1. 今ひとたびの
《ネタバレ》 有閑令嬢と、こういう人たちの理想的な男性像とのラブストーリー。 恋愛というものがあるならば、こういう形だろうと思う。 でも格差の時代の令和の今では、こんな上流階級の女性はいないだろう。 今の女性なら、独身を貫けるから・・ だから、こんなラブストーリーは、昭和のロマンですね。 当初、高峰三枝子じゃなくて、原節子がやるはずだった。 でも、それが当たった!憂いな目をした女性は、高峰の方が当たり役。 だって、原節子が本気で男に惚れるとは思えないものね~ [ビデオ(邦画)] 7点(2025-03-13 23:17:05) |
2. 痴人の愛(1949)
《ネタバレ》 キューブリックの「ロリータ」が、1962年作。 10年以上前にもう日本では、こんな映画があった! まぁ年下婚の、落ち着くまでの話みたいでしたが・・ でも源氏物語の紫の上みたいに、理想の女性に育てるべく、 小さい頃に手をつけるみたいな話が、日本にはありますので、 谷崎潤一郎もその辺からインスピレーション湧いたんじゃないかなぁ・・ 若い新妻に、若い男が興味持って寄ってくるとこなんか、 光源氏に権力がなかったら?ってな発想でさぁ・・ 平成のころの、塩田明彦監督の「月光の囁き」なんか、 本作の「馬になる」どこの騒ぎじゃないマゾっぷりを描いてるもんねぇ・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2025-02-20 00:39:50) |
3. 安城家の舞踏会
《ネタバレ》 時代の転換期に起きる出来事と言ってしまえば、そうだが、 戦後のGHQによる解体により、華族が地位を奪われた。 ネットで調べると、結構苦労された方々もいるという。 何より驚きなのが、日本映画に、このような歴史が刻印されていること。 古い日本映画を訪ねると、日本の歴史もよく分かる。 原節子は、やはり女優なのだなぁと感心。 小津さんに可愛がられている彼女しか知らないと、原節子を分かったことにはならない。 現実を見て、崩れ落ちる一族を支え、毅然と対応していく強い女性。 そんな女性も、やまとなでしこの一面なのだ。 ラストのホールでの父親とのダンスが、切なく悲しく、そして美しい。 [DVD(邦画)] 7点(2025-02-03 21:58:38) |
4. 待って居た男
《ネタバレ》 山田五十鈴の 「泣くよ!泣くわよ!泣いちゃうぞ!!」のシーン。 可愛いったら、ない! こんなチャーミングな女性、令和の時代にはいないんじゃない!? エノケンの目明し、五十鈴の迷探偵ぶり。 何と楽しい、美味しい作品! [ビデオ(邦画)] 9点(2024-09-27 23:30:43) |
5. 毒薬と老嬢
《ネタバレ》 トムとジェリーみたいな落ち着きのないブラックユーモアコメディ。 若いケーリーグラントがギョロ目で好演。 ヒッチコックのユーモアは、本作から来ているのかもしれない。 後の「ハリーの災難」の原型かもしれない。 映画の内容は、中身はなく、ただ2転3転して、それが落ち着かないで、 そのまま転がり続けるような内容。 「素晴らしき哉」「スミス」のキャプラとは思えない、騒がしさ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2024-08-22 15:40:37) |
6. 国定忠治(1946)
《ネタバレ》 さずが!国定親分の子分は粒ぞろいですね。 お松さんとの別れのシーンは、歯を食いしばって観ました。 映画を観て、歯を食いしばるなんて、中々ないですよぉ。 歴史を知っているから、ラストがたまらない。 赤城の山にこもるまでを描いた映画でした。 板妻がばっちりはまり役! [ビデオ(邦画)] 8点(2023-02-12 01:23:25) |
7. 土俵祭
《ネタバレ》 一見、いい話だが、「?」となる部分もある。 黒澤明脚本なのだが、自分では監督したくなかったのだろう・・ 戦前から映画を撮り続けてた黒澤にしてみれば、 大事な女と契らずに出世していく、この千恵蔵演じる力士、竜吉。 戦後の日本映画が荒れはじめた、その分かりやすいポイントと言える作品。 (終戦前の作品だが)この頃から日本はあちこちで欺瞞を抱え始めたのだろう。 [DVD(邦画)] 6点(2022-08-07 18:19:47) |
8. 素浪人罷通る
《ネタバレ》 良かった! 伊藤大輔、人情時代劇、ここに極まれり~~~~~なんつって! いやいや、イイね♪ 徳川家の落とし子が一目、親に会いたいと願う。 しかしお家の面目その他もろもろ、そう簡単にはいかない! ここで出てきたのが、我ら板妻素浪人! 命を懸けて、子どもの気持ちをかなえようとする! ラストは、いつもの哀しい展開・・ もう泣けるよね~ 最高です!伊藤大輔時代劇! [ビデオ(邦画)] 8点(2021-11-20 02:00:46) |
9. ジェニーの肖像
《ネタバレ》 これは深い! 男と女の、普遍的のものを語っている気がして、しょうがない。 もう映画が出来て、この時点でここまで人間を描いてる話が完成してることに驚き。 これを見て育った、今や伝説になった巨匠たちの作品を見て、 我々は育っている。 物語りの本来、あるべき姿をもう一度見直すべき時ではないか? [インターネット(字幕)] 9点(2021-09-17 13:05:31) |
10. 無法松の一生(1943)
《ネタバレ》 下手なコメントできない。 日本映画の傑作。 何度も観たい。 [ビデオ(邦画)] 10点(2021-07-09 11:12:42) |
11. 夜の女たち
《ネタバレ》 田中絹代、汚れ役である。 メガホンをとるは、溝口健二。 先に小津さんの「風の中の牝鶏」や溝口の「歌麿をめぐる5人の女」を見てたので、デジャブがある。 ここでの田中は、メソメソしない。 居直って、他の猛者たちとも渡り合うし、収容所からの脱走までやってのける。 田中絹代の集大成のひとつ「西鶴一代女」にわたる流れである。 それにしても、この映画の田中の髪型。 まさしくサザエさんである。 小生、サザエさんのモデルも田中絹代ではないか、と睨んでる。 [DVD(邦画)] 7点(2021-04-25 23:36:58) |
12. 歌麿をめぐる五人の女(1946)
《ネタバレ》 狩野絵師が浮世絵師に惚れこむという着想がいい。 その後、田中絹代などの女たちの男をめぐるバトルがあるのだが、 ラストは、壮絶な"おきた"の女の生きざまを 歌麿が絵にするところで終われば、良かったのだが・・ それを画面に映し出してくれれば、もっと良かったなぁ・・ 「美しき諍い女」もそうだが、絵を題材にした作品で、完成した作品を 画面に出す作品はない。 音楽なら「蜜蜂と遠雷」があるのだが・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2021-04-03 02:52:18) |
13. 情婦マノン
《ネタバレ》 マノンを逆さに肩に担いで歩く有名なシーン。 それがラストシーンだったとは・・ 死んだマノンの愛が本物かどうか、彼女を担いで、 砂漠のサボテンと会話する場面は、屈指の名場面だ。 情婦の愛が本物かどうかを問う映画は、いくつかある。 でも多くは男性がダメな場合が多い。 そこで情婦の方も人間不信に陥って、心を凍らせる。 有名なのが「ミスターグッドバーを探して」「プリティベイビー」といったとこか・・ この映画は、純な男性が、情婦に心を吹き込む数少ない映画だと思う。 ラストの砂漠の名シーンで映画が引き締まって、本作を名作に仕立ててる。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-27 16:20:01) |
14. ジャコ万と鉄(1949)
《ネタバレ》 骨太な男が二人。 この硬派な二人の存在で、もう立派なドラマになる。 見習ってほしいです、今の邦画界! 漁場の支配人に昔の恨みをはらさんとする月形龍之介。 支配人の息子で、気性は荒いが気持ちのいいドラ息子を三船敏郎。 クライマックスは、待ちに待ったニシンの群れが来るところで迎える。 ホント、最後の20分くらいである。 ニシンの群れを前にしてストライキ、この二人の男の喧嘩と、ニシンとの格闘、 青っちょろい意見を言う「大学」の死。 あっという間の90分であった。 どうです!どんでん返しもない、凝った編集もないのに、この面白さ。 脚本に黒澤明の名前。見事です。 ゴチャゴチャしてないストーリーに、乾杯♪ [ビデオ(邦画)] 8点(2020-09-20 01:12:31) |
15. わが青春に悔なし
《ネタバレ》 黒澤監督は、原節子に容赦しないよね~。 小津さんみたいに大事に扱わない。 確かに戦争に負けたから、欧米の「自由」の種がこの国に植えられた。 だから当時の世相に逆らった主人公の彼の立ち位置も、映画の筋としては成り立つ。 (もちろん戦争は大反対。映画の筋だけ追った場合のはなし) だが、彼の姿勢は反対のための反対じゃなかったか? そこが彼と一緒になった原節子の情緒不安定さにつながる。 しかし、彼は急死した。 残された嫁の原節子は彼の信念と結婚したのだ。 それがあるから自分を支えることができたのだ。 黒澤監督がアメリカかぶれかもしれないという意見もある。 が、後の傑作が、やはり黒澤監督の偉大さを証明している。 万歳!黒澤さ~ん! [DVD(邦画)] 7点(2020-05-14 00:24:41) |
16. 野良犬(1949)
《ネタバレ》 イイですよね~ 新米刑事とベテラン刑事の仕事の違いで前半、観せるんですよね。 そして後半、一緒に犯人を追いつめていく。 ところが、ベテランの方が凶弾に倒れる。(亡くならないですけど・・) そして、新米刑事が自分の拳銃に最後、銃口を向けられる。 もうこんな筋書き、完璧すぎでしょ! 黒澤明は本当に凄すぎ! [DVD(邦画)] 9点(2020-05-10 23:37:40) |
17. 風の中の牝雞
《ネタバレ》 観る前は、え、あの小津さんがこういう映画を?と思った。 女性のチャーミングな振る舞いを映画の演出のツボにしていた小津には冒険だったろう。 観てみると、なるほど小津の笑いがどこにもない。 この映画は興行的にも失敗し、小津はこれ以降、比較的裕福な中流階級の家庭を描くことになる。 しかし、鑑賞後、小津の感性で、このような敗戦後の日本の負の側面を描き続けたら、 どんな作品ができたろうかと惜しむ気持ちも僕にはあった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-10-17 03:06:43) |
18. 戸田家の兄妹
《ネタバレ》 今、戦前の映画に興味をもって観ているが、 小津安二郎が国策映画を撮ったから、あのような 独特の小津映画ができたのかなと思っていたが、その仮説が 見事に間違いと気づかされた一本。 国策映画の創られてた頃のこの作品に もう小津安二郎は自分のスタイルを完成させていた。 この映画がそれで、東京物語を思わせるようなストーリー。 でもちょっと後半のあのお兄さんの説教は 勝手だなと思わせる。 説教を垂れる映画は多いが、その大半はうなづけるもの。 勝手な理屈の説教を垂れる映画も珍しい。 小津さんはでもそんな勝手な人間を愛らしく描く。 凄いです。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-10-16 11:13:21) |
19. 長屋紳士録
《ネタバレ》 小津さんの映画は、ほっこりするね。 昭和の戦後の高度成長の頃だろうか? 出稼ぎで上京してきた親子の子供がはぐれて、長屋にお世話になる。 まぁそういう話なのだが、この頃は本当に貧しくて、ルンペンと言われるような 乞食のような子供もいたから、長屋の人たちは、最初は子どもを邪険にする。 ところが強情なのだが、どこか憎めないこの子に、情が移って来る。 最後のおたねさんの涙の訳を聞いて、長屋のみんなは「ほう」と思う。 分かれて悲しくて泣いたのでなく、その子供がどんなに嬉しいだろうか、思って泣くのである。 もうこういうハートの分かりやすい映画は昨今ではないねぇ・・ [ビデオ(邦画)] 8点(2019-08-09 14:34:14) |
20. みかへりの塔
《ネタバレ》 清水宏は子どもを描くのがうまいなぁ。 自然体ではないけど、子どもらしさってさもあありなんって感じ。 漫画サザエさんの子ども描写とよく似ている。 案外、長谷川町子さんは清水宏からヒントもらってたのでは? 映画は問題児たちが水路工事と言う事業をなしとげてしまうという話。 ラストは涙なくしてはいられない。 素晴らしい作品だと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2019-05-07 08:34:06) |