Menu
 > レビュワー
 > くなくな さんの口コミ一覧
くなくなさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 56
性別 女性
年齢 55歳

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 
ヒッチコック監督の作品は実験的なものが多いですが、これはスタジオセットで巨大な箱庭を作った感じですね。中では主人公を取り巻く人々や、アパートの住民たちが、みんな活き活きと動き回っているのに、全部が監督の手の平に納まっているところがお見事です。ぜいたくを言えば、話の進行と一緒に作られていた曲が今一つなこと。「知りすぎていた男」の「ケ・セラ・セラ」くらいの分かりやすい名曲であってくれれば完璧だったのですが。あと正直、もう一ひねり欲しかったですね。 今回、アメリカの良心と呼ばれたジェームズ・スチュアートが演じる役はなんと、のぞき。手前勝手な推測を繰り広げつつ、自分は動けないので、ただ見て、周りに文句言っているばかりの、結構ひどい男です。それでも、あまり憎めないのがジミー・スチュアートの魅力ですね。そして、その彼が抵抗するも勝てない、犯人より強いインパクトのグレース・ケリーが美しく、魅力的でした。セールスマンの部屋に忍び込むときのワンピースがとても綺麗です。あと、あの非常時に1階のミス・ロンリーを見ていた看護婦ステラもいい味出していました。 それにしても、あんな事件があったら、アパートの隣人達は私生活を見られていたと気がついたと思うんですが・・・。全く変わらず、開けっぴろげに日常生活を送っているのは凄いと思いました。エアコンがなく、テレビよりラジオが一般的で、終電が早く、コンビニがなく、旅行には宝石を持っていく時代・・・。なんだか、日本の時代劇の長屋生活に通じるような大らかさを感じました。いや、むしろ今の日本の方が物騒すぎて歪んでいるんでしょうか・・・。ヤな世の中になったものです。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-16 23:58:52)
2.  カサブランカ 《ネタバレ》 
骨格はよくあるメロドラマなんですが、肉付けの良さとタイミングの絶妙さが際立った幸運な映画です。臭い台詞が何故か浮かないボギーと、この頃が最高に美しかったバーグマンが中心で光り輝き、映画全体を彩るサムの歌声と、ちゃっかりした友人のルノー署長、ドイツの名優コンラート・ファイトなどの名脇役がグッジョブで固めています。そして、エキゾチックで危険なカフェの雰囲気の中、少々滑稽な、でも魅力的な客と従業員が、味のある華を添えています。それと、この映画の幸運の一つは監督がマイケル・カーティスだったことだと思います。シナリオ未完成のまま撮影を開始し、なんとか辻褄を合わせるというのは巨匠監督では有り得ないお粗末さですが、職人監督らしいバランス感覚で上手く帳尻を合わせ、出来上がってみれば、主役良し、脇役良し、音楽良し、粋な台詞てんこ盛りという、結果オーライの名作に仕上がりました。さらに、渡りに船の上昇時流に乗って、アカデミーまで獲ってしまうという百年に一度の幸運な映画になりました。こういう例は珍しいと思うので、私は勝手に招運映画と呼んでいます。偶然の傑作B級映画に乾杯です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-09 23:57:38)
3.  雨に唄えば 《ネタバレ》 
ミュージカルやオペラは理屈付きで観ると、ひたすらつまらないものに成り果てますので、この映画のようにご機嫌な気分で歌、ダンス、劇中劇を楽しんだ方がお得です。ただ、そうはいっても、後半の「ブロードウェイ・メロディー」の劇中劇部分は無理やり入れ込んだ感が否めないのですが、それでもジーン・ケリーのこの映画に対するチャレンジ精神は評価できます。シド・チャリシー色っぽいし。半年間、猛特訓したというデビー・レイノルズも努力賞。そして、ドンのキャラクターの魅力を倍アップさせているドナルド・オコナーは影なるもう一人の主役です。トーキー映画制作の裏話や苦労話も楽しいし、マニアっぽいけど、知ってる人には倍楽しい、冒頭の試写会のプレミアショー・パロディも大げさで面白いです。個人的には、偽証経歴で固めまくった過去の場面と、ラブシーンだというのに、どうせ声は聞こえないからと、ドンがリナに文句を言いまくっているシーンが最高でした。あと、社長や監督のキャラクターもさることながら、ハリウッド内幕物をコミカルに楽しませてくれた、リナの存在感は大きいです。リナはこの後、トーキーには生き残れないでしょうが、金持ちのファンを結婚相手に捕まえて、本当に(株)ラモントなんて作ったりして、しぶとく生き残ると思います。 残念なのは大詰めの「ブロードウェイ・メロディ」ナンバーが浮いてしまったことと、話が本編に戻るのが唐突すぎたこと。頭が本編に戻るのにかなり時間がかかってしまいました(汗)。
[DVD(字幕)] 8点(2009-08-07 23:59:52)
4.  駅馬車(1939) 《ネタバレ》 
駅馬車ってなんだろうと思ったら、定員6人、無理して8人の乗合馬車のことなんですね。モニュメントバレーを駆ける馬や馬車が爽快で、それに合わせて、馬車内の人間ドラマがテンポよく繰り広げられます。馬車内の人たちは脱獄囚、医師、賭博師、貴婦人、娼婦など、個性豊かで、職業も身分も社会的立場もみんな違います。そして、全員が南北戦争の影響を何らかの形で背負っています。そんな人達が、たまたま1台の駅馬車に乗り合わせ、目的地で降りて行く。ただ、それだけの話なのに、端役の1人まで生き生きしていて、人間描写、襲撃シーン、決闘シーンとメリハリが利いていて完成度が高いです。個人的には、ブーン先生はもちろん、御者のバック、女房より馬を惜しんでいたクリス、出番は少ないけど、駅馬車護衛の中尉役のティム・ホルトがいい味出してたと思います。ロマンスだけはこなれない感じですが、そこまで注文するのは贅沢でしょう。マロリー夫人(妊婦に見えませんが。)の出産後、ダラスが赤ちゃんを皆に見せに来る場面で、リンゴだけがダラスを見てる場面が印象的でした。しかし、これが出世作だけあってジョン・ウェインが若いですね。ダラスに銀カップなしでごめんと水筒を渡すところなんて、爽やかで可愛いです。途中駅(ただの民家ですが。)の様子やローズバーグの荒々しい雰囲気もいいし、スタントシーンは噂通りの迫力で申し分ないです。ただ、山場のアパッチ襲撃シーンのすぐ後に、決闘シーンが続いたので、ちょっと疲れてしまいました。でも、最初のシーンから最後まで、馬で駆け抜いただけあって、終わってみると、たったの97分なんですね。とても濃い映画でした。
[DVD(字幕)] 9点(2009-07-31 03:56:04)
5.  北北西に進路を取れ 《ネタバレ》 
ケーリー・グラントの魅力が余すところなく発揮された凄いサスペンスです。何が凄いって、たっぷりの余裕というか、グラントペースのゆるさでしょう。別に正義感や好奇心が強いわけじゃなさそうな彼が、殺される目に遭ったっていうのに、キャプランが滞在しているホテルで調べ物したり、よせばいいのに、国連ビルへ行って殺人犯にされたり(可哀想なタウンゼント氏・・・)、列車では結構エロティックな美女エヴァ・マリー・セイントと初対面でイチャイチャ(・・・いや、確かに隠れる以外することないでしょうが、んな場合じゃないでしょ~!)そして彼女に騙されたと思ったら、なんと敵が揃ったオークション会場まで乗り込んで痴話ゲンカしているし、ここまでメチャクチャやっても違和感なしの、ゆるゆるペースって、さすがケーリー・グラントです。オークション会場では老婦人との会話「あなたは本物のバカよ」「サンキュー」が絶妙でした。 あと、この映画は悪役も魅力的です。ジェームズ・メイソンと若き日のマーティン・ランドーは、同性愛的な感じがして、怖さが増幅されてました。乗り物が多いせいか、話のテンポが小気味いいけど、たった1人を飛行機で銃撃したり、2人が落ちないのが不思議なラシュモア山での逃亡とか、そもそも相手を勘違いする、どこか間抜けな敵とか、なんか沢山あり得なーいと思っていたら、ラストでイヴが「バカみたい」と的を得た発言をしていて、大笑いしてしまいました。やっぱりそうでしたか。そのラストの省略は、最初ちょっと説明不足だと思いましたが、よくよく考えたら、イヴと出会ってからのロジャーは、いつしか目的が3人目の妻ゲットになっちゃってましたし、これでいいんですね。トンネルに入るところがエロティックでした。ところで、あの4人の大統領の石像の中には、最初に出ているにも関わらず、なんとなくヒッチ監督の像もある気がして、思わず探してしまいました。
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-19 22:59:27)(良:1票)
6.  手錠のまゝの脱獄 《ネタバレ》 
この邦題、完全に間違ってます。脱獄ものを期待した人が観たら、がっかりすることうけあいです。しかも、映画の主題まで脱走じゃないし。この映画は日常的に、さらっと人種差別を映していて怖いです。あの変な母親に至っては、当たり前のように白人のジョーカーにだけご飯を出して、カレンの分も持ってこいと言われると、いかにも渋々と用意します。カレンを囮にして、「なんでニグロのことで怒るの?」と、突っかかる場面も怖いです。そして、この母親と息子はなんか不気味です。囚人のように泥土の生活から出られず、夫にも逃げられ、病んでしまったと思われます。あと、「死体でも懸賞金はもらえるさ」と言ったリンチの町も怖いし、偏見丸出しの捜索隊が、最初から処刑するつもりでドーベルマンを連れているところも怖い・・・アメリカは根強い差別の国でもあるんだなと実感した次第です。そんな中、2人を庇った、手首に縛られた痕のあるビッグ・サムと、最後まで2人を無傷で捕らえようとしたマックス保安官が格好よかったです。 あと、この映画はラジオの音楽とポワチエの歌以外に音楽がないんですが、ポワチエの歌はお世辞にも上手じゃないです。せいぜい鐘2つ(笑)。なのに最後、保安官が来るのを見ながら歌う、あのやけっぱちのミシンの歌が素敵で上手に聞こえる不思議。保安官が銃をしまって少し笑うところ、スパッと幕を切ったようなエンディング。重いテーマなのに分かりやすく、説教臭くもなく、むしろ清々しい気分にさせられました。とても上手い映画です。あと、いつでも綺麗なまま、何本もポッケから出てくる煙草には笑えました。
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-15 02:00:06)
7.  ローマの休日 《ネタバレ》 
オードリーの可憐で初々しい魅力は、幸か不幸かすべて、この彼女のデビュー映画1本に集約されていると思います。他愛ないストーリーなんですが、この映画の場合、その言葉は似つかわしくない。誠実で包容力のあるグレゴリー・ペックの起用が成功して、成熟した大人の恋愛ではないけれど、とても素直なラブストーリーになりました。ワイラー監督は、こんな愛くるしい映画も撮るんですね。しかも、これほど豪華なのにムダが何一つありません。脇を固める俳優たちも素晴らしく、ユーモアたっぷりのアーヴィングはもちろん、王女の世話係の伯爵夫人や大使に将軍、アパートの管理人、美容師や花屋に至るまで粋でいい配役でした。みんないい人だし。あの美容師は仕事の直後、王女をパーティーに誘うところが、さすがイタリア男ですね。あと、イーディス・ヘッドデザインの、あのファッション。冒頭の白いドレスとティアラ、ラストのドレスも素晴らしいんですが、秀逸なのが「永遠の一日」でずっと着続けた、白いブラウスとスカート姿です。手袋やタイ、スカーフで味をつけていますが、これがまた素敵で、あのしなやかな首とウエストの細さには、つくづく驚嘆しました。そして、記者会見の大詰め、ここは友情ストーリーでもあります。王女とジョー、アーヴィングの3人は言葉をあまり交わさず、手の内を見せあい、お互いの友情を信じて別れます。ここでバックミュージックがない、アップの多様が効いています。そして、ラストシーン。王女も記者もいなくなった王宮をペックが1分くらいかけて、ゆっくり歩き、1度振り向き、すべて胸に収めて去っていく。ここ、最高に格好いいです。ペックを見上げるカメラワークが最高でした。最後にちょっと気になりましたが、王女の国の秘密警察は、もっと厳しく鍛え直した方がいいと思います。あと、変装術も。
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-02 22:59:55)
8.  刑事コロンボ/指輪の爪あと<TVM> 《ネタバレ》 
そっか、手の甲で裏ビンタしなければよかったんですね(笑)。カッとなって、とっさに裏ビンタが出るかどうかはともかく、この殺人は計画的じゃなかったので、多少、犯人の手が甘いのは仕方ないでしょう。でも、しれっと捜査に加わったり、ヤバいとなると、コロンボを探偵社に引き込もうとするのは悪くない手なんですが、逆に警部に探偵社の内情や、事件の担当社員を調べ回られてる始末です。大詰めの罠もコンタクトにジャガイモと、お得意のハッタリ含めて二重に用意して、「ホシにこのこと教えてやりたい。」とか、発言も終始余裕、最初の手相確認から最後の修理工場まで、完全にコロンボペースでした。なんか少し物足りないです。しかし、警部はホントに逮捕のためなら何でもしますね。墓を掘り起こすのは、火葬の国の一国民から見て、かなり怖かったです。ここで、レイ・ミランドが反対していたら、面白かったと思いますが、物分りがよすぎて、ちょっと残念でした。あとラストの彼、立ち直り早すぎ・・・でも、排気管を覗きたくなった気持ちはよく分かります。ところで警部は、あの後ちゃんと遅れずに免許更新出来たんでしょうか?
[DVD(吹替)] 6点(2009-06-24 01:44:04)
9.  用心棒 《ネタバレ》 
力強いシネマスコープの構図が芸術的で、しかも面白いというお得な映画です。とりわけ、絶妙なのが舞台設定。広い宿場通りの両端に、跡目争いで対立する新旧ヤクザが陣取り、真ん中には、腰ぎんちゃくの十手持ち半吉が「九つでござあーい」と時報係をやっている番所と、見物台の火の見櫓。そして、舞台のへそである権爺の居酒屋、上下に開閉する窓がいいインテリアです。隣には最近棺桶が売れまくって、笑いが止まらない桶屋。斜向かい同士にはヤクザの跡目争いにかこつけて、名主争いをしている造り酒屋と絹問屋。まるで監督の手の平に、馬目の宿があるように上手く出来ています。そこへ宿場町の騒乱を収める(いや、掻き回す?)役目の桑畑三十郎。抜け目なく悪知恵を働かし、泥臭く、それでいてお茶目でユーモアがあるところが最高に魅力的です。もちろん強いし。女性が少ないのに、それを補って余りある独特の色気。目つきも肩をすくめるポーズも完璧、セリフも決まっていて、もう終始、彼のオーラに当てられっぱなしでした。他にも、鬼婆みたいな山田五十鈴、つながった眉毛がいいツボの加東大介、なかなか死なない仲代達矢、あ、ジャイアント馬場だ。と誰もが思ったであろう羅生門綱五郎、ただの頑固親父なのに、なぜか格好良い東野英治郎。あの志村喬にチョイ役に近いヒヒ親父をやらせたり、黄門様が2人も出てきたり(チンピラだけど)、すごいキャスティングです。これだけお得な映画だと、四の五の言わずに、三十郎の格好良さに酔った方がお得です。それにしても、三船と組んでいた時代の黒澤映画は本当、油がのってて(いや、贅肉がなくてかな?)、力強いです。全く引き延ばさずにスパッと「あばよ。」ああ、面白かった。
[DVD(邦画)] 9点(2009-06-22 01:52:42)(良:1票)
10.  雨月物語 《ネタバレ》 
この映画は死霊の女性2人が主役です。妖艶で能のように仕草が美しい京マチ子と、母性豊かな賢妻の田中絹代。共通点は好きな男とのささやかな幸せを望んでいることと、上品で言葉遣いが丁寧なこと。対照的に遊女に堕ちながらも、強かに生き抜いた水戸光子が人間臭く、対比が面白かったです。一方、男2人ははっきり言って狂言回し。彼らの望みは、金儲けと立身出世、なんとも解りやすいです。改心に至る過程もすごく解りやすいですね。何にせよ、つきあわされる女たちは大変です。 あと、この映画で素晴らしいのは、墨絵のような画面の美しさとカメラワークです。特に霧の琵琶湖でのシーンと、誰もがよく撮れたなあ。と思ったはずの、源十郎が宮木を捜して家を一周する長回しのシーンです。源十郎が荒れた家を一周して戻ると、火が焚かれ、鍋と酒を温める妻がいる。ほっとして安らぐ夫のそばで、こちらに背中を見せる彼女はどこか不気味な黒い影に見えます。少し夫を責めるような視線を投げたり、やはり嬉しいと涙を見せたり、ここはもう田中絹代の抑えた名演技に引き込まれっぱなしでした。やがて、彼女は朝日の中へ消えていく。一方、1人の男性を獲りこむために存在した朽木屋敷も美しく幻想的な怖さがいいし、闇に消えた若狭と右近も魔性そのもの、素晴らしかったです。海外受けした理由がよく分かります。ただ、惜しむらくは宮木や阿浜の台詞が、ちょっと説教臭く感じてしまったこと。特に宮木はお金なんかなくてもいいのにと、ちょっと悲しげな目を見せるだけでよかった気がします。あと、どうせなら「吉備津の釜」もぜひ映像化してほしかったと思うのは、あの兄弟のような僭越な望みでしょうか?最後に藤兵衛に一言、全部戦のせいにしないで下さい。
[DVD(邦画)] 8点(2009-06-17 00:59:04)
11.  大いなる幻影(1937) 《ネタバレ》 
将校相手とはいえ、現在の私達が持っているイメージからすれば、考えられないこの映画の捕虜収容所。結構みんな好き勝手やっていて楽しそうだし、敵のドイツ軍は紳士的で親しみさえ感じます。実際、第一次大戦の空軍はそれまでの戦争が持っていた、紳士的なルールや騎士道精神を相当重んじていたそうです。そして、それらは数ヶ国の帝国、皇帝や貴族と一緒に消えていきました。第一次大戦は、楔の役割があった特権階級が滅び、世界が混乱に突入する不吉な戦争でもあったんです。そんな中、貴族や平民、ユダヤ人、フランス人たちが階級や人種を超えて、協力し合うのも、大詰め、2人だけを脱走させるために、全員で笛を吹いて協力するのも、すごいヒューマニズムだと思いました。ドイツ人の農婦エルザも、敵のフランス兵2人を無償で匿います。脱走アクションものでも、リアルな戦争ものでもないこの映画。エルザと出会ってからは追われている緊迫感すらありません。善人ばかりが出てくる、この映画のどこからどこまでが幻影なのか?観ているうちに解らなくなってしまったのが悲しいです。 それにしても、この映画での怪優シュトロハイム演じるラウフェンシュタインの存在感は凄いです。脊椎をやられて、のけぞりながらお酒を飲む姿がたまりません。部下に上着を脱がせるところなどもコミカルで楽しいです。地味ながらピエール・フレネーも好演だし、お茶目なカレットら脇役陣が素晴らしいです。ジャン・ギャバンは他の俳優たちに食われた感がありますが、ローゼンタールとのコンビが素晴らしく、映画に華を添えています。強いていえば、音楽の使い方にだけ、ちょっと不満が残りますが、そんなのは些末なこと、後年の映画にやたらパクられまくる、名作の古典映画です。最後に蛇足ですが、女装の男に目が釘付けになってしまう状況はなかなか怖いと思いました。かなり笑えましたけど。
[DVD(字幕)] 9点(2009-06-03 21:13:42)(良:1票)
12.  西部戦線異状なし(1930) 《ネタバレ》 
ハリウッドがアメリカのアの字も出さずに、完全にドイツの立場から撮っている珍しい映画です。登場人物はドイツ人なのに英語をしゃべるし、名前を調べでもしておかないと、見分けがすごくつきづらく、マイナスポイントがかなり目立ちます(すぐ分かるのはポール、カット、ジャーデン、ウェスタスくらい)。なのに、それを差し引いても素晴らしい出来の戦争映画です。第一次大戦前までは、馬に乗る騎兵で敵陣に突入し、本当に英雄になる可能性もあったそうですが、この戦争では機関銃等、兵器が進化し、戦闘機や終盤では戦車が発明されてしまった上、何ヶ国も介入した結果、そもそもどこの戦争か分からないくらいメチャクチャな世界戦争になってしまいました(元々はセルビアとオーストリア)。中盤、ポールたちが束の間の休息を味わっている時に交わされる「なぜ国が攻撃する?ドイツの山がフランスの原を怒ってるのか?」と論争する場面は、現在とまったく変わらない状況が痛いです。 それにしても、エキストラの数、爆薬の量、塹壕のセット、砲撃、すべてが半端じゃなくリアルです。実際に本当に大ケガした人がいるんじゃないでしょうか。戦争体験者が制作側にいて、こういう映画を作らずにはいられない、やり場のない怒りを感じていたような気さえします。あと、この映画は窓や入り口が画面の中央になることが多く、構図的にも話としてもポイントになっていますが、塹壕の入口が砲撃で埋まりかけるところは、観ているこっちまで閉塞感を感じてしまいました。それと、カットやジャーデンたち古参兵は優しいいい人ばかりで、いじめがないのが意外でよかったです。そして、最後の蝶の場面。故郷を拒否し、友人たちを亡くし、生きる希望が見えなくなったポールが、魂の象徴の蝶に導かれるように手を伸ばす。それまでバックミュージックが全然ないのに、この場面は寂しげなハーモニカの音色が聞こえてきます。この演出は原作になく、誰のアイディアかは分かりませんが、映画史上に残る名場面でした。それにしても、つくづく戦争は映画だけにしてほしいです。
[DVD(字幕)] 9点(2009-05-28 00:12:56)(良:2票)
13.  オーケストラの少女 《ネタバレ》 
虚仮の一念で、がむしゃらに突き進み、結果オーライになるアメリカン・ドリームのひな型みたいな映画です。ちょっと上手くいきすぎじゃない?感を和らげるのは、この映画の場合は、ディアナ・ダービンの歌声と、ちょっとボサボサ頭のストコフスキー先生の指揮、そしてフィラデルフィア管の皆さまの演奏ですね。先生に号外が出るほどの経済効果があるかどうかは知りませんが、演技(地かも。)はなかなか達者でした。先生はグレタ・ガルボに求愛してフラれたそうですが、そのときも、あんな少ーし高飛車な態度だったんでしょうかね?あと、個人的には先生の指揮よりバッハのピアノ演奏の方が印象的でした。途中で止まって残念。 ダービン演じるパッツィのいいところ(?)は、周りの大人が足を引っ張りまくろうが、迷惑がられまくろうが、お構い無しに目的地へ突き進むところです。単純なストーリーがスピード感を増幅して、十分、今に通じます・・・つーか、失業楽団員ネタなら話は全然違いますが、最近アカデミー映画にありましたね(笑)。一般人の立場から観て、昔のアメリカンセレブはあんなだったのかな。と、少し苦笑しつつ、結局、パッツィの都合のいいように転がっていく展開が、爽快で楽しかったです。あと、フロスト氏のしょうもないイタズラが結構面白かったし、小粋なタクシーの運ちゃんが、とてもいい味でした。そして圧巻は、やっぱり最後のストコフスキー先生宅での交渉ですね。これは選曲が正解です。このせち辛い世の中だけど、8ドル40セントくらいなら、あんな粋な投資ができるかな。なんて、ちょっと元気をもらえるカンフル剤のような映画でした。それはそうとパッツィ、あなた学校は休暇中ですか?
[DVD(字幕)] 6点(2009-05-15 13:55:04)
14.  赤い河 《ネタバレ》 
すごい牛臭い映画ですね。まあ、そこが魅力ですが。なんか牛肉の匂いと、風呂に入ってない男の臭いと、家畜の臭いに土埃の臭いがブレンドされて漂ってきそうです・・・(汗)。ダンソンという人は一度、決めたことは絶対に貫く信念を持った男です。それは長所でもあるんですが、悪く言えば、融通の利かない石頭ということで、この牛運びではそのマイナス面が害毒レベルにまでなってしまいました。超頑固親父のダンソンも、どうも育ちのよろしいお坊っちゃまに見えてしまうマシュー君も、2人共ただ後に引けなくなっているだけということは分かってましたが、あのあっさりとした、あっけないオチには驚いたというか、一瞬、思考停止になりました。1万頭もの牛をめぐる、スケールの大きい親子の愛憎劇が、ただの親子ゲンカに・・・。でも、けっこう笑える、あのラストは正解だと思います。お互いを殺したくないことは、殴り合いのケンカになったことでも明白ですし、怒ったのが女性のテスだったから、止まったんでしょうし。2人のポカンとした表情が印象的というか、間抜けに見えてしまいました。それに、あのまま殴らせたら、いったいいつまで続くやら・・・。ただ、こうもあっけなく、めでたく和解してエンドマークだと、処刑された牧童たちがどうにも気の毒ですね。ていうか、みんなムカついたんじゃないかなー。 あと、CGなしで何千頭もの牛を運ぶ場面は、やっぱり凄い迫力です。あの暴走シーンや、馬や馬車も含めた、河渡りシーンはよくぞ撮ってくれました。という高レベルです。そして人間のドラマが牛たちに負けていないところがいいです。グルートとクオの入れ歯の渡しっこや、ストレスで砂糖を盗み舐めするケネリー、途中から悪役になるダンソン、配役すべてが絶妙な味でした。西部劇初挑戦に見えないホークス監督の手腕に感服です。ただ、私的には、いいのか?これで。というラストが1番感服しましたが。
[DVD(字幕)] 8点(2009-05-02 22:36:51)
15.  或る夜の出来事 《ネタバレ》 
エヴァンゲリオンのアスカはこの映画知ってたのかなぁ?と、しょうもないことを考えつつ観ましたが、初めて観た気がしないほど、後の映画に真似され続ける映画です。台詞が粋で、テンポも軽快、見せ場もたっぷり。クローデット・コルベール演じるエリーは、気が強くて、わがままで、美人じゃないけど、とてもエレガントでチャーミングです。途中からピーターをじっと見つめる姿が増えてきて、だんだん綺麗に見えてきます。バスを降りてから、川を渡って野宿する辺りは、背景までがきらめくように綺麗です。そして、文句言い放題だった彼女が人参をかじるシーンが秀逸でした。ゲーブル演じるピーターは機知に富んで、ユーモアがあって、紳士的です。正体を知る前から、なんとなく気にかけ、とんだ女に引っかかったと文句言いながら、エリーの世話を焼く姿が本当に上手いです。モーテルでのお芝居夫婦喧嘩(←上手かった)でブラウスのボタンを外したり留めたりしていたところで、実はもう深みにはまってたって感じがしますし、歯に挟まったワラを取ってあげてたところは、もうすでに実質的夫婦でしたね。エリーを迎えに車でモーテルへ向かいながら、浮かれて歌う姿が最高でした。ヒッチハイク等、有名すぎるシーンの数々は言うに及ばずですが、実は2人の間にキスシーン1つすらないのに(未遂あり)、ここまでロマンティックなコメディを作り上げたキャプラ監督もすごいです。実はとても粋でいい人だった(笑)編集長とエリーパパも良かったし、2人の姿を登場させずにハッピー・エンドを演出したのも憎い演出です。ジェリコの壁の上品でエロティックなオチには、思わずみんなにんまりしちゃうんじゃないでしょうか。最後にピーターに一言、♪曲芸の飛行機乗り♪に勝って、おめでとうございます♪あと、ドーナツの食べ方は私も実践してます。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-12 23:09:39)(良:2票)
16.  刑事コロンボ/構想の死角<TVM> 《ネタバレ》 
メルヴィル夫人の肖像画ってなんか怖いです。よく見ると、あのオフィスも肖像画の他にドクロとか、結構不気味な物がたくさん置いてあって怖いし、犯人と脅迫者がお酒飲んで話してるシーンも妙に室内が暗くて、影が多くて怖いです。そして、その脅迫者のラ・サンカさんがホラー映画のように不気味で怖いです。コロンボ警部が保険屋を脅迫するシーンはさり気に怖い・・・(いつもやってるね、絶対)。あと、あのホット・ドッグ屋は外装がなかなかです。おごるって言ってて領収書切らせるところが警部だなあ。あと、警部のチーズオムレツ、焼いてるところと出来上がりを見たかった。・・・え、ミステリー部分?借りた本が返す時、倍近くになってたところですか?・・・しーん・・・いや、えーと、なかなか周到で上手く出来てるんですけどね。今回、犯人が周到じゃないようで、確かにメルヴィル夫人がお冠になりそうです。口座の金の出し入れもあからさますぎるし、せめてサイン本とシャンパンの栓を回収するくらいの用心深さじゃないと、コロンボの敵ではありません。それはそうと警部、カミさんいるんだから保険くらいは入りましょうよ。
[DVD(吹替)] 6点(2009-04-04 14:31:18)(笑:1票)
17.  ベニスに死す 《ネタバレ》 
ベニスが舞台なのに、鉛色の空が寒々しく、砂混じりの熱い季節風シロッコが吹き、サン・マルコ広場のようなメジャーな観光地はほとんど出ません。しかも後半になると、死の都になってしまい、白い消毒液と煙の臭いが漂ってくるようです。でも、美しい映画です。アッシェンバッハ教授を演じるダーク・ボガードは、おそらく生涯最高の大名演です。ヤな役だけど。そして、ビョルン・アンデルセン演じるタージオは、本当によく探し出したもので、とても美しく耽美的です。ヤなガキだけど(笑)。教授はそれまで生涯の大部分をかけて、美しい絶対的なバランスの音楽を作り上げようと努力してきたのに、自然の美にあっけなく負かされてしまいました。それはタージオが大人になれば消えてしまう一瞬の悪戯のような美、教授は彼と視線を交わすだけで、触れることも言葉を交わすこともできません。シルヴァーナ・マンガーノ演じるお母さんも印象派の絵画のように綺麗で、教授も最初、見とれるシーンがありますが、多分、優雅な貴婦人だと感じただけで、心を奪われるのはタージオの方なんですね。コレラのことを知った後も、家族に忠告してタージオの頭に触れる想像をするだけで何もできず、老いらくの恋を糧に作曲に打ち込むことも、ミュンヘンに帰ることもできずに、ストーカー化した自分の滑稽さを笑うだけでした。やっぱり芸術家としては今ひとつだったのかもしれません。ただ、恋する男としては至福の死に方でしょう。この映画は取っ付きにくいかもしれませんけど、何度も挑戦して観る価値は絶対あると思います。どうしても駄目なら、最初は倍速にして観てもいいと思います。台詞があまりないので、回想のアルフレッドとの論争のみ気を入れれば大丈夫です。しかし、2倍速にして最後まで見られる映画も珍しいなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2009-03-21 18:22:36)
18.  エデンの東(1955) 《ネタバレ》 
これはジェームズ・ディーンの存在感につきる映画です。丸めた背中、すねた上目遣いの目、複雑で繊細な甘えたような感じ。好き嫌いは分かれると思いますが、彼には1度観たら忘れられない独自の空気があります。他のキャストも地味にいい感じですが、肝心の双子の兄役のリチャード・ダヴァロスがいまひとつ。完全にジェームズ・ディーンに食われていたのが残念です。 レイモンド・マッセイ演じる父親は確かに正しい人ですが、人の弱さや世渡りの上手さも悪として直そうとする偏狭的な考えの持ち主で、兄のアロンも以下同文。彼が弟を見る目は、こいつずるい、嫌い。と軽蔑しているのが丸見えで、弟をちまちまいじめる機会を逃しません。アブラは恋人のアロンに父親の指輪を川に捨てた話をしたかったと思います。でも、どうしても出来ない。こういうところにアブラの心変わりの原因があるんですが、彼は気付きもせず、全部弟のせいにしてしまいます。それに対する弟の仕返しが凄いです。兄はそれまでの勢いはどこへやら、借りてきた猫みたいに大人しく連れて行かれ、母親と対峙し、180度反転してしまいます。優等生のコケ方は大きいですね。最後のガラスを割ったシーンは秀逸です。父も兄も致命傷を負いました。最初、観た時はアロンが無事に帰ってくれればいいなと思いましたが、2度目に観た時、割れたガラスから首を出したまま行ってしまうシーンが、まるで断頭台の処刑に見えてしまい、ああ、彼はもう帰ってこないんじゃないかと思いました。結果として、弟は兄を追放して死に追いやり、父も追いつめたことになります。母親もおそらく、致命傷を負ったんじゃないでしょうか。確かにキャルは父を看取った後はこの町を出て、何らかの形で償うべきなのでしょう。そしてアブラも自分が原因の一端だと罪悪感を持って生きるのだと思います。ただ彼女は、この刺し違えた家族の、最後の崩壊を防ぐクッション役になり、少しだけ救われた感じです。でも、最後に場を収めたのが、あのしようもない看護婦だったということが1番面白かったです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-19 02:51:44)(良:2票)
19.  オズの魔法使 《ネタバレ》 
1939年って・・・昭和14年。当時、日本は軍事一色で2年後にはパール・ハーバー。しかし、こんな映画作ってる国に戦争ふっかけるとは・・・無謀というか、視野が狭くなってたというか・・・悲しすぎます。私は幸いにも予備知識なしでこの映画を見られたので、やっぱりカラーに変わるところでおおっ。と感動しました。ただ、もう大人だったので、子供の時に観てみたかったですね。映画は湯水のようにお金を使った感がありますが、さすがに使い方を間違ってません。マンチキンやエメラルドの都の人たちの衣装や町のセットが、やりすぎ寸前の豪華さ、カラフルさで、現在のCGや特撮全開の映画が、背景が書き割りでテグスが丸見えのこの映画に適わないところが不思議です。映画を支える俳優は、脇役や犬に至るまで芸達者、やっぱり技術より人間です。 ところで、カンザスはモノクロ画面も手伝って、殺風景で何もない土地です。しかも竜巻がよく来るような不安定な場所。ドロシーには両親もなく、同じ年頃の友達もいないし、おじさんおばさんは仕事に忙しい。一方、オズの国は魅力的で食べ物に困らなさそうだし、新しい友達も出来ました。でもドロシーはやっぱりカンザスへ帰りたい。きっと、ここが物語の核の部分で、帰りたいという思いがなければ、何の魅力もない物語なんだと思いました。なぜかと考えると、ドロシーはエムおばさんとヘンリーおじさんが大好きだということ。ぽっちゃりが可愛いジュディ・ガーランドは感情豊かにストレートにその想いを演じていて、本当に名演でした。 あと、オズの魔法使いがカカシたちの願いを叶える辺りは、ご都合主義というか、かなり詐欺なんですが、どうしても、旅を通してすったもんだしないと見えてこないものってあるんですね。あと証明書があると安心という心理にも、つけこんでいますが。近くにあったと気が付いた後は、何も変わってないどころじゃなく、全員以前より自立した存在になっているはずです。めでたしめでたし。それにしても、トト役の犬は名演で可愛かったなぁ。ちなみにあの後、ソフトバンクのお父さん犬並みに稼いだそうです。いや、マジで。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-17 22:05:28)(良:6票)
20.  シェーン 《ネタバレ》 
水と緑が綺麗なロッキー山脈のふもとが舞台の珍しい西部劇です。中身も監督がジョージ・スティーブンスだけあって、ホームドラマ重視に仕上がっています。ていうか、これはアメリカ版股旅物だ、任侠物ですね。それに子供の視点から見ていて分かりやすく出来ています。ケンカのオーバーアクションや、やたら大きい効果音も、ジョーイ少年の視点。俳優は父親のヴァン・ヘフリンからライカー役のエミール・メイヤー、コーヒーを飲む殺し屋ジャック・パランス、そして2匹の犬に至るまで名優ぞろい。そして、本名を名乗らない主役のシェーンの存在が大きかったです。 ところで、小さい男の子が成長過程でヒーロー像を求めるのは自然のことなんですが、ジョーイ少年のシェーンへの期待は凄かったです。瞬きもせずにシェーンを見詰め続け、「シェーンは強いよね。」「痛みなんてへっちゃらだよね。」「臆病じゃないよね。」「逃げたりしないよね。」「勝つと思っていたよ。」と、雨嵐のように期待をぶつけます。彼は唐突に知らない子供に、不死身で無敵の特撮ヒーロー像を求められてしまいました。時代が変わったことを受け入れ、殻を破ろうとして果たせなかったシェーンは、せめてジョーイの期待に応えようと努力したのでしょう。かくして、彼は2階から撃たれたときに怪我したと思われるのに、たいしたことないとやせ我慢をし、「正直で強い男になれよ。」と、少年を励まして去るのでした。しかも最後までジョーイ少年は「本気だったら撃たれなかったよね。」「あいつ、抜く暇もなかったよね。」と、懸命に自分のヒーロー像をキープしようとしていたのでした。・・・気の毒に・・・私にはある意味、ライカーや殺し屋ウィルソンよりもジョーイ少年の方が怖かったですよ。あの後、シェーンが無事に別の町に行けたことを祈ります。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-03-15 00:41:44)
000.00%
111.79%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
6814.29%
7610.71%
81730.36%
91933.93%
1058.93%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS