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《ネタバレ》 2歳10ヵ月の娘が、「ポニョ、観たい~」と言うもんで(どこまで本気か不明)。映画館に連れて行くのは『ゲド戦記』以来2年ぶり(って、0歳だもんな)、などと言ってる私自身、映画館に足を運ぶのはそれ以来、という、実にお恥ずかしい次第……と言う訳で、久し振りに味わう劇場の興奮に、モハヤ冷静さの欠片も無く、感動の連続、涙腺緩みっぱなしでした(例えばバケツが風に飛ぶシーン…)。ああどうして、絵がここまで動くのか? 背景はいかにも“手書き”っぽく、言わば「動く絵本」。絵をどこまで本物っぽくリアルに描くか、よりも、線で描かれた「図形」としての絵を、どのようにオモシロく動かすか。音楽でいえば、濃密なオーケストレーションよりも、一見素朴なメロディが、これでもかと絡みあう強烈な対位法の世界(まるでマーラー5番の第五楽章!)。自分の視覚が認識できる以上に、複雑に動きまわる絵、これが人の手でなされているという事に恐ろしさも感じれば、その一方で、まだまだ自分が汲みつくしていない魅力がそこに残り続けているという、安心感もあるわけです。とか何とかゴチャゴチャ言ってる私だけど、一番気になったのは娘が途中で飽きないか、だったりする訳で。で、どうだったかと言うと、ちゃんと最後まで、それこそ身を乗り出して観てましたよ! 意味が判ったかどうかなんて、どうでもいい。何しろ私にだってよくワカランのだし(笑)。で、どういう話だったかと言うと、少年の前後を弁えぬアサハカな“決断”の話でして。ポニョを何がなんでも守る、いや、ポニョは魔法を使えるもんだから、守ってるのやら守られてるのやら。とにかく彼は頑張る。そしてラスト、ポニョは半魚人だけど引き取ってくれるか、との問いに、深く考えもせずOKする。こんなワガママ娘と、この先長い人生、うまくやっていけるワケが無い、不幸の始まり。とは言っても、童話のシンデレラと王子様だって、あんないい加減な馴れ初めで、その後幸せになれたハズもない。結局我々の人生だって、過去の誤った決断のせいで、何と面倒なことになっていることか(笑)。でも、それがもし無かったなら、人生そのものが成立しなくなる! 悩むのは良い、だけど、気にし過ぎるなかれ! 時には宗介クンのように、ストレートに、信じる道に向かってエイヤッと、決断することも、必要なんでしょうなあ(もちろん相変わらず、私は自信が無いのだけど)。
【鱗歌】さん [映画館(邦画)] 9点(2008-07-27 18:15:51)(良:4票)
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