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《ネタバレ》 実はこの映画を見てからもうしばらく経つが、あまりにも一言二言では表すわけにはいかない作品なので、レビューをしようとしてもなかなか上手くいかなかった。つたない言葉ではあるけど、記憶をたどってやっとレビューしてみようと思う。私はユダヤの映画が好きだ。どんな映画が好き?と聞かれてノンフィクションと答えるとかなり高い確率でシンドラーのリストは見たかと聞かれた。まだ見ていないと答えると見るべきだとたくさんの人が言った。ずーっと見ようと思っていたけど、その度に何故かためらう。暗い気持ちになる準備がなかなかできていなかった。レンタル屋でこのDVDを何度手にしたか。その度に「この中には凄まじい残酷が詰まっているはずだ」というまだ見ていないにも関わらず思い込んでしまっていた。そんなことを繰り返して何度もたったある日、遂に見ることにした。夏の夜中に一人で見た。3時間も経っていたとは。全然長さを感じず過ぎてしまった。まず白黒っていうのが良い。カラーよりもずっとリアルに写っただろうと思う。その証拠が赤いワンピースの少女のシーン。あのシーンは残酷ですよね。全裸で走らされるユダヤ人達の群れ。シューティングゲームのように無差別に狙われ打たれる人々。それをあたかもひとつのストレス解消法のように楽しむ中佐。地下のトイレに息を潜めひっそり隠れる少年。それらのシーンが印象的で今もなお鮮明に焼きついて忘れることができない。また、ラストにもっと多くの人を救うことが出来なかった自分にいらつき、後悔に暮れ泣き叫ぶシンドラーの姿はこの映画の鍵と言うか、なんというか言葉が浮かばないが、とても重要なシーンとしてみなさんの記憶にしっかりと残っているのだと思う。私も思わず泣いた。最後の最後にシンドラーによって命を救われた人々が出演俳優とシンドラーの墓に石を置いていくカラーのシーンもまた良い。実際の人々が出演することでこの人があのシーンの人か、あの少年は今は私の父親世代のおじさんになったんだ、とか時代の流れを感じることが出来るから。とにかくいい映画を見せてもらった。映画で歴史を知るってなんて素晴らしいことなのだろうと再度実感した。シンドラーの行動によって生きることが出来た人達の子孫がこの世に存在する限り、自分が生きているこの奇跡を知るためにもこの映画を次の世代に伝承して欲しいと願ってやまない。
【未歩】さん 9点(2005-01-12 21:09:47)(良:2票)
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