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《ネタバレ》 いくらかなりと実在のモデルに基づいているとは言え、実録モノ風のドギツイ抗争映画ではなくって(そういう要素もあるけど)、かつての任侠の時代から経済ヤクザの時代への移り変わりの中で、取り残されていく昔気質の男の悲哀のようなものが描かれたフィクションです。その男を鶴田浩二が演じているというのも、因縁めいているといいますか。前半はあまり物も言わず静かに佇んでおり、後半、組長代行として活動を開始しますが、もはや彼の時代ではなくなっていて。ひらがなしか書けない鉄砲玉の千葉チャンは組長に見捨てられ、病弱ながら仁義を背負った鶴田浩二にもまた残酷な運命が待ち受け、高橋悦史演じる娘婿の医者に代表されるような、インテリヤクザの時代が予告されて映画が終わります。組長役の佐分利信、声がかすれ気味で凄みに欠ける部分があるのが少し残念ですが、それでも、仁義を重んじる昔気質の面、家庭における父としての面、計算高いドライな面、これらを併せ持った存在感あふれる人物像になっています。そしてまた何と言っても、これでもかと出てくる出てくる個性的な脇役の数々。ヤクザ映画博覧会みたいな楽しさもありますね。
【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-11-09 10:44:06)
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