1. スタンド・バイ・ミー
この映画の成功の一因は、タイトルを「スタンド・バイ・ミー」としたことでしょう。タイトルが原作通りの「死体(The Body)」じゃ、これほど多くの人の感動を呼べたかどうか。更に、リバー・フェニックスが夭折してしまったいま見返してみると、作中のクリスの薄幸な運命と彼がダブって見えてしまったりで、切なさ倍増。二度と戻らない子供時代への郷愁と、二度と会えない懐かしい人への切なさを知っている、大人のための作品ですね。 8点(2004-11-14 17:13:27) |
2. レインマン
公開当時まだ若かった私は、ちょうど作中のチャーリーのように、レイに対してイライラしながらこの映画を見た。いま「一児の母」となってこの映画を見ると、「あーあ、チャーリーももっとレイのペースに合わせてやりゃーいいのに」と、なぜかチャーリーに対してイライラするようになっていた。一本の映画を見直すことで自分自身の変化に気付かされるとは…と、個人的に感慨深かった。なお、「どっちにしろイライラするんじゃん!」と読めるのは私の性格的な問題で映画に罪はなく、旅を通して二人が共に変化していく様子を淡々と写したこの作品は、しみじみとした感動を呼ぶ「ロードムービーの王道」とも言える。 7点(2004-11-14 16:50:41) |
3. ブレードランナー
ディックの傑作として名高い「アンドロイドは…」にインスパイアされた別の物語、と見るのが正解。とはいえ、これは映画作品として素晴らしく、間違いなくリドリー・スコットの最高傑作と言える。いま見返すと、この頃はSF文学と映画の幸せな関係が成立していたのだなと、別の意味で感慨深い。 10点(2004-06-26 08:42:31) |
4. アマデウス
天才を描くとき、その天才の内面に凡人が寄り添うことは難しい。この作品は、視点を我々に近い「他者」に置いたことで、一人の天才を描き出すことに成功している。その圧倒的な才能を最も理解し愛しているからこそ、人間モーツァルトに果てしない嫉妬と憎悪を抱いてしまう心理は、悲しいことに、私という凡人は痛みと共感を持って理解できるのだ。モーツァルトが取り憑かれたようにレクイエムを楽譜に書き付けるシーンは、やはり天才のもとにはミューズが降りて来るのだと、私は鳥肌が立つような思いで見た。私を含め、すべての「向こう側へ行けなかった」人々に、この作品は残酷な痛みを感じさせるにも関わらず、私たちはそれを愛してやまない。 10点(2004-06-16 10:37:18)(良:1票) |
5. 食人族
あー、ロードショウ公開のときに観に行ったなぁ(遠い目)。あまりに古い記憶なので改めて見直してみると、これがなかなか悪くない。擬似ドキュメンタリーとしては秀逸ではないか、と思ってみたり。なもんで、題材のわりに突き抜けた狂気や変態性はなく、冷静に計算されたエンターテイメント性が感じられます。いろんな意味で、一癖ある映画ですね。 4点(2004-06-09 07:15:09) |