1. アリス・スウィート・アリス
《ネタバレ》 タイトルは承知していたものの未見だった作品。アマプラ見放題の期限が24時間を切り慌てて鑑賞しました。 が、慌てて観るまでもなかったかも。公開当時としてはそこそこ衝撃的な展開と演出だったかとは思うものの、最近のスリラーやらサスペンスと比べてしまうと特に目立った意外性とかなくて、個人的には真犯人は結構早い段階でプンプンとしていた感じです。 思うに、聖体拝領のタイミングで愛娘を亡くし、心の傷を癒すべく教会に全てを捧げて来た女性が、いつの間にやら神父に対して一信徒以上の感情を抱いてしまい、神父が矢鱈良くしてあげる母子世帯に憎悪の炎を滾らせた挙句、まずは可愛い次女を愛娘と同じ目に遭わせ、憎々しい長女を犯人扱いさせ、ヒステリックで気に入らない伯母を血祭りにした上で、真相に迫りそうな父親を亡き者に。恐らくは次は母親がターゲットだったのでしょうけれど、最早これまで、バレちゃったわねとばかりに憧れの神父を手にかけた。そして全てを了解した長女は、殺人鬼セットを手に入れてこれからどうしていくかを心に決める。そんな物語かと。 見応えがないとまでは言いません。黄色いレインコート、不気味なマスク、刃物によるスラッシャー描写等々、当時モノとしての衝撃度は高いものがあると思います。教会を冒涜しているような思い切った過激気味の演出も当時は話題になったようですね。妙なサブキャラやその他大勢の描き方とかも面白い。思いの外、集中して鑑賞出来ました。が、とは言え観るなら当時観ておけば良かったと言う感じは否めず、ブルック・シールズのこれでもかと言わんばかりの可愛さに+1して7点献上です。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-01-30 16:22:41)(良:1票) 《新規》 |
2. Mr.BOO!ミスター・ブー
《ネタバレ》 44年前に吹替え版TV放映を鑑賞して以来の再見。懐かしいとともに、字幕だとこんな雰囲気だったんだという驚愕。正直言ってある程度の忍耐力は発揮せずには鑑賞終了は困難な代物でした。 ある種のギャグやユーモアは間違いなく風化するのですね。てか、しない方が珍しいのかも知れません。何度観ても笑えるコメディは間違いなくありますが、もしかしたら少数派なのかも知れませんね。 本作はコテコテのおバカギャグ満載のコメディ。当時は可笑しかった。笑いました。でも、それは当時だったからでしょう。観ているこちらも若者だったし、少し前まではコント55号とかドリフとかよくよく考えれば結構くだらないお笑い(決して否定でも批判でもありません)が席巻していたし、初回TV放映時は所謂「漫才ブーム」の黎明期。本作を迎え入れる下地、環境は十分に整っていた訳ですから。 そこに持ってきて、TV放映は吹替え版。名人級の前川氏と新進気鋭のビートたけし氏のマシンガン的アドリブの嵐に笑えない訳はなかったって感じですね。 ところが今回は半世紀近い時を経た上に字幕版。画質や音質などの時代感はレトロ感があって良かったのですが、肝心の中身がスベルことスベルこと。何回身を引いてしまったことか。 あまりのガッカリ感故にアマプラで字幕版を観た後に、恐いもの見たさで改めてU-nextで吹替版を鑑賞。うん、今観ても、てか聴いても前川氏とたけし氏の吹替にはキレがありますね。これならば、当時ほどではないにせよ笑えます。 多くのご意見にも同様の趣旨が書かれていますが、少なくとも本邦においては本作は吹替えあってこそのヒット作品だったと言って良いのでしょう。あくまでも、今の時代になって初めて字幕版を観ての評価、という意味での4点を献上します。 [インターネット(字幕)] 4点(2025-01-20 14:29:28) |
3. ザ・クレイジーズ(1972)
《ネタバレ》 コロナ禍を機にずっと観たかった本作ですが、サブスクでやっと鑑賞出来ました。 流石のロメロ監督としか言いようのない出来映えですね。アクションや特撮などには多少の不満がないことはありませんが、70年代の作品ということを考えれば納得出来るレベルですし、何より優れたテーマ性と脚本や演出を考えればそんな不満も消え去ると言うもの。 およそ50年前も昔に、感染症の恐怖とそれが人心と社会に及ぼす影響を描いたということの先見性、政府や軍が混乱の極みにある中で無謀な凶行に走る様への強烈な批判、現代においても、否、現代においてこそ強烈なメッセージ性を発揮していると言えるでしょう。 パニック状況下における兵士たちの非人間性、父娘の異常行動(これはパニック関係なしかも)など、ひとつひとつの細かなエピソードも見逃せないものばかり。誰が狂っていて誰が狂っていないのか?最後の最後まで緊張感が続き、混乱のまま幕を閉じるという展開も魅力ですね。 冒頭の主人公と恋人によるサービスカットというお約束的遊び心も忘れないところも流石。敢えて注文を付けたいとすれば、主人公と親友(悪友?)が良く見れば似てないのですが、ちょっと見が似ていて時々区別がつかなかったことでしょうか。 観れて良かった1本に9点献上します。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-12-01 00:31:53) |
4. アニマル大戦争
《ネタバレ》 極地でのオゾン層の破壊が問題となって久しいところですが、学術的な研究によってそのことが知られ始めた頃の作品ですね。まだまだ世間一般では詳細が理解されていなかった頃の作品とも言え、そのあたりの説明は(何故動物に異変が起きるのかとか事態の収束化に至った原因も含め)かなり大雑把。緻密さを求めるSFファンの方には大いに物足りないかも知れません。てか全然物足りないです。 ただ、新たな環境危機に視点を当てて描かれた世界観は50年近く経過した現在においても題材としての古さは全くなく、今だからこそより深刻に現実問題として存在しています。先見の明とまでは言わないまでも、当時もののアイディアとしては秀逸かなと思うところです。 ハイカー一行の混乱は社会の混乱の縮図。ここで語られる混乱はあらゆる事象においても生じつつある訳で、近年になってSDG'sの旗印の下で積極的な危機への対応を進めようとしつつあるところですが、今もって世界規模では歩調が揃わないというのが現実ですね。 本作のラストはあまりにあっけなく大した説明もない結構楽観的なものですが、果たして製作当時に鑑賞した人々にはどう映ったのでしょうか?そんなことを考えつつ、裸の銃を持つ前の若き日のレスリーさんに敬意を表して+1点の6点献上です。 ちなみに、邦題はあまりにトンデモ映画を予感させるミスリード的なものですが、当時はこの手のテイストのタイトルって多めでしたね。原題の方がカッコいいのですが、時代的に止む無しと言ったところでしょうか? [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-15 10:14:57) |
5. 恐怖と戦慄の美女<TVM>
《ネタバレ》 カレン・ブラックさんを初めて知ったのは(顔と名前が一致したのは)「エアポート'75」。当時はまだお子ちゃまだったので、「イージー・ライダー」や「ファイブ・イージー・ピーセス」といった作品には縁がありませんでした。子ども心に外国人然としたルックスに何か現実離れした魅力を感じたものです。と、まずは懐かしさが先行して(作品自体の放つ70年代の香りも後押ししてます)楽しめました。 物語的には、第1話と第2話は基本はサイコサスペンスで2話目に少々オカルトエッセンス(特に3話目に繋いでいる訳でもなさそう)。今となってはある程度使い古されたプロットですね。一話あたり20分強という尺もあって、それぞれに唐突感が否めません。始めから独立したショートフィルムならば、作り手ももう少し違う展開で楽しませてくれたのかも知れませんが、カレンさんを前面に据えたオムニバス故、特にあとひとひねりまでは考えなかったといったところでしょうか?とりわけ手抜きとは思いませんが。 大いに盛り上がるのは第3話ですね。呪われた人形が襲い掛かる恐怖を描いた作品としては、当時はかなり斬新だったのではないかと。70年代以前の人形ものホラーと言えば、蝋人形系、つまりは等身大のリアル人形ものだったと記憶しています。網羅的に知識がないので断言は出来ませんが、この手の民族人形的なもの、かつ手の平サイズ程度の小型人形が襲い掛かるというのは画期的だったかも。 ただし、カレンさん演ずるヒロインのリアクションには、大変申し訳ないのですが大笑いしてしまいました。見ようによってはほぼコント。腰が抜けてるからって転んでないでまずは外に逃げなさい(何故に鍵が開けられなくなってる?)。部屋に籠るにしても相手はドアを開けられるってことを学習しなさい。静かになったからってトランク開けるのは慎みなさい。そして、分かりやすい伏線回収のオーブンでロースト(冷静に足で踏ん張る姿がキュート)。なのにまたもや開けちゃうし、等々。 極めつけは最後のカットですね。当時的には売り出し中の美人女優さんだったように思えるのですが、よくぞ受けました。ある種の体当たり演技なのでしょうか? とは言え、古の雰囲気を大いに楽しめた作品。TVMらしいエンドロール後の全キャスト登場の紹介カットも良い感じ。現代目線の酷評は避けて5点献上します。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-06-25 15:02:20) |
6. アタック・オブ・ザ・キラートマト
《ネタバレ》 テイスト的には1978年と言うよりも更に古のアメリカ製娯楽映画の感がありますね。現代の感覚から見てしまえば、面白くないしクダラナイし下品です。ただ、それでもコアなファンがいるからには意味があるのだろうと考えてみれば、矢張り時代背景とお国柄なんでしょうね。 思えば本作よりも予算がかかっていながらも本作よりずっと低俗極まりない作品は多々ある訳で、それは今の時代を生きる日本人である自分の価値観に照らし合わせているからこそそのように思える訳で、勿論同じ時代に生きる同じ日本人でも千差万別の価値観を持ち合わせていて当たり前、いわんや半世紀近く前の海の向こうの人々をや、ってな具合でこの作品の作り手がどんな思いで映画を撮ったかなんて少なくとも私には解りゃしません。近代アメリカ文化(サブカル含む)をちゃんと研究している訳じゃありませんから。なので、こういう作品は評価が難し過ぎます。私には切って捨てられない。 とグダグダと書いてしまいましたが、実は正直楽しめました。くだらないし時間の無駄だったけれど、観ている最中は楽しめてしまいました。歪んだ楽しみ方かも知れませんが。 なので最低点は付けられず、アイディアと主題歌を評価して4点献上します。ただし、シリーズの他の作品は観ないでしょう。その時間があったら他のZ級が観たいので。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-02-16 12:08:21)(良:2票) |
7. アミューズメント・パーク
《ネタバレ》 高齢者への仕打ちが酷過ぎるとして?公開(そもそもが一般公開用ではありませんが)されていなかった幻の作品とのことですが、確かに70年代前半であれば差別的・暴力的として公開を躊躇ったということも頷けます。依頼者であるルーテル教会の意向とも異なっていたのでしょう。ただ、ロメロ監督の表現が過激と言うよりも「まさに社会はそうだった」からこそ躊躇ってしまったのでは?とも思えます。 その状況が今どうなっているかと言えば、制度上は様々に充実して来て高齢者が生きやすい状況になっていると言えないこともないでしょうけれど、今後は果たしてどうなることやら。そういう意味では、現況への批判と啓発・教育を目的に作られた作品が未来への警鐘を鳴らす作品へと化けてしまった感があります。 冒頭、傷付いた老人が止めるのも聞かず元気でお洒落をした老人(同一人物)が意気揚々と外出して行きます。そしてボロボロになって帰宅した老人は再び出掛けようとする老人を止める立場へと変わるという、いわばタイムループ的な構造の作品。エキストラを多用しての撮影はたった3日だったとのことですが、その凝縮された作業によってロメロ節とでも言いましょうか監督の言わんとしていることは十分に伝わって来ます。 本編鑑賞の前後を問わず、予告編(特に奥さんの語り)は必見かなと。7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-02-12 11:19:51) |
8. タワーリング・インフェルノ
実に40年ぶりに鑑賞しました。当時映画館で観て大変な衝撃を受けたことを覚えてますが、今、改めて観てもその迫力は変わらないですね。 台詞回しや演出、リアリティなど、細部は時代を否めませんけれど、当時連続して制作されたパニックムービーの大作、「ポセイドンアドベンチャー」や「大地震」と並べて一歩も引くことのない傑作だと言うことを再確認しました。 [地上波(吹替)] 8点(2014-01-03 01:38:29) |
9. 野性の証明
ちょっとしたキッカケで、30年ぶりに観た作品。封切り当時、映画館で観たはずなのに、今となっては何の記憶もなくなっているのは寂しいもんです。 当時、角川映画と言えば欧米並みに予算を投入した大作揃い。この作品も多分にもれずフルキャストの大作。よくぞこれだけ俳優さんを集めましたねって感じです。 だから、決して見応えないなんてことはないです。大いに見応えあります。原作と違うなんて言わないで。これはこれで十分に面白いと思いますよ。 [DVD(邦画)] 7点(2009-08-11 02:30:33) |
10. 片腕カンフー対空とぶギロチン(93分版)
好きだな~、この手の天然ボケ映画。大真面目に作ってるのに可笑しい。変。でも、皆さんの中にも御意見がありますが、ドラゴンってば卑怯っ!(笑) [地上波(吹替)] 7点(2005-09-23 07:41:16) |
11. 激突!<TVM>
ひさびさに観た。ホントに久しぶり、20数年ぶりだろうか。今観ても全く色褪せない作品。主人公の「台詞」が少しウルサイ気もするが、かと言ってそれに変わる表現も思い付かない。あの説明口調の「台詞」がまた雰囲気を出している。 この作品、いったいその後の何本の作品に影響を与えただろうか?計り知れない影響力は、まさに完成度を示している。 シンプル・イズ・ベスト。CGも効果音も不要。映画の楽しさとは何たるかを教えてくれる作品だ。 10点(2005-01-08 00:33:17) |
12. 時計じかけのオレンジ
DVD買ってきて、実に20数年ぶりに鑑賞しました。ずっと忘れられなかった作品でしたけれど、いやぁ~スゴイ!やはりスゴイ!これほどに長い年月を経た後、改めて見直しても全く感想が変わりません。ストーリーの斬新さ、芸術的ともいえる台詞の数々、音楽・美術などなど、何から何まで最高です。そして何よりこのテーマ、30年以上の時を経ても色褪せていないじゃないですか。私にとって、「2001年」と並ぶキューブリックの最高傑作です。 ちなみに、仕方ないことではありますが、未来の設定にも関わらず最新式のオーディオがマイクロカセットだったり、伝票にカーボン紙が使われていたり、いかに天才的な発想をもってしても、小物の創造までは及ばなかったところに妙な共感を得たりして… それから、改めて鑑賞すると、公開当時は随分と多くの場面がカットされていたような気が。映倫の基準には時の流れを感じさせられました。 10点(2004-06-15 00:54:10) |