大いなる西部 の へちょちょ さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > オ行
 > 大いなる西部
 > へちょちょさんのレビュー
大いなる西部 の へちょちょ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 大いなる西部
製作国
上映時間165分
劇場公開日 1958-12-25
ジャンルドラマ,ウエスタン
レビュー情報
 西部劇もワイラーの演出を得ると、かくも格調高く描かれるという見本のような名作。単純なドンパチガンファイトなんぞワイラーが監督するハズがない。兎に角、冒頭の疾走する駅馬車の車軸の回転に被さるジェローム・モロスの主題曲の素晴らしさとソウル・バスのタイトル・デザインの秀逸さはトリ肌モノ!!ドナルド・ハミルトンの原作を映画化した本作に於けるワイラーの狙いは、ありきたりの西部劇的図式を換骨奪胎させて深い人間洞察に迄及んでいるトコロにある。先ず、どうも他の皆様には評判よろしくないペック演じるジェームズ(ジム)・マッケイ。東部から来たってのは確かにそうなんだが、問題は何処から来たかではなくて、如何にも優男で軟弱そうな外見に比して不撓不屈の確固たる信念の持ち主であるコトをワイラーが丹念に描写している点。つまり、真の男らしさとは何なのか?を深く掘り下げて外見のみで判断せず、暴力礼賛には安易に迎合しないというワイラーの拘りをペックに仮託したのだろう。加えてバール・アイヴス扮するルーファス・ヘネシーの描写にも同様にワイラーの拘りは貫かれている。一見、粗野でガサツ極まりない西部の荒くれオヤジだが、我が子の卑劣さを許さず容赦なく射殺する峻厳さには、育ちや学歴といった副次的要素とは別に関係なくとも、高潔な魂の持ち主は存在しうるとワイラーは観る者に伝えたかったのでは。彼の描写一つ採っても「西部人おバカ説」は成り立たないだろう。彼とチャールズ・ビックフォード演ずるヘンリーが相討ちとなるラストの鳥瞰ロングショットの鮮やかさはチョット筆舌に尽くし難い。古き世代への鎮魂歌の如く再びジェローム・モロスの主題曲が奏でられ正に圧巻。167分を長尺と感じるかどうかは人それぞれかもしれないが、個人的には詩情溢れるワイラーの演出の的確さに唸るのみ。若きチャールトン・ヘストン演じる牧童頭スティーブ・リーチの掘り下げが甘く感じたので1点マイナス。
へちょちょさん 9点(2003-03-06 06:26:26)(良:2票)
へちょちょ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2012-01-28100挺のライフル6レビュー6.00点
2010-02-21フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ8レビュー6.77点
2009-03-10クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦5レビュー7.93点
2008-03-17300 <スリーハンドレッド>4レビュー6.07点
2007-08-29惑星大怪獣ネガドン5レビュー5.77点
2007-07-27少林寺25レビュー5.85点
2007-07-25続・少林寺三十六房4レビュー5.37点
2007-06-26座頭市地獄旅7レビュー7.00点
2007-05-25ピカソ-天才の秘密10レビュー8.45点
2007-04-07県立地球防衛軍4レビュー5.50点
大いなる西部のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS