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やっぱりこの作品のヒットには、映画のタイトルの上手さが少なからず貢献しているような気がします。バンド名でもなければ個人名でもなく、楽曲の一つが映画のタイトルに選ばれている。楽曲って云ったって、「フラッシュのテーマ」が映画のタイトルではさすがに弱いですしね(と言うかそもそも劇中でも触れられず、もしかして黒歴史扱いなのか?)。
一種の伝記映画ということもあって、まとまったストーリーが語られるというよりは、バンド結成からの彼らの歩みが飛び飛びの時間軸のエピソードで綴られていく構成。劇中ではいくつかの楽曲が登場し、「ボヘミアン・ラプソディ」は彼らにとって大きな契機になった曲ではあるんだろうけれど、あくまで登場する楽曲の一つに過ぎない。だけど、この曲が映画のタイトルである以上、映画はきっとこの曲へ回帰するんだろう、という期待が持続し、そしてクライマックスとなるライヴエイドのシーンで、それは結実します。 映画に挿入される楽曲シーンそれぞれがスリリングで、まとまった物語など無くても充分に映画に惹きつけられますが、このライヴエイドにおいて、それは最高潮に。 そしてまた、まとまった物語は無くとも、エピソードが積み重ねれていく中、主人公の抱える孤独というものが、しっかりと浮かびあがってきます。功成り名を遂げ、富を得たとて、埋められない周囲とのズレは、容赦なく主人公を孤独に追いやります。一見、彼の同性愛的な部分がその孤独をもたらしているようではありますが、それだけではなく、エキセントリックなスターの持つ宿命、でもあるかのような。 フレディ・マーキュリーの家の壁に金閣寺の護符が貼ってあって、いやこれ、ウチの壁にも貼ってるよなあ、と思いながら見てたんですけどね(笑)。よくこんなのわざわざ撮影のために準備したよなあ、と。 【鱗歌】さん [レーザーディスク(字幕)] 7点(2025-02-02 08:58:25)★《新規》★
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