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《ネタバレ》 ゴッドファーザーシリーズらしい雰囲気は確かに味わえるし、一方でヘリから機銃乱射の大虐殺、なんていうおバカで元気のよいシーンなんかもあって、こういうのは嬉しくなるのですけれど、まあさすがに前2作に比べると、やや低調であることは否めませんわな。ソフィア・コッポラの起用にかなり難があるのは事実で、重要なはずの彼女の役どころが、何ともつかみにくく印象薄。マイケルはどのような最期を遂げるのか、それは例えばオペラ上演中に狙撃され華々しく死んでみせる、という花道もありえたところ、しかし彼にその特権は許されることはなく生き延びてしまい、そのオイシイ「死」をよりにもよってソフィア・コッポラがかっさらってしまう。どうしてこういう時だけしゃしゃり出てくるんだ、と呆れてしまうんですけれども、必ずしも彼女のヒロインとしての魅力の無さばかりが原因ではなく、やっぱり脚本も悪いんじゃないですかねえ。バチカン云々ってのがちょっと風呂敷広げ過ぎなんでしょう、そんな実際の事件を絡めて今さら社会派みたいな要素を取り入れるくらいなら、もっとコルレオーネファミリー内の人間模様をじっくり描いた方がよかったのでは。アンディ・ガルシアですら、単にマイケルを引退させるためだけに登場した感じで、彼とてそんなに印象を残せてはいないように思えます。そういや、上演されていたオペラが『カヴァ』だったのは、シチリアが舞台であるということ、血なまぐさい殺戮シーンとも繋がるヴェリズモらしい緊張感、さらには娘を失ったマイケルのなりふり構わぬ慟哭にBGMとして例のお馴染みの間奏曲を当てたかったこと、あたりが理由かと思われます。が、娘の死を前にした父の嘆き、というならば、例えば、この場面で上演されるオペラとして、ヴェルディ『リゴレット』という選択肢もあったかも知れず、そして『リゴレット』からのインスピレーションがあったならば、本作の脚本そのものも大幅に変わっていたかも知れませんが・・・。
【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-07-08 22:34:30)
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