1. ストーカー(1979)
草むらを掻き分け、そっと川底を覗き込んだ、幼少期の狩猟体験をどこか想起させる。ノスタルジーをかきむしられた。 [地上波(字幕)] 10点(2011-06-07 00:26:08)(良:1票) |
2. アフタースクール
「前作ほどは...」というような微妙な評価を聞きつつ見つつ、さほど期待せずに鑑賞。それがよかったのかなぁ、とても面白かったですよ。たしかに”運命~”ほど「ええっ~!」とか「なるほど~」という「仕掛け」が少なんだけど、その分、逆算的な部分があまり感じられず、流れが滑らかに感じました。正直、ベッドの下とか、かまえて見てたんですけどねぇ^^。あと、俳優陣もよかったですね。大泉洋の丸味のあるキャラをはじめ、出てくるひとが、みんなうまい。先生とニセ島崎の、価値観のぶつけ合いなんかは、そこだけ別のテーマがあるようでよかったです。まあ、どこまでも喜劇なんですけどね。しかし、冒頭の「もじゃもじゃ」はアドリブっぽかった。あれは、大泉洋そのまんまですもん。 [DVD(邦画)] 8点(2010-01-27 00:31:51) |
3. フィッシュストーリー
《ネタバレ》 ネタばらし中に「えっ!そうなの!?」、「あぁ~そういうことか!」って驚きがほしかったな~。悲鳴が聞こえて、どうなるんだとドキドキしていても近づくにつれ、先が読めてしまうんだな...。父親が誰で..とかも、「あ~そうなんや」って感じで、意外性が希薄。どちらかというと、人物像と相関関係の設定が弱いように感じました。ただ作風が、終始お気楽路線なので、前述のことをボヤ~っと感じながら、案外”ふむふむ”と楽しませてもらいました。んでも違う意味で意外だったのは、森山君のアクション。爽快でしたよ。多部ちゃんの宇宙服姿も○でした。 [DVD(邦画)] 6点(2010-01-16 17:35:29) |
4. ローカル・ヒーロー/夢に生きた男
《ネタバレ》 (書直し)この作品を見つけた当時は、”ぴあ”の分厚いシネマガイドを夜な夜なめくり、赤鉛筆なんかでチェックするのが楽しみだった。ガイド誌の作品評価は★で示され、四つ星が最高なのだが、この作品には三つ半の星がついていた。解説を読んでいて、音楽担当がマーク・ノップラーだと気付き、内容関係なしにとても見たくなり、早速レンタルで手に入れ鑑賞。テーマ曲は既に知っており、作中の音楽は間違いなく素晴らしかったのだが、意外なことに映画作品としても星以上に面白かったのです。こうなるとマイナーな映画でもあり、妙に愛着が湧いてきて、すぐさま探し回り、梅田三番街のレコードショップでDVDをゲット(いやここは「キッド」だったか…)。やっぱり何回見てもいいですね。大都会のビジネスマンが田舎へ買収に来て、心変わりする..というわかり易いストーリーなんだけど、人物一人ひとりのキャラと立居地をしっかりと設定し、心象表現をコミカルに、時には暗喩を用いて丁寧に丁寧に描写されていることが、すんなりと大団円へと導いてくれます。やっぱりそのあたりがフォーサイスマジックというか、「シルビーの帰郷」でも感じた、人物をどれだけ嫌味なく立たせられるかにかかっている気がします。本作は”マリーナ”の女神のような立ち居振る舞いを描写したことが、最高に素晴らしかったと思う。あ~フォーサイスは映画を撮り続けているのだろうか... [DVD(字幕)] 10点(2009-11-16 23:33:21)(良:1票) |
5. クライマーズ・ハイ(2008)
《ネタバレ》 翌日は早朝3時から釣りに行くので早く寝ようと思っていたのだが、画面いっぱいに広がる谷川岳一ノ倉沢のパノラマに釘付けとなってしまった。「おお~衝立岩すげ~」とかなんとか唸っているうちに、傍らで進行してゆくドラマにも、序所に漬かり始めていました。そして、あっと言う間の3時間、気付くと午前零時、完賞でした。何が面白かったって、俳優たちの熱い演技もさながら、日航ジャンボ墜落事件を報道側から炙り出していく過程が、地方新聞社の内情や人間関係を含めて、実にドラマチックにスピーディかつテンポ良く展開されるんです。それに後半の核心に迫る部分では、妙に現実味を帯びてくるというか、もちろんフィクションのドラマなんだけど、その時の一言が?????と残尿感を残してゆくのです。ひょっとして、これが言いたいが為の3時間だったんじゃないかとさえ思えてきます。あの悲痛なボイスレコーダーの中に、このような可能性を感じさせるものはないけれど、クラブ合宿の帰りに知り、言い知れぬ不安を感じた事故の裏を「たった一言」で感じさせたセリフに感服です。 [地上波(邦画)] 8点(2009-08-09 23:56:59) |
6. buy a suit スーツを買う
昨年9月に急逝し、遺作となってしまった本作。47分の小品で、手持ちカメラを操りながら、ドキュメンタリー風に追いかける。なんとなく鑑賞に入る前後は、「今の世の中はおかしい」とか言っちゃうのかなと少し不安だったが、でもそんなことはなかった。どう生きるのか、どう暮らすのかを至極当たり前のように諭してくれていた。還暦を迎えようとしていた監督だけにやっぱり年の功だと感じました。人物描写もいつにもまして濃厚で、登場人物は少ないけれど”お兄ちゃん”と”ともこさん”の関係などはとてもいいんだな。いやこういう関係がわかる年になったってことか・・うん。しかし、この”お兄ちゃん”の立ち位置がどうしても気になる。東京なのに、おもっきし大阪弁なもんでその風貌といい、ぎりぎりのところで笑いにコケるとこなどは、まっちゃんの”大佐藤”に重なってしかたがなかった。意識してたのかな~・・そりゃないか。まあそれはさておき、パンフレット見ながら思い返しているとタイトルがとってもいいですよね。妙に納得しました。同時上映された”TOKYOレンダリング詩集”。なんだかよくわからなかったが、やっぱりもっともっと見たかったです。 [映画館(邦画)] 6点(2009-04-14 23:46:18) |
7. シルビーの帰郷
少し「カッコーの巣の上で」を意識したつくりです。と言っても、カッコーほど直接的な描写ではありませんが、親切ではあるが排他的な田舎の集落に対する部外者シルビーとその姪たちの葛藤を描いています。ラストのシークエンスまで良く似た流れですが、シルビーという奔放なキャラとカナダの雄大な自然がとてもよくマッチしており、心地よく見ることが出来ました。中でも秘密の森や夜の湖面はとても美しかったです。クリスティーン・ラーチの好演といい、自然に囲まれた湿度の高そうな描写といい、よくまとまった作品だと思いますが、どうしても「カッコーの巣の上で」がチラついてしまい感情移入がしずらい作品となりました。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-03-28 10:58:46) |
8. ホーホケキョ となりの山田くん
おじゃまんがの影響か、ずっと敬遠していた作品。しかし、今見たことが良かった。特に、ミヤコ蝶々さんの訥々としたナレーション(口調)の中に、言い知れぬ安心感を感じました。作画枚数を増やすことで得られる滑らかさも、4コマ特有の抽象化された画に輪郭を与えていて作品のテーマ性に合っていたと思う。そして矢野顕子さんの素晴しく暖かなテーマ曲や様々な形でさりげなく挿入される音楽もグッド。月光仮面の件が少し冗長すぎる感もあったが、気持ちはわからんでもない。全体としては4コマの持つ風情を生かしつつ、長編アニメーションとして、よくここまで仕上げきったなあと感心しました。 [DVD(邦画)] 8点(2009-01-31 15:20:34) |
9. セロ弾きのゴーシュ(1982)
チェロの音と動物たちの関係というファンタジーが青年の成長記録と見事にマッチした良作です。教育的側面もある地味な作品だけど、心の機微をシンプルに素直に表現してくれるのでとっても見やすいかった。時間的にも60分にまとめたのは好印象ですね。不思議な出来事も人間と動物が近しい背景のせいか、違和感なく先へ進めるんですねえ。それに訪れる動物たちが、なんとも健気で愛しいんです。夜の帳の中、外でじっと耳を傾ける動物たちの姿はとても美しいシーンでした。エンドロールにかぶさるゴーシュの生活風景とラストの虫の声も印象的です。 [DVD(邦画)] 8点(2009-01-25 22:11:51)(良:1票) |
10. 運命じゃない人
《ネタバレ》 友人の薦めもあって見たいなあとは思っていましたが、アフタースクールのヒットも相まって、ようやくマイツタヤに登場。勇んで再生してみると、90年代のような湿度を感じる映像にちょっと以外な印象。それでもタイトルから想像した流れになりそうだなっと見ていると、同シーンを登場人物ごとに視点を替え繰り返す演出が始まる。それでも、ベタでスローな流れに飽きがきそうだったが、そこから徐々にスピードアップしてゆく。いや、展開も速くなるが、視点を替える演出がとてもうまく絡みだす。そこまでの映像の中で、何気なく見ていたポイントが利いてくるから余計に面白い。Tパズルのようにシンプルでいて、よく練られています。組長と便利屋やまちゃんのコンビのように、どこか愛嬌のある俳優陣もいい感じだし、ラスト近くの悪戯もまんまと騙されたりと茶目っ気たっぷりの演出には本当に参りました。ただ、これだけの道中を見せられた後だからか、ラストに少し不満が残るのもたしか。正直、“またあ?”と思いましたもん。それとも冒頭の約束と彼女はなにか関係あるのかな?ただ時間を強調するため?ん~これだけ面白いとラストに仕掛けがあるように思えてならないのだが・・。まあ、悪くはないんですけどね。しかし、このままいくと、十分運命的なような気もするのだが・・。 [DVD(邦画)] 8点(2008-12-09 21:43:27) |
11. 無法松の一生(1958)
《ネタバレ》 松五郎の献身さが切ない。お互いに必要としながらも、最後の一言が言えない、言ってはいけないつらさ。手を伸ばせばすぐに届く距離なのに・・。う~こういう純愛には弱いんだよな~。 [DVD(邦画)] 7点(2008-12-05 00:32:55) |
12. 女はみんな生きている
混沌とした冒頭から、徐々に形を成してゆく見せ方は見事。人や場所は入り乱れるが、戸惑うことなく自然と理解できる。送るときは送る、見せるときは見せるといった具合でメリハリが利いているせいだと思う。そして”おばあちゃん”のエピソードに見る、伏線の置き方と拾い方もビューテホー。リアリティのある描写、スピード感、メッセージ性、ラストの括り方と、どれをとっても素晴らしい。とくにラストのセリフなどはズシンときた。コリーヌ・セローは近い将来、ものすごい作品を撮りそうな気がする。 [DVD(字幕)] 8点(2008-12-05 00:24:26) |
13. あおげば尊し
《ネタバレ》 死=タブーな学校教育のなか、生徒と真摯に向き合い、戸惑いながらも実際の死に触れさせようとする教師の姿には、妙に納得させられました。何事もそうだけど、近づいてみて観察することの方がより理解を深められるのは明白です。慣らすというと語弊があるかも知れないが、自身の感情をコントロールする意味でも、死の予習があってもいいような気がする。堤防で見つけたグズグズのエロ本を、ダンゴ虫を掃いながらめくっていた時代ならいざ知らず、これだけの情報に晒されながら成長する子供たちには、常に身のまわりのアナログ世界を認識させておく必要があると思うし、死に対する無防備な感情(思考)をじわじわといたずらに麻痺させてゆくことのできる感覚的情報世界との境界をつくるためにも、早いうちから死を教え、知っておくべきなのかも知れない。そんな風に考えてみると、この作品はとても有意義に思えました。市川監督らしい、晴れた冬の日のような澄んだ映像に彩られた、実に奥深い作品です。しかし、このタイトル曲が歌われなくなった現状からすると、まだまだ学校教育は難しいのかも知れませんね。 [DVD(邦画)] 7点(2008-12-05 00:17:39) |
14. めがね
かもめが秀作だっただけに、めがねは敬遠してました。しかし、今日は寒かったので、なんとなく借りて見たらやっぱり良かった。かもめ以上になんにもなく、ただ黄昏るだけだが、不思議と時間は気にならない。ただゆったりとした時間が流れてゆくだけ。ところどころで差込まれる風景は時間が止まっているかのようさえ感じました。南国の美しいロケーションにおいしいごはんと、なんとも心地のよい作品ですが、見ているこっちも、つい黄昏てしまうのが難点です。それもいいんですけどね。でも誰も海に入らなかったなあ。 [DVD(邦画)] 7点(2008-11-10 01:25:10) |
15. センター・オブ・ジ・アース(ブレンダン・フレイザー主演)
劇場+3D限定の評価ですが、なかなか楽しい作品でした。話は昨今のアドベンチャー物とそう変わりはなく逆に粗さが目立つほどですが、作品のスタンスが終始お気楽路線で、難しい状況もなんのその、さむ~いギャグを連発しながら突き進みます。びっくり系アトラクションをただ楽しむという観方なら大満足な一本です。しかし、3Dなしの劇場やDVDだと満足感はかなり低くなるでしょう。鑑賞方法限定ではありますが、何も考えずパ~と楽しみたい方へおすすめします。 [映画館(吹替)] 8点(2008-10-26 17:01:52) |
16. 夕凪の街 桜の国
この映画作品を鑑賞することはとても難しいことです。もし原作を先に読んでいれば嫌でも粗が目に付くし、先に映画を見ることは原作の詳細を知ってしまうことになる。僕は正直なところ、原作を先に読んでいてよかったと思いました。ただ原作の素晴らしさを再確認するのみでした。わかってはいましたが・・もうこの作品を映画化できるとすればそれはもう“こうの史代さん”自身なのかもしれません。 [DVD(邦画)] 5点(2008-08-30 03:22:45)(良:1票) |
17. ヒロシマナガサキ
《ネタバレ》 物心のついた頃から自然と広島、長崎で起こったことを理解していた思う。それは低学年の頃から学校やテレビで教えられてきたから。黙祷もいっぱいしたし、8月6日は登校日だったりもした。そして小学校の修学旅行では原爆ドームや資料館へもいった。僕は資料班だったので、図書室の「昭和史」などの文献を写したりもしたことがある。所々すりきれた分厚く大きな本を1ページづつめくって見たあの写真の重苦しさは今でも忘れられない。それからも様々な媒体から蓄積された知識をもとに本作を鑑賞したわけだが、本作はこれまでの膨大な資料の総集編といった趣きがする。ドキュメンタリーではあるが、これまでの資料をかいつまんで映画的に上手に仕上げたという感じがした。そういえば本作の公開当時、ある番組でニュースキャスターが日本ではこういった作品は作れないのか、アメリカ人に作られてどうすると言って嘆いていたが、その足元の自社HPでは「夕凪の街、桜の国」の特集が組まれていたことが思い出される。これまで多くの人があらゆる媒体を使い残してきた資料の山の中にあって、僕はこの作品が特別だとは思わない。でも原爆を再認識するにはいい作品だとも思う。冒頭のなんの違和感もなくアメリカナイズされた現在の日本。そして少女がこの日を知らないという。たとえ日本人が忘れてもアメリカだけには忘れてほしくない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-07-31 23:59:17) |
18. 霧につつまれたハリネズミ
ああロシアだ、というなんとも暗く荘厳な絵(パルナス風味)。そしてなんとも暗く優しい音楽と効果的な効果音。チェコのクルテクにも通ずる、旧ソビエト共産圏独特のキャラクター造形の愛おしさ。遠い記憶を思い起こされる心理描写も秀逸。10分程度の作品だけど素晴らしい仕上がりです。バツグンのタイミングで、そして少しだけ不安を掻き消してくれる「ヨ~~ジッ~ク」という呼び声が印象的。 [DVD(字幕)] 8点(2008-06-25 23:02:37) |
19. パンズ・ラビリンス
不覚にも、このジャンルの作品に涙してしまうとは・・ [DVD(字幕)] 8点(2008-06-12 00:08:37) |
20. 僕の彼女はサイボーグ
劇場限定の招待券をもらい、久しぶりに泉の広場を抜けて梅田ピカデリーへ。でも見たい作品が無かったので消去法でこの作品に。「猟奇的な彼女」を見ていたので安心感はあったが、いや、なかなか面白かったです。彼女シリーズをなぞるような恋愛風味の冒頭の流れから、どっかんどっかんへの移行が生々しかったです。本当にこのシーンは現実的な恐怖を感じました。CGがいいレベルで安定しているのも大きな要因となっています。ただ日本が舞台で、もちろんうまく表現しているんだけど、どうしても韓流テイストが端々にうかがえるのはしょうがないのかな。それと時間軸を行ったり来たりするので、整合性が??。僕の解釈が悪いのかもしれないが、故郷や誕生会の描写など、首を傾げるところもありました。とは言っても魅力ある作品であるのは間違いありません。もちろんその魅力の多くは「綾瀬はるか」の存在です。彼女は完全に本格化しました。これから益々、いろんな媒体で引っ張りだこでしょうが、使い捨てされることなく、いい作品でいい演技をしていってほしいものです。 [映画館(邦画)] 7点(2008-06-10 22:40:51) |