赤垣源蔵 の 鱗歌 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ア行
 > 赤垣源蔵
 > 鱗歌さんのレビュー
赤垣源蔵 の 鱗歌 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 赤垣源蔵
製作国
上映時間75分
劇場公開日 1938-11-17
ジャンル時代劇,モノクロ映画,歴史もの
レビュー情報
忠臣蔵モノの一本。主君の仇討ちに立ち上がることもなく、長屋で呑んだくれている赤垣源蔵、その彼を取り巻く人々が描かれます。
討ち入りの場面も終盤に少しだけ描かれますが、作中の大半、主人公はグータラ状態。その代わりと言っては何ですが、映画中盤に、仲間の浪士を助けて源蔵が立ち上がり、海岸を舞台に目の覚めるようなチャンバラを繰り広げる場面があります。
無論、ただ呑んだくれている訳ではなく、討ち入りの日まで身を潜めるためのものですが、そんな事を理解してくれるのは忠臣蔵ファンくらいのもんで、周りの人間にとってはあずかり知らぬこと。自分を慕ってくれる女性はヨソへ嫁いでしまい、兄家族にも疎んじられる。しかし源蔵は言いたい事もグッとこらえ、ただ耐える。耐えてナンボの忠臣蔵、だから耐えねばならぬ。
討ち入り前夜、一目逢っておきたかった兄を訪れるも不在、という「徳利の別れ」のエピソードが本作の中軸となりますが、弟に逢いそびれた兄の、弟への想いが切々と語られる場面が、見せ場になっていて、愁嘆場を演じることなく、あくまで節度ある演技と演出でこれだけの情感を出している。口うるさい忠臣蔵ファンでもご満足いただけますことでしょう。ラストシーンは、『モロッコ』の影響を受けているような、いないような。
それにしてもこういうお話に触れていると、要するに人間、自分が他人に理解されないことを嘆いているようでは、ダメなのね。だって、そんな「他人からの理解」など元々、あり得ないのだから。「理解」ではなく、「情」が、自分と他者との接点、なんですね。
鱗歌さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-10-27 12:48:09)
鱗歌 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-05-05悪魔の赤ちゃん3 禁断の島7レビュー4.75点
2024-05-04アルティメット7レビュー6.22点
2024-05-04ゆすり(1929)9レビュー5.63点
2024-05-01デッド・ドント・ダイ7レビュー4.88点
2024-05-01ストレンジャー・ザン・パラダイス8レビュー7.13点
2024-04-29デビルマン4レビュー1.45点
2024-04-27沈黙のテロリスト7レビュー2.40点
2024-04-27回路8レビュー4.96点
2024-04-21新・座頭市物語7レビュー7.15点
2024-04-21ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録7レビュー7.27点
赤垣源蔵のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS