1. アンダーニンジャ
《ネタバレ》 福田監督は嫌いじゃなくて、勇者ヨシヒコとかアオイホノオとか変態仮面とか、ギャグとストーリーのバランスが良いときなんて、本当に楽しい作品を作ってくれてると思ってるんです。 でも、なんというか、最近の新解釈三国志とか、聖おにいさんとか、ちょっとギャグセンスが悪い方に作用しちゃってると感じてます。しかも、福田監督本人はそれをわかってない様子なのが、ちょっとつらい。 アンダーニンジャは、原作がシリアス要素が多め、ちょっとした笑いや不思議な会話が混ざってるという感じ。それが幾分良い方に作用したのか、この映画は最近の福田監督にしてはギャグ部分のセンスが少し抑えられて、まあ見られるようにはなってます。 それでもね、襖の開け閉めの部分はまあ許せるにしても、パーカー透明化のオンオフをやり過ぎとか、やっぱり悪目立ちする演出がきついとこもあります。佐藤二朗の外見の描写は原作通りなんだですが、映画にするならもっと抑えた方がいいと思ったり、原作に忠実にすべき部分と脚色すべき部分のバランスもあんまり良くないです。 映画監督って、「~組」と言われるくらい役者やスタッフを囲い込む感じなんですが、それって周りからのキツイ評価が届かなくなる性質もあって、外部からの刺激が必要なんですが、福田組はそういう新陳代謝が少ない。下手すると裸の王様になりかねない。だから、思い切って、どこかでなにかを一新すべき時期だと思います。 はっきり言うと、佐藤二朗、ムロツヨシの重用は一時控えるべきではないかなと思いますよ。 山崎賢人、間宮祥太朗はいい演技でした。浜辺美波も金髪以外は結構いい感じ。VFXはまあこんなものか。上忍の表現はなんとかしたいところでしたけれどねえ。 そして、ラストは続編狙いなのかも知れませんが、原作をずっと追ってない人には意味不明になりませんか?もう少し配慮が欲しかったところです。 評点は、最近の福田監督にしては、一応見られたということで、少し甘めです。 [映画館(邦画)] 6点(2025-01-26 16:31:58)《新規》 |
2. 劇映画 孤独のグルメ
《ネタバレ》 シーズン前に必ず「これが受けなかったら辞められる」と話す松重豊さん。案の定、この映画の前にも言ってました。今回もちょっと辞められそうにないですね。興収もかなり良さそうで、シーズンはまだ続きそうで、映画が成功して良かったです。 劇場で本編開始前にクラスJと空弁のJALコラボのCMが流れて、もうここから心が持って行かれました。あ~孤独のグルメだ~、って。関係ないけど、空弁最強は新千歳空港で決まりです。 お話は年末の地域スペシャルの国際拡大版という感じの単純な物探しクエストで、捻りも何もありません。スタンディングパドルボートで島渡りを画策して遭難、韓国に不法入国くらいがちょっと映画的演出かな、でもあとはいつもの孤独のグルメスペシャルです。宣伝ではパリがキャッチーですけど、五郎ちゃんがパリに滞在するのは冒頭の依頼場面だけ。パリの店も一軒だけ。あとのパリはリモートでしかも室内が映されるだけで、宣伝は上手くやったなあと思います。海外部分はほぼ韓国なのでちょっと肩すかし、ちょっとがっかり。 孤独のグルメのリアリティを感じさせる演出は健在。 劇中で、「孤独のグルメ」の松重豊演じる井之頭五郎役を脚色した「孤高のグルメ」で遠藤憲一が演じる善福寺六郎(ややこしい)。彼がリハーサルでモノローグを声に出してしゃべりまくり、いざ本番の前に「本番ではモノローグはしゃべりませんから」と、オダギリジョーに言う場面。これが、実は孤独のグルメのリアリティを作っているんです。普通の人は、なんでもかんでも声に出してしゃべらないですよね。 松重さんがオダギリジョーに、内田有紀に会ったことを一言も口に出さないのも、さすが分ってるなー、という感じです。オトナの話ならそうなる。会ったことを話してトラブルになって、くっつけ直して涙の再会に持っていく臭い恋愛演出なんて、孤独のグルメには要りません。この映画の中では、オダギリジョーと内田有紀は顔も合わせない、それでいい、それがいいんですよ。 料理の撮影はやっぱり良くできてます。劇伴で撮る料理って難しいんですよ。普通に撮ったらまず美味しく見えない。色味、温かさ、その他もろもろ工夫がいるんです。脂を塗ってテカらせたり、湯気を送り込んだりとかね。この映画がどうやったかはわかりませんが、オニオンスープ、ビーフ・ブフ・ブルギニョン、ちゃんぽん、貝ときのこの怪しいスープ、この辺は本当においしそうでした。どうして、さんせりての炒飯だけは別途紹介しなかったんでしょ。サンセリテってのは真心と言う意味。真心があまり見えない炒飯は紹介しないということかな。 ただ、焼き鯖は別にして、韓国料理は全然おいしそうに見えなかった。食材のせいか、むしろ不味そう。そして、結末のラーメンもあんまり美味しく見えなかった。同じ映画でも、南極料理人のラーメンは実に旨そうだったのに。そこは残念でした。 撮影と言えば、初っぱなから不思議な感じでした。パリロケを3日間やって、現実のパリを撮っているのになぜかブルーバックを背にしているような画面と雰囲気。知らないで見たら、全部合成を疑う出来です。撮影方法をちょっと変えているのは後から知りました。 松重さん、遠藤さん、オダギリジョーの演技はさすがに達者。そして内田有紀がまだまだ綺麗ですね~、若い頃より随分味が出てきましたよ。 ストーリーをどうこういう映画ではないですから、あんまり内容的にあれこれは言いませんが、韓国部分は要らなかったと思うし、別の演出で代用できたと思います。 船で気がついて、朝鮮語聞いて「韓国だったらまだいいが」というギャグはちょっと受けたけれど(北朝鮮だったらここからサスペンスものですね)、結局流れ着いても対役は日本人の内田有紀だし、日本人的に食べるところを複数人で最初から最後までずーっと観察されているってのは嫌なものですし、なにより韓国部分での内田有紀が、他の役者と段違いに綺麗すぎて、頭身やスタイルが良すぎて浮きすぎてます。韓国おばちゃんの中にも少し綺麗な人を入れないとバランス取れませんよ。それに、イミグレの人は今時翻訳機で意思疎通くらいできるから、そこの演出も良くない。鱈出汁は五島列島にもあるしね。というか、五島列島の郷土料理をちゃんと出して欲しかった。「腹が、減った」という時のポン・ポン・ポンという効果音も韓国部分だけ、フォン・フォン・フォンと変えてて違和感。 効果音といえば、劇伴曲についても一つ。エンドロールの後のセリフに、あのゴローちゃんのテーマを被せて欲しかったな。映画版では一度も流れないんだもの。あの、「イ・ノ・ガシ~ラ、ゴロー」というスキャット。勝手に脳内補完してました。 松重さん、確かに腹が減りました。次のシーズンも期待してます。 [映画館(邦画)] 7点(2025-01-17 06:18:38) |
3. シビル・ウォー アメリカ最後の日
《ネタバレ》 結構、原作有りの映画が好きです。原作と映画を重層的に楽しめるから。こういう背景があったのか、ここを改変した意味はなんだろう、とかメタ的にも楽しめます。 この「シビル・ウォー」、原作はありません。ただ「アメリカは内戦に向かうのか」という著作から着想を得て作ったそうです。この本は、現在のアメリカは専制的になっているし、白人が少数派に落ちる不安感から、アメリカの分断傾向はさらに進んでゆく、という趣旨です。そこで、内戦になったアメリカを描くと面白いと思ったのでしょう。 しかし・・・これは妄想ですが、実際に脚本にする段階でエライ困難にぶち当たったのではないでしょうか。内戦の想定を説得力あるように描けない、と。現在のアメリカの分断は、人種もそうですが共和党と民主党の思想の分断です。だから、共和党州と民主党州に分断するのが簡単ですが、そんなもの描いたら実社会から猛反発を食らうのが目に見えてる。しかもそれを描いたら、ハリウッド的にどちらが正義かという問題を解決しなきゃいけない。また州を実際的に分断したら州軍はいいとしても、全世界に配備されてる国軍の扱いも描かなきゃいけない。ザがついた「ザ・シビル・ウォー」ならアメリカ南北戦争を指すんですが、あれはまだアメリカが世界に出て行っていない状態だから内戦ができた。今の世界の警察官のアメリカが内戦やったら、すぐ世界に波及する。国軍が内戦から距離を置いたら、誰が軍の統制をとる?というか、州軍は国軍に敵わないから、国軍を抑えた方が一方的に勝つ。 だから、内戦の説得力ある背景なんて描けるわけがない。じゃあどうしようか。 そこで、内戦の背景なんて描かないという荒技にでたんじゃないでしょうか(あくまで妄想です)。実社会の分断を落とし込んだら、非常にやばい。だから、実社会では絶対に組まないテキサスとカリフォルニアを、映画では組んだことにして誤魔化そう。国軍の存在はないことにしちゃおう。州軍が持っているのは例えば空軍ならせいぜいF16。国軍はF22やF35を持っているから話にならない。特に海軍・海兵隊を想定すると反乱州軍はあっという間に国軍に平定されてしまう。国軍に反乱を想定すると別の映画になっちゃうし。 こんな感じで脚本を作っちゃったから、観客みんなが内戦の背景がさっぱりわからないものになる。逆にわかってもらったら困る。国軍をないことにしたから、戦闘もなんだか小さな地上戦をこちゃこちゃしか描けなくなるし、大きな絵がかけないから、内戦に巻き込まれた個人の矮小化した話にするしかない(あくまで妄想です)。 と、私は見てしまったので、内戦の背景が適当で内戦理由も摩訶不思議、描いてるのは個人の矮小物語としか感じられず、評価は低くなりました。 わけわからない内戦に巻き込まれた人間の話なら、中東でもアフリカでも東南アジアでもできるし、その方がリアリティあります。本作は、ただ舞台がアメリカってだけがキャッチーなだけです。 もちろん、我関せずの街の描写、赤いサングラスの民兵とかシーンの迫力はそれなりにありましたし、カメラマン志望のケイリー・スピーニーちゃんがときどきすごく可愛いのでキュンとしたりしましたから、映画としては見所はありますが、あまりのめり込めなかったことも確かです。 [映画館(字幕)] 3点(2025-01-08 20:45:31)(良:1票) |
4. 私にふさわしいホテル
《ネタバレ》 ネタバレ多めなんで、ダメな人はスルー推奨です。 小説家に愛された「山の上ホテル」。この休業の知らせを聞いたのは、2023年の10月でした。老朽化のためという理由で寂しい思いで一杯でした。でも、明治大学が取得し、外観そのままで再整備をしてホテルとして継続していくという嬉しいニュースが舞い込んだのが、2024年の11月。そう、つい先月です。今月この映画が公開されたのは奇運です。きっと、このホテルを愛した小説家たちが後押ししてくれたんですねえ。 さて、原作つきのこの映画、筋は原作をなぞってますが、大胆な改変が加えられています。原作では、舞台設定は現代です。主人公がホテルにチェックインすると、まずやるのは愛用のマックノートのセッティング。東十条宗則も原稿用紙と万年筆ではなく、執筆はWindowsノート(原作ではシャンパン攻撃でパソコンがパー。酷すぎる)。 ところが、映画の設定はバブル直前の1980年代が始まりです。ただ、これがいい味を出しているんですね。やっぱり山の上ホテルには、原稿用紙と万年筆がよく似合います。受賞連絡の集まり会(黒電話の前に、作家と担当編集が集まって連絡を待つ)を撮りたいがために、この設定にしたそうですが、これが本当にいい味を出してます。 これに合わせるため、東十条宗則は、原作の3階建ての打ちっぱなしコンクリートの自宅に住むツイードの背広愛用者から、日本家屋に住む和服愛好者に変更されてます。細かいところだと遠藤役の田中圭の娘も10歳と8歳から、もっとずっと幼く設定変えされてます。なんというか、制作陣の設定力を見せつけられた思いです。橋本忍風に言うなら「原作は何を目指していたのか、それを捕まえる」、天川太陽風に言うなら「魂はあっている」。これは素晴らしいです。原作の主人公の中島の恋愛話と、オーディション復讐話をすっぱりと切ったところも好感が持てます。遠藤が黒幕になってるところも、さりげない描写にとどめている。 だけれども、どれだけ制作陣ががんばっても、原作が荒唐無稽なだけに映画も結局荒唐無稽になっちゃってます。のんのコメディエンヌぶりも、嵌るところより滑るところが多くてちょっと気恥ずかしい。特に文豪コールはあれ・・・。それにラストシーン、あれで終わらせるなら、のんの容姿造形はあれでいいんでしょうか。美魔女どころではないですよ。だから「魔女だと思えばいい」んですかねえ。 あと、超便利な道具であるスマホを使わせないために、年代設定をいじる映画が増えてます。けれど、描写をちゃんとしないと一気に醒める場合があります。細部に神は宿る。本作でも、編集部の場面で当時のワープロを集めて感じを出してますが、そこここにある電卓が(泣)。車窓に時折映る対向車や駐車車両が何故か現代のデザイン、背景ぼかしで胡麻化してますが、80年代のあの辺は・・・ まあ、いろいろ言いたいことはありますが、エンディングロールで山の上ホテルの細かいところを映してくれたり、サービスはあって面白かったです。 ちなみに、制作陣の改変の最大の功績は、カリスマポップ店員を30代の青白い男性店員から橋本愛に変更したこと。これはスマッシュヒットですよ。 さて、みなさま、ご自分の携帯・スマホの電源が切ってあることをシツコイくらい確認して、映画を鑑賞してくださいね。 [映画館(邦画)] 6点(2024-12-30 09:22:48) |
5. 十一人の賊軍
《ネタバレ》 結構長い映画なんだが、最後まで一気見をさせるような迫力はあって、面白かった。 山田孝之はやっぱりいい役者なんだよねえ。駕籠政もできればヨシヒコもできて、役者としての幅広さが伺える。最近の常に同じ演技、一本調子の役しかできないアイドル系出身役者とは違って見ごたえあるよ。 映画自体は、特に負傷した部位が飛び散るようなところが悪趣味で、あれはもっとうまくやれたのではないかと思った。少しグロテスク気味。そして、もう一つ音声が聞き取りにくい。方言がどうとかじゃなくて、発声や録音がよくないのか、何を喋ったのか分かりにくい部分が、(特に前半に)多かった。 しかし、最近「侍タイムスリッパー」とか、殺陣を真面目にやる映画が盛り返してきたのが嬉しい。この流れがずっと続きますように。 [映画館(邦画)] 7点(2024-12-11 13:48:01) |
6. 死体の人
《ネタバレ》 確かに、放送大学は有名ですね!! そこのセリフは受けました。 [映画館(邦画)] 8点(2024-11-30 09:46:55) |
7. ぬけろ、メビウス!!
《ネタバレ》 「赤毛のアン」って、本当は児童文学じゃないって知っていましたか?悩める少女の成長を描いた真面目な物語なんです。じゃあ、現代日本の若い女性だとどうなるかを考えてみよう。これは、そんな試みの映画。 映画としては・・・脚本が穴だらけ。契約社員の5年ルールって、事前に知らせておいても今は大問題になるんですよね。いっぱい裁判も起きてます。期限切っての雇い止めからの一転正社員提案で、まともな会社に見せたつもりかもしれませんが・・・。はたして、この雇い止めが当たり前みたいに描いていいのかなあ。 優子は母の紹介で会社に入ったらしいので、親友のなっちは優子の紹介で時期がずれて就職したのかな?就職時期が一緒だと、二人とも雇い止め対象になっちゃうから、そう考えないとだめだよね。なっちだけ正社員登用なら、その話も出てくるだろうし。でも、短大・専門以外はずっといっしょって言ってた?あれ?そもそもなんの専門学校行ってたんだろう? たまたまコンビニの支払中に、たまたま隣で道を聞いていた王子様に一目惚れ?それ、全然伏線なくって余りにも唐突だけど、説得力ありますか?えーと、優奈さんは王子さまと結婚前提のお付き合いで悦にいってるけど、名前の詐称がわかったらどうするつもりなんだろ?まさか、何も考えてない?王子様は3週間しかいない予定と言ってたけど、最低1週間過ぎてから花束もらって、吊すだけでドライフラワーになる長期間静岡に滞在してたの?滞在延長したのかな(ちなみに設定は静岡ですが、撮影は千葉県我孫子市です)。 優子は専門学校行ってから就職して5年近くたっているんだよね。じゃあ大学受験をするなら、専門の単位が使えるなら編入考えてもいいし、社会人受験を考えた方が自然だよね?それに、大学行ったときの生活費問題は解決したの? などなど、他にもいっぱいこういうのがある。どうも狭い世界しか知らない若い人が、自分の周りだけみて書いた脚本のように思える。もうちょっと、ちゃんと社会的なリサーチして練った脚本を作ったらよかったのになあ・・・コロナで難しかったのかな。 まあ、いろいろ文句言いましたけど、脚本の穴を、それはそれはかわいい坂ノ上茜と芸達者な周りの役者が、演技で全てカバーしてます。藤田朋子の老け方にはびっくりしたけど。優子は社会人としてはいっぱい酷いことやってるんだけど、それに嫌味が感じられず、そんな子もいるよね、って温かく見守っちゃうくらいチャーミングです。ラスト近くの優子からお母さんへの独り語りはちょっと長過ぎたかなあと思いますが、カフェとかでのセリフ回しも結構小技が効いてます。タイトル絡めるためなんでしょうが、唐突なメビウスへの言及が、少し残念でした。優子が無限記号を知っててメビウスを知らないのは不自然ですし・・・まあ、それでも、この手の低予算邦画としては、十分及第点以上で面白いです。 一つだけ考察。この映画の優子は、そばかすがコンプレックス、自分の名前が嫌いで勝手に別の名前を名乗る、夢は先生、周囲を引きずり回して自分探しをしています。これ、全部、「赤毛のアン」の主人公アン・シャーリーの特徴です。だから、これは、現代日本で「赤毛のアン」をやってみたらどうなるか、の試みなんでしょう。まあまあ成功しているんじゃないかな。とくに、坂ノ上茜のキャラクターがはまっていました。客観的には酷いことをやっていても、本人の魅力でカバーしちゃう、最高ですね。 映画本編は、あえて大学受験の結果を描かずに終わっていますが、これが「赤毛のアン」を下敷きにしていると考えると、結末は100年前から決まってます。優子アンは、親友の奈月ダイアナと一生涯友情をはぐくみつつ、無事に先生となって、紆余曲折の末、太一ギルバートと結ばれます。ハッピーエンドです。ああ、良かった。 そうそう、一つ言い忘れてました。100年前にアンが暮らし、幸せを築いた村は、「アボンリー」村というところでした。きっとカウンターの吉岡さんは、こういうでしょう。「聖アボンリー学院大学?知ってるよ、僕はなんでも知ってるんだよ!」 [映画館(邦画)] 8点(2024-11-30 09:39:21) |
8. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
ひとことで言えば、「もったいない!!」 NASAのあの贅沢な施設、当時の状況をあそこまで再現して、ポリコレ枠も珍しく絞って、これほど贅沢な環境なのに、なんでこんな変なラブコメにしちゃったんだろう・・・ いやもう、ゴールデンエイジのアポロ時代を綺麗に見せてくれているのに、本当にもったいないです。 あの時代のNASAで女性を広告責任者にするなんてあり得ないし、広告方針もあんな杜撰なやり方はないし、 オメガの下りなんか、捏造もいいとこだし、フィクションだから措くとしてもやりすぎだわ~ 陰謀論もちゃちだし、最後の猫ちゃんで分かる下りなんてアホラシすぎる それになにより、スカーレット・ヨハンソンに魅力がない。「マンマ・ミーア」の時も思ったけど、厚塗り化粧の年齢のいった女性を向こうは持ち上げすぎるのかな、全然かわいくないです。どんなに胡麻化しても目尻の皺とか、あれでヒロインはもう無理だと思う。 たぶん、日本人とアメリカ人の感覚の違いだから仕方ないのだろうけど、ラブコメにしても入り込めない。しゃべりすぎでうるさいし。チャニング・テイタムもあんまり恰好よくない。 映像は綺麗で、モブマシンのN-104(NASA仕様なのでFじゃない)とか、P-51(話の都合でD型なんですが)も美しい(でも撮り方はトップガンの方がよい)。 だからこそ、魅力がない役者の変なラブコメに陰謀論を絡めたいい加減なストーリーが口惜しいです。 この精度で、まともなアポロ宇宙物にして欲しかった・・・ そして、本当にアメリカはヴェルナー・フォン・ブラウンを消しにかかってるんですね。ちらりとも出てこなかった。議員を説得するのはフォン・ブラウンの役目だったんですけどねえ・・・ [映画館(字幕)] 4点(2024-07-27 05:37:46) |
9. シン・ウルトラマン
《ネタバレ》 良かったです。 ウルトラマンは時代によって、そして自分がどのシリーズをいつ頃見たかによって、ものすごく感想が変わるものなんです。 カラータイマーがないとか、肌の色が変わるのはおかしいとか、みんな自分が昔見た時代にあっていないと、違和感バリバリで文句を言います。 普通は、みんな思い入れが凄い子供時代に見ていますからね。 でも、最初期のウルトラマンデザインには実はカラータイマーはないし、着ぐるみのためどうしようもなくつけてしまった背びれもありません。 怪獣の成り立ちも、全然違ったりします。 だからこそ、庵野が自分の見たかったオリジナルを再現したのは良かったのです。誰がどんな文句をつけようとも。 個人的には、科特隊(本作では禍特対)の制服はオレンジであって欲しかったし、ゼットンとの闘いはもっとスケール感が欲しかったけれども、それも単なる個人の感想。オタク代表の庵野がウルトラマンをどう見ていたかを見られただけで満足です。 斎藤工は素晴らしかったですし、それ以上に山本耕史のメフィラスは、はまり役でした。 シン・エヴァ、シン・ゴジ、子供のころのこだわり、そういった先入観を外して見てください。これこそ庵野のウルトラマンです。 [映画館(邦画)] 8点(2024-07-02 18:55:47)(良:2票) |
10. 翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜
《ネタバレ》 「阿久津はどうしたっ」 これ最高に笑いました。 「甲子園に叩き込めっ」 大阪大阪言ってるのに、甲子園?あそこ兵庫じゃなかったっけ? 「浦和vs大宮」 ああっ、結局はそうなるのね。 「エンディングロール」 凝りたいのはわかるんですが、これはどうなんでしょう? 「日本にはバカバカしい映画が必要です!!」 うんうん、これは良作です。(ホント?) あと、俺の菱沼さんが、なんか歳をとってしまった・・・ [映画館(邦画)] 6点(2024-06-11 13:06:13) |
11. ライド・オン
《ネタバレ》 トム・クルーズ「トップガン・マーヴェリック」、舘ひろし・柴田恭兵「あぶない刑事」、そしてジャッキー・チェン「ライド・オン」。 もうこれ、この2年のカムバック3部作と言っていいんじゃないですか? 昨今の各所に配慮した配慮しすぎた映画群に反発するようなキリっとした爽快感!! 昔の設定生かすんだから、ポリコレなんか関係ないっ!! いいですね、映画はこうじゃなきゃいけないんです。アメリカだって、日本だって、香港だって、みんな本当はこういうのが見たいんです。 ただ、また別の問題もあって、本当の次世代スターが育ってないんですねえ。どこかのごり押し勢力とは全く関係ない本当のスター。 だらだらやってるシリーズじゃなく、大スターがまだまだやれるんだ、というこの手のお話は以前もありました。 例えば「ハスラー2」。ポール・ニューマンの「ハスラー」の25年後の続編なんですが、ポール・ニューマンの健在を示すと共に、共演のトム・クルーズのきらぼし感。 そういった世代交代が普通だったんですが、今回のあぶないトップオンでは、輝く次世代スターが育ってないんです。これからどうなるんでしょうね。 脱線しすぎ・・・「ライド・オン」に戻します。 ジャッキー、老けたなあ、というのが第一印象。容貌は仕方ないですが、アクションも年齢なりにキレがなくなって・・・それでも凄いんですが。 ストーリーは老父と馬と娘の人情物と一言で片付けられてしまう。そして、ジャッキーものにしては珍しくだらだら長い。 メリハリがない回想が随所にはめ込まれ、しかも回想はジャッキーの容貌をごまかすために顔ぼかしが多くて見にくい。 やたらと溜めが長く、娘とうやむやのうちに和解、適当な理由で何度も起こる仲違い。 なにか、できの悪い人情物邦画の定式が伝染しちゃってるようです。良い点を真似てくださいよ。 というわけで、映画としてはそれほど褒められたものじゃない。 それでもジャッキーの乱闘とスタントシーンで救われています。というか見所はそれでそれだけで、でもそれさえあれば十分素晴らしい爽快感が得られます。 あとのことはどうでもいいのかもしれませんね。 どうでも良すぎて、スタントの女弟子が入院したまま忘れられちゃってます。彼女は無事に回復できたんでしょうか。 中国民法311条の善意取得を主張するなら、ジャッキーの善意を立証すればいいだけ。 なのに、会社の持ち物か個人の持ち物かを争点にしている。新米弁護士の彼の将来が心配です。 ところで、私はテレビの吹き替え世代ではないので字幕版で見たのですが、韓国嫌悪の表現が所々ありました。 これまでジャッキー映画ではそういう他国揶揄の表現はみたことなかったのでちょっとびっくりしました。 ジャッキーは三菱自動車と蜜月だったので、全盛期でも中国・香港にありがちな日本揶揄さえなかったんです。韓国嫌われてるね。 吹き替え版では配慮されてるかもなあ。 エンディングは伝統のNG集。バリバリCG使ってるのが「本編は一体なんだったんだ」と、笑えます。ちなみに、左端にエンディング曲の中国語歌詞、右端に日本語訳、中央左のNGシーンには日本語訳。結構忙しい字幕なんですが、普通にわかるのが凄い。表意文字の漢字の威力です。 最後に一言。この映画のDVDが出るならば、作中でシャオバオが見つけたUSBの中身を是非特典で付けてください。お願いします。 [映画館(字幕)] 6点(2024-06-09 10:34:55) |
12. トップガン マーヴェリック
《ネタバレ》 これこそ古き良きハリウッド・エンターテイメント、いやあ面白い。 30年前の初代の雰囲気そのまま。 しかし・・・敵国をイランにしちゃって大丈夫かな。F-14を使用可能で残してるのはイランだけなんだから・・・ さすがに敵機はCGになってて安心しました。初代は敵のミグ役をF-5がやってて、完全に興ざめだったからねえ。 昨今のポリコレ全開のハリウッド、軍人は悪としか言えない凝り固まった左翼全開日本映画、どちらとも一線を画す爽快な映画でした。 [映画館(字幕)] 8点(2024-05-31 22:02:12) |
13. グランツーリスモ
《ネタバレ》 宣伝とは裏腹に、実話原作ではあるけれど、超簡略化と結構な改変をして、とてもわかりやすくしてあります。進路含めた親子関係や師弟関係、事故からの立ち直りなどに申し訳程度に触れてますが、深掘りすることは潔く諦めてます。いっそ販促映画じゃないかってほど、割り切りが心地よいくらいでした。 画面作りに、いろいろゲームのエフェクト入れてます。ゲーマーなら喜ぶから、これはこれでありかも。ただ、参考までに、普通の映画を見たい私には煩わしかったです。 レースの画面は、アングルを様々変えて、空撮を入れて、エンジン・動力伝達を瞬間で挟む王道の撮影方法。ゲームのエフェクト足して描き方を工夫しようという痕は見えますけど、ゲームエフェクト入れるとやっぱりちゃちいです。最近の映画だと「フォードvsフェラーリ」には全く及ばない。まあ、ちょっと仕方がない。ゲームとのリンクが主題だから、本物の迫力を強調しすぎるとダメなんでしょう。画面のパワーがないです。 映画みたいにeスポーツのシムレーサーがちゃんとレースやれるかと言うと、難しいです。映画でも言ってましたが、レーサーはアスリート並みの体力が基本で、そうじゃないとコーナリングのGが無理です。シムレーサーからレーサー目指すなら、まずは体力を。実際のヤンが活躍できたのは、父がプロサッカー選手で、体格や体力がヤンに伝わっていたことが大きいんですが、それを映画のあの役者の体格で読み取れた人がどれだけいたかなあ。 主人公ヤンの役者が、選択失敗。アスリート体型を父から引き継いだという感じが全くないモヤシだし、演技も下手だし、人を引きつける魅力がない。モデルのヤンが混血だから、似た俳優を使ったということなんですが、その必要は全くなかった。エンディングで本人写真を出して、ほら似てるでしょうとやる必要なんてないんです。最近の主人公は褐色か黒でなければならない、という風潮にSONYも屈してしまったか。誰でも知ってる有名人をモデルにした映画じゃないんだから、単純に主役も、魅力ある人を使えばいいんです。なんなら白人だっていいんです。実話が元だから、という声も全く妥当には思えない。だって、魅力的に思えるようにすごい改変してるじゃないですか。ヤンはGTアカデミーの初代じゃなくて、3期目の優勝者でしょ。初と3期目じゃ意味合いが全然違うのに変えてるじゃないですか。初めてこんな夢の計画が始まったって驚喜するのと、3期目に応募してみようかなって全然違いませんか? 映画プロモのためにも変えてるじゃないですか。初代にもヤンの同期にも韓国人なんかいないじゃないですか。韓国人がGTアカデミーに初参加したのは、ヤンの3年も後なのに。 ル・マン3位を強調してますが、実際はただのクラス3位で、しかも車も全然違うじゃないですか。わかりやすい悪役のCAPAチームってモデルいないじゃないですか。 いろいろ変えてるんだから、魅力のない主人公はやめて欲しかったですよ。主人公以外の造形は良かったです。オーランド・ブルームははまり役。オードリーちゃんは、もっと若ければ日本でも受ける容姿だと思います。 まあ、いろいろ書きましたが、頭からっぽ映画としては良いんじゃないかな。「第9地区」の監督は、こんなのも撮れるという驚きもありです。 [映画館(字幕)] 3点(2024-05-11 09:09:19) |
14. 陰陽師0
《ネタバレ》 うーん、うーん、唸ってしまう。久しぶりに予告編詐欺にあったような・・・ まず、キャストがあってない。晴明の人を食ったような態度は、あんな馬鹿な子供じみてはいない・・・博雅は完全にミスキャスト、染谷は身長も雰囲気も違うんじゃ・・・ 美術も変。陰陽寮の描写、あれなんなんですか?当時の時代背景であんな石造りの建物はおかしくないですか?淑子女王含め女官の衣装、中韓狙いなのはわかるけれど、やっぱり和には合わないよ。それに、あの花びら撒き、種類も量も変ですよねえ。 ストーリーもしょぼすぎる。晴明陥れのための陰謀が動機ややり方もあんなちゃちなもので納得いかない。色模様入れたいのはわかるけど、淑子女王はこのストーリーでは全く不要。入れるにしても最初の竜の下りの開幕エピソードくらいにとどめておくべき。全体にみんな演技が下手なうえにやりすぎ。 予告編のVFXが出てくるのは後半も後半、最後に方にちょっとだけ。予告編みて期待したら、愚にもつかない淑子女王の愚痴演説を聞かされて、テンションダダ下がり。ああいう話なら、予告編をそれ向けに作ってくださいよ。 [映画館(邦画)] 2点(2024-05-05 09:15:19) |
15. ゴジラ-1.0
《ネタバレ》 怪獣映画なんて、久々だ~と思ったけど、去年は午前10時の映画祭で「地球防衛軍」見てたなあと。あの時代の特撮と比べると、もう映画の質が雲泥の差だと思ったんですが、メイキングみたらCGがすごくなっただけで、現場の創意工夫は変わらないんですね。ほっとしました。映画はゴジラ部分と、戦後部分が(私からすると)上手くはまってなかったから、2本の別の映画を見た感じです。お得です。震電の駐機部分はとても良かったけど、飛んでいる部分が昔の円谷みたいでまだ技術力が足りないかなあ。ドラマ部分は、古き良き邦画をちゃんとリスペクトしていて、シン・ゴジラとは違ったテイストで面白かった。最後に、アカデミー賞受賞おめでとうございます。 [映画館(邦画)] 8点(2024-04-16 07:28:04)(良:1票) |
16. ゴールデンカムイ
《ネタバレ》 原作好きだから、実写はどんなもんかと思ったけれど、いやあ面白かった。 ただ、これ続きを映画でやってくれるんだろうか。このペースでやったら20本くらい必要になるよねえ。 [映画館(邦画)] 8点(2024-04-16 07:20:16) |
17. 私はいったい、何と闘っているのか
《ネタバレ》 ヤスケンと小池栄子の演技がはまってました。姉弟のキャスティングがミスマッチだと思ってましたが、まさかキャスティングまでが伏線だったとは。細かいところまで目の行き届いた映画だと思います。 鑑賞後、つぶやきシローの原作を読んでみまたしたが、原作にかなり忠実でありつつ、大胆にカットしたところもあり、それで破綻していないので脚本が秀逸だったことがわかります。 ただ、伊集院の死亡場面やカレー屋の場面などについてはB級感が否めないのでこの点数。ファーストサマーウイカが上手すぎてびっくりしましたよ。誰かと思った。 [映画館(邦画)] 7点(2024-04-16 07:16:19) |