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《ネタバレ》 第2次大戦下、ナチス及びその協力者からの迫害を逃れ、生き延びるために森の中にユダヤ人コミュニティを作り上げた三兄弟のお話。まず緑の森が印象的に描かれた後、冬の訪れにより森が雪景色となり、生活も厳しいものになっていくと、はたして彼らは無事に春を迎え、あの緑を再び目にすることができるのか、という気持ちになってきます。もっとも、春が訪れたところで無事に暮らせる訳ではないのだけど……。本作で特に描かれるのは、三兄弟の長男で、リーダーである主人公の、矛盾と苦悩。武闘派の次男に対し、穏健派の長男(それとて一度は復讐に手を染め、その虚しさを知ればこそ、なのであるけれど)、しかし意見の対立から殴り合いの喧嘩になったとき、石を手にし相手を撲殺しかねなかったのは、長男の方であった時の衝撃。ユダヤ人たちが集まり組織が大きくなるにつれ、統制も取れなくなっていく。捕えられた無抵抗のドイツ兵をユダヤ人たちがリンチする場面、我々は主人公がこれを止めることを我々は期待するのだけど、彼はその光景を虚しく眺め、無力に立ち去っていく、その時の絶望感たるや、物凄いものがあります。もはやそれほどまでに、明日が無い身である、ということ。神をいくら信じても、現実には奇跡は起きない、ということ。その絶望感を、最終的には兄弟愛が救う、というのが、出来すぎたヒューマニズムかも知れないけれど、本作が提示する「救い」として、やはりそれは美しいと思うのです。
【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-01-11 09:00:41)
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