1. ディープ・インパクト(1998)
《ネタバレ》 映画館で泣きまくりました。自分が単純バカでよかったと感謝したいぐらいです。あんまり泣きすぎて、次の上映に並んでいた女子高生二人組に冷笑を喰らいましたが、ロバート・デュバル扮するタナー船長がカッコよすぎて大満足でした。ミッションにアポロやマーキュリー時代といったNASA黄金期を支えた飛行士がいるあたり、ツボをつかれたと思っていたのですが、若いクルーに冷遇されても自分の経験と信念を疑わない姿に、老兵の気骨というものを感じ、ジーンとしてしまいました。当時のお約束である海軍や空軍出身という設定も、台詞のそこかしこに散りばめられ、キャラの深みを感じさせてくれます。「空母には五百回も着陸したんだ」。こーゆー、さりげない台詞が何故か大好きです。二人の息子も海軍兵学校に行き、死に別れた妻をずっと変わらず想い続け、愛読書はやっぱり「白鯨」。ベタだろうが何だろうが全然構いません。妻に最期の言葉を贈るシーンでは毎回、涙で画面がぼやけます。もちろん、他の登場人物たちのドラマにも大泣きしました。「サラのところに戻る」と言ったリオに何も言わず腕時計やお金を持たせる父親や、バイクの後ろに子供達を無我夢中で乗せて見送る両親の姿を見て、「親子の愛とはきっとこういうことなんだろうな」という想いになります。ロン・エルダード扮するオーレンも、自分の名を受け継いだ息子にひとこと、「元気でな」と言葉を贈ります。今生の別れという切ないシーンの中の短い台詞には、親から子への無償の愛が溢れていて、この映画は悲しいから泣くのではなく、人間が持っているいちばん純粋なものを見つけられたから泣いたんだと気付き、観た後はすがすがしささえ感じられる素敵な映画だと思います。 10点(2004-02-06 02:42:36)(良:1票) |
2. アポロ13
超一級の豪華キャストで描いた、冒険ドラマ。ノンフィクションものはとかく冗長になりがちだが、見事に「映画」へと昇華させたロン・ハワードの手腕はさすが。最期まで飽きさせずに惹きつけられるストーリーは、裏を返せば、この事故はすべての人類の英知をかけた戦いであり、世界中の熱い関心が寄せられた一大事件であったからこそだと思う。後に、あらゆる宇宙冒険ドラマに影響を与えたサターンロケットの発射シークエンスには毎回涙してしまう。「絶対にあきらめない」、地上の熱いドラマにも心を打たれる。人類が持つ宇宙への好奇心、勇敢さやチャレンジングスピリットにロマンを感じる人には必見の作品。 10点(2004-01-18 02:51:27)(良:1票) |
3. プライベート・ライアン
矛盾した救出命令にどうして従うのか?当然、兵士の口からも不平が出る。様々な戦闘や仲間の死を乗り越え、理由は異なるが、各々の答えを見つけだしてゆく。とかく数でかぞえられる兵士達だが、彼らはまぎれもなく、名前を持ったひとりの人間であり、それぞれのストーリーがある。フランス人の子供を助けようとする者、神に乞うて引き金をひく者、勇敢なベテラン兵士や立ちすくむ新米兵士…。また、膨大な数の墓標に刻まれた名前のそれぞれにもストーリーがあったはずである。彼らは最期のその時まで「生きた」。大切なことは生きることであり、人生は尊いもの。この、当たり前すぎるが日常では忘れがちなテーマを、戦争を通して頭ではなく心で理解させてくれる、壮大なヒューマンドラマである。 10点(2004-01-17 03:33:20)(良:2票) |
4. ファインディング・ニモ
《ネタバレ》 ピクサーの連中、どうも小生の「泣きのツボ」を知り尽くしているような気がしてなりません。最愛の妻を失い、その形見であるニモを大切に育ててきた父、マーリン。これだけでもう涙ぼろぼろ。オープニングからいきなり泣いてしまった作品はこれが初めてです。安全第一だったマーリン、そんな人柄(魚柄?)からはとても信じられないような冒険談が大海原に広がってゆくところにもう、涙腺全開。親の愛は海より深し。世界がどんなに腐っても、これだけはきっと変わることはないでしょう。音楽も秀逸。今回もトーマス・ニューマン節が炸裂です。そして、なんといってもドリー最高! 口や頬やヒレが、いちばんよく動いてます。いい味出してます。煮込めばコクのあるダシが…(←違う。) ピクサーのCGアニメーションは、時として実写よりも雄弁に語りかけてくる気がします。それはキャラクターの「こころ」であり、「いのち」ではないでしょうか。卵をすくい上げるマーリンのやさしいヒレから、「慈愛」と「誓い」があふれています。声優の演技や質感が優れているCGアニメは他にも多々あるでしょう。しかし、キャラクターの心情をも饒舌に描き出すピクサー、やはりこの分野では一歩リードしている気がします。 9点(2004-07-02 20:50:03) |
5. エイリアン2/完全版
この作品は、完全版なくして語ることはできない。ニュートとはぐれたリプリー。あの絶望的な状況で彼女がとった無謀な行動を支えたもの、それは人としてよりも、母としての勇気であったのだと納得できる。親を失ったニュートと娘を失ったリプリー。二人の関係を描いたシーンを復活させることによって、ラストがまた一段と人間味溢れるシーンに生まれ変わることができた。また、リプリーが母であったという設定は、エイリアンクイーンとの「母同士の対決」という裏テーマにも陽の目を与えたように思う。人間にとってもエイリアンにとっても、種の保存をかけた対決に、女性への畏敬の念をこめたキャメロン独特のメッセージがあったように思えてならない。あのエイリアンクイーンのすさまじいまでの怒りと執念に、我々は「母は強し」という言葉を思い出し、圧倒的なリアリティを本能的に感じることができる。あるべくしてあった完全版を観ることができた幸運に、素直に感謝したい一本。 9点(2004-01-22 19:23:49)(良:5票) |
6. ビューティフル・マインド
《ネタバレ》 一切の予備知識を排して観られたことが幸いし、非常に楽しめました。演出や音楽等、作品のトーンも独特で印象的。もちろん、しっかりダマされてしまいました。サスペンスタッチの前半と、心にしみるヒューマンドラマな後半。一粒で二度おいしいってカンジです。決して消えない幻想に、他の誰からでもなく自ら別れを告げるシーンがなんとも切なくて号泣。そして、ジェニファー・コネリーにメロメロ。ついみとれすぎて、台詞を見逃したこと数回。かわいすぎです。もしも「アカデミー不憫な男を支える女性役賞」なんかがあれば、何年連続で彼女が独占するんでしょうか!? エド・ハリスもかっこよくて◎でした。 9点(2004-01-19 14:53:48) |
7. キャスト・アウェイ
《ネタバレ》 トム・ハンクスの演技力のすごさをまざまざとみせつけられる作品。掛け合う台詞がほとんどなくとも、十分に主人公の喜怒哀楽を感じ取ることができる。「無人島に放り込まれる現代人」という設定を際立たせるために、現代の代名詞のひとつであるフェデックスを選ぶあたりも巧い。感情移入するあまり、ウィルソンが流されるシーンは悲しくて見ていられなかった。生還してからのシーンも、敢えてトーンをおとしているあたり、「プライベート・ライアン」でも感じたのだが、どんな状況においても人間にとって大切なことは生きること。このシンプルだが強いメッセージを、チャック・ノーランドと同じ現代人である我々に発している映画だと思う。 9点(2004-01-18 07:39:16)(良:1票) |
8. ジョー・ブラックをよろしく
丁寧に作られた、非常に好感の持てる作品。台詞ではなく俳優陣の演技力で織り成すストーリーと映像美はもはや芸術の域。衣装、セット、音楽、照明等、全てが繊細かつ上品。3時間という長尺もまったく感じず、感情移入すればするほど、映画がラストに近づくことを拒む自分がいた。アンソニー・ホプキンスの存在感&説得力は秀逸。パーティーのシーンに入ってからはもう、ハンカチを手放すことができなかった。クレア・フォラーニの、せつなさを内に秘めた瞳も忘れられない。この人はなんでこんなにかわいいのでしょうか。 9点(2004-01-17 05:10:50)(良:1票) |
9. アルマゲドン(1998)
非常に賛否両論ある本作。まだ観てない人はぜひ観ましょう。「アメリカ万歳」「ハリウッド式ハッピーエンド」「ご都合主義の脚本」「陳腐なお涙頂戴」等はちょっと脇に置いといて。我を忘れて「映画」を観ましょう。まさにエンターテインメントの王道。サービス精神の真髄。映画を愉しむということを思い出させてくれること間違いなし! 9点(2004-01-17 03:57:57) |
10. アイ・アム・レジェンド
《ネタバレ》 「動」を紡ぎだすべきCGで、完全な「静」を描くという発想の転換が面白いが、その匙加減がまた秀逸。文明の崩壊から3年しか経過していないという設定にもよるが、ビルが大袈裟に倒壊しているわけでもなく、まだそこかしこに人間の生活感が残されている描写が、文明の恩恵をうけて育った観客の背中をうすら寒くさせる。文明崩壊の詳しい経緯は描かれないが、それはネヴィルという男の行動を観察すれば必要ないことに気付く。相棒を追って暗闇のビルに飛び込んだ主人公の呼吸の乱れは、人類がどういう終末を辿り、その過程で彼が何を見てきたのか、そして様変わりした街で生き抜いた3年がいかに困難なものであったのかを如実に感じさせる。また彼は、もう一つの敵と戦わなくてはならない。孤独と絶望という、自分との戦いである。精神的にも肉体的にも、常人よりかは格段にタフと思われる彼でさえ、自らの狂気に蝕まれるまいと、規則正しい生活をおくり、録画ではあるがニュースを見ながら食事を取り、無人のビデオ店へ律儀に返却に行く。以前の日常を絶やさないことで、ぎりぎりの精神を保っている。漂流映画ではないが、現代人が突然孤独な空間に叩き落されれば、錯乱するなと言うほうが無理がある。取り乱せば自滅し、待つものは死である。ネヴィルにしても、たった一度の錯乱が普段の用心を消し去り、敵の幼稚な罠を見落としてしまう。そしてそれが致命的な結果を招き、彼を支えていた最後の柱が折れてしまう。相棒との絆、主人公の孤独な戦いを緻密に描いた本作の最大の見せどころである。また、世界が崩壊の兆しを見せ始めた時に、妻に誓った言葉を後半に繰り返すシーンも印象的である。目の前で家族を奪い、自分に人類の終焉を見せた「神の意志」とやらに強い疑問を抱く男が自殺を選ばなかった理由は、空虚な「生」の中で無意識に何百万回も呟いたであろうその言葉であり、その言葉が現実となったことこそが「神の意志」だったことに気付くのである。彼はそれを未来に託し救済される。すこし駆け足だったようにも思えるが、実に巧いラストだったように思う。ノベライズをじっくり読みたい気分。ウィル・スミス、いい仕事しました。 [映画館(字幕)] 8点(2007-12-13 04:59:29)(良:3票) |
11. プッシーキャッツ
う~わ~ レイチェルが可愛い~ 内容はティーン向けなので万人にはオススメできないのが残念。レイチェル好きにはかなりオススメ。劇中で流れてたプロモビデオが凄く良くできてたのが印象的。DVDのジャケ写のレイチェル、目つきがかなり怖いのも印象的(汗)。タラ・リードは声まで可愛い。彼女達にプラス1点! 8点(2004-05-08 03:15:51)(良:1票) |
12. マトリックス
語り尽くされた感はあるので、さらっと。映画の新しい基準をつくった作品として、記念碑というところでしょう。おたくパワー炸裂。 8点(2004-01-29 01:24:12) |
13. アウトブレイク
超豪華キャストのバイオ・サスペンス・ドラマ。とにかくテンポがよくて、衝撃のオープニングから手に汗握るラストまで、引き込まれっぱなしになる。実際にあってもおかしくはないテーマを描いているので、本能的にリアリティや恐怖を感じ、程よいアクションやサスペンスの要素もストーリーに色をもたせており、鑑賞後の充実感も十分である。目には見えない敵を映画にすることは非常に難しいと思われるのだが、それを見事にやってのけた、お手本のような作品。 8点(2004-01-28 23:52:36)(良:1票) |
14. グーニーズ
小学校当時に何度も観て、幼心に大きな衝撃と多大な影響を受けた作品です。学校が終わればグーニーズ仲間を引き連れて、日が暮れるまで冒険ごっこをやってました。冒険、初恋、友情、悪者退治、海賊船と金銀財宝…。男の子の夢がいっぱい! この映画は、子供に必要不可欠な「想像力」と「夢をみること」を教えてくれた映画だったと思います。裕福でもなく平凡でのんびりした少年時代でしたが、あのような何物にも替えられず、決してもう手に入れることができない時間をくれたこの映画が大好きです。近年、このように「想像力」や「夢」を与えてくれる映画が少なくなってきている気がします。時代が変わってしまったせいかもしれません。それでもなお、複雑な時代の中で育ってゆく現代の少年少女たちにぜひ観て欲しい、そして小生が体験したようなのんびりした時間の中で夢や想像力を育てて欲しいという想いになります。 8点(2004-01-28 23:29:22)(良:2票) |
15. スターシップ・トゥルーパーズ
ファシズムの恐ろしさを誰よりも知り、嫌というほど味わったポール・ヴァーホーヴェンが放つ問題作。あえてハインラインの原作を用い、わかりやすい勧善懲悪と理屈抜きの不毛なぶっ殺しあいを見せ、その是非を観客に託す。そして誤解や見当違いな指摘をも、確信犯的な笑みをうかべつつ楽しんでいるのだろう。なんて痛快な人だ。このテーマに説得力をもたせるためにも、当時としては考えられないほどの視覚効果を使い、映像を際立たせた。画面の外にまで血が飛んできそうな暴力描写に、観客はハッとさせられ、戦争で死ぬ兵士達の痛みを痛感する(まあ、半分は監督のシュミであろうが)。もちろん、本作を「半ソデの歩兵たちが巨大昆虫と熱血の白兵戦を繰り広げるバカSF戦争」としても十分楽しめる。楽しみ方は自由だが、これほど観客の真価が問われる映画もないのではないだろうか。 8点(2004-01-20 17:31:55)(良:2票) |
16. ワンス・アンド・フォーエバー
戦闘が終わり、報道陣に囲まれたハル・ムーア中佐のやりきれない表情。ヘルメットを目深にかぶり、独りで肩を震わす中佐の後姿。実際のフィルムでも、中佐はコメントの途中で言葉をつまらせていたが、彼の仕草が戦争という行為がもたらすものをすべて物語っているように感じた。実際の戦没者名が出身地とともにクレジットされるが、人間の名前というものがこれほど重く感じられる瞬間は、他にはない。 8点(2004-01-20 12:59:58) |
17. トゥルーライズ
スーパーエージェントの家庭問題。目の付け所が面白すぎる。しっかり笑いをとりつつ、それをテロリストとの決着につなげるあたりもスムーズで巧い。アクションを盛り上げる小道具や乗り物も、ツボをおさえている。馬とか垂直離着陸の戦闘機とか、サービス満点で大満足。キャメロン映画独特な青白い画質(照明?)も美しく、何度でも観られる作品です。 8点(2004-01-19 18:15:47) |
18. レオン/完全版
《ネタバレ》 スタイリッシュで冷徹なレオン。子供のくせに危うい魅力を持つマチルダ。自分に欠けている何かを、お互いにおぎない合うふたり。いわばふたりでひとりであり、お互いにやっと見つけた心の糧となる存在。それが無惨にも引き裂かれてしまう。こんなにも胸が詰まる物語はない。ゲイリー・オールドマンの鬼気迫る怪演ぶりが相乗し、マチルダの心よろしくズタボロにされてしまう。しかし、残されたマチルダがレオンから受けた束の間の愛を胸に、生き抜く決心をしたことですべてが救われた。完全版になることで、親子愛ともとれたふたりの感情が、明確な「愛」であったと確認できる。スティングのテーマソングも心にしみわたる、リュック・ベッソン渾身の一本。 8点(2004-01-19 17:29:49) |
19. インデペンデンス・デイ
観客を楽しませること、ただひたすらそれのみを追求して作られた映画。異星人の攻撃に全地球規模で対抗するという明快なストーリーを、洗練されたVFXを用いて豪華キャストで映像化するわけだからつまらないわけがなく、非常に贅沢な映画である。この映画を家族、恋人、友人たちとともに時間を忘れて楽しむこともまた非常に有意義で贅沢であろう。娯楽作品にドラマ性やメッセージ等を求めることはナンセンスであり、腹痛なのに解熱剤をのみ、「効かない」と怒っているようなものである。未見の方はぜひともポップコーンを用意し、友人や恋人を家に招き、ワイワイやりながら鑑賞することをおすすめする。この映画が提供してくれる有意義で贅沢な時間を満喫できれば、この映画の本質が理解できるのではないだろうか。 8点(2004-01-19 14:02:01)(良:1票) |
20. パール・ハーバー
評価が低いのも解らなくはないのですが、個人的には好きな映画です。確かに皆さんの言う通り、ダメなラストにつながる三角関係よりも、純粋なラブストーリーもしくはもっとシンプルに戦友同士の絆や友情を描いたほうがよかった気もします。でも、この映画には欠点を補える魅力があると思います。「敵」の描写なんかは相対的なものですし、あまりに過敏になるのもどうかと。ケイト・ベッキンセールとトム・サイズモアも印象的でよかったです。 8点(2004-01-18 19:35:14) |