1. 英雄の条件
タカ派映画が性に合わないのは見る前からわかっていたので減点対象にはしないが、「壁に残る弾痕を調べればどっちの方角から発砲されていたか判るんでないの?」という素朴な疑問が終始頭を離れず、ストーリー進行そっちのけで冷めた。戦闘シーンにはそこそこ迫力があるので、その点は評価できる。 2点(2004-02-29 15:47:49) |
2. マトリックス レボリューションズ
マトリックスで膨らみに膨らんだ期待が見事に粉砕された。前二作で話を膨らませるだけ膨らませておいてこの結末とは。あまりのショボさにがっかり。また、映画の内容とは直接関係ないが(間接的には関係あるが)、ザイオンが襲撃されるシーンで目が回ってきて、見終わって席を立った瞬間、貧血を起こして倒れた。映画館で倒れたのは生まれて初めてだ。とりあえずストーリーに決着がつき、もうこれ以上マトリックスの世界に振り回されずに済むので、この点数を献上しておく。 3点(2004-02-29 06:08:55) |
3. JSA
終盤にさしかかるまでソン・ガンホ演じる北朝鮮兵士がホンモノの破壊工作員だと信じて疑わずに見ていたので、すべてのシーンで裏ヨミしてしまい、まったく感情移入できなかった。私って馬鹿。映画を見るときは下手に予備知識を入れないほうが良いと思っているが、たまにはこんな大ボケもかまします。しかし、そもそもなぜ私がそんな勘違いをしたかといえば、設定に無理があったからではないだろうか。手紙の受け渡しのシーンなど「絶対無理!そんなことやったらバレるって!」と思ってしまう。作品のテーマは良かったので、その点を評価してこの点数。 5点(2004-02-29 05:29:09) |
4. ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
指輪物語映画化への熱い思いは第一部のレビューで語ったから置いておくとして、第二部の圧巻は、まずはエドラスの全景シーン。野性的で猛々しく、しかしどこかもの悲しいローハンの民のテーマ曲と併せて、よくぞここまでローハンを写実的に描いてくれた!と感激。次に、悪魔のように憎らしくも愛らしいゴラム。姿だけでなく、アンディ・サーキスの声色はまさしくゴラムそのもの。吹き替え版を見た方には、是非字幕版をご覧いただきたい。最後に、ヘルム峡谷での合戦シーンの圧巻。これはもう、皆さんもレビューで書いているとおりです。この映画を評価するときに最も悩むのが、ファラミアの役柄が大幅に変更されている点。原作との相違点には第一部で慣れたが、さすがにこれはショックだった。「文章では表現できることが、映像では難しいのかもしれない」との思いと、ファラミア役のデヴィット・ウェンハムの目に、本来のファラミアが持つ”知性”と”孤独”を感じたこともあり、最終的にはやはりこの点数しかつけられない。ファラミアのキャスティングに失敗していたら、点数を下げていたかもしれないが、デヴィット・ウェンハムのファラミアは素晴らしかった。 10点(2004-02-29 04:46:38) |
5. ロード・オブ・ザ・リング - スペシャル・エクステンデッド・エディション -
《ネタバレ》 このバージョンは、おまけ映像が追加されているだけではない。劇場版では長すぎるのでカットされた重要なシーンが多数入っており、値段だけのことはある。劇場版しか見ていない方にも、是非このバージョンを見ていただきたい。(値段を裏切りません!)それにしても、ギルラインについてのエピソードは、劇場版に入れて欲しかった。あれが無いと、アラゴルンが何者であるのか、観客に伝わらないと思うのだが。事実、第一部・第二部を見た友人に「王の帰還の『王』って誰?」と質問された。やっぱり解っていなかったのね…。 10点(2004-02-29 04:03:04) |
6. ロード・オブ・ザ・リング
20年来の原作ファンであるが、この映画ほど原作を忘却の彼方に押しやって(もしくは原作を読む前に)見たかった作品は無い。愛情がこもり過ぎていて、一本のとして冷静に批評することができないのだ。しかし、監督の原作への愛をひしひしと感じ、おこがましいが監督に「仲間意識」を感じて嬉しくなってしまった。牧歌的なホビット荘、頭を梁にぶつけるガンダルフ、見る者を圧倒するアルゴナスの門、幻想的なガラズリムの都、すべてすべて、原作で「ああか?こうか?」とイメージしていた世界が視覚的に味わえるのだから、こんな贅沢な話は無い。しかもそれが原作への愛情タップリの監督によって描かれるのだから、もうそれだけでおなか一杯である。原作ファンとしてこの映画を評価すると、原作の面白さは、ひとつの歴史(神話)をまるごと作り出してしまった、その壮大な世界観にあるが、映画ではその面白さの一部を、愛情を持って丁寧に表現している点が高ポイントになっている。さすがに世界観の全部は描ききれないが(物理的に無理だが)、例えば将来、自分に子供ができたとしたら(この假定はあり得ないが)、この作品を手がかりにして指輪物語の世界の面白さを教えてあげたいと思う、そういう映画だった。また、「魔法使い」についての解釈を「エピソード・小ネタ情報」に書いたので、そちらもご覧ください。 10点(2004-02-29 01:00:26)(笑:1票) |
7. サハラに舞う羽根
主人公の行動の動機が描き切れていないため、消化不良な内容になっている。原作ではその行動の背景について、丁寧に書き込んであるらしいのだが…。この時代のイギリス軍、及びその戦闘シーンが描かれている点がちょっと珍しかったので、ちょっぴりオマケのこの点数。 4点(2004-02-27 22:47:45) |
8. 千年の恋 ひかる源氏物語
この映画のなにがダメって、全部ダメ。風俗描写(衣装、建物、内装、入浴、出産、婚姻等々)は嘘だらけだし、ストーリーは源氏物語からも紫式部日記からも逸脱している。映画を見た時は、私と友人(大学で平安朝の文化史を専攻した私と、大学院で源氏物語を研究する友人が2人連れで映画館に行った)が、なまじっか平安朝の研究をしていたために、専門知識が邪魔をして、この映画の面白さを理解できなかっただけなのかと悩んだが、皆さんの評価を見ると「やはりこれは駄作であった!」と決めつけて良さそうで、いやぁ安心した。天海祐希さんの所作はさすがに美しく、その点だけでも評価したいのだが、その他の内容がひどすぎて、どう頑張っても1点も出せません。 0点(2004-02-25 22:53:31)(笑:2票) |
9. 陰陽師
同じ平安朝を描いた作品「千年の恋―ひかる源氏物語」の千倍良かった。野村萬斎さんの演技は最高だった。それだけで5点です。欲を言えば、もっと原作の持つ"おどろおどろ"した雰囲気が出ていればなぁ。 5点(2004-02-25 22:11:21) |
10. ギャング・オブ・ニューヨーク
テーマは悪くない。映像も凝っている。なのになんでこんなにつまらない映画になっちゃっているのか、考えに考えた。1.アムステルダムが復讐心を内に秘めているように見えない。生活の方便としてビルに接近したとしか見えず、あの映画のどこに内なる復讐心があるのかわからないため、復讐心と、ビルの人間性を垣間見てしまったことによる葛藤が感じられない。以上の理由から肝心のビルに刃向かう場面に緊張感が感じられない。2.アムステルダムにギャングのボスになるだけの人間的魅力を感じないため、ギャング達が彼のもとに集結する場面が嘘臭くなっている。3.妙なラブ・ストーリーを絡めたことで、下手をすると嫉妬心からビルに刃向かったように見えてしまう。脚本が悪いのか、演出が悪いのか、キャスティングの失敗か…。私は、レオの演技が下手だから、と言うよりは、キャスティングを間違えたと見る。レオは「ボスのお気に入りの若手組頭」というあたりがハマり役。決してナンバーワンに登りつめることのない、それゆえにボスのお気に入りっていうかんじの。 4点(2004-02-24 23:57:14) |
11. マジェスティック(2001)
この映画、基本路線がファンタジーなんですよね。そのことを知らずに見るとイタい映画だけど、ファンタジー映画だと思ってみると悪くない。ジム・キャリーのヘタウマな演技(けなしているのではなく、誉めている。コミカルな演技と言い換えてもいい)がファンタジックな雰囲気にピッタリはまっていて、私はその点を評価する。気になったことは、ファンタジーとアカ狩りの食い合わせが悪いこと。それと、当時の田舎のアメリカ人がアカ狩りの対象になった人物をああも暖かく迎え入れるはずがないじゃないか、ということ。アメリカ人のアカ嫌いは、すごいもんがありますからねー。ましてや時代は50年代。疑惑がかかっただけで白眼視ですよ、きっと。 5点(2004-02-24 23:46:05)(良:2票) |
12. ラスト サムライ
風俗考証がなってないとか、史実と違うとか、細かいところは「これは日本で製作された映画ではない。ハリウッド映画だ」ということで潔く諦める。が、それにしてもこの映画はちょっと…。片一方がサムライで、片一方が官賊というのはストーリー製作上のご都合主義でしかないし、そんな勧善懲悪でサムライを語られても説得力がない。サムライとサムライのぶつかり合い、これならば映画化する価値があったと思う。明治政府の中心人物にもスポットを当て、そのサムライ魂を描いていたら、もう少し点数高くできたのだが…。もちろん、政府高官になるにしたがって卑属に落ち、自分の権力を守ることに汲々とした人物はいた。だが、新国家建設に燃えていた明治初期、官側にもサムライ魂を持った人々がいた事実を忘れてはならない。また、当時の歴史背景に目を向ければ、日本政府は列強の食い物にされぬよう、富国強兵策に必死だった。もし内戦続きだったら、日本はそれこそアメリカあたりの植民地になっていたかもしれず、それを無視した勝元は狂信的な国粋主義者にしか見えない。民間人による近代的な軍隊の創設を目指した日本政府が、武士階級にのみ与えられる特権(武器を持たせる)を認められなかったのもムリはなかったのでは?勝元は、武士の力だけで列強諸国から日本を守りとおせると思ったのだろうか?更に、官軍側悪役の名前が「大村」という名前だった。大村といえば私は素直に大村益次郎を連想するし、映画の大村の人物設定は明らかに大村益次郎を意識している。大村益次郎は、日本の軍隊に近代化に貢献し、狂信的な国粋主義者達に暗殺されてしまう人物であるが、戊辰戦争のとき、江戸の町が戦禍に巻き込まれないように充分に気を遣って作戦を練ったというほどの知略の人。映画の大村とは似ても似つかない。架空の物語だと言うのであれば、特定の人物を連想させる名前は使わないで欲しかった。ストーリーは悪かったが、渡辺謙の演技はホントに良かった。セリフは少ないけど存在感たっぷりの真田広之も良かった。小雪も(役の設定に問題はあったが)良かった。トム・クルーズも頑張っていた。というわけで、役者さん達の熱演にこの点数。 5点(2004-02-24 00:30:56)(良:3票) |
13. 突入せよ! あさま山荘事件
原作を先に読んでおり、警察官僚の視点からしか語られないのは解っていたので、まぁこんなものかな?という予想の範囲内の出来だった。やっぱあさま山荘事件はドキュメントとして読むなり、見るなりしないと辛いのかもしれない。映画として致命的なのは、セリフが聞き取りづらいこと。DVDの字幕を見てやっとなにを言っているのか解ったシーンが多数あった。 3点(2004-02-23 21:06:38) |
14. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
海賊モノ、面白そう!と思って友人を誘ったら「ディズニーランドの『カリブの海賊』だよ?あんた、ディズニーランド好きじゃないでしょ?いいの?」と言われて見に行くのを止めた映画。そう、私はうかつにもディズニー映画だと知らなかったのだ…。ディズニーものだと知らずに見たら2点くらいだったかもしれないけど、DVDで見たらそこそこ楽しめた。なんと言ってもジョニー・デップが良いっすな。 6点(2004-02-22 22:16:18) |
15. デアデビル
アメコミ、ダークヒーロー物としては、バットマン>スパイダーマン>デアデビル、かな?コリン・ファレルを見るためだけに見たので、その点においては裏切られませんでした。というわけで、コリン・ファレルに4点献上します。 4点(2004-02-22 22:05:05) |
16. ダンサー・イン・ザ・ダーク
毀誉褒貶の激しい映画で、ずーっと敬遠していたのだが、見て良かった。セルマの「赤ちゃんを抱きたかったのよ…」のひとことに号泣した。あまり体が丈夫じゃないので、子供を産むのを諦めていた私は「それでも赤ちゃんを抱きたい。その子のためならなんでもする」というセルマの前向きに生きる姿勢に励まされた。たとえわが身が滅びても子供の幸せを願う、それが母の愛なんだなぁ。それにしてもカトリーヌ・ドヌーブが美人すぎて、場違いで笑えた。工場なんかで働いてないで、どっかの金持ちのやもめ男引っかけてさっさと幸せになりなさい、とツッコミを入れたくなる。 10点(2004-02-20 22:35:27) |
17. スパイダーマン(2002)
最初は「くだらねー!」と思って見ていたのだが、途中から画面からにじみ出る特撮ヒーローもの的脳天気さがたまらなく快感になってきてしまった。ときにはこんなふうに能天気おバカ映画を見て爽快感を味わうのも良いかもしんない。それにしても、キルスティン・ダンストって美人なんだろうか?アメリカ人の好みでは美人なのか?どうもイマイチよくわからないのだが。少なくとも日本人ウケはしない顔だな。だって、ごっついし、デカ顔だし…。 6点(2004-02-20 22:12:17) |
18. 息子の部屋
肉親(それもかなり身近な)を亡くしたことのある人には、共感できる映画なんじゃないかな、と思う。息子を失っても世界は何も変わらない。日常生活は淡々と過ぎていく。時には笑うこともある。けれども、心の奥底に悲しみの「塊」があって、ふとした瞬間にそれに触れてしまうと、悲しみが湧き出してきてどうにも止まらなくなる。そして、徐々に何の変化も無い世間とのギャップに苦しむようになっていくが、最後に穏やかな再生への道しるべか示される。肉親を亡くした私自身の体験が、驚くほど類型的に描かれていて「この監督は天才だ!」と思いました。 9点(2004-02-20 21:56:04)(良:1票) |
19. ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
大好きな「指輪物語」を映画化してくださったPJ監督に10点を捧げたい。体温を感じさせるクリーチャーや、中つ国でロケをしたかのようなセットはもちろんだが、私は特にキャスティングの絶妙さを評価する。中でも「王の帰還」の中ではヴィゴ(アラゴルン)、デヴィット・ウェンハム(ファラミア)、ミランダ・オットー(エオウィン)が秀逸だった。もちろん、原作ファンとして、省かれたり、変更されたりしたエピソードに未練はある。が、省かれたエピソードは、自らの想像力と映画のキャスティングを使って、頭の中に描き出すという新たな楽しみが与えられたと思っている。 10点(2004-02-20 21:34:31)(良:1票) |