1. 12モンキーズ
《ネタバレ》 モンティパイソン仕込みのコメディとシリアスのあいだを抜ける演出がこの監督の魅力なんだと思う。 ラストは、未来からジョーンズ博士が来て、未来は救われたのだとわたしは解釈したが、そうではないと思う人がいるようで意外だった。 「わたしは保険よ」という台詞の意味は、ブルース・ウイルスが失敗したときのために来たという意味だと思うが、なかなか伝わりづらい演出にも思える。 マデリン・ストウが急速にブルースに惹かれ始める要因は、彼女が以前にブルースに会ったことがある、という意識から来ているのだと思うが、そのあたりの伏線があればもっと作品がよくなったと思う。その伏線がないために、彼女の急速な心情の変化に唐突感を覚えてしまう。ブルースが彼女を子供の時に見て覚えていたというのはわかるのだが。細かな辻褄は合わなくてもいいと思うが、彼女の心情の変化はこの映画の後半をひっぱる重要な要因だけにこの伏線はつくってほしかった。 いずれにせよ、俳優陣の演技も含めて脚本も演出も素晴らしく、とても完成度の高い映画だと思う。 [ビデオ(字幕)] 7点(2017-05-20 14:29:01) |
2. ヴィジット
《ネタバレ》 老人と精神病者をこんなふうに描くことには賛成できません。おもしろければ(怖ければ)なんでもあり、の姿勢は気に入りません。モキュメンタリーにすると低予算で撮影できますが、反対の声をあげにくい弱者を弄るような内容ではなく、批判を恐れずに強者を弄る内容で勝負してもらいたいと思いましました。それだけのことができる、力のある監督だと思っています。たしかに最近はヒット作もなく、苦しい状況なのかもしれませんか、この題材で利益をあげようとする姿勢は少し卑怯に思いました。 [インターネット(字幕)] 4点(2016-08-17 09:39:45) |
3. ザ・クリミナル 合衆国の陰謀
《ネタバレ》 CIAのエージェントであることがマスコミに漏洩、暴露された事件である「プレイム事件」をもとにした作品。同じ題材を扱った、後発の『フェア・ゲーム』もヒットしませんでしたが、『ザ・クリミナル 合衆国の陰謀』はもっと悪く、アメリカで公開さえできませんでした。ただしこれは合衆国の陰謀ではなく、製作会社が破産してしまったためのようです。 キャスティングはよく、演出も悪くないと思いましたが、この題材を扱うのであれば、ノンフィクションという体をとらなければ難しいのでは、と感じました。 映画をおもしろくするために事実を改変したというのならわかりますが、この作品の場合、エンターテイメントのためではなく、真実味を出そうとして改変しています。拘置所に拘留される主人公の夫が、主人公の拘留中に浮気をしたり、主人公が子どもの親権を奪われたりするのは、事実なら興味深いですが、主人公に同情させようとしているような制作者の意図を感じます。逆に主人公を支える健気な夫像を描いて美談にするのも難しいところですが、エンターテイメントにするならそうして欲しかったと思います。つまるところ、この映画の制作者はこの映画をエンターテイメントとして描きたかったのではないのでしょう。 いろいろ書きましたが、俳優のアンサンブルはよく、見ごたえはあります。 [地上波(吹替)] 6点(2016-05-15 15:59:56) |
4. PARKER/パーカー
ドナルド・E・ウェストレイクの主人公をジェイソン・ステイサムが演じるとどうなるか。そしてそれをテイラー・ハックフォードが撮ったらどうなるか。その答えがこの映画です。 『プルーフ・オブ・ライフ』にしてもこの映画にしてもテイラー・ハックフォードが撮ったアクションはヒットしませんが、この人には『愛と青春の旅立ち』の印象が強すぎるのかもしれません。もっと評価されてもいいのに、と個人的には思います。 ジェイソン・ステイサムもかなり固まったキャラクターの印象が強い俳優ですが、この映画ではしっかりとドナルド・E・ウェストレイクなテイストがあり、いつもの彼とは一味違います。『ペイバック』のメル・ギブソンもよかったですが、ジェイソン・ステイサムのパーカーもなかなかよかったです。妙な信念を持つ、悪党のプロフェッショナル。言っていることはまともだけど、やってることはめちゃくちゃ。おすすめです。 [インターネット(字幕)] 8点(2016-04-27 05:38:43) |
5. ブリッジ・オブ・スパイ
《ネタバレ》 興味深い話だとは思いましたが、おもしろいとは思えませんでした。 シナリオも撮影も上手いのですが、映画としての盛り上がりを感じることができず、退屈な印象が残りました。 『シンドラーのリスト』の感動があるかと思ったのですが、残念です。 トーマス・ニューマンとスピルバーグの組み合わせはなかなか新鮮でよかったです。 [映画館(字幕)] 4点(2016-04-27 02:02:38) |
6. ジョン・ウィック
犬がめちゃくちゃかわいい。キアヌに懐いているところがすごくよく撮れています。 アルフィー・アレンの粋がったあげくに怯える演技も素晴らしい。『ゲーム・オブ・スローンズ』でも見事でしたが、この映画でもひたすら怯えています。 そして、「ひとりぼっちのキアヌ」がいいです。これだけ「ひとりぼっち」が似合う俳優はキアヌをおいて他にはいません。リーアム・ニーソンにもスティーブン・セガールにも出せない味です。 キアヌは新人監督と組むのがいいのかもしれませんね。 [映画館(字幕)] 7点(2016-03-12 01:34:53) |
7. 記憶探偵と鍵のかかった少女
この映画、アメリカでは恐ろしく興行収入が少ないですが、それに反してよくできた映画です。主演のふたりは素晴らしいし、脚本もよくできていると思います。しかしながら展開に幅がないため、小品といった印象を残します。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-03-10 01:47:10) |