1. フリー・ファイヤー
銃の売買が行われる倉庫の跡地のような場所にて。 90分のうち30分ほどを使って銃の売買メンバーが後に撃ち合いに発展する揉め事が始まり、 あとは倉庫内から一歩も出ず、彼らがひたすら延々と撃ち合いを繰り広げるワンシチュエーションもの。 なかなか致命傷を受ける者は無く、みんな足をやられてすぐに動きが鈍くなるのでアクションとしてはパッとしない。 ただ、メンバーは結構豪華な顔ぶれが揃っているので、それぞれの個人技はそれなりに楽しめます。 スコセッシが製作に名を連ねているのですが、終盤のジョン・デンバーにはちょっと意表を突かれましたね。 最後はもう撃ち合いの結果がどうなろうとどうでもいいので、 それよりも”ジョン・デンバーの面白い話”をちゃんと聞かせて欲しかったです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2025-01-15 16:47:47)★《新規》★ |
2. イマジン/ジョン・レノン
《ネタバレ》 ビートルズ結成から解散、そして1980年まで。ジョン・レノンの人生を振り返るドキュメンタリー。 前半はビートルズのドキュメンタリーのようでもあるけど、ジョン中心の構成となっており、 映像の多くは他のビートルズのドキュメンタリーと同じでも、ミミおばさんやシンシア、ジュリアンが登場し、 かなり駆け足になっているのは仕方がないところですが、どのビートルズのドキュメンタリー作品とも一線を画す。 彼の人生を振り返る上で抜きには語れないオノ・ヨーコとの出会い以降は、 ビートルズとの活動よりオノ・ヨーコとの活動が多くの時間を占める。 若い頃の彼女の肉声もよく聞こえてきますが、ジョンの傍にいる姿は見る機会はあってもその声はあまり聞いたことがなかった気がする。 メイ・パンと「失われた週末」についても触れられていますが、彼の中で彼女の存在がいかに大きかったのかがよく分かります。 メディアからは奇妙なものにも映った2人の活動ですが、ジョンの支えでもあった彼女の強さも感じる映像の数々。 当時の貴重な映像が沢山出てきます。 70年代のいつ頃の映像だろう?「ビートルズの再結成は?」というインタビューの質問に対し、 「再結成もレコーディングもあり得るだろうね。当時の傷も既に癒えている。きっと楽しいものになるはずだよ。」 彼の人生が1980年で終わらなければ、どんな楽しい再結成が実現していたのだろう?と思うと残念でならない。 冒頭やエンドロールでも挿入される、後に残された3人によって完成した「リアル・ラヴ」の当時のデモ音源が印象的でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-12-27 22:19:06) |
3. 地獄の警備員
なぜこれを見ようと思ったのだろう? 「地獄の警備員」というタイトルが番組表の中で突出してインパクトがあった。 自宅のTVで見ていたのですが、冒頭からどうも台詞が聞き取り辛い。 音量が小さいのかな?と思って音量を上げても聞き取り辛さはさほど変わらず。 1992年製作ですが、画質等も含めてもっと古い質感のある作品です。 演出にそれ程の怖さは感じなかったですが、松重豊が醸し出す怖さ、不気味さ。 確かにこれは地獄の警備員ですよ。本作はもうそれだけで充分とさえ思えました。 名画1枚に何十億という金が飛び交うバブル期の大手総合商社・・・にしては 場末感漂う社内の雰囲気に、思いっきり昭和レトロな警備員室。 これがバブル期の総合商社でございます!というキラキラ感よりは、 こういう映画にはこういうどんより感がいいんでしょうね。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-12-27 22:10:19) |
4. 地球最後の男 オメガマン
《ネタバレ》 チャールトン・ヘストン主演、人類最終戦争後という世界観。 どうしても同時期の「猿の惑星」を思い出してしまう。 本作も原作があるようなので仕方がないんですが、 敵の基本設定もどうしても「猿の惑星」の続編の地底人と被ってしまうし、 結末もなんか、続猿の惑星のテイラーの最期と被ってしまう。 主演はチャールトン・ヘストン以外の人でもよかったかも。 何とも微妙なB級の香り漂う作品ではあるのですが、人の気配や温もりを感じさせない街の風景。 どう見ても実際の街で撮影しているんですが、これに関しては大健闘の作品だとは思いますけどね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-12-23 15:26:39) |
5. THE GREY 凍える太陽
《ネタバレ》 極寒のアラスカかどこかの労働現場から、労働者を乗せた飛行機が一面雪に覆われた原野に墜落。 人跡未踏のような原野、しかもそこは凶暴なオオカミの巣窟のような場所。 墜落を生き延びた7人が寒さとオオカミの群れと闘うサバイバルアクション。 町にたどり着くなど絶望的な状況で何のあてもなくオオカミに付け狙われながら原野を行く設定にあまりにも無理がある、 風雪を避けて墜落した飛行機にとどまり狼が入ってこれないよう残骸でバリケードでも作り助けを待つ方が生存確率が高いのでは? と思ってしまうものの、それでは映画にならないから仕方がないんですけどね。 オオカミとの闘いがメインとなりすぎて、厳冬の自然の過酷さの描写はあるものの対オオカミ以外の部分が今ひとつ。 オオカミの群れが相手では、いつものニーソンの映画のように敵をボコボコにするようなシーンはありませんが、 墜落を生き延びた仲間の先頭に立ち、生への道を行く男の人間的強さが光る、といった作品かと思ったのですが・・・。 最後はこんなことになってしまうとは思わなかった。 ニーソン演じる男は妻に先立たれ、妻との日々が頻繁にフラッシュバックされるあたりには、 まだ妻の死から立ち直れていない、いや、冒頭を思い出すと妻の元に行く願望があるようにすら思える。 そして「最強の敵を倒せたら、その日に死んでも悔いはない。」という台詞。最後は本望だったのだろうか・・・? しかし肝心の最後の闘いが中途半端で終わってしまい、鑑賞後はモヤモヤしたものが残ってしまう作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-12-19 22:05:04) |
6. ウェディング・シンガー
《ネタバレ》 この頃のドリュー・バリモアがこういったラブコメで見せる笑顔は本当にいいなあと思う。 本作のお相手アダム・サンドラーともお似合いで、後に「50回目のファーストキス」でもう1度コンビを組むのも納得です。 序盤から2人のいい人ぶりの見せ方が良く、ラブコメに必須の素直に2人を応援したくなる空気が自然と出来上がっていく。 特にパーティーの場でドリューが女の子にダンスを断られた少年をダンスに誘い、サンドラー君が歌でそれを盛り上げるシーンが実にいい。 最終決戦の場、ベガスに向かう飛行機はかなりベタな展開になりますが、直球勝負のラブコメらしくてこれも良しです。 ファーストクラスで、なんかヤバそうな乗客が1人いるなと思ったら、 イメージ通りのそのまんまの姿でビリー・アイドルがご登場には笑ってしまいましたけどね。 しかし彼からの「いかしてたぜ!レコード会社を紹介してやる。」が最高! 大物からの後押しも得て夢への一歩を2人で歩みだし、乗客みんなに祝福され、 キスシーンから結婚式へ場面が移る。ラブコメらしい大団円のハッピーエンドと相成りました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-12-13 13:20:20) |
7. ハンターキラー 潜航せよ
《ネタバレ》 なかなかにあり得ない展開の連続なんですが、そこは映画と割り切ってみれば十分な作品でした。 バリバリの潜水艦モノかと思って見始めたのですがさにあらず。 参謀本部、潜水艦、敵地に乗り込む極秘任務の海兵隊員、思惑が交錯するロシア軍。 そしてアメリカの潜水艦に乗り込むことになってしまった歴戦の強者のロシアの潜水艦長と大統領。 それぞれが散漫にならずに、うまくそれぞれを関連付けていて、 なかでもミカエル・ニクヴィスト演じるロシアの潜水艦長の存在が効いている。 アメリカとロシア、2人の潜水艦長の関係、潜水艦長2人のそれぞれの部下との関係。 目には見えない人と人の絆や信頼関係、こういうところをしっかり押さえているのがいい。 僅かな隙をついて敵地に乗り込む時間帯は潜水艦モノらしい緊張感も味わえます。 作戦終了後、浮上した潜水艦上で互いに敬意を表し2人の艦長はあっさりと別れ行く。 状況は異なりますが、潜水艦モノの傑作「眼下の敵」で、 ロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンス、2人の名優が演じた艦長を思い出すいいラストでした。 ただ、今の世界情勢では無理な映画ではありますけどね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-12-11 16:17:47) |
8. コンパートメントNo.6
《ネタバレ》 ロシアに留学中のフィンランド人女性の、広大なロシアの北の最果てのような場所へ向かう一人旅。 インテリ男女が揃う冒頭のホームパーティとは対照的な、列車の客室に乗り合わせた無作法なロシア人労働者の男。 恐らく彼女がこれまでに関わることがなかったような男。 狭い客室で時を共にすることで少しずつその距離を縮めていくロードムービー。 ほとんど何も起こらない。唯一のアクシデントと言えばビデオカメラを盗まれたことくらいか。 旅先で出会った男と女ですが、2人の関係に劇的な変化が起こることはなく、一線を越えることも無い。 しかし最初は全く笑顔の無かった2人の表情が中盤あたりから少しずつ和らいでいく。 人生、うまくいかない一時期もあれば淋しさや人恋しさを感じる時もある。 そんなことを感じさせる旅の風景。極寒の厳しい気候とどこかくすんだような作品の色が印象的。 しかし一人で旅に出ることになってしまった彼女にとって、この先の人生を歩んでいくためのいいリセットの旅になったはず。 荒涼とした旅の目的の地で子供のようにはしゃぎ合う2人と、ラストの似顔絵を見つめる彼女のいい笑顔がそれを物語っています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-12-05 17:25:37) |
9. 恋におぼれて
《ネタバレ》 マシュー・ブロデリック演じる田舎の天文学者の恋人が仕事でNYへ。 そして一方的にNYから手紙で別れを宣告された天文学者君がNYに乗り込み、ありえない行動に! 果たしてこの状況、ブロデリック1人でこの先大丈夫か・・・? と思い始めたところにメグがあまりにもあり得ないぶっ飛んだご登場。 いつもの素敵なメグ・ラブコメとは一味違う、ドタバタ・ラブコメのメグをどうぞ、という作品かな。 盗聴、盗撮、不法侵入、クレカ不正使用、レストランでゴキブリばらまき・・・と バレたら逮捕やむなし案件満載でラブストーリーとして重要な、恋に落ちる2人への共感は出来ないんですけど 本作はラブストーリープラス、ちょっぴりブラックなドタバタコメディといったところでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-11-19 18:30:36) |
10. エグゼクティブ・デシジョン
《ネタバレ》 ハイジャックされた飛行機にドッキング以降、ラストまで緊張感を見事に持続させている。 救出に向かう実行部隊の数名を大きくは2つに分け、極秘裏に任務を遂行させながら、 彼らと乗務員を最小限にして十分に絡ませ、そこにテロリストの動きを重ね合わせていく。 時間との闘いも加わり、高い緊張感を持続しながらこれらの切り替え、アクシデントの挿入もよく考えられているし 経験や訓練を積んだ精鋭だけでなく、そうではない人物の任務への参加やその絡ませ方もいい。 意外過ぎるセガール隊長の序盤での離脱をどうとらえるかですが、 ここにセガールを持ってくるというキャスティングも良かったと思います。 作戦に挑む面々だけでなく、見る者にも序盤でセガール隊長が離脱するという衝撃を与え、 ハイジャックという危機に立ち向かう彼らに、経験豊富な指揮官がいなくなるという危機が加わる。 2時間越えの作品ですが、緊急着陸し機体が確実に止まる瞬間まで、息つく間を与えない見事な作品です。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-11-08 15:15:26) |
11. 残された者 -北の極地-
見渡す限り雪と氷に覆われた原野でたった一人、遭難した1人の男。 演じるマッツ・ミケルセンのほぼ1人芝居の作品。 もう1人、ほぼ動けず話すこともできない、瀕死の重傷を負った女性の登場人物がいる。 この彼女の存在が非常に効いています。 助かる見込みはあるのか。絶望的な状況の中ではあるけど、独りじゃない。 彼女の生存がミケルセン演じる男にとっては最後の力を振り絞る大きな理由の1つであり、 彼女の生存が彼にとっても、観る者にとっても一筋の希望となっていく。 雪と氷に覆われ、撮影も過酷だったであろう寒さの中に見せるミケルセンの熱演が見応え十分の作品です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-11-05 17:46:11) |
12. 探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!
かつてベトナムで共に戦った戦友であり親友が何者かに殺された。その敵討ち。 男だろうと女だろうと、俺のツレの命を奪った奴らは決して許さねえ! まさに邦題の通り、俺がマイク・ハマーだ!俺が掟だ!という作品です。 次々とあやしい人物が現れる。そして次々と何かが起こる。 作品のテンポ良し、そしてこの殺伐と乾ききった作品の空気感がたまらない。 この手のハードボイルド・アクションとしてはかなり面白い作品になっています。 敵に対しても、女に対しても、タフでクールで最高にカッコいい。 本作はマイク・ハマーのキャラと、演じるアーマンド・アサンテに尽きますね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-10-29 17:50:21) |
13. テキーラ・サンライズ
捜査の行方と、2人の男と1人の女、その関係の行方。この2つの軸でストーリーが進行していく。 ミシェル・ファイファーの存在感が大きく、彼女がいる1つ1つのシーンの雰囲気や音楽もいいんですが、 全体的な流れはもっさりしてるというか、どちらの要素もテンポが今ひとつ。 ロビン・ザンダーとアン・ウィルソン、2人のパワフルなボーカリストが歌う、大ヒットしたテーマ曲が懐かしい。 そのパワーバラードは、まさに本作のミシェル・ファイファーとメル・ギブソンのようでもあります。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-10-27 22:41:08) |
14. あきれたあきれた大作戦
ピーター・フォークが微妙なんですが、なんだかんだでヤリ手のCIAの要員。 カーチェイスはこなすし拳銃の腕も確かなんですが、コロンボを散々見てきた後に本作を見ると あの車の運転や「あたしゃねえ、拳銃はからっきしだめなんですよ」というコロンボとの落差が面白かったりします。 ですが、本作はアラン・アーキンがいい! ピーター・フォークにいいように使われ、どんどんドツボな方向に巻き込まれていくNYの善良な一市民である歯科医。 全てを達観したような無表情で淡々と巻き込まれていく。延々と続くピーター・フォークとのコントが面白いです。 ストーリーの方は大したことは無いです。しかし2人のコントが楽しいので飽きることも無いです。 アーサー・ヒラーの作品としては同時期の「大陸横断超特急」と比較すると小ぢんまりしてますが、 似たような味わいもあるゆるゆるコメディ。暇つぶし映画としてはいいんじゃないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-10-25 17:28:06) |
15. ようこそ映画音響の世界へ
《ネタバレ》 「音が与える印象は映像よりはるかに大きい。だが、それに気づいていない人が多い。」 とは、本作のいちばん最初に語られる一言。いきなり、この冒頭の一言から参りました。 映像と音。映像に音を吹き込み、映像に力を与えていく音響のプロフェッショナル達が数多く登場する。 そんな、映画と音に魅せられた音響屋たちが語る1つ1つが興味深く、そして楽しく 彼らが語る映画愛や、仕事に対する情熱や誇りが感動的ですらありました。 数多くの映画が引用され、その音の話を満喫した後のエンドロール。 無音で始まったエンドロール、その最初の1~2分くらいか。 かすかに動物や虫の声、鳥のさえずりが聞こえてくる。 冒頭のメッセージと共に印象的な、映画音響にフォーカスした作品の締めくくりでした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-10-20 12:54:19) |
16. 17歳の瞳に映る世界
《ネタバレ》 17歳、ペンシルベニアからNYへの妊娠中絶のための小さな旅。 ペンシルベニアの小さな町。17歳の彼女が感じる閉塞感、家族をはじめとする人間関係など。 序盤のこうした前提を本作は本当に必要最小限にしか語らない。 必要最小限なのは台詞や音楽も。 その分、局面ごとの彼女たちの心の内、その不安感を彼女たちの表情や目で語らせる。 その演出と、それに応える2人の演技もまた素晴らしい。 全編を通して静かな作風にあって唯一たたみかけてくるのが、 NYのクリニックでの、本作の原題にもなっている4つの選択肢の質問。 答えに詰まり、感情がこみ上げてくる彼女の表情をとらえ続ける、本作の中で最も厳しいシーン。 しかし優しく彼女に問いかけ、耳を傾けるカウンセラーの姿勢や、 序盤の地元ペンシルベニアのカウンセラーの主人公に寄り添う姿勢など、 今も議論が続く重いテーマに対する作者の姿勢も印象的な問題提起の形でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-10-17 18:06:40) |
17. MEMORY メモリー
リーアム・ニーソン、年をとっても変わらず本作でもめちゃめちゃ強いです。 主役のリーアムが最後にこういうことになってしまう映画って他にあるのかな。初めて見た気がする。 強い男を演じ続けながらも実年齢と共に演じる人物像、演じ方が少しずつ変わっているけど、 いい意味での哀愁や渋みが加わり、俳優としていい年の重ね方をされている人だと思います。 本作では作品タイトルの通り記憶がひとつの鍵になっており、 アルツハイマー認知症を発症し引退の時が近づいている殺し屋を演じている。 悪役にはイタリアの宝石と言われたモニカ・ベルッチ。さすがにお年をめされた感がありますが その分、若い頃の彼女には出せないゴージャスなふてぶてしさが印象的です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-10-10 21:36:42) |
18. マンハッタン無宿
《ネタバレ》 イーストウッドが演じるのはカウボーイハットとブーツ姿で、 容疑者を連れて帰るためアリゾナからNYに乗り込む若き保安官補。 まるで西部劇の世界から現代NYに抜け出してきたかのような男。 上司や上部機関の指示などクソくらえだぜ、そんな一匹狼的キャラ設定は、 ドン・シーゲル&イーストウッドが初めてコンビを組んだ作品ということもあり これが後の「ダーティハリー」へとつながっていく作品だと考えれば、 作品の出来とは別のところで存在意義のある作品なのかもしれません。 後のハリー・キャラハンと比べると、本作ではまだ大人しいですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-10-03 17:06:09) |
19. モリコーネ 映画が恋した音楽家
《ネタバレ》 作中、ある証言者は「彼は編曲を発明した」とし、また別の証言者は「彼は映画音楽の発明者」と賛辞を贈った。 映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが自身の音楽人生を振り返り、彼を知る本当に数多くの証言者が登場するドキュメンタリー。 モリコーネの名が世界中で一躍広まっていくのはレオーネの作品をはじめとするマカロニウエスタンですが、 レオーネのような巨匠の名作からB級作に至るまで非常に数多くのマカロニ作品の音楽を書いてきた理由も本作を見ればなるほどと思える。 その一方で「西部劇だけの作曲家だと思われたくなかった」といった本音を多くさらけ出しているのも印象的で、 そう話す彼の前には常に信頼のおける友であり本作の監督であるトルナトーレがいたのかもしれない。 ノミネート歴は数あれどアカデミー賞に縁が無かったモリコーネでしたが2006年、ついに名誉賞を受賞する。授賞式での彼の姿が感動的です。 ある証言者は「名誉賞はハリウッドからの謝罪であり、本当に嬉しかった」とし、 アメリカの映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムスの「アカデミーはやっと”彼に賞を”と気付いた」という言葉が印象的です。 作中にはそれもなるほどと思える、数々の素晴らしい映画と、その映画を彩る彼の素晴らしい音楽が登場する。 エンニオ・モリコーネという人がいて、本当に良かった。 いいドキュメンタリーでした。エンニオ・モリコーネの映画音楽を愛する者としてとても楽しい作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-09-19 22:39:45) |
20. アナザーラウンド
《ネタバレ》 冴えない中年オヤジ達の人生再出発モノ…とは一味違う序盤。 内容的にはシリアスなストーリーではあるのですが、4人がそれを崩さない絶妙の線引きでコメディタッチの演技を見せる。 あまりアルコールを飲まない人から見れば、自分も酒飲みの部類に入ると思うので彼らの気持ちは分かるけど、 まあ、だんだん酒の量が増えて当初の計画通りの0.05%では済まないことになってくること、 そして彼らのある意味実験が一旦は破綻するところまでは想像がつく。 しかし彼らには家族があり、生徒たちがいる。もう一度立ち上がり再び人生を歩みださなければならない。 元々はダンサーだったというミケルセンの生徒たちと一体になった、 生徒たちだけでなく自らをも鼓舞するような力強さと躍動感あるダンスが素晴らしい。 生徒たちも、中年教師たちもこれからの人生を頑張れ。素直にそう思えるラストが鑑賞後の余韻をいいものにしてくれます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-09-14 23:34:09) |