1. シャドウ・イン・クラウド
《ネタバレ》 面白かったです!1時間半弱の上映時間中、ずっと目が釘付けでした。理屈抜きで面白い。だから、理屈を言ってはいけない。ハチャメチャな展開は、作る側が承知でやっていることですから。 ひとつ理屈を言えば、この作品のテーマは、「女は弱し、されど母は強し」でしょうね。暴力夫から逃げ回る弱い女が、自分の子どもを守るために、とうとう最後は素手で怪物を叩きのめしてしまうのですから。その後で、幸せそうに赤ん坊に乳を飲ませる姿を見ると、こちらも幸せになれますね。この後、この人たちはどうなってしまうんだろう、とかいう心配は余計なお世話です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-10-21 19:19:38) |
2. ラスト・クリスマス(2019)
《ネタバレ》 「ハロー!?ゴースト」のレビューでお話しした、映画終盤で「アッと驚く」映画、もう1本はこの「ラスト・クリスマス」です。ただしこの映画、アッと驚くことが出来た人と、そうでない人がいるようです。「ハロー!?ゴースト」はほとんどの人が、あの展開を予想出来ないだろうと思います。その点で、この映画の評価が分かれるのかな、と思います。 幸い、私はアッと驚くことが出来ました。自分の勘の悪さを褒めてやりたいです。本当は、ケイトが自分の手術の話をした時に気付くべきなんですよね。ヒントは初めから与えられているんですから。でも、ほんとに気付かないで良かった!これからこの映画を観る方、なるべくレビューを読まず、先入観なしで見てくださいね。 ヒロインのエミリア・クラークは「ターミネーター新起動」のサラ・コナーを演じてたんですね。この映画は前に見ていたんですが、全然思い出しませんでした。4年経過しているので、年齢のせいかも知れませんが、それより役作りで変えているのだと思います。サラ・コナー役の時は若さと活力に溢れていたのに、この映画のケイトは生活がすさんで、やつれて見えました。でも、最後に皆で「ラスト・クリスマス」を歌う時は、とても魅力に溢れていました。これからの活躍が楽しみです。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-16 15:49:29) |
3. ハロー!? ゴースト
《ネタバレ》 久しぶりに(何と10年ぶり)投稿します。その訳は最近2本続けて、終盤でアッと驚く(本当にアッと声が出た)展開になる映画を観たせいです。そのうちの1本がこの作品です。 見始めてすぐ、ああこれは「愛が微笑む時」(1973)と同じ設定だな、と気付きました。偶然か、意図的かは知りません。でも、どちらにしてもあの映画は大好きなので、あの映画の設定を使ってどんな作品にするのかな、と興味津々見ていました。「愛が微笑む時」と途中の展開がはっきり違うのですが、その違いをここで話すと「他の映画のネタバレ」になってしまうので、知りたい方はぜひ「愛が微笑む時」をご覧ください。 そして、その2本の映画の違いこそが、この「ハロー!?ゴースト」のアッと驚くところですね。もし意図的に「愛が微笑む時」の設定を無断拝借したのだとしても、私は許します(そんな権限はないですけど)。映画が始まってから、確かにぐだぐだした展開で、いらいらしながら見ていると、実はその中に伏線がいっぱい隠されていて、それが最後に全部一点に集約されて爆発するようなカタルシス! こんな映画を観るとやっぱりレビューしないではいられませんね。 もう一本の「アッと驚く」映画は、また改めて投稿します。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-15 15:27:52) |
4. インビクタス/負けざる者たち
クリント・イーストウッド監督作はあまり好きな方ではないのですが、この作品は素直に感動しました。楽曲がうまく使われていて、久しぶりにサントラCDを買ってしまいました。私も特に南アフリカの歴史や政治に詳しいわけではありませんが、マンデラ大統領の過去のことを知っていると、この映画のおもしろさが倍増します。もし、この映画を気に入ったなら、ぜひ「マンデラの名もなき看守」を観られることをお勧めします。モーガン・フリーマンが適役だったので、ちょっと配役に違和感を感じるかも知れませんが、こちらも良い映画ですよ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-06 18:38:12) |
5. イルマーレ(2006)
《ネタバレ》 韓国版は大好きです。最後まで時間の壁が存在し続けていて、これから二人の新しい出会いとその後のストーリーが始まる、というところでエンディング。余韻のあるいい終わり方でした。そしてこのアメリカ版リメイク。どこを変えてくるのかなと思いながら観ていましたが、やっぱりエンディングでしたね。もう力業で時間の壁をぶち壊す、いかにもハリウッド流の決着の付け方です。こんな風に書くと否定的な意見に聞こえるでしょうけど、不覚にもこのラストシーンにいたく感動してしまいました。本当は、韓国版で、こんなラストを観たかったんだと、今頃気づいているのでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-12-31 17:26:12) |
6. フラガール
《ネタバレ》 大方のご指摘どおり、「ウォーター・ボーイズ」や「スィング・ガールズ」の路線に乗った1本かなと思いますし、「ブラス!」や「リトル・ダンサー」との類似も感じられます。でも、一番近い作品だと思うのは、「Shall we ダンス?」じゃないでしょうか。どちらもそれぞれのダンスの本質的な意味を、まじめに描いていてとても好感が持てます。この映画でしたら、最も感動的な場面、列車に乗った先生を引き留めるために、生徒達がフラで思いを伝える場面を思い出してください。フラダンスは、もともとは神に捧げる踊りだったフラ・カヒコを現代風にアレンジしたものと記憶していますが、フラに宿る精神を、この場面に感じたと言ったら、褒めすぎでしょうか。でも、本当に日本人はこういう求道的な作品が大好きなんですよねえ。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-07-09 22:37:06) |
7. かもめ食堂
《ネタバレ》 もたいまさこ演じる女性の、紛失していたカバンが見つかって、開けると中には森で採ったキノコがいっぱい。その後で、老人から渡されるネコ。何かの寓意だとは思いますが、それまでリアルな話(外国へ行くと、けっこう日本人の店がありますから)のつもりで見ていたのが、とたんにファンタジーになってしまって、それはないでしょ、という感じ。観客の中には、本気で海外で働きたいとか、移住したいとか考えている人もいるでしょう。なんだか作っている本人が「どうせ作り話よ」って言っているように思えて、映画としての出来は悪くないので、とても惜しい気がします。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-04-28 18:41:01) |
8. プリティ・リーグ
エンドロールのバックで映る、野球をするおばあさん達が本当の昔のプレーヤーなんですね。歳をとってもさすがにうまいものです。野球映画って、俳優のプレーがヘタだとそれだけで観る気がなくなるものですが、この映画の女優達はがんばっていると思います。子供の頃に遊びでやっている男と違って、女性があれだけやるには、相当練習したはずで、それだけでこの映画を評価したくなります。野球と人間に対する愛情が感じられて、見終わって幸福な気分になれるいい映画です。チラ、チラとしか映りませんが、ティア・レオーニが端役で出ていてびっくりしました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-06-03 18:48:43) |
9. 僕の彼女を紹介します
先が読めてしまう構成とか、無理矢理泣かせようという意図が見えてしまう展開とか、作品の出来としては「猟奇的な彼女」に遠く及ばないと思いました。でも、見方を変えて、これがチョン・ジヒョンのファン(私もそのひとり)に向けて、その魅力を存分に見せることを目的に作られた映画ととらえると、これは見事な出来映えと言えるのではないでしょうか。彼女の笑顔も泣き顔も、警官姿の凛々しさもコメディセンスも、たっぷりと楽しめるのですから。男どもは、皆引き立て役にしか見えません。彼女のキャリアの中にこんな作品もあっていいと思いますけど、新作の「DAISY」ではぜひ内容的にも出来のいい映画を見せてもらいたいものです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-05-27 17:26:10) |
10. コンスタンティン
《ネタバレ》 キリスト教の世界に余り詳しくはないのですが、ルシファーやガブリエルの名前を知っているだけでも、興味深く観られる映画ですね。特に大天使ガブリエルのかっこ良さは特筆もの。最後は神に見捨てられて、人間になっちゃうところが憎めなくていいですね。主人公はもうちょっとで無事(?)天国に召されるところだったのに、サタンに命を助けられるなんて皮肉。でも、天国なんてきっと退屈そうだから、そんな所に行かずに、「コンスタンティンpart2」見せてください。 [DVD(字幕)] 7点(2005-09-10 21:15:31) |
11. ハウルの動く城
《ネタバレ》 昨日観てきました。途中で映写機が故障してしまって、別の館に移動して、てんやわんやでしたが、料金は返してもらえました。それは余談ですが、作品の出来は、「千と千尋」を10点とすると、こちらは今のところ7点かなという感じです。宮崎駿の作品は何度も観直しますので、もしかしたら徐々に点が上がるかも知れません。それほど、今回の作品は単純な評価が難しい気がします。例えば、老婆にされたソフィーが少しずつ若くなっていきますよね。観ているときはどうしてなのか解らなかったのですが、後で気がつきました(私なりの解釈ですが)。最初に出てくるソフィーは、歳は若いのに若者らしい生気や、主体性に乏しくて、まるで年寄りみたいです。そして、荒れ地の魔女に魔法をかけられて、外見も老婆になってしまいます。そこから、ハウル達との冒険をとおして、徐々に生気と主体性を獲得していきます。それに応じて曲がっていた腰も伸び、顔のしわも減っていきます。そう解釈すれば、「この呪いは人に話すことができない」という謎の言葉の意味や、「いつ荒れ地の魔女の魔法が解けたの?」という疑問は答えが出ます。それは、自分自身の問題だから、人に言っても解決しないし、呪いを解くのは自分自身しかいないのだということ。 こんな風に、次に観たら気がつくことがいっぱいありそうな作品でした。でも、主人公が異世界との接触をとおして成長していく物語という、話の骨格はいつも通りですし 魔法の世界も新味がない気がして、残念ながら今回の点数にしました。 7点(2004-12-31 13:02:15)(良:2票) |
12. 隠し剣 鬼の爪
「家族」の後に「故郷」、「幸福の黄色いハンカチ」の後に「遙かなる山の呼び声」、そして今回の「たそがれ清兵衛」の後の「隠し剣鬼の爪」。山田洋次監督には、このように傑作やヒット作が出ると、続けて同工異曲の作品が出る例が多いですね。もちろん寅さんみたいにシリーズ化される作品もありますし。その一番の理由は、やはり映画会社(松竹)の要請でやむを得ず、ということなんでしょうね。その結果、前二例と同じく、今回も前作には及ばない、厳しく言えば「二番煎じ」な作品だと思います。けれど、個人的には前作より、こちらの方が好きです。わざと寅さんメンバーを揃えたり、笑える場面が多かったり、山田監督の肩の力が抜けた遊びごころが見えて、「清兵衛」とは色合いの違う楽しい娯楽映画になったと思います。キセルの「あ、首がとんだ」の場面は、寅さん映画ですよね。 8点(2004-11-18 23:05:39)(良:1票) |
13. バイオハザードII アポカリプス
前作に比べるとアクションがどハデになりましたね。観賞後に、「エイリアン」シリーズの1と2を思い出しました。あちらも、1がホラーで2がアクションとハッキリ色分けされていました。ヒロインが強くて美しいことも共通してます。でも、あちらはエイリアンが主人公、こちらはアリスが主人公、という感じですね。エイリアンに対してゾンビではオリジナリティでかないませんから、そこはもう天下無敵のヒロインにがんばってもらうしかありません。「エイリアン」シリーズみたいに3,4と続くのでしょうか。めったに映画館では観ないのに、ミラ見たさにまた劇場に出かけてしまいそう。 8点(2004-10-26 21:35:28) |
14. 猟奇的な彼女
トレンディドラマとか全然観ない人間なので、そういうのと比較はできないんですが、アメリカ映画のラブコメと比較しても、上質の部類に入ると思います。ハリウッドがリメイク権を買い取ったというのも、うなずけます。何より、あのブッとんだ「彼女」を作ったことだけでも、拍手喝采!大林宣彦監督の「転校生」で小林聡美が演じた主人公に匹敵する、魅力溢れるキャラクターですね。現実には、余りつき合いたくないタイプですけど。ストーリーとしては、ラストのオチが「そんなこと、あるかよ」ていう感じですが、終盤シリアスな展開になってきたところで、それをわざとハズシて、笑い飛ばしてエンディングにしたかったんでしょうね。「Shall we ダンス?」と、これのハリウッド版が早く観てみたいです。 8点(2004-07-07 21:39:46) |
15. ラスト サムライ
私には、どうしてもこれが自分の国の話という気がしませんでした。そう、どこか日本に良く似た違う国の話。あまりにも観念的な「侍」のとらえ方、勝元の国のまるで生活感、現実感のなさ。侍は毎日剣術の稽古と、茶道や読経しかしてないじゃないですか。「異境の地で活躍するアメリカのヒーロー」というパターンのひとつとして楽しむだけなら、悪い作品じゃないですけど。こんな辛辣なこと言うのも、最近私が観たふたつの映画、「コールド・マウンテン」とこの作品の、平均点が逆ではないのかな、と思って。でも、ほんとに謙さんは良かったですよ。 6点(2004-05-23 10:41:10) |
16. コールド マウンテン
同じミンゲラ監督の「イングリッシュ・ペイシェント」や、例の「タイタニック」なんかもそうですが、運命的な出会いをした男女が燃えるような恋をして、でも、戦争やら災害やらがふたりに襲いかかり、それ故に更に激しく恋の炎が燃えていく。そんな状況って、ほんとに映画向きのシチュエーションですよね。この作品もそういう映画の王道を行く一本です。「イングリッシュ・ペイシェント」に比べると、確かに単調で、盛り上がりに欠ける点は否めません。でも、実に堂々とした作りで、「ああ、またいい映画が観れた」という満足感がありました。主役の3人が魅力的でした(レニーは本当にもうけ役)し、脇役もいいですね。特にダメ牧師役のフィリップ・シーモア・ホフマン、相変わらず場をさらって行きますね。ミンゲラ監督、これからも更に壮大な作品を作って、デビッド・リーンの再来と言われるような、大監督になってほしいと思います。 8点(2004-05-16 22:33:23) |
17. 花嫁の父
評論家の双葉十三郎さんが、著作でとても褒めていたので、放送を機に観てみました。娘の結婚話しと、祝宴の段取りに振り回される父親の姿に、笑い転げて、最後はホロリとさせられます。私も娘と一緒にヴァージン・ロードを歩いたことがある「花嫁の父」でしたから、他人事ではなくて。娘に対する父親の気持ちは、どこの国でも、いつの時代でも、違いはないですよね。1950年のアメリカの結婚式が、今の日本のそれとほとんど変わらないこともあって、少しも古さを感じない、いい映画でした。 8点(2004-05-06 23:18:59) |
18. ジェイソンX 13日の金曜日
スプラッターものは苦手で、今まで「13日の金曜日」シリーズを観たことがなかったのですが、今回は私の好きなSF仕立てということで、観てみました。これって、「エイリアン」の設定そのまんまですよね。うっかり拾った化け物に、密室の宇宙船内で襲われるって。アンドロイドが出てくるし。スプラッター場面はやっぱりイヤでしたけど、どうやってこいつやっつけるんだろう、と結構最後まで引っ張られました。作品の出来としては6点がせいぜいですが、アンドロイドのねえちゃんの扱いがおもしろかったので、1点おまけ。 7点(2004-04-11 21:02:36) |
19. ビロウ
潜水艦映画に駄作はない、というのが通説ですけど、珍しくハズレですかね。監督が「ピッチ・ブラック」のデビッド・トゥーヒーということで、期待したんですけどね。潜水艦映画だと思ってたら、途中から幽霊話しになっちゃって、ちょうど、シャマランの「サイン」で感じたような違和感と失望感がありました。でも、トゥーヒーってスタイリッシュな映像を撮る人ですね。エイリアンシリーズを撮らせたらおもしろいんじゃないでしょうか。 5点(2004-03-22 08:24:24) |
20. サイン
この作品に失望した人達の気持ち、良くわかります。極上のトロの刺身に、ケチャップソースを掛けて出されたような、何ともチグハグな違和感のある作品ですよね。極上のトロというのは、「人の生き方」という、この映画のテーマです。主人公の妻が死ぬ間際に言う言葉、「見て!」。主人公は最後にこの言葉の「サイン」を「見る」んですね。ぜんそくの息子。異様に神経質な娘。人生に挫折した弟。妻を亡くして、信仰心を失った夫。そんな負の要素を背負った人間ばかりだけど、見方を変えればそれらをバネにして強く生きることもできるじゃないか。そういう救いと再生の物語と解釈できますよね。でも、そういう話をこんな宇宙人ネタでやる必要があるの?しかも昔のお化け屋敷みたいなコケおどかしばっかりで。調味料のせいで、せっかくのご馳走が台無しという、何とも歯がゆい映画でした。 5点(2004-02-28 23:02:29) |