1. マトリックス
私の評価は世評のとおり。カンフーアクションとしては特撮を使ったところがおもしろかったが、けしていい出来ではない。サイバーパンク映画としては、仮想空間に住んでいる人間というアイデアは3番煎じくらいのものである。映画のメッセージは、自分の可能性を信じろ、という陳腐なもの。最後などはヒロインのキスでヒーローが覚醒する。・・・でもなんだか感動したし、良いと感じた。不思議な映画だ。 6点(2004-03-28 23:18:12) |
2. ゲーム(1997)
心の底から客を馬鹿にしていなければ作れない映画である。デビット・フィンチャーは他人というものを舐めきっているのだろう。これは彼のすべての映画に言える。『セブン』だろうが『ファイトクラブ』だろうが例外ではない。しかし、この映画には自惚れ以外なにもない。最後まできちんと作りこむ義務、観客に対する責任が放棄されている。彼の夜郎自大な無責任さと底の浅さが悪いほうに丸出しにされている。映画とも呼べない。 0点(2004-03-28 22:47:09) |
3. 靴をなくした天使
ビルの最上階での会話とラストの動物園での息子への説教などなど、良いストーリー、良い映画であることは間違いない。ダスティ・ホフマンも好演している。だが、残念ながらバーニーも含めて印象的な人物はほとんど出てこなかったのではないか。マスヒステリーを描いた映画だから仕方かもしれないが、出てくる人全員、甘ったるい夢を見ていて鬱陶しいのである。唯一騙されていない主役のバーニーの役目は大衆に振り回されることである。そんなわけでいちばん印象に残ったのは女性キャスターの上司のおっさんである。女性キャスターに言った「君は甘っちょろいロマンチストだ。だから大衆に好かれる」という台詞は、騒動の仕掛け人でマスコミ社会の権力者らしい凄みがあって、とてもいい。それにしても元ネタがあったんですね、これ。 6点(2004-03-24 10:06:27) |
4. ブルース・ブラザース2000
音楽は前回とタメを張っていると思われる。いや、音楽の流れているシーンは前回よりも豪華で、前回よりもはしゃいでいて、前回よりも楽しい(前回よりも幼稚な感じもしたが)。新しいブルースブラザースの面々は常に無駄にクールなブルースブラザースではなく、ただ単に話を膨らませるために出てきた連中であるのは疑いないが、別にそれはそれでなかなか楽しかったからいいのである。が、やはりジェイクのかわりがあの子供というのは、ちょっと荷が重過ぎるだろう。それとも、ブルースブラザーズが世紀末に脈絡なく蘇えるにはそういう「これは安易な続編っす」と声を大きくして言うような無茶な思い切りが必要だったのだろうか? 6点(2004-03-24 09:19:25) |
5. ラン・ローラ・ラン
監督が自分の好きなことをやっているんだという雰囲気がとても良い。それに一生懸命走る女優さんがなかなか可憐だった。主役が汗臭く走りまわる映画は好きなのである、何故か。 6点(2004-03-19 16:01:12) |
6. ラブ・オブ・ザ・ゲーム
《ネタバレ》 原作『最後の一球』(原題:ForLoveOfTheGame)を読んでいるものには到底許容できない出来である。原作の恋愛要素だけを取り出してそのまま映画にしてみました、といった代物。観ながら愚弄されているような情けない気持ちになった。原作の、過去の野球界の思い出、現状への諦観、安らげる故郷がなくなってしまったことでの積年の疲れ、大エースの矜持、野球というドラマの装置がもたらす御伽噺のような幸福感etcは、ここにはない。あるのは新鮮さも野心もなにも感じられない中年の男女の恋愛だけである。くそ、やっつけ仕事をしやがって。結局、製作者サイドは原作のドラマに何の関心もなかったのだろう。原作に一切の敬意も愛情も敵意も批判も持っていないことだけが画面から圧倒的な迫力で伝わってくる。原作から切り離して映画単体として見ても、なんのために完全試合が進行し、なんのために主人公の回想がおこなわれているのか、その内的な必然性がわからない。最後にわかれた女性との復縁が成っても、観ている人間にとってはそれだけでは大してロマンチックな話でもないのでカタルシスになりえていない。本当に、この手のハリウッド映画の非道は90年代に入ってから目立つ。 3点(2004-03-18 23:10:12) |
7. アメリカン・ビューティー
《ネタバレ》 吹き替えで観ました。題名どおり、美しく、そして幸福な話である。しかし、その美と幸福は薔薇の花弁に象徴されるような凡庸なものとして表れている。レスター・バーナムが自らレポートに書いたように彼の日常は「地獄に限りなく近い」ものだったのであり、そこに美や幸福は存在しなかった。というよりも彼は日常の中にある美や幸福-寒い日に落ち葉とともに風に舞うビニール袋に象徴されるような-を感得する力を失っていたのである。したがって、彼がアンジェラに魅かれることで取り戻すのはそのような微細なものを見分ける力である。それは観察力というより生命力であろう。ラストで、彼は自分を挑発し続けてきたあばずれの少女が、実は精一杯背伸びをした、虚飾にまみれた普通の少女であったことを知る。レスターは彼女の中に美を見い出す。美は彼方にではなく、この腕の中、この目の前に、いじましい嘘とともにあったのである。彼は驚き、彼女から手を離して、ひとりで幸福にひたるのである。そして頭を打ちぬかれて死に、天に昇りながら美はいたるところにあるのだと説き明かす。設定から人物配置まで実によくできている。素晴らしい映画だと思う。 8点(2004-03-16 16:04:28)(良:2票) |
8. 12人の怒れる男/評決の行方(1997)<TVM>
「12人の怒れる男」のオリジナルはヘンリー・フォンダが偽善者なのはいいとして、それを丸出しにしていたのは、やっぱりマナー違反じゃないかと思います。まあ、行儀の良い、出来の良い子供みたいな、最近の映画を見慣れているからでしょうけども。時代が違うんだなあ、と。俺はやっぱり、リメイク版のほうが好きです。良質なリメイクだし、オリジナルへの批判の視点もある。なにより勧善懲悪的、民主主義礼賛的なマッチョさではなく、もっとナイーブで複雑な印象を残すよう作られた物語になっているところに(まあこういう映画を見慣れているからということもあるけれど)好感を持ちました。ラストは良い味がある。アメリカの正義は変わったのだなあ、と月並みな感想を持ちました。まあ、それが、このリメイク版の企図だったんでしょうけど。 7点(2004-03-16 04:48:16) |
9. トレマーズ
はじめてみたのは確か10歳のころ。日曜洋画劇場で観てたいそうおもしろくおもったのを覚えている。どれだけ大変な、悲惨なことが起こっても、どこか呑気な雰囲気がおもしろかったのだろうと思う。あの芋虫も頭が良いかとかと思えば間抜な死に方をするし。最近見直してみたが、やはりおもしろかった。覚えているといえば、まだ存命だった淀川長治さんが「~のシーンはたった2秒の場面に○ヶ月もかけたんですねぇ~すごいですね~」とおっしゃっていたのを、何故か未だに覚えている。 7点(2004-03-15 21:36:32) |