005-06-28 19:54:04)(笑:1票) |
9. アリス(1988)
ピカソの絵を初めて見たときのような感覚。奇妙で猥雑でとっても凝っている。あのくらいの子どもの頭の中って、実はあんなギョッとするような思考が折り畳んでしまってあるんだと思う。幼い頃から、ある部分成長無しの感覚を持ったシュワンクマイエル監督のおもちゃ箱。できれば短編をもっと見てみたい。 [DVD(字幕)] 7点(2005-04-16 13:35:13) |
10. フットルース
ややや、イイじゃないですかぁ。ストーリーは、何と言いましょうか大したこと無いんです。でも大味映画もたまにはいい物を楽しい時間を与えてくれます。「イカすゥ!」とか「シビれるわぁ」てな字幕も、今となっては笑いのタネですねえ。現在でも第一線で活躍する役者さんが何人も出ていて、みんな若くて可愛くって弾けておりました。今ケビン・ベーコンとクリス・ペンが共演するとしたらマフィアものかサスペンスでしょ。爽やかでヨカッタです。ダイアン・ウィーストが、地味にひっそりしっかりしたママさんを好演していました。「嗚呼若者よ、嗚呼80’sよ!」そんな映画です。音楽もいと懐かし。 7点(2005-03-19 19:38:06)(良:1票) |
11. シャイニング(1980)
シンメトリーな構図や鏡など、印象深いパーツと計算された色遣いで作られた画は極上の美しさ。その中を人の目線でズルズルと進むカメラワークの不気味さ。この映画、スゴイ。人の血や叫び声の恐ろしさではなく、四方八方からしんしんと迫ってくる、どうにも抗えない魔力のようなものの怖さを伝えている。人の魂は尊ばなければいけない、そして人間では到底かなわない自然の霊力にも、恐れながらも敬意を持つべきなんだろうな、と私はそんなことを思った。キャスティングも絶妙で、家族三人はこの人達以外は考えられない。原作は未読で、作者キングは映画の出来に不満だったらしいけれど、凝り性キューブリックが作り上げた彼ならではの世界は、充分多くの観客を魅了している。私もその中に仲間入りした。傑作と呼べる映画。 9点(2005-01-29 13:37:22)(良:2票) |
12. じゃりン子チエ
子どもの頃TV放映されていたときは正直あまり面白く感じなかったけれど、こうやって大人になって観てみると、下町情緒とか、独特のホノボノ感やくだらなさがすごく良い具合に絡み合っている。チエ達家族3人で電車に乗るシーンが大好き。チエがたまらず歌を歌い出すところで胸が詰まっちゃいます。何ともいえない子供心を上手いこと表現したなあ、と感心しました。原作が良くできていることもあるのでしょうが、ドタバタに陥らない人情アニメなんて貴重だと思うし、親子揃って楽しめる良質なお話だと思います。 8点(2005-01-09 21:34:32)(良:1票) |
13. 白いドレスの女(1981)
みんな、汗掻きすぎ…。顔もボデーもやりすぎなほどにぬらぬらと光っていた。異常熱波が到来している町の設定だからだが、それにしちゃ表のパームツリーが風でワサワサ揺れてるじゃんよ。話は、まあこんなもんかな。瑞々しいミッキー・ロークと美しいキャスリン・ターナーに会えました。利点と言えばそんなくらい。 5点(2004-10-19 01:21:41) |
14. モンティ・パイソン/人生狂騒曲
ブラックで、見る人によって好き嫌いが分かれる作品。私は………ん~この癖のあるチーズみたいなニオイがたまんないわ、つんつん。文字じゃ説明しきれない世界に浸って、皆さんもどうぞニヤニヤ笑ってちょうだい。日本語吹替え版も忘れずに観れば、一粒で二度美味しい思いができる。8.5点のところ、特典短編も考慮しておまけ! 9点(2004-10-14 01:13:26)(良:1票) |
15. ザ・フライ2/二世誕生
あれま。あの独特の気持ち悪さがからっきし無くなっている。クローネンバーグって実はスゴイのね、ということが確認できる。どうしても続きが見たい人、ハエの羽音で血が騒ぐ人など向き。面白い映画が観たい人は止めとくのが無難。 3点(2004-07-21 23:08:01) |
16. ザ・フライ
クローネンバーグの、気持ち悪いモノへの賛歌が聞こえる。自ら医者役をやったシーンは、自分の出番ををこの上なく豪華に飾り立てた結果じゃないだろか。映画監督という道を見つけられて良かったね。これは彼の作品の中ではわかりやすいストーリーだと思う。クローネンバーグにちょっと興味がある人、ハエに興味がある人には打ってつけ。妊婦さんは観ちゃダメ。 5点(2004-07-21 22:57:14) |
17. ミス・ファイヤークラッカー
《ネタバレ》 先日偶然BS放送で観ました。なかなか素敵な作品です、真夜中にとっても清々しい気持ちになりました。内容や設定、細かいカットなどは邦画やテレビドラマの自分探しモノや青春モノによくありそうな感じです。舞台は田舎町、ちょっとだけ暗い過去があって、なんとか一歩踏み出したい登場人物達。主人公が目指すのは田舎町のミスコンでの優勝と非常にミニマム。【ぐるぐる】さんがおっしゃる過去の傷は私にもよく分からなかったのですが、現状打破のために奮起するホリー・ハンターやティム・ロビンスがぶきっちょでとっても愛らしいのです。特にホリー・ハンターは「ピアノレッスン」での彼女が好きになれなかったせいであまり良い印象を持っていなかったのですが、この映画では喜怒哀楽いっぱいの女性を好演。真っ赤な髪を泣きながらゴリゴリ洗ったり、ガツンガツンと力一杯タップを踏んだりと人間味溢れていました。「ピアノ…」と同じ人物とは思えないほど。他の登場人物もある種飄々とした個性派ばかりでとても楽しめました。眠いのを必死にこらえながら観たので、また観てみたい作品です。 8点(2004-06-26 22:06:01) |
18. 最後の誘惑
《ネタバレ》 喜怒哀楽の感情を呼び起こされるような映画ではないのに、胸にガリッとひっかき傷を付けられたような感じがする。今後時を置いて繰り返し観るような予感がする。聖書など普段触れる機会のない私にも、この映画の中の苦悶するイエス・キリストや懇願され密告するユダ、「最後の誘惑」のシーンは非常に興味深く斬新に思えた。主演デフォーの眼の光と演技力の凄さに終始釘付けになり、砂漠の色、流れる血の色とともに彼の瞳の色が脳裏に焼き付いている。なかなかうまく伝えられない自分が悔しい。それほど圧倒された。 9点(2004-06-25 02:06:46) |
19. バロン
《ネタバレ》 “シッポの先までギリアム詰まってます”と言えるほどの、豪華絢爛ギリアムワールド。お伽噺を凝りに凝った映像と摩訶不思議なエピソードで飾り立て、2時間超の雄大な物語にしている。ひとつの映画としてストーリーはちと退屈を感じてしまうし、セットの豪華さが返ってくどくも見える。けれど死神やちりばめられたブラックジョークなど、あの独特のギリアム作品が持つ臭いが強い映画なので点数も高め。「バロンの事は言わないで!!」と監督自ら言うほど興行失敗作として有名で、今作以降自ら書いた脚本を映像化できないでいる。でも美しくなかなか楽しい作品ではあるので、彼の夢の世界を一度覗くのも良いかもしれない。ユマ・サーマンが世界観にぴったりの美しいアフロディーテに扮して迎え入れてくれる。 8点(2004-06-13 16:16:39) |
20. 必殺4 恨みはらします
深作映画だったのか…納得。必殺シリーズの面白さと、監督の力一杯の映画制作がうまくかみ合っていなかったかなあ。やたら町人が殺されているし、愚連隊の異常すぎるテンションにはちょっとついて行けなくて。私にはTVの必殺の方が性に合っているようです。これも職場の慰安旅行のバス車中で観た。横浜シーパラで爽快に遊んだ後鑑賞。いつもの必殺が持つ痛快さが感じられず、爽快感は真田広之に持って行かれてしまった。観賞後感想を言う人もなくお昼寝タイムは延々と続いた。ガイドさんごめんね。こんな時は釣りバカの方がハズれないかもよ。 3点(2004-05-11 23:45:35) |