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従来の西部劇に恐らく初めてリアリズムを持ち込んだコトと、劇中の時間経過をリアルタイムにシンクロさせた点の斬新さは当時としては実に画期的であり、勿論今でもコレを凌ぐ西部劇は殆ど皆無と言って良いだろう。チープな西部の街をセットで組み、後は役者の演技力に主眼を置いた作りは流石ジンネマン。老いたるゲーリー・クーパーにオスカー(2個目!)をもたらし、新星グレース・ケリーの真価を早くも引き出した彼の演出の手腕にもっと御注目頂きたいものである。加勢を頼むクーパーを冷淡にあしらう街の人々の人物造形も、チト現代的で嫌味過ぎるキライはあるものの矢張り上手い。トーマス・ミッチェルが上手いのはいつものコトで今更言うまでもないが、ロイド・ブリッジスやケティ・フラド、ロン・チャニー・Jr辺りの二線級もジンネマンの筋金入りの演技指導で実に生き生きと演じている。1対4の戦いもマカロニや従来の西部劇なら、もっと不利なハンディキャップ・マッチは幾らでもあっただろうが、普通に考えれば、それが1対2でも(余程の実力差がない限り)メチャ不利なことは明白。かなり不様な戦いぶりながらも最低限の娯楽のツボを外さないのがジンネマンの腕前の非凡さである。因みに4人組の一人をマカロニ以前のリー・ヴァン・クリーフが演じている。シェリフのバッジを叩きつけて街を去るクーパーのラストにディミトリ・ティオムキンの主題歌「ハイ・ヌーン」(唄:テックス・リッター)が心地よく響く。ただ…このリアリズムというヤツは本作以外ではロクな作品が生まれなかった点でも手放しに絶賛できる要素ではナイので、個人的に1点マイナス。
【へちょちょ】さん 9点(2003-01-12 12:06:34)(良:2票)
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