デス・フロント の オオカミ さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > テ行
 > デス・フロント
 > オオカミさんのレビュー
デス・フロント の オオカミ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 デス・フロント
製作国,
上映時間95分
劇場公開日 2003-08-30
ジャンルドラマ,ホラー,サスペンス,戦争もの
レビュー情報
《ネタバレ》 暗い!なんという絶望感だ!例えて言うなら、アニメ「ベルセルク」のラストの希望無き戦いのシーンを想い出す。舞台は第1次世界大戦中の1917年。イギリス軍のY中隊が経験した不可思議な現象を描いている。塹壕という閉鎖空間が、そのままお化け屋敷のような怪奇現象に覆われ、抜け出せないという閉塞感とやるせない虚しさを強調する。主人公の16歳の少年兵ジェイミー・ベル(シェイクスピア役)は、純真で正常な精神の持ち主を最後まで好演している。また、この手の人間関係を緊迫したものにするには、狂気に満ちた人間が必ず必要なものであり、それをアンディ・サーキス(クイン役)が怪演しているのは見ものである。彼はご存じ「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの重要な役を担っているね。性格俳優である叔父エドワード・フォックスと雰囲気は似ているローレンス・フォックス(ジェニングズ中尉役)は、線の細さを強調し、頭でっかちの将校を頑張っていた。信心深い兵士に狂気の殺人者を演じさせたり、ドイツ兵が本当の敵か味方なのかわからない演出をちりばめたり、閉鎖空間での狂気を見事に描いていると思う。本作を、宗教的・哲学的な読み方をすれば、霧の演出や張り付けにされたドイツ捕虜の位置づけなど、いろいろな解釈ができるであろう。果たして彼は悪魔だったのか、天使だったのか? 作品中の聖書の朗読もある程度のヒントを示しているのかもしれない。寓意的な見方をするなら、芥川の「蜘蛛の糸」のような解釈もできるだろう。戦場という狂気の場所で、正常な人間らしさ・理性や善の心を持ち続けることがいかに大変かを、この作品は訴えているのかもしれない。単なるホラーとか戦争物と決めつけるのではなく、いかにもイギリスらしい、哲学的宗教的寓意的作品である。
オオカミさん 8点(2004-02-17 16:18:46)(良:1票)
オオカミ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2016-03-03スター・ウォーズ/フォースの覚醒9レビュー6.85点
2015-01-28ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館7レビュー5.75点
2015-01-28フューリー(2014)6レビュー6.00点
2014-09-14ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー8レビュー6.67点
2013-11-18世界侵略:ロサンゼルス決戦6レビュー5.75点
2013-11-10ステキな金縛り ONCE IN A BLUE MOON6レビュー6.01点
2013-08-12パシフィック・リム7レビュー6.86点
2013-08-03ゾンビランド7レビュー6.51点
2013-07-31ボーダー(2008)7レビュー4.59点
2013-05-07ライジング・ドラゴン8レビュー5.71点
デス・フロントのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS