愚か者の船 の へちょちょ さんのクチコミ・感想

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愚か者の船 の へちょちょ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 愚か者の船
製作国
上映時間149分
劇場公開日 1966-10-05
ジャンルドラマ,モノクロ映画,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 今回の衛星第二のオンエアで、学生時代に名画座リバイバルで鑑賞して以来の再見となった本作だが矢張り見応えのある秀作だった。本作最大の魅力がオスカー(撮影賞)をゲットしたアーネスト・ラズロの超絶カメラワークにあることはSTING大好き様の仰られる通りなので敢えて繰り返すまい。ただ蛇足を承知で付け加えるならば、群像劇の各エピソードが多彩なキャラクターの人物造形に深みを与えることに成功している点であろう。無論キャサリン・アン・ポーターの原作あっての成功であるが、並みの監督ではビビアン・リーやシモーヌ・シニョレ、オスカー・ウェルナーら主演級の数人を描き出すのに汲々としていたハズ。クレイマーの非情なまでに醒めた演出はハインツ・リューマン演じるユダヤ人ローウェンタールやマイケル・ダン扮する狂言回しの矮人グロッケンをも活き活きと描き出す。三等客室のキューバ人暴動シーンの迫力は出色である。しかもどの人物も簡単にこちらの予想を許さない複雑な性格設定であり、月並みな群像劇とは明らかに一線を画している。つまりクレイマーは「こいつらは脇役だから」と俳優ネームバリューで手抜きをしたり差別化したりはしていないというコトだ。ぐるぐる氏ご指摘の”犬を助ける為に死ぬ彫刻家”が最も印象に残る、というコメントはその格好の証明となっていると思う。事ほど左様に所謂「グランドホテル」形式というヤツは下手にやると目も当てられぬ出来となるので要注意なのだ。個人的には矢張りビビアン・リー最後の映画出演が痛ましくも深く印象に残る。殊に酔って階段を降りつつシャンパングラスを置き、突如踊り出す場面の滑稽さは鬼気迫るものがあった。惜しむらくは明らかなスタジオワークが「海上」という隔絶された舞台装置をフルに生かしきれていない恨みが残る。当時ならばロケーションを敢行するのは不可能ではなかったハズなので遺憾ながら1点マイナス。
へちょちょさん 9点(2004-02-16 00:19:49)(良:3票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2012-01-28100挺のライフル6レビュー6.00点
2010-02-21フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ8レビュー6.77点
2009-03-10クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦5レビュー7.93点
2008-03-17300 <スリーハンドレッド>4レビュー6.07点
2007-08-29惑星大怪獣ネガドン5レビュー5.77点
2007-07-27少林寺25レビュー5.85点
2007-07-25続・少林寺三十六房4レビュー5.37点
2007-06-26座頭市地獄旅7レビュー7.00点
2007-05-25ピカソ-天才の秘密10レビュー8.36点
2007-04-07県立地球防衛軍4レビュー5.50点
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