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レビュー情報
この作品はぼくの目から見れば、青春そのものだった。誰もが通り、誰もが少なからず感じる学生時代の淡い感情。ぼくの中での青春の定義は、夢中になっている状態で、それは人によって色や形や大きさは様々だけど、誰の心にも少なからず必ずあると思う。この作品に出てきた五人の男女は皆、何かしら夢中になっていた。またそれと同じように皆、悩み苦しみ、そして今を精一杯生きていた。目をキラキラと輝かせ、生き生きとしていた。理由も考えず、ただ無意識のうちに着実に大人へと成長していた。ある者は音楽に夢中になり、またある者は夢中で人を好きになり、けれども皆同じように自分の力を疑い、迷い、苦しんでいた。順風満帆に生きていない彼らの心は、痛いほど共感できる想いで一杯だった。「あと一歩踏み出せ」「もう一言なのに」そんな風に胸の中で叫んでしまう。あの頃のぼくらは、みんな不器用で、諦める勇気も始める勇気もなくて、いつも何か不安を抱えていた。だからこそ、応援したくなる。がんばれと、背中を押したくなる。青春の中で悩み苦しんでいる人間を見ると、ぼくも同じようにがんばりたくなる。大人になる少し手前の彼らは、誰かの何気ない一言で、簡単に前に進めたりする。だから、ぼくの変わりに言ってくれると、自然とありがとうと感謝したくなる。今までにも数え切れないほどの青春映画が世に生み出されてきた。それでもその中に一つとして同じものがないように、ぼくらの経験も一つとして同じものはない。だけど、心は同じ人間だから、彼らの感じることは同じように感じることができる。夕陽に染まる町並み、蝉の鳴き声、誰もいない静かな教室。日本にしかない日本の文化の中で、同じ日本人の心を持つぼくらは、彼らの見た世界に心震わす事が出来る。
夢を追い、一つの恋を終え、それでも前に進み続ける。そういった事の積み重ねが何より大切で、生きるということはまさにそういうことなのではないだろうか。この映画は呼吸をしている。ぼくはまた一つ、大切な映画に出会うことができた。 【ボビー】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-04-22 22:16:27)
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