1. ハッピーフライト(2008)
《ネタバレ》 「大空港」から始まるエアポートシリーズを代表として、空港パニック映画はサスペンス映画、群像劇の定番です。かなり大衆化しましたが、空港というのは非日常感体験の一つだからです。 それを邦画でANA全面支援で、矢口監督がやってみようとしたのがこの映画です。邦画らしく、パニックではなくプチパニック程度に抑えて楽しく見られるようになってます。 言ってしまえば、ハワイ行きANA機がピトー管の故障で引き返して嵐の中で無事着陸するだけなんですが、CAの綾瀬はるか、GSの田畑智子、パイロットの田辺誠一、時任三郎などなど、役者陣がいい味を出してます。群像劇で、観客からは全体像がわかるんですが、登場人物同士は顔を合わせていないのに意思疎通しなきゃならなかったり、エピソードの組み合わせが本当によくできている。ただ、工具を紛失したエピソードはちょっと作りすぎでしょう。第三者が持って帰るというのは、ちょっとね。 実際の空港のほんの一日を切り取って見せただけですが、こんなにドラマがあるんですよ、という矢口監督の意思がよく出ています。題名通りハッピーなフライト気分になれます。 そして、一部プロップ使ってるのがまるわかりなのが残念ですが、今となっては国内線ではもう普通に乗れないジャンボ・ジェット実機を十分に堪能できる点が個人的には評価高いです。ジャンボはいい飛行機だったよなあ。 [DVD(邦画)] 8点(2025-01-08 20:46:34) |
2. 国家代表!?
《ネタバレ》 公開時のキャッチコピーが「ほぼ実話」。 実際は、完全に超誇大広告でまるっきりの嘘映画。 史実なのは、韓国がスキージャンプ代表をでっちあげて、長野オリンピックに参加して、ダントツ最下位だったということだけ。 登場人物の個人エピソードは全くの嘘(監督が言ってるもん)。長野オリンピックなのに、観客席に日の丸ほとんど見えません(反日ですからね)。白馬のジャンプ台がおかしいし、ジャンプスーツは21世紀のです(考証がいい加減にすぎる)。素人の弟をいきなり飛ばすことなんて無理です(あの大きさの台じゃ、ほぼ確実に重傷か下手すると死亡)。あまりに作りが雑すぎる。ちょっとでもジャンプ知ってたり、長野オリンピックのジャンプを見てたりすると、嘘ばかりで興ざめ。 長野オリンピックのスキージャンプの裏方エピソードを扱った邦画に「ヒノマルソウル」というのがあります。こちらはテストジャンパーの実話を扱ったもので、非常に丁寧に作られています。ぜひ、見比べてください。「国家代表!?」の酷さがわかります。 ほんと、どうして「ほぼ実話」なんてキャッチ付けちゃったんだろうね。 [DVD(字幕)] 0点(2024-04-20 09:43:40) |
3. 南極料理人
《ネタバレ》 ゆる~いおっさんたちが、食を中心に南極でひたすら日常生活を送るだけのお話。それがなんでこんなに面白いんでしょう。そして、見終わったら、なんでこんなにラーメンが、それも「あっさり醤油ラーメン」が食べたくなるんだろう。というわけで、これはおすすめ。ただし、できたら、映画館で見てください。DVDやBSじゃなく、リバイバル上映で。あの巨大なエビフライや、あまりにも旨そうなラーメンは、大画面で見ることを計算されて撮られているのだそうです。 映画としては、かなりの硬派です。最近は字幕が読めないだけではなく、役者側が過剰に言葉で説明したり、説明エピソードを入れなければ理解できない観客が増えたと言われていますけれども、そんな層は最初からおかまいなしです。南極の自然環境の厳しさを、言葉で説明させることも、説明エピソードを入れることもしない。400日以上男だけで暮らすので、食が唯一の楽しみであること、そのためにどれだけの食材を苦労して運んでいるのかの説明もしません。一見たるいおっさんにしか見えない人たちが、どれだけの碩学かの説明もなし。作中で掘り出される氷柱が、100万年前までの地球の環境を知る世界第一級の資料であることも強調しません(これはホントです。これほど凄いのは日本にしかありません。地球環境関係なら、ほぼどんな文献にも引用されている世界唯一の資料なんです)。そういったネタになりそうな事項はガン無視して、ひたすらおっさんたちの日常生活を描くだけ。南極の厳しさが描けてないとか、エピソードに乏しいとか、ぐだぐだ抜かす想像力がない層への配慮は全くありません。頭を空っぽにして見るだけでも愉しい、想像力を働かせても愉しい、説明過剰な昨今のテレビ中毒の人にはつまらない、そんな映画です。 [映画館(邦画)] 9点(2012-10-04 20:19:45)(良:2票) |
4. 私たちの生涯最高の瞬間
《ネタバレ》 ハンドボールは、こんなたるい競技じゃない。 [DVD(字幕)] 1点(2008-12-28 19:59:19) |
5. 庭から昇ったロケット雲
《ネタバレ》 夢を追うことの感動を与えたいというのが、制作陣のやりたかったことでしょうね。しかし、余りに作りが杜撰なものだから、どうにも評価が難しい、というか低評価しかできないな。現実の宇宙開発に関係するものを扱う場合は、ライトスタッフのように考証をきっちりして必要な部分だけ改変するか、アルマゲドンのように完全にファンタジーとして扱うかにすべき。現実の宇宙がシビアなだけに、どちらかに徹底しないとどうも収まりが悪いのです。残念ながら、これは中途半端すぎて悪い方に出てしまった例ですね。日本では荒唐無稽気味に取られるけど、民間宇宙開発なんてのはアメリカでは珍しくないし(というか日本でもやってるし)、個人での有人ロケット開発だって、80年代から実際に挑まれているし、現実味が微妙にあるんだから、もうちょっときっちり作るべきだった。 主人公は、厳しい選抜を通り抜けた元宇宙飛行士候補生という設定です。なのに、銀行の窓ガラスにレンガ投げつけ、簡単な財政計算ができず家族を路頭に迷わせる寸前まで追い込むという人格破綻者。それ以外にも、どうみても最初の発射の失敗時の描写がひどくて、あれは普通リークから爆発するだろうとか、噴射煙が届く位置にマスコミがいるのに発射してしまうとか、単段式で軌道飛行やってるとか、地球軌道に載って各国がレーダーで追跡できるのにアメリカ政府がわかりませんと否定するとか、あんまり脚本が杜撰すぎる。きっちり作るか、あるいはファンタジーにするか、選べなかったのが敗因だと思います。 夢を追ったリアルなサッカー映画ですと宣伝した映画があったとしますね。その内容が、8歳の女の子がワールドカップに魔法で出られて運がいいだけで得点王になるというのでも感動するという人向けです。 そういう宣伝ならせめて45歳の盛りを過ぎたベテラン選手が艱難辛苦と努力の末になんとか代表に選出されるというストーリーが欲しいという人には相当にきつい。 手短に安直に上滑りの感動をその場限りで持てれば、荒唐無稽でもなんでもいいやという大雑把な人ならいいんでしょうね。だけど、そんな感動に意味などあるのかな。なにせ、物語の破綻に眼をつぶっても余りある演技や説得力が殆どないんですよね。ホントはもっと評価低い(2点くらい?)んだけど、バージニア・マドセンの例外的に良い演技と、久方ぶりの宇宙物ということで、それぞれ加算してこの点数。 [DVD(字幕)] 4点(2008-12-28 19:51:35) |
6. JSA
なんで、こんなに平均点高いのかわからない。 ご都合主義の脚本、大げさな演技、無闇なテンション... ひょっとして、これを受け付けられないとだめなのかなあ。 それより、韓国メロドラマ=突然の他界・記憶喪失・血の繋がらない兄弟etcなのと同じように、韓国シリアス=38度線・反日しかないのでしょうか。 脚本のまずさ、大げさな演技、無闇なテンション、38度線、みんな同じに見えてくるんですよ。 センス・オブ・ワンダー、これが欲しいところです。 [DVD(字幕)] 0点(2008-04-24 01:21:53) |
7. 猟奇的な彼女
《ネタバレ》 あ~、邦題に騙されたかな。最後まで「猟奇」を期待した私が馬鹿でした。何か騙された気分。 全然「猟奇」じゃないよねぇ。 [DVD(字幕)] 0点(2008-04-24 01:14:57) |
8. 私たちの幸せな時間
何を描きたいのかが今一わからなかった。拉致被害者の翻訳本で興味を持ったんだけど、映画は原作を生かせてない気がしたなあ。それ以前にそれなりに重い話なのに役者がミスマッチなのか、リアリティが全然なかった。こういう話なら、美男美女をキャスティングするより、渋い演技をきちんとできる俳優にした方がいいんじゃないかなあと思うんですが。 [DVD(字幕)] 1点(2008-03-08 03:20:39) |
9. それでもボクはやってない
ある意味「パッチギ」に似た監督の思い込み的プロパガンダ臭がだめでした。ただ「パッチギ」よりはまともに作ろうとしている姿勢が見えたので、この点数です。あと、かなりミスリードを誘う映画かなあ、とも。殺人を犯しているのに無罪になった殺人犯が再度殺人を犯した事例や、強姦で執行猶予ついた犯人が執行猶予中に強姦殺人を犯した事例、痴漢冤罪被害者の会の会長が痴漢を犯して現行犯逮捕された事例(いずれも日本の実例)について、周防監督が映画を作ったらどうなるのかな、とちょっと考えたり。でも、周防監督は、ちょっとだけ泣かせるようなコメディタッチの作品の方がやっぱりいいなあ、と再認識しました。 [地上波(邦画)] 2点(2008-03-08 03:10:49) |
10. スペーストラベラーズ
《ネタバレ》 前半部分と後半部分が全く別の映画。とにかく「カタルシスがない」。導入部分は甘く見てもいいんですが、後半にかけて製作者の独善的な引っ張りが目立ちます。結果、見終わったあとに爽快感もなければ、考えさせられるものもない、一昔前の独善的邦画になっちゃったようです。踊る大走査線のノリなのか、俺たちに明日はないのノリなのか、どっちつかずの失敗作。得点は、深津絵里の演技に敬意を表して。 [DVD(邦画)] 1点(2008-03-08 03:00:42) |
11. パッチギ!
一方的な政治プロパガンダ臭が私にはだめでした。 これが違和感ない人ならきっと楽しめるのでしょう。 ごめんなさい、点数あげられないです。 [DVD(邦画)] 0点(2008-03-07 06:36:36)(良:3票) |
12. ガチ☆ボーイ
《ネタバレ》 チャットモンチーの主題歌が流れるエンドロールにもう少し工夫が欲しかったくらいで、あとは全編面白かった。 エンドロールのせいで一点減点したいんだけど、本編内容が素晴らしいので、目をつぶって満点。「学生ノリだけど、芯はしっかりしている」描き方が秀逸でした。これは是非みんなに見てもらいたい映画です。ただ、宣伝の仕方が下手だなあ。「海猿」の時のように力を入れて宣伝して欲しかった。ROBOTが絡んだ映画は「逆境ナイン」も「サマータイムマシンブルース」も、面白いのに宣伝の力が足りないよ。宣伝が薄いし、なかなか話題に上らないけど「ガチ☆ボーイ」は文句なく面白いです。ええと、見るときはティッシュかハンカチを忘れずに、です。 [映画館(邦画)] 10点(2008-03-07 06:32:38) |