Menu
 > レビュワー
 > Yuki2Invy さんの口コミ一覧
Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1627
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
21
投稿日付順1234567891011121314151617181920
21
変更日付順1234567891011121314151617181920
21
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  DUNE デューン/砂の惑星 PART2 《ネタバレ》 
この2作目も、全体的なクオリティは完全に前作同等の高水準を維持していますね。どころか、映像のクオリティ(⇒特にその「スペクタクル性」)については今作後半は特に大幅に向上していったとも思いますし、ドラマとしても、そもそもが長大・深遠な物語+この映画化では1作目から作品のテンポ自体はごくゆったり進行してきたコト、も踏まえて、いよいよお待ち兼ねの今作後半でそれが佳境に入ってより断然面白くなる+そーすると尚更にこの超・豪華キャスト個々の役へのドハマり様(=その面での完成度の高さ+手抜きの無さ)も実に素晴らしく感じ取れる+何よりお話に一旦の決着が着くコトで間違い無く前作より娯楽性の面も向上している、というコトで、コレは1作目がイマイチだった人にも是非、出来るだけデッカいスクリーンで観てほしいってヤツでありますね。私は池袋のIMAXレーザーGTテクノロジーで観ましたケド、意外にも今作、1.43:1の全画面サイズになるシーンが(特に人の顔のクローズアップ場面では)結構多くって、ソコにも何だかお得感すらありましたよね。重ね重ね是非々々。  正直、今作って諸々と(個人的には)『アラビアのロレンス』みたいなモンだとも思えて居て、ほぼほぼ最高評価にするしかないレベルの歴史的な作品だとは確信しているのですケド、多少、その評価に迷うトコロが在るとしたら、そのテーマ性の部分=徹頭徹尾極めて「古風な」価値観に支配されているコト、位かとは思いますね。それ自体は当然、原作に忠実に準拠しているというポリシー故なのだとは思うのですが、それでも、他にその面に現代性を取り込んだ作品が数多く在る中で、正に今を生きる現代人が今作に共感できるのか、という観点からは、当然に個人差となってくるハズのモノだ(⇒ソコに差が在るコト自体はごく妥当だ)とも思われるのです。あくまで私個人としては、ソコは全く気にならなかった(=ある点で「史劇系映画」だと看做すならば全然フツーにそれらにも共感できた)というコトで、本来の点数と思われるこの評価としておきます。
[映画館(字幕)] 9点(2024-03-16 11:50:30)(良:1票)
2.  枯れ葉 《ネタバレ》 
引退するって聞いたときには、やっぱ(少しだけ)驚きもしたのですが、その時からも何となく復帰の可能性は在るかな…とは思ってて、んで5年で復帰ってコトなのでコレは正直「好い頃合い」だと思ったのです。が今作、そんな個人的期待や前評判の高さをも完全に凌駕してゆくがマデに、意外なホドに非常に素晴らしい作品に仕上がってたのですよね⇒短いタームの引退期間でしたが何かしらが(想定外に)好い方向に変化・進化しちゃったのか?とすら。まず、内容とゆーたら、直近の監督作と比べても実に全く何の変哲も無い超・ありふれた物語だとは思うのですよ。勿論、幾つかの親しみ易いテーマはしっかりと置かれては居ます。がしかし、率直にそもそも「やっぱそーいうコトじゃない」と思わされてしまったとゆーか、映画ってやっぱ(何を語るにしても)それをどう語るか、どんな画(色)で+どんな言葉(音)で彩るか、唯それだけのコトなのだ、と再度気付かされてしまった…と言いますか。思いがけず寧ろ、コレこそが映画だ(=映画の技術の粋と言うべきモノだ)とまで、もう唸らさせれてしまった…と言った方が好いかも知れません。  画ヅラと言うならまず、やっぱ何処も彼処も再び魅力に溢れて居る…のですが(⇒北欧の日常風景てのは、色んな他作品でも観るたび実感するコトではありますが、やはり少し風変わりとゆーかちょっと見慣れない感じが常に新鮮に感じられるとゆーか、それもまた今作でも効果的だったかな~とは思いますね)、今作は中でもその「色合い」とゆーか、ごく落ち着いて涼し気なハイソな感じもあるのですが、一方で非常に「鮮やか」だったなァ~という感覚が強かったのです。何となく、直近のカウリスマキ作品には「青い」ってイメージが有るのですが、今作はその青を非常に単純に「儘ならないという意味での憂鬱」の表現として使っている様に見えて、でその中 or 隣とかに(それと相対すべき何かとしての)赤や暖色が配されるという、シンプルなそのコントラストが非常に鮮やかに効果的だった様に見えました。コレも、誰でも出来そう・思いつきそうなモンだとも思うですが、それでも重ねて「卓越した」技術だったと思うのですよね(ココまで来ると)。  音楽的にも、今作はまたほぼほぼ歌芝居と言って好い様なレベルでモロに「歌う」シーンが多くって、かつ監督作の特徴としての台詞の少なさ(+しかも更に各々の本音はソコでまず言葉にならないコト)も相まって、それらの歌に登場人物の真の感情とゆーのがほぼ全て仮託されている…と言っても好い状況だったかと思うのですね。そもそもタイトルの『枯れ葉』とゆーのも、コレは私もどーいう意味だろ?と思って観に行ったら結局、ズバリ例の名曲シャンソンのコトだった様です⇒あの曲のイメージが骨格と成っている・あの曲を流しながら終わってゆくべき映画だった、という(コレも)シンプルな手法のよーで。でも、随所で流れる数々の曲ってのは、有名なのもあればそーでないのもあるし、音楽的なジャンルも様々…である一方で、実に心地好い調和の下でその「物語り」を各自見事に遂行していたとゆーか、コレとかもまた卓越した手腕だったな+とゆーかコレって単に映画の空気感の醸成と言うより、正に監督の価値観とゆーか(或いは)人生そのものの曝け出しの方じゃなかったかな…と思わされてしまいましたよね。こーいうのを、こんなカタチでモノの見事にやってのけられるとゆーのは、別に表現者でも何でもない私からしても、実に本当に羨ましいコトだな…と(また)唸らされてしまいました。傑作。
[映画館(字幕)] 9点(2024-01-28 22:53:09)
3.  君たちはどう生きるか(2023) 《ネタバレ》 
現実の世界・歴史と強固に繋がっている物語ではありますが、ジャンルとしてはごく純粋なファンタジーですね。前述の構造も含めて、ジブリだと『トトロ』とか『千と千尋』に酷似しているとも思いますが、個人的にはよりプリミティブな『不思議の国のアリス』の様なお話だな…とはいちばん最初に感じたトコロです。表現としては、誰しも「コレがジブリだ!」と膝を打つ様な監督固有のアニメーションが見事に健在だったコトに加えて、今作では炎や水といった抽象的な部分の(おそらくCGによる)表現に更に磨きをかけて⇒ソレを前述の手書き風アニメにより完璧に融合させている様子もまた見事だったと思います。もう一つ、コレは確実に意図的に監督の過去作=嘗てのジブリ作品中の種々の風景・象徴的要素を物語の中に非常にふんだんに織り交ぜてゆくのですよね(⇒観れば誰でもスグに気付くというレベルで)。でも、正直なトコロ、全体として非常に示唆的・比喩的に見える物語ではあるものの、話の内容や個々の描写・台詞自体にソコまで高度な意味が積まれている様には見えなかったor 少なくとも1回観たダケで分かる様にはつくってない(or 最低限私にはソコは伝わらなかった)という、控えめに言ってもごく「難解な」作品だとは、確実にそー思われましたですよね。  でも、しかし、じゃあナニも伝わらなかったのか?とゆーとそんなコトは全くないのですね。むしろ、私個人としては観終わった瞬間、コレは監督がもう、有りと有らゆるモノ全てを完全に肯定している作品だ…という実に暖かくてポジティブな感覚に包まれたのです。前述のセルフオマージュが意味するモノは監督の映像作家としての人生そのものだ、とも感じましたし、ソレも含めてナニかを次の世代に引き継ぐこと・或いは引き継げずに新しく真っ新に始めてゆくしかないコト、悪意の無い世界に生きるコトが叶わず、夢破れて斃れてゆくコトも有りうるというコト、すらも、全て一切合財が此処に至ってはこの世界の美しさに見えるのだ…と。重ね重ね私には、今の今、最後に監督の心の中に残って居るのであろうあの懐かしい風景の数々が、また今も尚こんなにも美しく+その感覚を全世界の人々と確実に共有可能だ、というそのコトこそが、映像作家としての監督の最も尊い部分なのではないか…と思われたのですよね(途中、ワリとウンウンと唸りつつも、今作を観て最後にはそう思うに至りました、と)。  この予想が外れてもナニも哀しくも・悔しくもありませんが、私自身はやはり、今作が監督の(正真正銘の)最後の作品だと信じておるのですね。そして、今作がその最後の作品であって本当に好かった…とも、また信じているトコロではあるのですね。
[映画館(邦画)] 9点(2023-07-14 23:06:54)
4.  エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 《ネタバレ》 
※多分、二度三度と観た方が確実に好いという類のヤツだと思いますので、再見・再々見が前提のレビューとなります。情報量が多すぎて、私も到底初見で十分に把握できたという感覚は無いです。   勿論、ミシェル・ヨー演じる作中キャラとしてのエヴリンの(とゆーかその多元宇宙を貫く一つの「存在」としての彼女の)物語=ドラマもチャンと用意されては居ますし、ソレとて十二分に共感可能なクオリティでも在るのです。しかし私にとっては、も~ソコはどーでも好かったとゆーか、今作は個人的にはドラマでもアクションでもコメディでも(無論、カンフー映画でも)ナンでもありませんでした。今作とは、私にとっては唯々「マルチバースとは何か」という、端的に言うなら「世界観を語る」映画であり、より適切にはとある一つの「哲学」であったのですね。思い返せば確かに、昔から世界中に(何時でも何処でも)ソレっぽいコトを言ってる人って結構大勢居たよな…とも思いますし、劇中でも言及される様に近代の素粒子物理学なんてのも結局そーいうハナシでしょ?とも聞きますよね(実は、好くは知らんのですケド)。実際にこの世界って、宇宙って、本作で描かれる正にその感じに(意外に&ワリと&かなり)近いんじゃねーかな…と思いがけずも強烈に実感してしまった、とでも言いましょーか(=我々は単に、彼らの様に「バース・ジャンプ」がまだ出来ない…というダケのハナシであって)。  実のトコロ、昨今流行りの「所謂」マルチバースって正直ナメてたとゆーか、個人的にはアメコミ映画のご都合主義…位にしか思ってなかったのですよ(その意味では、モノの見事に足元を掬われてしまいましたよね)。取りも直さず、その「マルチバースとは何か」を2時間強の映像で語り尽す為にはナニを、ドレだけ放り込めばソレが「エブリシング・エブリウェア」を体現してくれるのか?という点での監督の「取捨選択」とゆーのは(ドコからドコまでも)実に「冴えてた」と思うのですし(大半の箇所でごく緻密で、でも且つは所ドコロは適切に「適当=カオス」であるコトも含めて)出来上がった作品だっても~アルティメットに創造的・独創的な優れた代物だったと思います。傑作かと。  また実のトコロ、どー見ても娯楽作…なテイで居るワリには全く全然そーいう映画じゃなかった(=相当に「人を選ぶ」作品だ)という点で、評価自体は比較的難しい方のヤツかもな…と思ったりもするのですが、一旦は(自分を信じて)この評価とさせて頂きます。シンプルに映画館で是非。  ※重ねて、再見・再レビュー前提で
[映画館(字幕)] 9点(2023-03-04 00:17:38)
5.  ノースマン 導かれし復讐者 《ネタバレ》 
事前情報は(また)特に入れていなかったのですが、ワリと始まった瞬間にも「たぶんあの手の(古典的な)ヤツだな…」という予想は付く様な感じの作品でしたし、結局はその予想どおりの内容でもあったのですよね(=北欧風『ハムレット』)。ただまァ、大部分においては古典的でシンプルな復讐譚、でかつやや貴種漂流譚的な要素も含みつつも、後半は多少の工夫・アレンジも施されて新鮮み・意外性も在り、かつそのごく破滅的(+どこか解放的)なラストにもチャンと巧く繋がってゆく全然出来の悪くない流れをしっかりと擁している…とも思いました(⇒古典的とは言え、お話としてもシンプルにそこそこ面白いヤツだったかなと)。  また、ソコまで神話的・ファンタジー的…というワケでもないごく尋常な「人間」の描き出しをメインに据えた物語だとも思いましたが、所ドコロに多少は超常的な要素も適度に配されており、かつ描写が相当にホラー寄りとゆーかごく凄惨で陰惨であるコトも相まって全体の雰囲気はだいぶダーク・ファンタジーとかに近い暗くて重厚で歯応えの在るモノに仕上がっていたのですよね。んで、また音楽が全編通しても実に見事に重厚だったのですよ。なので個人的には私も今作、長大な古典的悲劇やオペラ・セリアの類いを観終わった時と同様の高度に濃密な鑑賞後感を味わうコトが出来ました(エンドロールが実に清々しかった・心地好かったですね⇒主人公と同様、ナニかから「解放」された…かの様な)。結論、私個人としてはまた一発で監督の信者になってもーた…という、モ~全力でオススメ出来る…て作品だったです。重ねて音楽と、そして映像美を最大限に堪能される為にも、今作はぜひ劇場でご覧頂ければな、と思いますね。
[映画館(字幕)] 9点(2023-01-29 23:00:57)
6.  アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
まず、噂のハイ・フレームレートはかなり効果的に見えましたですね。動きの有るシーンのみ通常の倍(48fps)だってコトなのですが、先に『1』のリマスター版を全く同じスクリーンで(3Dで)鑑賞したのもあって、最初はそのヌルヌルとした異な質感には結構面喰らいましたです(やっぱどーしたってテレビゲーム or テレビドラマ風とゆーか少し「安っぽく」も見えるのですよね)。ただ、開始1時間ぐらい経過して多少慣れてきたトコロで肝心な「海」のシーンになってからは、モ~暫く鳥肌が止まらなかったですね。水がナチュラルに備える「滑らかさ」や「浮遊感」の中での動きを表現する技法としては、当然の如くCGの超クオリティも含めてやはり画期的だったと言って好いのではないかと思いました(⇒今作、兎にも角にもやりたかったのはコレだ!と)。  他方、特にお話の中身とゆーのは種々の側面で前作ほどにも完成度は高くなかった…と(やはり)感じましたね(⇒まあ前作もお話に見ドコロが在る…という映画とは全く違うと思いますが)。特に、人間=スカイピープル側の状況・事情とゆーのは説明が雑で全般的に好く分かりませんし、中でもクオリッチ大佐がナニをしたいのか(or スカイピープルが彼にナニをさせたいのか)は好く考えると全く繋がってないとすら思います。あと、前作はそれでも終わり方が実に派手&爽快でごく快感だったのに比して、今作はソコがちょっと展開的にも地味で、また爽快・痛快とゆーよりは美しくて幻想的な映像とゆーのをメインに据えていた様にも思えて、ソコはアクション映画としてはやや大人しい終わり方かな…とも思いましたです(個人的な好みの範疇ではありますが)。  まあでも重ねて、この監督はこの手の「映像的にやりたいコト」を「シンプルで手堅いストーリーで語る」という人だとは思ってるのです(『1』にせよ『タイタニック』とかにせよ)。その意味では今作も(コレも個人的には)ごく十二分に「手堅い」お話ではあったかな…とも思います(実は、ごく個人的にこの内容がちょっと「タイムリー」だった…という事情もあるのだろうとは思ってますケド)。予定される『3』もこんな感じだと流石にチョイ苦しくなってくるかな…とも思ったりはするのですが、結論的には全体として前作にも決してソコまで劣らない作品だ…という評価として、この点数にさせて頂こうと思います。十分に傑作の範疇ではあるかなと(重ね重ね、特に映像的にはとにかくも)。
[3D(字幕)] 9点(2022-12-24 00:20:43)
7.  由宇子の天秤 《ネタバレ》 
結局、この世界で正しく、そして真実で在れる人間というのは、その時点で確実に「強い」人間なのだ。ならば、弱くて、それ故に道も踏み外した「正しくない」人間を、その強くて正しい人間が踏み躙って勝ち誇るのが本当に「正義」なのか、と。恐ろしい程に残酷で、そして残忍な迄のリアリティだ。これもまた、凄まじい映画だ。  ひとつ、そんな何が正しいかも定かにならないこの世の中で、それでも自分ひとりだけでも「正しく」在り続けることの意味は、最低限そうすれば自分ひとりだけ・あなた自身だけは、自分が正しかったと「信じて」死んでゆくことが出来る、その位かな、とも思う(もちろんそれでも、それはあなたが自分が実は正しくなかったことを「知らなかった」だけだ、という恐怖は、常にどこかの片隅には残るものとしても)。  瀧内公美・光石研・あとは川瀬陽太あたりはともかく、比較的若手 or 新進気鋭の俳優さん達を揃えていた様にも思われますが、演技の出来・リアリティもまた粒揃いでしたね。無論、特に河合優実ちゃんは今売れに売れている理由が分かろうという出色の出来でしたが、個人的にはその父親役の梅田誠弘さんの掴みドコロの無い感じがかなり優れて感じられましたですね(クライマックスでもキーパーソンの役割を立派に果たしておられますし)。あと、和田光沙さんも(『岬の兄妹』以来でしたが)やはり存在感ありましたね。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-11-15 16:56:21)(良:1票)
8.  すばらしき世界 《ネタバレ》 
世界は決してただ美しい、素晴らしいモノではないのであって、多くの不条理・不正義・不公平と残酷な運命に満ち満ちている。それは人ひとりの力で何とか出来るものばかりでは全くないのだし、そもそも人智に依っては如何ともし難いことだって今だ数多く存在する。だから残念なことに「努力は人を裏切らない」とか「人生は何度だってやり直せる」だとかいう美辞麗句というのは、言葉の使い方の問題でもあろうが確実にそこに「嘘」を孕んでいる、とも思うのだ。人生とは、この世界とは、元々全く「ままならない」ものなのだろう、と考えている。  でももし、そこにただ純粋に素晴らしいことがひとつだけ在るとしたら、人が自分の人生を少しでも、ほんの少しずつでも「前に」進めようというささやかな意志を持ったのならば、その人生はどんな時でも、ほんの少しだけはより善い・より意義深いものにきっと変わるだろうということなのだ。例え明日死ぬとしても、その明日を今日よりも少しだけ何か意味の在るものにすることはたぶん可能なのだ。それだけが、人に許されている唯一つの絶対なのだ(人生の意味とは、ただひたすらにその積み重ねでしかないのだ)。だから、それでも世界は絶対に素晴らしいのだ、と。
[DVD(邦画)] 9点(2022-05-08 18:20:35)(良:1票)
9.  ノマドランド 《ネタバレ》 
非常に社会的なテーマを扱いつつも、描かれるのはこの状況に対する批判・非難とか「抵抗」だとか言うよりは、あくまでそんな壊れかけた世界の中に残された崇高な人間性、であった。ネガティブな様でポジティブな、極めて優れた人間ドラマ・人間讃歌だったと思う。  この題材を取り扱いつつ、そういった「批判的な」描写をあくまで脇に置いた演出方針というのは、もしかすると逆に幾分の本作に対する批判的な見方というのを呼ぶのかも知れない。また、本作に登場する人間というのはほぼほぼが善良でモラルのある市民であるが、実際には悪意のある人間とその影響というものが決して無視のできない環境であることは間違いないのだし、それをも選択的に排除していることについても、やや現実離れした作品だ、という評価すら可能なのかも知れない。  ただやはり、全編を通して描かれる彼ら「ノマド」の人生観に感じられる清々しさが、とにかく晴れやかな印象として心に残る。作中でも言及される様に、これはアメリカの伝統としてのフロンティア・スピリットの価値観に通じる部分を多分に含む、という意味で、かの国においてはもはや普遍的な価値観でもあるのだろう。それはあの比較的「若い」国そのものが持つ「強さ」なのかも知れない、とも思う。人を腐らせる「安定」に安住することを善しとせず、常に流転・変化し続ける中に人としての成長・向上を見出してゆく、あくまで前向きなモチベーションなのだ、と。  多くを語らないフランシス・マクドーマンドは、佇まいそのものでその「ノマド」の賞賛すべき価値観を体現していた。その意味では、ひとつ次元の違う演技の仕事だった様にも感じられる。脱帽である。
[映画館(字幕)] 9点(2021-04-04 20:23:27)
10.  ステップ 《ネタバレ》 
愛し合う両親のもとで健康に育って、結婚して、子を産み、孫を抱き、そして誰よりも先に死んでいく(絵に描いた様な「普通」の人生)。でも、そんな人生を送るひとって、実際どのくらいいるのだろう。そうじゃなくて「普通」じゃないことの方がむしろ「普通」の人生、なんじゃなかろうかとも思う。  誰の人生だって波瀾万丈、とでも言うか、この映画に描かれる家族にも色々なことが次々と訪れる(善きにせよ悪しきにせよ)。でもそれはどれも実に「ありふれた」ことであり、その意味ではこの上なくシンプルな映画だと思う。だからこそ、誰の心にもどこかしらには引っ掛かる様な感情移入の容易な作品であり、必ずどこかでホッコリと、或いはホロリと出来るという温かい作品になっている、と感じた。親の再婚に対して複雑な感情を抱く娘というのは正に10歳の私でもあったし、妻(娘)を亡くしても義理の親子(家族)の関係が善きものであり続けた主人公一家に対しては、そうではなかった自分と照らしての少しばかりの羨ましさと、そして小さくない後悔を覚えるのだ。  主要キャラの演技については、誰しも殆ど満点と言ってよい高水準であった。國村隼の存在感・温かさには惚れ惚れとしてしまいましたね。だけれども、やはり最後は山田孝之を褒めておこうと思う。多分に悲しさ・辛さを纏いながらも、奥底に十分に強さを抱きそして静かに成長していく様子は、実に味わいのある深い演技の仕事だったと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2021-03-20 21:31:39)
11.  湯道 《ネタバレ》 
非常に優れた一つのアイデアだ、と思うのですね。こーいうのってこの国には他にも、ホントに&フツーにたっくさん在るのだと思うのですよ(⇒例えばそれこそ、こないだの『PERFECT DAYS』のアレとか、とて)。おそらくそれは、概して単なる技術・知識の体系には留まらず、或いは実践や修行の方法論や数限り無い(成功と失敗の)経験則を含めてもまだ足りない、もっと高次の文化や伝統、場所・人の集まり、価値観・思想・美学、そして更に上のナニか、までをも包含している、それに「道」と付け加えて「可視化」するというやり方は、実にしっくりと分り易く、且つ効果的だと思うのですね。もし失われるくらいなら、とりあえずも~ナンでも「道」って言い張っちゃえば好いじゃんか!な~んて(⇒ジャンルも問わず、集団だろーが個人だろーが、誰かが一生掛けて懸命に極めて・歩んでるモノだったら全部それで好いんじゃねーか…と)。  群像劇とも言える様な言えない様な、確かに少し雑多な印象が冒頭からも強いという作品には見えたのですが、この構成は結局、そーいう非常に多様な側面を持つ奥深きとある概念、を表現するための演出上の仕掛けだったのだ…と思えば、個人的にはソコにもかなりしっくり来たとは言っておきたいです。また実に、ホッコリと文字どおり「温まる」お話の集合であったコトも含めて、心置きなく一点プラスしておきます。
[DVD(字幕)] 8点(2024-02-19 23:57:37)
12.  哀れなるものたち 《ネタバレ》 
特に見た目の印象とかも含めて、私見ですが恐らく『千と千尋の神隠し』と同じ様な観方をしてゆけば好い作品かな、と思えてました(まあ、全年齢対象版か否か、といった辺りにはかなり大きな違いが在るとは思いますが)。ただ、その彼女らの「成長」の意味するトコロの解釈には、ある面において小さくない条件の違いが在る様にも思えていて、それはたぶん、今作中の表現を借りるならば「良識ある世界」をまずどう前提に置くか、というコトだと思われたのですよね。『千と千尋』の千尋というのは、その「良識ある世界」から出て異世界を旅して⇒そして(成長を携えて)そこにチャンと戻って来る、という役だったと思うのです。が今作のベラの旅というのは(ある意味)もっともっとプリミティブなモノで、彼女はそれこそ良識ある世界の「外」からやって来る、だから、結局その彼女が最後に一体ドコに辿り着くのか…といった部分については寧ろ、その予想が付かなかったコトそのものをかなり楽しんで観てゆけた、と思いますかね。  エマ・ストーンという方については、暫く前からは何とゆーかほぼほぼオールマイティ=演技のカテゴリの殆ど全てにおいて卓越している、という印象も覚えて居たのですが、その意味でも今作のベラの様な、美醜・善悪・理性と本能(或いは狂気)といった多面的な要素を包含するキャラクターには正に打って付けだったと思います。一箇所、短いシーンでしたが中盤のダンスのトコなんかも凄かったですよね!そりゃ『ラ・ラ・ランド』出てたんだからダンスは元々出来るんでしょーケド、あれはも~ダンスとゆーよりは何らか高度な「身体表現」の方のレベルだったと思うのですね(こんなコトまでこんなに出来るのか…)。いずれ、どんな域にまで到達するのか、楽しみで仕方ありません。
[映画館(字幕)] 8点(2024-01-28 13:33:26)
13.  TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 《ネタバレ》 
いや、シンプルだケド、コレは中々…滑り込みで2023年のベスト5が一個入れ替わったな…(私が観たのは年明け後だケド)  大筋としては比較的オーソドックスな憑依もののホラーで、かつ変に凝り過ぎるコトも無いコンパクトな尺+テンポも悪くないのがまずは観易くて好いですよね。ソコで多少、憑依ものとしてはその主体が(平時の悪魔ではなく)悪霊=怨霊であるコトとか、ごくネガティブなラストの感じとかも含めてややフツーの欧米ホラーとは趣きが違うっぽい箇所も見て取れはしますが(⇒今作ってよく見たらオーストラリア産なんですね)、どちらかとゆーとソッチよりも端的な映像の力強さに第一には引き込まれましたですね。中々、大胆だな~と言って好い様な構図で禍々しいモノを思い切りバーン!と+結構ネットリと映して来るって感覚が在ったのですが、それでいてキレも十二分に感じられるとゆーか、その辺には(逆に)かなりこだわって準備してた様に思えるのですよね(⇒私もちょっと近いうちにソコだけ再確認の為に観直そうかな…と思ってる位で)。あと、そーいうカメラワークで映してるトコロの若い役者さん達の(異形のモノとしての)演技自体が、コレまた皆(チャンと若いワリにも)頑張ってたかな~とも思いますね(意外なマデの高クオリティ)。  加えて、ココに関してはホラーファンとしての個人的な好みに類する観点かとは思いますが、中盤以降また中々に「ナニが起こってるか定かにならない」という、その不可解さが至極に個人的にドンピシャだったのですね。結局、ミアの母親の死が自死なのか事故なのかも完全に明らかにもならないですし(⇒ごく強力に自死であったコトが示唆されてはいるものの)、クライマックスを踏まえても主人公を除く主要人物達の生死もまた判然としないママ終わってゆくのですし、だからラストなんかだって未だ「コレはナニかの(覚めない)悪夢?」とだって思える様な⇒チャンと終わった様でまだ悪夢の続きが残ってる様な、も~極上の不穏さを湛えて居た…と思うのですよね⇒重ねてコレって、個人的には超々好み!てゆうヤツだったのです。なので、少しだけオマケしてこの点数としておきます⇒映画館でやってるうちに是非々々。     ※以下余談:もう一点、コレは(前述どおりの)オーソドックスな前半を、私がよりホラー的に観てゆくコトが出来たコトの(結構重大な)理由なのかも知れませんが、私にはこの「降霊ごっこ」がもたらした悲劇とゆーのが、ソレこそ「薬物ラリパッパパーティ」が引き起こしたソレ(のメタファー)にしか見えてなくって、結果としてより一層暗澹たる気持ちで痛ましく眺めていた…というコトなのかも知れませんです。件のコロナ禍+例のオピオイド危機を経て、今や米国内の薬物事故による死者は年間10万人のスケール…ってゆーんだからも~トンデモ無い!すよね。そう、薬物って、正に今作で描かれるコトと同じ様に、人に依って or タイミング・体調に依っても諸々の「効き目」が違うから、だから大丈夫そうに見えてても⇒一発で即死するコトだって全然あり得るのだと思ってるのですよね。やっぱ、どの種類だろうが絶対に手を出さないに越したコトはねーです(ソレがホントにそのクスリである保証すらねーのだから)。
[映画館(字幕)] 8点(2024-01-05 23:17:11)
14.  正欲 《ネタバレ》 
何となく、劇場予告編とかをチラ見する限りでは、新垣結衣ちゃんが人に言えない変わった「癖」を持っていて…みたいなヤツに見えてて⇒そーすると畢竟その「癖」ってどんなんやねん?てのがどーしたって(イのイチバンに)気になっちゃうじゃあねーですか。だから、観終わって第一に思ったのが、その「癖」ってのが実はどーでも好かった(=何でも好かった)という今作の根本的な構造自体が、そもそも非常に「斬新」だよな…と思えたってコトなのですね⇒私にとってはもはや一種の「トリック」だったな、と。  そしてまた、このトリックの効果とゆーのが中々どーして絶大だった…とも感じてまして、正直昨今、今作とテーマを同じくする様な作品とゆーのは数多く存在する…ケドも、比較的個別の議論に落ち込んでゆきがちなその手の諸作品に比しても、中で今作はその「問題」を少し抽象化して⇒ソレに依って「普遍化」することが出来ていた…とも思うのですね(ココの感覚は直近だと、実は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』に最も近いモノですね)。ゆーて、社会の中で疎外感を感じるコトって、ある面では絶対に「普遍的」なコトだとも思うのですよ。とは言え、その「程度」は各個人に依って激しく異なるから⇒だからむしろ私なんかはあまり泣き言も言ってられる立場でもない…と何となく感じてたトコロに、この作品のこの感じとゆーのはソレ自体がどこか「嬉しい」という様なごく個人的な感覚もありましてですね。  本題に戻りますと、大まかにはコレも「多様性」をテーマに据えた(キョウビごく共感もし易い)作品だと思いますし、その意味でも「否定しないコト」という(恐らく)このテーマにおける現時点の「共通解」をシンプルに示して終わってゆくラストにだって、またしっかり深く共感してゆける(ゆけた)と思うのですよね。その上で、言うかどーか迷いますが二点言っておくとしたら、まず一点はガッキー&磯村クンのカップルに代表される「その指向」の人達が、何故そこまで高度に社会からの疎外感を感じているのか…というトコロの「オリジナルの理屈」とゆーのは、原作未読で観てるコッチからするとやや難解だったかも知れない、とは思いますかね(⇒ソコにもう一つ「工夫」が在ったら尚好かったかもな…という程度の指摘ですケド⇒とりあえずなる早で原作も読もうとは思いますが)。  もう一つ、否定しない=するべきでない、とは言いつつ、今そーやって「否定している人達」にも大なり小なり「理由」は在る…とも(私は)思ってるのですね(理由とゆーか事情はある、と)。ソレを=作中におけるその役割を、こと稲垣吾郎さんに(こ~んなコテコテな感じで)演らせちゃうとゆーのは、私も最初はワリと適役?かとも思ったのですが⇒最後まで観るとちょっと多少「シンプルに為り過ぎた」かな…と思いもしたのが正直なトコロです(最終的には少~ししっくり来ない感じの方が強かったかな…とも)。稲垣さんの演技自体は、今作も結構好かったとは思うのですケドね(⇒ここ数年、こーいう少し「空気の読めない」役にハマりまくってるという印象自体は、私も確実に抱いているトコロではあります)。
[映画館(邦画)] 8点(2023-11-27 14:24:28)
15.  MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 《ネタバレ》 
最初は正直、軽めのコメディかと思ったのですが、後半はかなりマジメに深く共感できるというお話でしたね。ちょっと『100万回生きたねこ』とかも思い起こされてしまいました(感動しましたです)。  前述どおり、間違い無くコメディ with タイムループというオーソドックスなヤツだとは思うのですが、同時にかなり高度で真剣なお仕事映画だとも思うのですよね。私だって確かに、ちょっと前までは月曜が来るのが死ぬホド憂鬱な時期がありましたし、或いはも~「現時点から一週間(一か月)キング・クリムゾンで吹っ飛ばないかな…(⇒その私自身の未熟さ故の結果は甘んじて享受するが、その過程には金輪際関わりたくない!)」なんてコトもよ~在ったな~とも思うのです。時間操作系のヤツって、実は仕事系のお話とは根本的に相性好いんだろ~な…なんて思ったりも。  んで、そんな今作はまず、前半はしっかりそのコメディ部分がかなり好く出来ていたと思いますし、かつ後半はお話の方がまたしっかりしてる=テーマとゆーか信念とゆーか(その「仕事」や「人生」における)価値観がハッキリと語られる、という意味で二回チャンと美味しい映画だったのが非常に好きなタイプ+意外性から生じるお得感もあってとても好かったと思いました。テーマの部分もまた、押し付けがましくないとゆーか(流行りの)ダイバーシティ的なとゆーか、ソレこそ仕事における価値観・流儀になんて絶対的・単一的な答えなんて無い!とは私もつくづく思ってるトコロではありますし(「(最後に)頼りになるのは自分だけ」も「大きな仕事こそ仲間と協力して成し遂げるモノ」もどっちも真理だと思うのですよね)。小品ですが、誰にでも臆するコトなくオススメできる良作である様に思います。短尺でサックリ観れますし、是非。
[DVD(邦画)] 8点(2023-09-23 21:24:04)(良:1票)
16.  バービー(2023) 《ネタバレ》 
冒頭からの「バービーランド」の描写のブッ飛び具合には、コレがこのまま最後まで行ったら流石に付いていけねーゾ!とチョイ不安にも思ってしまったのですが(⇒そりゃコッチとて、今作中でバービーが=バービーランドそのものが悪役側にひっくり返る様なコトは幾らナンでも無いだろ~と思ってたので)最後まで観ると全然「無難」に=穏便に・予定調和的に・共感可能なモノとして終わってってくれる映画ではあったので、そこはひとまずホッとしましたかね(⇒まあ、世界的にヒットしてるチャンとした商業映画だったな…と)  ただね、あくまで個人的には、今作って世間で言われてるよーなメッセージ性の強い・批判精神に満ち溢れた(部分的なる)社会派作品…なんて代物には全く見えていませんでしたよ。この作品が最も批判するトコロの=主人公バービーがラストにはソレを打ち破っていくトコロの「敵なる」価値観とゆーのは、ソレこそそのバービー自身が自己矛盾的に抱えてるとも言える「画一性」であって、その端的な顕れとしての「男と女の関係性の中に在る画一的な(古臭い)ナニか」だと思うのですよね(+最終的にはそこに対する批判の刃はソレこそバービー自身にもチャンと向いてゆくのですし)。でも、今作って別にそこに関して何か一歩先のラディカルなコトを言ってるワケでもナンでもなくって、唯々「男も女もどう生きても・どう在っても好い」とか、ナンなら「人間は誰しも好きな様に生きれば好い」くらいのコトしか言ってないと思うのです⇒でソレって、ナニをどう言い訳したトコロで(少なくとも)30年くらい前には完全に・白黒ハッキリ「勝負が付いた話」だよな~と。私は正直、やや刺々しくて申し訳無くも思いますが、この映画がイラついて観れない or 社会として受容し難いから上映禁止にしちゃう、とかってのは、流石に今どきソレはどーなの?と思ってしまいますケドね⇒ゴズリング演じるトコロのケンなんて、女にビール持って来させてふんぞり返る様な・海辺で焚火焚いてギター弾きながら迫って来る様な、見た目カウボーイ(or スタローン)なんてゆう激イタ男じゃねーですか⇒幾らナンでもモ~絶滅したでしょ⁉と。。  重ねての結論、私にとっては今作は特筆すべきメッセージ性など無い、とうに滅びた「過去の遺物」(or 人類全体としての「若気の至り」)を笑いの対象とした「ノスタルジック」コメディでしかありませんでした⇒で結果的には今年最高レベルに終始ゲタゲタ笑い転げてしまった…のでこの評価となっております。ただし、純粋にコメディとしては一点ダケ、こーなるとやっぱ「ツッコミ」役が欲しい…と思ってしまうのですよね。。誰かツッコミのプロ(⇒比較的毒気の少ない一流のベテランの)が唯々ひたすらツッコミ倒す…てオーディオコメンタリーとか付けてくれたら、BD買っても好いのですケド。。(ソレかもういっそ、こーいうのに対して最早「毒」でしかないウエストランド井口とかでも好いかな…な~んて。。)    ※追伸:前述どおり、作品の内容的には(個人的には全く)悪意も敵愾心も⇒だから当然イライラも感じなかったのですケド、内容とは関係無いトコロの所謂「バーベンハイマー」とかは少し話が違うのでして、例えばコレが納得いかないから観に行こうかどーか迷ってる…という人も居るかと思うのですね。個人的には、そーいう人は別に観に行かなくても好い(という程度の)作品だった…とも思いますかね。重ね重ね、本当に単なるコメディでしかなくて⇒大した中身が在る様な作品ではない…とゆーのが個人的結論なのでして。。
[映画館(字幕)] 8点(2023-08-19 14:28:42)
17.  いつかの君にもわかること 《ネタバレ》 
主人公の置かれた状況は確かにやや特殊かと思いますが、作品のテーマ自体はごく非常に普遍的なモノだと思いました。彼が唐突に・緊急に向き合うコトになったのは、子どもをどう育てたらよいのか・どう育てたら子どもは幸せに為れるのか(⇒そもそも子どもの幸せとは何か)という、ソレこそ人の親の誰しもが生涯を懸けて追い求めるけれど、答えは結局神のみが知る…という問いかけだと思うのですね。父と子の2人のシーンも(当然)多いのですが、養親を探す上でのその問いに関わる親同士の対話シーン(=子育てに対する種々の価値観が示される場面)が思ったより多くて、でも主人公と同様に観ているコッチだってナニが・誰が正しいのか(⇒この場面における「正解」は誰なのか)なんて全然ピンと来ない…というトコロに、実に非常に共感できましたですね(若干香ばしい方も居ましたケド、大半は基本、比較的真っ当なコトを言ってる真っ当な大人だったよな…とも思うのですケドも)。  演技にせよ演出にせよ、意図的にかなり抑制してゆく方のアイデアを採用しているらしく、全編非常に静かな(静謐な)作品だと思います。がソレが一層、この問いに答えを出すコトの難しさと、そして主人公の悩みの深さ(=端的には「愛」の深さ)をも好く表現している様に思われました。良作以上かと。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-09 13:12:47)
18.  インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 《ネタバレ》 
思ったホドにはインディ本人の(締め括りの)物語というワケでもなくて、結構全編ひたっすらに(年甲斐も無く)冒険しまくっているのですし、だったらそもそもこんなに長尺にする必要ある?とだって少しダケ思ったりもするのですね(⇒折角、アクションシーンが意外にもドレも降板したスピルバーグばりの良テンポで纏まってるのに)。でも、その辺り+終わり方とかも含めて最終作はコレで好かったのではないか…と(素直に)思いましたよね。重ね重ね、アクションは総じて素晴らしいテンポ&疾走感で分量も豊富、かつ細部まで非常に丁寧につくり込まれていてもう一回スローでじっくり観たい…という様な惚れ惚れする出来だと思いました。クライマックスも、1~3作目と比べりゃあだいぶん「派手」「荒唐無稽」だとは思うのですケド、コレも今風と言えば今風(の味付け)だと思います。オーラスだって、年経た二人の様子も含めて個人的にはかなり気に入ったのですよね(人生という冒険は、生きてる限り終わらないのだ!と)。一点加点しておきます。
[映画館(字幕)] 8点(2023-07-03 23:50:48)(良:1票)
19.  ハケンアニメ! 《ネタバレ》 
ふたつのアニメ作品の「覇権」争いという構造の中にも、描かれるのは更に多様なる「価値観の衝突」なのであります。新人(のフレッシュさ)なのか・熟達のベテラン(の更なる熟成)なのか、大衆性か・作家性か、或いは芸術的であるべきか・商業的であるべきか、とか、まずはそーいった種々の「対立」だらけの序盤~中盤がかなり高度にストレスフルだったのですし、また(作中表現を借りると)私なんかにもソレが非常に「刺さる」辛さでもあったのですよね⇒当然、棲める業界は違えど。  ただ結局のトコロ、その意味では今作自体はごく「大衆的」なグッド・エンドを迎えて(片方が滅びる…という様な決定的な勝敗も付けずに)晴れやかに終わってゆく、でもその中でも私には例えばひとつ、根源的でシンプルかつ純粋な「製作意欲=情熱」の大切さだとか、とは言えソレが認められるかどーかはかなりの部分で「才能」の有り無しに掛かっている…という残酷な事実だとか(+かつある種「(社会的に)適切な」製作意欲、というモノだって当然存在する=範囲が決まってる、のだろーとも)、結論的にはごく「当たり前」の内容を語ってるって映画だな…とは確かにそう思われたのですよね⇒そーすると「(私も含めて)俺たち無能はどーしたらエ~ねんな!」となってしまうだろう…という意味でも、この令和のダイバーシティな世界においてはモ~ちょっと古臭いな…とすら(⇒部分的には昭和のスポコンだ、と)。  でも一方でまたひとつ、コレが日本の商業アニメ業界を舞台にした作品だ…という点では、モノづくりの普遍的な面も垣間見せつつ所ドコロはやはり特殊で複雑で、だから「ユニークさ」てのは第一にも十分に感じられましたし、そもそもアニメって(娯楽コンテンツとしても・芸術としても)やっぱしちょっと「ユニーク」だな(⇒少なくとも、実写的な映画とはだいぶん異なるな)とかってコトも(個人的には)感じ取れた・再認識するコトが出来ましたですね。そして、更にそもそも、私はこーいう唯々「熱い」ハナシってのは完全に大好物!なのでありまして、だから結構随所でボロ泣きしながら観てしまってました。ヒジョーにシンプルに面白い作品だったと思います(⇒週末の映画としては大成功!)。オススメ。
[DVD(邦画)] 8点(2023-06-25 17:39:53)
20.  波紋 《ネタバレ》 
好きな映画ですね。ネガティブな様でそーでもない…とゆーか、結局、ナニかにのめり込むその「ナニか」って唯々「個人の嗜好」でしかないから、そののめり込みが妥当なのか=諸々の費やし方が正しいのか、なんてその人にしか分からない=判断付かないのでしょーね、と。種々の側面にごくタイムリーな要素を含む映画で、だから冒頭から居心地自体はかなり悪く在り続けるのですが、その辺には終始けっこう共感しながら観てゆけましたです。ただ、一つダケ言っておきたいのは、その「のめり込まざるを得ない人々」がナニにドレだけのめり込むかはある種の自由・自己責任なのかも知れませんが、一方でそーいう人々を喰い物にせんとする悪意ある個人・組織とゆーのは(その「需要」の如何に関わらず)唯その「悪意」故に滅ぶべきだと信じては居ますケドね。  ソレに比べれば、やはり自分ではない他人=家族・友人・あるいは社会的弱者とか、との関係性の中に生き甲斐を見出す、という方が好さそうだ・健全だという様にも見えるのですが、コレとてある種の「依存」であるコトには変わりはないのかも知れませんし、また他人てのは(例え家族であっても)どーしたって時には裏切りますからね⇒否、裏切るとゆーよりは少なくとも自分の意のままにはならないし、何なら彼らが何を考えているのかも究極的には共有できませんからね(そのコト自体は、今作でも実に痛烈に描かれていると思いました)。でも、最初に述べたとおり、特に中盤以降はごく非常にネガティブなのかポジティブなのかが判然としない(モヤモヤした)空気感で進行しつつも、最後まで観終わると(やっぱり)ごくポジティブな方の映画だったな…と思えたのです=そーいう諸々と「侭ならない」人間の有様を肯定している映画だな…と。筒井真理子さん、全編通しても素晴らしかったと思いましたが、ラストのフラメンコは(私の中では)彼女のベストアクトだったと思います。脱帽。
[映画館(邦画)] 8点(2023-06-09 15:27:00)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS