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《ネタバレ》 独ウーファ映画出身のロバート・シオドマクはハリウッドに渡り、可もなく不可もない凡作を連発した中堅カントクである。が、その中で本作は彼が真価を発揮した数少ないスリラーの秀作。ここでの彼が見せる強烈なサスペンス演出はヒッチ先生を凌ぐ感すらある。タイトルとなった螺旋階段を効果的にストーリーに活かす上手さなどはワイラーもタジタジである。殊に殺人鬼の眼球ドUP!から始まる導入部がイイ。ヘイズ・コードの存在もあって直接的残酷殺害描写は当然ないが、拍子抜けなどと言うなかれ。モロに見せるなんぞバカでも出来る。要は見せずに観客のイマジネーションを如何に刺激するか、コレが演出家の腕の見せ所なのだ。仮にヘイズ・コードが無くてもシオドマクは安易なグロ・スプラッタ描写なんぞ絶対にしなかっただろう。役者や舞台装置、陰影を活かしきった撮影を巧みに絡め”ムード”でホラーを醸成する、これこそが本道だと言わんばかりに。ヒロインが犯人(と思い込んだ男)を地下室に閉じ込めた途端に真犯人に襲われるクライマックスでスリルはピークに達するが、兎に角テンポが速い!一切中だるみせず一気呵成に感動のエンディングまで持って行く馬力は相当なもの。エセル・リナ・ホワイトの原作を巧みに脚色したメル・ディネリのシナリオも貢献度大。役者では女優陣に曲者が多く楽しめた。中でもウォーレン老夫人を演じたエセル・バリモアの存在感は凄い。彼女を介護する看護婦役にサラ・オールグッド、家政婦役にエルザ・ランチェスターってのも通好みでたまらない。比して男優陣が些か弱体、これが決定的なマイナス材料である。犯人が男であることは明白なので、出演男優の誰が犯人でもインパクトの点で大きく割り引かざるを得ない。加えてヒロイン・ヘレン役のドロシー・マクガイアが(熱演なんだが)個人的にちょっとゴツ過ぎて今イチなもんで…遺憾ながら2点マイナス。でもオススメ!!さて、コレで記念すべき我が1000番目のレビュー&コメントになったのも感慨深い(「クジョー」でなくて本当に良かった~!)。一年足らずでまさかココまで来れるとは思わなかった。色々ありましたが、管理人のたかさんに深く感謝致します。今後も微力ながら本サイトの充実に協力できればと思います。
【へちょちょ】さん 8点(2003-11-06 16:18:12)(良:4票)
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