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生なましく、たくさんの辛いことを剥き出しに描いている。「家族」に縛られること。親のくせに、子供によりかかってしまうこと。誰かに酷い言葉を投げ付けて、暗い気持ちになること。自分もどこかでふと感じたことがある気持ちのひとつひとつにいちいち込み上げてくるものがあって、映画の世界に完全移入してしまった。ベッキーが去っていってしまった時は胸が痛くて、家が燃えた時は茫然として、最期ベッキーが再び現れ、後部座席でギルバートの腕に飛び来んだ時には、自分のことのように涙があふれた。また映像の美しさ。保険やの男や、ギルバートの友人といった、脇役までも丁寧に、どこかに愛が感じられるキャラクターづくり、まさに適材適所の配役といったエッセンスも加わり、調和のとれたクオリティーの高い映画に仕上がっている。どちらかといえば地味だが、長く心に留まるだろう。このストーリーをふまえた上での、ギルバートの「いい人間になりたい」という台詞が、胸に滲みた。監督キャストスタッフの全員に、「素晴らしい映画を見せてくれてありがとう」と言いたい。
【ともとも】さん 10点(2003-04-21 12:39:20)(良:1票)
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